ルーツ2013年05月08日 22:12

ルーツ
ルーツ


「クンタ・キンテ」が脳裏に浮かぶ浮沈子は、いささか古い。

(ルーツ (テレビドラマ))
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%84_(%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E)

(エミー賞9部門受賞、視聴率51.1%! 全米で1億3千万人が見た、テレビドラマ界に燦然と輝く金字塔!)
http://www.superdramatv.com/line/roots/

しっ、視聴率51パーセントだとお!?。

かつての紅白歌合戦並みである。

(NHK総合「紅白歌合戦」)
http://www.videor.co.jp/data/ratedata/program/01kouhaku.htm

1977年当時、こっちは70パーセントの視聴率を誇っていたのだから、日本人恐るべし!(紅白こそ、日本人のルーツである)。

まあいい。

ポルシェセンターから、封筒が送られてきて開封する・・・。

この週末は、「ポルシェ ニューケイマン デビューフェア」だそうである。

そのご案内のチラシの片隅に、気になる写真とキャプションがあった。

曰く、「904カレラGTS(1963年)ケイマンのルーツであり、当時のスポーツカーに革新をもたらした1台」とある。

904って、何なんだ?。

(ポルシェ・904)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB904

(Cotidiano,carros,corridas e música:ポルトガル語のページ)
http://areadeescape.wordpress.com/2011/03/18/uma-volta-num-porsche-904-gts/

(Roehrl & 904 GTS: Two legends united:上記のぺーじにあったワルター・ロールがニヤニヤしながら、操る動画出ます)
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=ESO5oJWJ9Ys

ヒール・アンド・トウのお手本が見られるとか、この動画を撮っている方のクルマに乗りたいとか(安定していて速い!)、そういうことではなく、なぜ、ポルシェがこの904を発展させずに、911に注力したのかを深く考えさせられてしまう。

車両重量650kg!。

現在のケイマンの半分以下の重量である。

真のライトウエイトスポーツを名乗れる、稀有な存在だ。

120台が作られて、それでおしまい。

後に914とか出たが、何の関係もない。

(ポルシェ・914)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB914

この904が、ケイマンのルーツという売り言葉(?)は、如何にポルシェといえどもやり過ぎではないのか。

屋根付きリアミッドシップ水平対向エンジン(4、6、8気筒とある)2シータースポーツという点では、確かに似てはいるが、はっきり言おう、こじ付け以外の何物でもない!。

ヒドい話だ・・・。

この記事を読んでおられるような方なら、当然ご存知のように、「ケイマンの 屋根を取ったら ボクスター」なのである。

いや、「ボクスター 屋根を付けたら ケイマンだ!」が正しい。

(ポルシェ・ケイマン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%B3

通常は、屋根付きモデルが先にあって、その屋根を切り落として補強するというボディワークになるのだが、このクルマは、逆に屋根なしのボクスターに、後から屋根をくっ付けるという作りになる。

当然、車両重量は、屋根無しよりも重くなるというハンデを背負う。

その分、馬力を(値段も?)上乗せして、帳尻を合わせようとするのだが、頭が911に抑えられていて、スポーツカーとして誰もが羨むミッドシップ2シーターという構成でありながら、「沢山荷物が積めます」などと、場違いな宣伝をしている変わったクルマである。

フェラーリのMRモデルで、積載量の宣伝をしているのを見たことはない・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

ポルシェは、作る傍から車が売れていくという幸せなメーカーの一つなので、新型ケイマンもそこそこ売れるに違いないが、ちょっとマズイことに、ニュル北のラップタイムが3秒ほど素の911を上回ってしまったらしい。

(ニュルで911カレラを凌ぐケイマンS)
http://www.carview.co.jp/road_impression/article/porsche_cayman/1597/2/

しかしながら、馬力の方はケイマンSでも、911カレラより25馬力落とされている。実にセコイやり方だ(排気量は、1ccたりとも違わない・・・)。

リアサスが、安物マクファーソンだろうが、MRのバランスの良さ、素性の確かさが、ヘンタイRRスポーツを凌駕したわけですな。

ま、当然でしょう!。

だからって、904GTSがルーツとか言われると、いささか白ける。

03ボクスターを浮沈子に売りつけた営業さんは、ボクスターのルーツは「ポルシェNo.1」だと言っていたので(ホントの話です!。詐欺罪に当るんじゃない?)、P社関係者のDNAなのかも知れない。

(ポルシェ・356:356.001)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB356#356.001

「アルミボディーの2シーターでロードスター型」

「試作1号車は鋼管スペースフレームのミッドにエンジンをレイアウト」などとある。

「似て非なる」というのは、こういうことであろう。

904も、「生産性の面から箱型断面の鋼板プレス製ラダーフレームを採用」、「FRP製ボディをシャーシに接着する方式」とあり、モノコック構造のケイマンとは別物だ。

1.4トンにもなる車両重量の、とてもライトウエイトとはいえない新型ケイマン。

キャンペーンのオマケの品が、メタルカーだというので、わざわざ行く気にもならない(それが目当てかよ!)。

実車の試乗ができるわけでもなく、仮に出来たとしても、987c型とさして変わり映えもなく、熟成された「乗りやすい」屋根付きミッドシップ2シーターに、浮沈子の興味は向かない。

そんなことより、パナメーラ・クーペが出るとか出ないとか、そっちの方が気になる。

(ポルシェ・パナメーラ・スポーツ・ツーリスモ)
http://www.autocar.jp/firstdrives/2012/12/08/20446/

「リフトバック、エステート、クーペ、そしてコンバーチブルといったボディ・バリエーションで2016年に登場する予定だ。そのライバルは、メルセデスのCLSシューティング・ブレークや、アウディA7、BMW 6シリーズ・グランクーペとなろう。」とある。

それも、いいだろう・・・。

パナメーラ・クーペが出たとき、P社がそのルーツを928に求めても、浮沈子は何も言わない。

ただ、今の991型911と同サイズだった928と、まるでフルサイズのセダンのように巨大なパナメーラとは、ちょっと別次元のクルマである。

ルーツ。

それは、人もクルマも純粋で、ひたむきで、打算なく存在した過去の栄光、幻、見果てぬ夢、ありとあらゆる虚構の向こう側に、確かにあった昔日の面影である。

現実は、過去を求めない。

それは、通り過ぎた雲のように、跡形もない。

確かにそこにあったはずだという、淡い思い出だけが、セピア色の記憶となって残っているだけだ。