我潜る故に・・・2012年12月21日 22:41

我潜る故に・・・
我潜る故に・・・(キャプテン・スカーレット)


浮沈子(ふちんし)とは、考えてみればなかなかいい響きの語句である。浮き沈みのある人生にもなぞらえられ、格調(?)も高い。

今日から、「浮沈子」を筆名(ペンネーム)としよう。

もちろん、ダイビングの時のリングネーム(っていうのか?)としても相応しい(四股名の方が、合ってんじゃね?)。

ダイバーの中にも、本名ではなく「通り名」を名乗る方がおられるようだ。さぞかし、素晴らしい潜水家なんだろうな。

まあ、ダイビングって、いってみれば「水商売」なんだから、「源氏名」の方があってるかも!?。

で、気分一新、「浮沈子」としての初めの一歩は、当然のことながら、CCRでのダイビングのことである。

ダイビングをやったことがある方ならお分かりの通り、潜ることは比較的簡単なんだが、浮かぶことは実に難しい。

特に、テクニカルダイビングで、深いところへ潜る場合、何がテクニカルかというと、90パーセントくらいは「上手に浮上する技術」ということになる。

1分間に何メートルずつ浮上するとか(深さなどによっても変わります)、その深度でじっとしている(つまり、中性浮力!)とか、どんなガスを吸うかとか。

テクニカルダイビングについては、まだ勉強中なので、余り詳しく書けないが、狭いところに潜り込んだり、船の中などに入ったり、通常、レクリエーショナルダイバーが行ってはいけないところに、安全に行ける技術を身に付けたダイバーが行うダイビングだ。

そうでないダイビングは、ハッキリいって自殺行為である。

無謀で、愚かで、浅はかで、軽薄で、バカで、間抜けで、救い難い(もっと書いてもいいんだが)。

要するに、むちゃくちゃ危険なのである。

世の中には、「自分だけは死なない」と信じている、キャプテン・スカーレット症候群に罹っているダイバーがいるようだが、いずれミステロンになってしまうことは、明らかである。

この喩えが分からない人は、以下を読んでください。

(単語記事: キャプテンスカーレット)
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%97%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88

(キャプテン・スカーレット)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%97%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88

あれ?、キャプテン・スカーレットって、元々ミステロンじゃん?。

まあ、いい。

ともあれ、ダイビングのポイントは、技術に応じたダイビングを行うこと、自分の技術の及ばないダイビングはしないこと、そんなダイビングがしたければ、きちんと教わってから行うこと、ダイビングは、たとえ技術に応じたものであっても、常に死の危険と隣り合わせであると自覚すること、自信過剰になることなく、控えめなダイビングを行うこと、徹底した自己責任の世界と心得ること、器材のメンテはきっちり行うこと、体調管理に気を配ること、酒やタバコやヤクはやらないこと、水分補給をしっかり行うこと、などなど・・・。

特に、CCRでのダイビングの場合、器材は故障することを前提としてリカバリー訓練に(本気で)取り組むこと、消耗品を適切に交換すること、複雑な器材の操作に習熟すること、「必ず」バックアップの器材を携行すること、中性浮力が取りにくいからといって、「俺って、才能ないんだ・・・」と落ち込まないこと(ホントにないとしても)、最低200時間潜ってから「CCRなんて、使えねえぜ!」と言うこと、などなど・・・。

レクリエーショナルなダイビングで、CCRが使われようとしていることは、「浮沈子」ことワタクシにとっても、非常に喜ばしい!。前々から、そんな時代が早く来ないかと期待していた。

しかし、いざ、怒涛のように簡易型のCCRなどが出てくるに及んで、いささか不安の念を禁じえない。

改良点は多々あり、評価することも多い。

特に、二酸化炭素除去剤のパッケージ化は、安全管理の点からも望ましい(個人的には、面倒が少なくて良い)。

また、二酸化炭素センサーが導入されたことも結構なことだ(また、新たな出費が・・・)。

オープンサーキットのセカンドステージと一体になったOCBについては賛否両論だが、バックアップのベイルアウトタンクにセカンドが付いているなら、という条件で、初心者には好ましいかもしれない。

しかし、センサーが1系統しかないとか、バッテリーが1個しかないとか、マニュアルインフレーターがないなど、操作の簡便さというより、コストの削減と思えるような簡略化が行われているのはいかがなものか。バルブの正立による操作性の悪化も、個人的には気になる。

しかし、最も問題視しなければいけないのは、この複雑極まりなく、したがって故障頻度が高く、維持管理が困難な器材を、ちゃんとした訓練も施さずに売りさばこうとする姿勢である。

というより、ちゃんとしたプログラムなんて、作れないんじゃないのか?。どんなプログラムを書いたのか、見てみたい気もする(こわごわと)。

インスピレーション(姉妹器に、エボリューションとエボリューション・プラスがある)という世界で最も普及しているリブリーザーがあるが、この器材の訓練時間は、人にもよるが、初級レベルでも数十時間はかかる。中級レベルで、100時間から200時間、上級レベルでは200時間以上(最上級って、もう、時間じゃなくって、才能の問題?)。

挫折、諦め、脱落、落ちこぼれ、登校拒否、引きこもり、断念、中止、アバンダン!。モノにするのは、並大抵じゃあない!。

その代わり、この器材の性能をフルに引き出すようなダイビングでは、いま、現在求め得る最高レベルの安全性を確保することができる。

我が国におけるCCR使用時の死亡事故(行方不明2人含む)は4例ほどだが、3人がソロダイビングの状態で亡くなっている。

レクリエーショナルCCR初級でのバディ構成の問題もある(ステージボトルなし、OCBだけでガスのシェア不可!)。

どうしろっていうんじゃい!。お互いに、ガスも与え合えないで、ただ見つめ合っているだけのバディって、キモイ!。

まだまだ、書きたいことは沢山あるが、今後も徐々に書いていくことにする。

前にも書いたが、誤解のないように、今日も書く。

「安全なダイビングなどない」。

ちょっと危険なダイビングと、かなり危険なダイビングと、めちゃくちゃ危険なダイビングがあるだけである。

繰り返しになるが、レクリエーショナルダイビングにおける、リブリーザーの普及は大歓迎である。周到な準備を整え、完全な訓練を施して、どんなに浅い水深に潜る場合でも、十分なベイルアウトガスを携行するなら、きっと、楽しいダイビングが行えるだろう。

そうでなければ、簡易型リブリーザーの普及は、壮絶な形での終焉を迎えそうな、いやーな予感がする・・・。