レーシングポルシェの系譜(その6)9042013年11月11日 15:14

レーシングポルシェの系譜(その6)904
レーシングポルシェの系譜(その6)904


ポルシェが、レーシングマシンとして、本格的に開発したモデルで、生産も120台(116台)と、多い。

100台も作らなくっちゃならんという、ホモロゲーションの問題もあったが、生産性を考慮した設計となっている。

鋼管スペースフレームではなく、鋼板を組んだ箱型断面のバックボーンを中心としてフロアパンが構成された。

外皮には、ポルシェにとって初のFRPボディが採用されている。

(904カレラGTS(1964年) レースカー路線の礎となったポルシェの異端児)
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20110610/273452/?rt=nocnt

「ポルシェ904カレラGTSの時代から、レースカーとスポーツカーとは明確に分かれてくる、その分かれ目になったモデルという位置づけにもなるのだった。その意味でも、歴史に残る1台と結論される。」とある。

904は、日本語のウィキも、ドイツ語のウィキも充実している。

(ポルシェ・904)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB904

(Porsche 904)
http://de.wikipedia.org/wiki/Porsche_904

ドイツ本国版のポルシェのモータースポーツの欄にも、もちろん出ている。

(Porsche 904 Carrera GTS Coupé)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/60ies/1963-904carreragtscoupe/

写真もたっぷりある。

(Porsche 904 Carrera GTS Coupé)
https://www.google.co.jp/search?q=Porsche+904+Carrera+GTS+Coup%C3%A9&rlz=1C1AFAA_enJP467JP467&espv=210&es_sm=93&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=XTeAUrW7HsOgkAXu9oGIAQ&ved=0CDAQsAQ&biw=960&bih=494

お約束の動画も!。

(Porsche 904 vs Prince Skyline at 1964 Japan Grand Prix)
http://www.youtube.com/watch?v=QscEF5WGt-E

生沢スカイラインが、ポルシェを抜いた!、とおもったら、1周で抜き返される。

どうも、日産(プリンス)は、これがトラウマになって、GT-Rを作り続けているようだな。

ポールフレール著「レーシングポルシェ―904から917まで」は、既に絶版となっており、中古を1冊アマゾンで(さっき)注文した(蔦屋にはなかったので)。

(レーシングポルシェ―904から917まで [単行本])
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E2%80%95904%E3%81%8B%E3%82%89917%E3%81%BE%E3%81%A7-%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/4544040256

売値は3000円であったらしい。

(今週の一冊 ~レーシング ポルシェ 904 から 917 まで~)
http://minkara.carview.co.jp/en/userid/548636/blog/14004261/

「単行本 304ページ
著 者 ポール・フレール Paul Frere
訳 者 塚崎文雄
出版社 二玄社
価 格 3,000円
1981年7月発行 初版 (絶版)」

お値打ちモノであるな。

浮沈子は今回、5000円で中古を買った。

904以降のレーシングマシンは、開発コードが入り繰りになっている。

904(1964)→906(1966)→910(1967)→907(1967)→908(1968)→(909(1968))→917(1969)

909は、ヒルクライム専用車である。

まあ、現在のボクスターだって、986(1996)→987(2004)→981(2012)だし。

911だって、901(1964)→930(1973)→964(1989)→993(1993)→996(1998)→997(2004)と順調に増えてきたのに、やっぱり、991(2011)に戻っちゃったり。

開発コードは、適当なんだな。

917以降、ポルシェは、耐久レースから一時撤退し、1982年のモンスター、956まで、10年近いブランクがある。

したがって、ほぼ毎年のように新型を投入していた904から917までは、一連の開発であったと考えていいだろう。

ポルシェのレーシング活動が、最も盛んだった頃である。

余談だが、開発コードといえば、番号がつかないクルマもあった。

(Elva-Porsche Bergspyder)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/60ies/1964-elvaporschebergspyder/

