高級車2012年07月01日 06:19

高級車
高級車


500Eは高級車なのか。

そもそも、高級車って何だ?。

(Phantom:中古車ですが、¥39,800,000!)
http://www.rolls-roycemotorcars-nicole.com/provenance/phantom-white-2011_1.html

このあたりになると、だれでも高級車であることに異議を唱えるなんてことはしないと思うが、結論から言えば、少なくとも私は500Eは高級車ではないと思っている。

新車販売価格が1550万円だといっても、センチュリーより高かったとしても、それをもって高級車とはいえない。

(トヨタ・センチュリー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%BC

皇太子が乗ったセンチュリーが立ち往生した、とか書いてあるが、それはそれ、高級車であることと信頼性が高いことはイコールではない。生産台数が少ないので、人柱が限られているからだ(トヨタは皇太子を人柱にしたわけだな)。

500Eは、実用車である。軽トラックやバスと同じで、走ってなんぼのクルマである。そのステージが、裏道や街道沿いではなく、高速道路の追い越し車線であるだけだ。

高級かどうかの判断は、人によって、国によって違うだろうから一概にはいえないとしても、大衆車ではないだろう。少なくとも日本では。

中古で20年前のクルマに100万円以上の値段が付くというのも異常といえば異常だが、そういうクルマなのである。実用性が失われていないことが、その理由の一端であると推測する。

その一方で、極めて趣味性が高いクルマであることも事実だ。コレクターズアイテムというか、知る人ぞ知るというか、裏地に凝るというか、羊の皮というか。

何しろ、職場で500Eを買ったと言っても(言っちゃいました!)、だれも「そいつぁ、スゴイね!」なんて言ってくれない。

20年前の11万キロ走った中古車を100万円で買ったということで、「変なやつ」と思われただけである。5リッターということで、燃費の悪い車に乗る反社会的なヤツと思われたかもしれない。

一部のクルマ好き、一握りの特殊な人種が住む世界の中だけで認知されている、究極のクルマである。

高級車とは、社会的な存在で、誰もがそうだと認めていることも重要な要素なのである。

まあ、ベンツを買ったとだけ言っておこう。

もっとも最近はA、B、Cクラスが売れまくっているので、ダイムラー車は手頃な価格の外車と思われたりするだけかも知れないが。

新車価格1550万円、今考えると、途方もない金額のクルマである。当時、紛れもない高級車で、本当のお金持ちしか買えなかった(中古10年落ちでも、私は買えなかった:500まんえんくらい)。

それなのに、左側のドアミラーは手動である。

高級車とは何かを、深く深く考えさせるクルマである。

(【CGTV】No.380 Mercedes-Benz 500E(W124) 1/3)
http://www.youtube.com/watch?v=m2WelIowYvA

(【CGTV】No.380 Mercedes-Benz 500E(W124) 2/3)
http://www.youtube.com/watch?v=vZjami0RgoE&feature=relmfu

(【CGTV】No.380 Mercedes-Benz 500E(W124) 3/3)
http://www.youtube.com/watch?v=TytheXrjrmM&feature=relmfu

M1192012年07月01日 21:04

M119
M119


V8の5リッターエンジンの型式である。

R129、W124、W140に積まれていた。知らなかったが一部のW210にも積まれていたようだ。

(Mercedes-Benz M119 engine)
http://en.wikipedia.org/wiki/Mercedes-Benz_M119_engine

もともとグループCカーのエンジンとして開発され、加給にも耐える丈夫なエンジンである。アルミブロックでDOHC4バルブ、可変バルブタイミング機構を組み込み、てんこ盛りのハイスペックエンジンである。

(ザウバー・C9)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%82%A6%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%BBC9

4.2リッター(4196 cc:333 hp???275じゃない?)

(Specification.参照:400Eですが、このページは穏やかな記事が多く、心が和みます)
http://www.h5.dion.ne.jp/~benz124/

W124 400E/E420
W210 E420
W140 400SE/400SEL/S420

5.0リッター(4973 cc:330 hp)
W124 500E/E500
W140 500SEL/500SEC/S500
R129 500SL/SL500
W210 E50 AMG

6.0リッター(376馬力~409馬力)
W124 E60 AMG
R129 SL60 AMG
W210 E60 AMG

6.3リッター(399馬力)
W210 E60 AMG

があるようだ。

(500E倶楽部 編集後記:カテゴリー:エンジン)
http://mercedesbenznetcom.blog81.fc2.com/category8-1.html

