晴行雨独 ― 2013年11月04日 23:02
晴行雨独
83タルガを、久々に心ゆくまで走らせる。
人によっては、うるさいと感じられるエンジン音が、ひっきりなしに聞こえてくる。
ゆさゆさと、身体をゆするサスペンションが、腹に堪える。
腹筋が鍛えられそうだな。
神経質なクラッチワーク、意外なほど踏み代のないアクセル、そして、今や化石となったノンパワステのラックアンドピニオン(重ステ・・・)。
全てがダイレクトで、オブラートが無い。
実際、乗りにくく、不快で、操作系が重い、大昔のクルマなのだ。
しかし、それは、都会のストップアンドゴーを多用する道や、車庫入れ、坂道発進(苦手です!)での話だ。
ひとたび、高速度域に持ち込んで、床も抜けよとばかりにアクセルを踏み込めば、様相は一変する。
ガサガサと冴えない音を立てていたエンジンは、勇ましい爆音と共に、スムーズに吹け上がり、最悪の乗り心地のサスペンションは、我が意を得たりと、バツグンのスタビリティを発揮して、絶大な安心感を与え、道路のかまぼこに神経質に反応していたオモステは、正確なハンドリングと安定した直進性を提供する。
ははあ、この速度域が、このクルマの棲息する環境なのだな、と得心する。
残念ながら、我が国の法定速度域ではない。
83タルガの場合、概ね160kmから、今日の感触では、200kmを越えても、その傾向はしっかりと持続する。
サスペンションは、もう少し固めてもいいかもしれない。
ボディが薄いSC、おまけにタルガトップということから、カレラのクーペのようなわけにはいかないが、手を入れる余地はあるな。
空力の点では、トレイ型のリアウイングの装着が候補に上がる。
しかし、コンプライアンス重視の浮沈子の走り(???)では、それらは皆、無用の長物である。
5速120km3000回転の速度域では、平和な時間の中で、フラットシックスの眠たげな音が響いているだけだ。
20世紀の自動車は、機械の世界の住人である。
公道走行を前提としているとはいえ、特定の速度域で最大のパフォーマンスを発揮するように作られている。
しかも、仕向地に応じて、その速度域は異なる。
500Eの場合、日本仕様では、オイルクーラーが簡素化(付いてない!)されていたりする。
(お客様の愛車紹介(500E水温対策の決定版)!)
http://ameblo.jp/jautoceo/entry-11017469786.html
「日本仕様ディーラー車では装着されなかった、ドイツ本国仕様のエンジンオイルクーラー取付位置が丁度空いています」
おいおい・・・。
法定速度100kmの我が国では、エンジンオイルの冷却を、シビアに考えることはないと、本国では考えたのだろうが、酷暑の夏に大渋滞でエアコンをガンガンかけながら、電動ファン全開でノロノロと炎天下を走ることなど、考えてはいなかったのだろう。
20年後の現代では、米国はカリフォルニア州のデスバレーより過酷といわれる、首都高の夏の渋滞路は、世界の高性能車のテストコースなっているようだ。
まあいい。
少なくとも、米国仕様とはいえ、アウトバーンを有するドイツ連邦共和国(当時は西ドイツ)を生産国とする911が、時速100マイル以上にターゲットを定めて開発されてきたことだけは確かである。
20世紀の自動車と、21世紀のそれが違うのは、ボディの剛性アップと、電子制御サスペンションなどによる全速度域への最適解の敷衍である。
同じオープンカーでも、83タルガと03ボクスターは、全く違う乗り味である。
それでは、83タルガが、法定速度域でツマラナイクルマかといえば、そんなことはない。
独特のハンドリングを駆使して、右に左に駆け抜けるとき、ワインディングロードに持ち込んだ911の面白さを堪能することは出来る。
浮沈子は、まだ、その恩恵を受けていないが、ハンドリングマシンとしての911は、乗り手の腕前を、限界まで引き出してくれるのだという。
逆にいうと、腕が無ければ、ただの乗りにくいクルマということになってしまう。
基本的に後輪のグリップ力の高さに依存し、徹底的なアンダーステア特性に設定された930のハンドリングは、限界域でのコントロールに苦労することになる。