車体は、英国製らしい。

まあいい。

904から917の時期は、生産車では、ちょうどナローの時期に当る。

4人乗りのファミリースポーツ(??)を売りまくっている一方で、フェラーリみたいなカッコのレーシングカーを走らせていたわけである。

片やMR、片やRR。

この時期に、もちろんRRのレーシングカーも、数多く作られている。

(Porsche 911-2.0 Coupé “Monte“:1964)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/60ies/1964-911-2-0coupemonte/

(Porsche 911 R-2.0 Coupé:1967-69)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/60ies/1967-911r-2-0coupe/

(Porsche 911 S 2.0 Coupé “Rallye“:1967)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/60ies/1967-911-s2-0coupe-rallye/

(Porsche 911 S 2.2 Coupé „Rallye“:1970-71)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/70ies/1970-s-2-2coupe-rallye/

(Porsche 911 Carrera RS 2.7)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/70ies/1972-911carrerars2-7/

(Porsche 911 S-2.5 Coupé)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/70ies/1972-911s-2-5coupe/

(Porsche 911 Carrera RS 2.7 „Safari“:1973-74)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/70ies/1973-911carrerars2-7safari/

(Porsche 911 Carrera RSR 3.0:1973)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/70ies/1973-911carrerars2-7safari/

うえっ!、こんなにあったのかよ!?。

しかし、まあ、ラリーカーとか多いし、市販車をベースとした開発、改造であって、ポルシェは、RRで完全オリジナルのレーシングマシンは、過去にも未来にも(少なくとも現在までは)、一切作っていない。

っていうと、いやいや、市販車自体がレーシングマシンみたいなもんなんだから、という声が聞こえてくるが、それをいっちゃあオシマイよ・・・。

RRは、あくまでも、市販車の構成で、2座であろうが4座であろうが、純粋に勝つための構成ではないのだ(と、確信する)。

何度も書いて申し訳ないのだが、ポルシェ自身が、生産車そのものからRRを何度も駆逐(?)しようとしている。

914の投入(1969)、924の投入(1975)、928の投入(1977)、944の投入(1983)、968の投入(1991)、ボクスターの投入(1996)、カイエンの投入(2002)、ケイマンの投入(2005)、パナメーラの投入(2009)、マカンの投入(2014)・・・。

全ては、911をして、相対的にイメージを薄めて、やがては引退させようという流れの中にある。

もちろん、今のポルシェはそんなことは言わない。

911あってのポルシェだというだろう。

実際、カタログモデルから911が消えてしまったら、他のポルシェの売り上げは、激減するに違いない(しなかったりして!)。

まあ、どうでもいいんですが。

話を戻せば、RRは不滅だが、それは、あくまでも4座のロードカーとして、あるいは、それをベースとして作られたレースカーとしての存在である。

ポルシェの真のDNAは、永遠のライバルであるフェラーリを、サーキットで打ち負かすためのピュアなレーシングカーにあり、当然、MRの姿をしているはずなのである(思い込みじゃね?)。

タイヤの高性能化が進展しても、増大し続けるパワーを、既に2輪では受け止められなくなり、4輪駆動になったとしても、旋廻中心に質量を集中しやすく、加速の際、後輪に駆動力を与えやすいMRは、ハイブリッドや電気自動車の普及が進んだとしても、レーシングカーの基本構成になる(インホイールモーターは、どーする!?)。

こんな記事がある。

(フェラーリ・250LM)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BB250LM

「フェラーリは1962年から1964年のGT III選手権で、3年連続チャンピオンシップを獲得したフロントエンジンモデルの250GTOに限界を感じており、その発展型後継モデルとしてミッドシップレイアウトをとる250LMを1963年秋のパリ・サロンでデビューさせた。」