(W124とV8エンジンの組み合わせについて)
http://ameblo.jp/jautoceo/entry-10331151957.html

このエンジンについては、また機会があれば紹介する。

言い訳2012年07月03日 06:19

言い訳


人間でも、クルマでも、タブレットでも、ケイタイでも、付き合い方というのがある。

一生の付合いになるものもあれば、その時限りのものもある。

自動車の場合は、その人によっても、車によっても異なる。

まあ、何でもそうだといえばその通りなんだが。

こっちが一生付き合いたいと思っても、車が壊れていくのではどうしようもない。車のほうはまだまだいけるのに、気持ちが離れてしまうこともある。

300Eは、500Eを見初めた瞬間に心が離れた。

まだまだ乗れる個体ではあったが、心が離れると手元に置いておくのが煩わしくなる。散々手をかけて、修理してきた車なのに、愛着が湧かない。

薄情なのだ。

手放して正解である。次のオーナーに可愛がってもらうのが良い。骨格はしっかりしているし、エアコンは不調だがATはなぜか好調であった。エンジンは、アイドリング時の振動が気になるくらいで、回せばトップエンドまで一気に回る良いエンジンである。

末永く、乗り継いでもらいたいものだ。しかし、手元を離れてしまったので、どうなるかは市場が決めることだ。売れなければ廃車になる。金属とガラスと樹脂とゴムでできた工業製品なので、使用価値がなくなれば産業廃棄物になる。くず鉄として売られてしまう運命である。

買ったときには一生乗るつもりで買った。相当の投資もした。安全に関わる部分は、出し惜しみはしなかった。

それでも手放してしまった。

後悔はしていないが、ちょっと苦い思いが残る。500Eなんぞに現を抜かさないで、300Eを維持すべきだったのではないか。500Eは売り物になるので、誰かが維持してくれるが、300Eは誰も見向きもしない。市場で流通しなくなっている。

今、500Eは点検中だ。ヤナセの厳しい目に晒されている。徹底的に見てもらっている。もちろん、目視だけで分からないところもあるし、突然の不具合が予兆なく起こることはある。

そういうところは、「時間基準保全」で潰していく。一定の時間がたった消耗部品は、壊れていなくても取り替えてしまう。まだまだ使えるのに勿体無いかもしれないが、「状態基準保全」の監視コストをかけるより経済的である。

消耗品以外の部品の損耗を軽減して、個体の寿命を延ばす効果が期待できるからだ。

そういう考え方で作られた機械が、300Eであり500Eである。そのころまでのベンツは、みなそうであった。使用価値が所有価値であり、メンテナンス(部品交換)によって維持されていた幸せな時代のクルマだ。

二度と戻ることがない、機械の王国。

時間の経過と共に、崩れようとしている過去の幻。誰も省みることのない、20世紀の栄光である。

そういえば、スペースシャトルもなくなったしなあ・・・。あれこそ、莫大なメンテナンスコストをかけて維持管理されていた機械の王様だった。そういう考え方は、もう古いのかもしれない。

でも、スペースXのロケットは、再使用を目指しているというから、新しい技術の中で、新しい機械文明が誕生しつつあるのかもしれない。

所有価値と使用価値が、経済原則の中で入れ替わることが再び起きようとしているのかもしれない。

技術の進歩が、それを促す。単なる懐古的なものではなく、その時点での合理性の裏づけがちゃんとある。

現象だけを表層的に追い求めるのではなくて、しっかりと本質を意識して捉えていく。そうでなければ、振り回されるだけだ(売るほうとしては、振り回したいのかもしれない)。