乗ったことはないが、993のように、マルチリンクとコイルスプリングのリアサスではないのだ。
物理の法則の通り、グリップの喪失は、直ちにコーナーカーブの接線方向(ガードレールや、谷底!)への直進を意味する。
それを回避するためには、ブレーキング時の加重移動を利用して、前輪のグリップを高め、タイヤの旋廻力を向上させたうえで、後輪のグリップを維持して我慢に我慢を重ね、出口が見えたら、すかさずアクセルを踏んで早めに脱出するという、RRのセオリーを実行するしかない。
パワーオンで向きを変えようなんてしたら、後輪の外側に重量物を積載した911は、くるんと回ってしっぺ返しをしてくるだろう。
これは、もちろん、SCに限った話かもしれない。
RRの特性に悩み、改善を重ねてきたバイザッハの研究者たちは、RRならざる特性を与えることに腐心してきたのだから。
964のコイルスプリング化と4WDの導入、993のリアサスペンションのマルチリンク化、996以降の数々の電子制御スタビリティコントロール、991のロングホイールベース化・・・。
現代のRRポルシェは、街中での短時間の試乗に限っては、全く違和感無く運転できるクルマである。
RRの味付けの濃い、手強いコーナーリング特性の930SCは、乗りこなす楽しみの深いクルマであろう。
ワインディングロードよりも、高速直進運動の方が好みの浮沈子としては、このハンドリング特性でも、取り立てて不自由は感じない。
クルマを降りて、へなへなとその場にウ○コ座りするほど、根性入れて走ることも無ければ、四隅やサイドをボコボコにして、それを直しもせずに、勲章のようにして走る趣味も無い。
晴れた日には、14階のビルを見るより、オープンにして風と戯れ、雨が降れば、仕方なく屋根を嵌めて、独り静かに流して走る。
このクルマとの、本当の生活が、やっと始まったのだ。
83タルガを、久々に心ゆくまで走らせる。
人によっては、うるさいと感じられるエンジン音が、ひっきりなしに聞こえてくる。
ゆさゆさと、身体をゆするサスペンションが、腹に堪える。
腹筋が鍛えられそうだな。
神経質なクラッチワーク、意外なほど踏み代のないアクセル、そして、今や化石となったノンパワステのラックアンドピニオン(重ステ・・・)。
全てがダイレクトで、オブラートが無い。
実際、乗りにくく、不快で、操作系が重い、大昔のクルマなのだ。
しかし、それは、都会のストップアンドゴーを多用する道や、車庫入れ、坂道発進(苦手です!)での話だ。
ひとたび、高速度域に持ち込んで、床も抜けよとばかりにアクセルを踏み込めば、様相は一変する。
ガサガサと冴えない音を立てていたエンジンは、勇ましい爆音と共に、スムーズに吹け上がり、最悪の乗り心地のサスペンションは、我が意を得たりと、バツグンのスタビリティを発揮して、絶大な安心感を与え、道路のかまぼこに神経質に反応していたオモステは、正確なハンドリングと安定した直進性を提供する。
ははあ、この速度域が、このクルマの棲息する環境なのだな、と得心する。
残念ながら、我が国の法定速度域ではない。
83タルガの場合、概ね160kmから、今日の感触では、200kmを越えても、その傾向はしっかりと持続する。
サスペンションは、もう少し固めてもいいかもしれない。
ボディが薄いSC、おまけにタルガトップということから、カレラのクーペのようなわけにはいかないが、手を入れる余地はあるな。
空力の点では、トレイ型のリアウイングの装着が候補に上がる。
しかし、コンプライアンス重視の浮沈子の走り(???)では、それらは皆、無用の長物である。
5速120km3000回転の速度域では、平和な時間の中で、フラットシックスの眠たげな音が響いているだけだ。
20世紀の自動車は、機械の世界の住人である。
公道走行を前提としているとはいえ、特定の速度域で最大のパフォーマンスを発揮するように作られている。
しかも、仕向地に応じて、その速度域は異なる。
500Eの場合、日本仕様では、オイルクーラーが簡素化(付いてない!)されていたりする。
(お客様の愛車紹介(500E水温対策の決定版)!)