結局、ホモロゲーションができなかったので、プロトタイプクラスとなったそうだが、FRでも、やはり戦闘力には限界があったわけだな。

なんか、こうして見ると、904に似ていなくもない。

904には、いくつかのバリエーションがある。

「耐久レーサー
・904クーペ(ストリートバージョン)4気筒155馬力(6900回転)1966cc
・904クーペ 4気筒180馬力(7200回転)1966cc
・904/6クーペ 6気筒210馬力(8000回転)1991cc
・904/8クーペ 8気筒270馬力(8600回転)2195cc」

「ヒルクライムレーサー
・904/8ベルクスパイダー(カンガルー)8気筒260馬力(8800回転)1982cc」

面白いのは、気筒数や、排気量に関係なく、最高出力を出す回転数が上がっていることだ。

6気筒エンジンも、初めて投入されている。

カムシャフトの駆動は、4気筒や8気筒はベベルギア(傘型の歯車)によるが、6気筒のみチェーン駆動である。

ポルシェのページにも記事がある。

(Porsche 904 Carrera GTS Coupé)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/60ies/1963-904carreragtscoupe/

(Porsche 904-8 Carrera Coupé)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/60ies/1964-904-8carreracoupe/

6気筒については、あまり記事がない。

ウィキの記事では、8気筒の信頼性の問題から、耐久レースにも使用されたようだ。

いずれにせよ、1から作り上げた904の戦闘力は高く、ルマンでは、94年に7位、8位、10位、11位、12位、95年に4位(6気筒:他は4気筒)、5位で完走している(もちろん、クラス優勝)。

4リッターオーバーのコブラや、3リッター、4リッターのフェラーリに混じって、2リッターそこそこのポルシェが善戦しているのだから小気味良い。

この後も、906、910、907、908と快進撃が続くが、ルマンでの総合優勝は、栄光の917まで待たなければならないのだ。

レーシングポルシェの系譜(その7)閑話休題2013年11月11日 22:44

レーシングポルシェの系譜(その7)閑話休題
レーシングポルシェの系譜(その7)閑話休題


第2回日本グランプリに904が登場した翌年1965年、惨敗を帰したプリンスは、R380を製作した。

(プリンス・R380)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BBR380

・R380-I:1965年:1号車
・R380A-I:1966年:レース用の改良型:第3回日本グランプリ優勝
・R380A-II:1967年:ボディスタイルを刷新:世界速度記録7つ
・R380A-III:1968年:エンジンを改良

後継車種はR381である。

(日産・R381:1968年:日本グランプリ優勝)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BBR381

さらにR382、R383と続く。

(日産・R382:1969年:日本グランプリ優勝)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BBR382

(日産・R383:1970年)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%94%A3%E3%83%BBR383

R383は、実戦には出場しなかった。

第2回日本グランプリにおけるポルシェとの対決が、因縁となって製作されたといわれている。

(1964年日本グランプリ (4輪):904優勝)
http://ja.wikipedia.org/wiki/1964%E5%B9%B4%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AA_(4%E8%BC%AA)

(1966年日本グランプリ (4輪):906リタイア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/1966%E5%B9%B4%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AA_(4%E8%BC%AA)

(1967年日本グランプリ (4輪):906優勝)
http://ja.wikipedia.org/wiki/1967%E5%B9%B4%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AA_(4%E8%BC%AA)

(1968年日本グランプリ (4輪):906、910出場)
http://ja.wikipedia.org/wiki/1968%E5%B9%B4%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AA_(4%E8%BC%AA)

(1969年日本グランプリ (4輪):908、910、917出場)
http://ja.wikipedia.org/wiki/1969%E5%B9%B4%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AA_(4%E8%BC%AA)

なお、第1回(1963年)は、ポルシェ車の出場はなく、1965年の開催はなかった。

こうしてみると、ポルシェといえども、磐石ではないことが分かる。

R380シーリーズの戦闘力は、相当に高かったようだ。

トヨタも、200GTや7を投入しており、拮抗した成績を残している。

この後、日本グランプリは、フォーミュラーカーによるレースとなり、当然、ポルシェは姿を消す。

我が国のモータースポーツシーンに、一石を投じた904のオーラが輝いて見えるな。