クルマと付き合うのも、いろいろ言い訳が必要なのである。

神宿る2012年07月03日 17:19

神宿る
神宿る


M119エンジン、V型8気筒である。

神宿るエンジン、炎の情熱と絹の優美を具現する機械。

とかいっても、バンク角が何度とかは知らない。

(Mercedes-Benz M 119)
http://de.wikipedia.org/wiki/Mercedes-Benz_M_119

英語の記事が怪しかったので、ドイツ語で書かれている記事を引用しておく(だから、なんだ?)。

(V型エンジン)
http://d.hatena.ne.jp/keyword/V%B7%BF%A5%A8%A5%F3%A5%B8%A5%F3

この記事を読むと、通常のV8は一次振動の低減のために90度の挟み角で作られているようだ。特段の記載がないので、おそらくは90度だろう。

(V型8気筒)
http://ja.wikipedia.org/wiki/V%E5%9E%8B8%E6%B0%97%E7%AD%92

(クロスプレーン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%B3

(フラットプレーンとの比較)
http://minkara.carview.co.jp/userid/949692/blog/23380698/

(ヤマハの薀蓄)
http://www.yamaha-motor.co.jp/news/2008/09/09/yzf-r1.html

むろん、M119はクロスプレーンクランクシャフトである。乗用車(セダン)だから、レーシングエンジンのような高回転高出力を求めているわけではない。

ヤマハYZR-M1(R1)エンジンのように、ピークパワーを求めるために敢えてクロスプレーンにしたわけでもない。

そもそもバイクのエンジンなんて、乗用車に比べたらバリバリのチューンドエンジンである。リッター100馬力は当たり前なのである(R1は180馬力以上!)。

耐久性重視、乗り心地重視の乗用車としては、穏当な選択である(元はレーシングエンジンだとしても)。

このエンジンは、可変バルブタイミングがついているという。吸気側だけだろうが、4千回転位で効いてくるようだ。君子豹変、炎の加速(でもないが)で、1.7トン(乾燥重量)の車体を250kmまで持っていく。

(Automobiliaさんの記事:3500から4000とある)
http://www.automobilia.jp/2007/04/168000km_1b13-2.html

リッター66馬力の「大人しい」乗用車のエンジンなので、豹変するといっても、飼い猫が野良猫になるくらいで、豹やライオンになるわけではない。

今となっては、パンチがあるわけでもなく、上品といえばそうだが、盛り上がりに欠ける特性である。癒し系なのである。羊の皮を被った羊(何やら暑苦しい感じですな)、楽して速く走りたい人向けのエンジンだ。

これは、オトナのエンジンである。

ターボで加給して、ドギューンと加速するわけでもなく、7.3リットルV12エンジンでグイグイ引っ張るわけでもなく、静かに力漲らせて、いつの間にやら法定速度の遥か彼方へ連れて行ってくれる(注意しましょう!)。

内燃機関のお手本のような設計、無理はせず、それでいてきっちり仕事する。そして、たぶん長持ちする。それでも、20年10万キロ以上走れば、いい加減くたびれてくる。圧縮や燃料供給、点火系を総チェックする必要がありそうだ。

この項、続く。

馬力2012年07月03日 22:12

馬力
馬力

「馬力」とは、文字通り馬が出す力(正確には仕事率)である。原動機の出力を、代替する馬の力と比較して定義付けられたのは、当然といえば当然だが、SI単位系ではなく、移行措置として使われている。

(馬力)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%AC%E5%8A%9B

だが、750ワット(旧日本馬力)なんていわれるより、1馬力が分かりやすい。道産子がそりを引っ張るばんえい競馬のイメージがピンと来るのだ。

(ばんえい競走)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%B0%E3%82%93%E3%81%88%E3%81%84%E7%AB%B6%E8%B5%B0

さて、よく使われるpsという仏馬力が、ドイツ語のフェルデスターケ(でいいんですかね?)の略だというのも面白い。

(発音はここで聞けます)
http://ja.forvo.com/word/pferdest%C3%A4rke/

1 仏馬力(ps) = 約 0.986 英馬力(hp)=735.49875 W

覚えるような数字ではない。500Eのエンジンが、330psと覚えていたほうがいい(なんで?)。

また、bhpと表記されるのが「break horse power」(=hp)の略号だということも初めて知った(なんにも知らなかった・・・)。

鉄腕アトムは10万馬力である(歌の文句がそうだから)。

(鉄腕アトム)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84%E8%85%95%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A0

後に、100万馬力に改造されていたそうだが、歌は変わっていない。子供をだましちゃいけませんな。

人類が作り上げたエンジンの中で、最も強力といわれるエンジンは、アポロ計画でサターンV型ロケットの第1段目に搭載されたF-1エンジンである(個体燃料ロケットを除く)。

(F-1ロケットエンジン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/F-1%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3

記事の中では、5機で1億6千万馬力だというから、1機3200万馬力になる。

日本のLE-7エンジンは、2万5千馬力なので、1280倍、500Eの96970倍になる。とてつもなく大きい。想像もできない。

さらに、エネルギーの量としてみると、こんなのもある。

(ツァーリ・ボンバ:人類が手にした最大の兵器)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%83%90

爆発中の平均仕事率は5.3×10^24ワット(= 5.3 YW:「ヨタ」ワットと読みます)とあるので735.49875(W=1仏馬力)で割ると7.2×10^21馬力になる。500Eの何倍かを計算してみる気はさらさらない。

キリストは、厩で生まれたという。神と馬とは縁があるようだし、神宿るエンジンの出力は、ワットよりも馬力がふさわしい気がするのだが、如何だろうか。