http://ameblo.jp/jautoceo/entry-11017469786.html
「日本仕様ディーラー車では装着されなかった、ドイツ本国仕様のエンジンオイルクーラー取付位置が丁度空いています」
おいおい・・・。
法定速度100kmの我が国では、エンジンオイルの冷却を、シビアに考えることはないと、本国では考えたのだろうが、酷暑の夏に大渋滞でエアコンをガンガンかけながら、電動ファン全開でノロノロと炎天下を走ることなど、考えてはいなかったのだろう。
20年後の現代では、米国はカリフォルニア州のデスバレーより過酷といわれる、首都高の夏の渋滞路は、世界の高性能車のテストコースなっているようだ。
まあいい。
少なくとも、米国仕様とはいえ、アウトバーンを有するドイツ連邦共和国(当時は西ドイツ)を生産国とする911が、時速100マイル以上にターゲットを定めて開発されてきたことだけは確かである。
20世紀の自動車と、21世紀のそれが違うのは、ボディの剛性アップと、電子制御サスペンションなどによる全速度域への最適解の敷衍である。
同じオープンカーでも、83タルガと03ボクスターは、全く違う乗り味である。
それでは、83タルガが、法定速度域でツマラナイクルマかといえば、そんなことはない。
独特のハンドリングを駆使して、右に左に駆け抜けるとき、ワインディングロードに持ち込んだ911の面白さを堪能することは出来る。
浮沈子は、まだ、その恩恵を受けていないが、ハンドリングマシンとしての911は、乗り手の腕前を、限界まで引き出してくれるのだという。
逆にいうと、腕が無ければ、ただの乗りにくいクルマということになってしまう。
基本的に後輪のグリップ力の高さに依存し、徹底的なアンダーステア特性に設定された930のハンドリングは、限界域でのコントロールに苦労することになる。
乗ったことはないが、993のように、マルチリンクとコイルスプリングのリアサスではないのだ。
物理の法則の通り、グリップの喪失は、直ちにコーナーカーブの接線方向(ガードレールや、谷底!)への直進を意味する。
それを回避するためには、ブレーキング時の加重移動を利用して、前輪のグリップを高め、タイヤの旋廻力を向上させたうえで、後輪のグリップを維持して我慢に我慢を重ね、出口が見えたら、すかさずアクセルを踏んで早めに脱出するという、RRのセオリーを実行するしかない。
パワーオンで向きを変えようなんてしたら、後輪の外側に重量物を積載した911は、くるんと回ってしっぺ返しをしてくるだろう。
これは、もちろん、SCに限った話かもしれない。
RRの特性に悩み、改善を重ねてきたバイザッハの研究者たちは、RRならざる特性を与えることに腐心してきたのだから。
964のコイルスプリング化と4WDの導入、993のリアサスペンションのマルチリンク化、996以降の数々の電子制御スタビリティコントロール、991のロングホイールベース化・・・。
現代のRRポルシェは、街中での短時間の試乗に限っては、全く違和感無く運転できるクルマである。
RRの味付けの濃い、手強いコーナーリング特性の930SCは、乗りこなす楽しみの深いクルマであろう。
ワインディングロードよりも、高速直進運動の方が好みの浮沈子としては、このハンドリング特性でも、取り立てて不自由は感じない。
クルマを降りて、へなへなとその場にウ○コ座りするほど、根性入れて走ることも無ければ、四隅やサイドをボコボコにして、それを直しもせずに、勲章のようにして走る趣味も無い。
晴れた日には、14階のビルを見るより、オープンにして風と戯れ、雨が降れば、仕方なく屋根を嵌めて、独り静かに流して走る。
このクルマとの、本当の生活が、やっと始まったのだ。
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