GPMその後2014年03月02日 14:28

GPMその後
GPMその後


打ち上げられたGPM主衛星の姿勢制御に一時トラブルがあったようだ。

(GPM主衛星、姿勢制御の問題は解決 観測に向け準備着々)
http://www.sorae.jp/030904/5120.html

記事によれば、3軸姿勢制御用の装置の稼働率が想定を超えており、磁気を用いた装置の調整を行って、正常に作動するようになったとのこと。

「衛星の姿勢を制御するリアクション・ホィールの使用率が想定よりも高いことが判明、運用チームはその後に予定されていた作業を一旦止め、問題解決に当たっていた。」

「発表によれば、衛星に搭載されているもう一つの姿勢制御装置である、磁気トルカを調整することで解決できたという。磁気トルカというのは、電磁石を使い、衛星をコンパス(方位磁針)のようにN極を北極に、S極を南極に向けることができる装置だ。」

「無事、正常に運用ができるようになった後、GPM主衛星はスタートラッカーという、衛星から見える恒星の並びから自分の姿勢を判断するための装置に電源が入れられた。」

よくわからないが、リアクション・ホイールの使用率が高いと、いろいろと影響がでるのかもしれない。

「運用チームはその後に予定されていた作業を一旦止め、問題解決に当たっていた。」と書かれているので、その重要性を窺い知ることが出来る。

(姿勢制御)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A7%BF%E5%8B%A2%E5%88%B6%E5%BE%A1

「次のような制御ループによって姿勢制御が行われる。
1センサによって現在の姿勢を把握する。
2 制御プログラムによって、現在の姿勢から目的の姿勢にどう移行させるかを決定する。
3アクチュエータによって、姿勢を変える。1に戻る。」

まあ、フィードバックシステムの典型だな。

「方式
宇宙機の姿勢制御には次のような方式がある。
・スピン安定方式
・3軸安定方式
・・バイアスモーメンタム方式
・・ゼロモーメンタム方式」

スピン安定方式辺りまでは、なんとなく「地球ゴマ」(古いですなあ)のイメージでわかる(ような気がする)のだが、3軸安定方式というのは、直感的にイメージしづらい。

「3軸安定方式は直交する3つの軸に対して安定させる方式である。3軸安定方式でもバイアスモーメンタム方式は、1軸方向のみ大きなモーメンタム・ホイールを内蔵し高速回転させることで、機体全体を回転させることなく1軸でのジャイロ剛性を得る。この方式では残る2軸、または3軸全ては別の姿勢制御が必要になる。ゼロモーメンタム方式は3軸、または冗長性を得るために4軸といった方向のリアクション・ホイールを内蔵することで、姿勢制御を行う。」

バイアスモーメンタムというのは、中に地球ゴマを内蔵して、本体が回転する代わりに慣性を生じさせていると考えればいいが、最近流行のゼロモーメンタムというのは、全く持って想像できない。

リアクション・ホイールというのは、常時回転しているものなのか、応需回転なのかすら不明だ。

(リアクションホイール)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%83%AB

「構造
1つの回転軸に対して、1つのフライホイール(円盤状のはずみ車)を電動モーターで回転駆動する。宇宙機の角運動量をフライホイールの角運動量へ移して保存することでリアクションホイール以外の機体部分の角運動量を調節する。一般にフライホイールは電動モーターと一体として作られる。フライホイールの加減速と回転数検知はすべて電気的に行われ、コンピュータで精密に制御される。リアクションホイールの回転速度の上限値は主に回転軸のベアリングの耐久性によって決まり、回転体の質量と角速度の積から制御可能な角運動量の最大値が定まる。多軸構成の場合、駆動回路がリアクションホイールごとに備わるものと1つの駆動回路部に集約されているものがある。」

「ベアリング
リアクションホイールのフライホイールは、ベアリングによって回転軸に取り付けられているが、真空中でも機能するこの幾分特殊なベアリングは回転時には摩擦が生じない構造である。回転速度ゼロの止まった状態から回転運動をはじめるのには大きな負担がかかる。このため、一般には回転速度ゼロとなる領域での運用は寿命を縮めるので可能ならば避けられる。リアクションホイールは、姿勢制御の開始当初から最大回転数の1/2ほどで回転させておく使用法と、姿勢制御の開始当初は回転速度ゼロである使用法がある。前者では運用時のホイール回転数の範囲下限はゼロではなく1000rpm程度であり、停止状態やマイナス方向での回転は行わない。後者は角運動量を保存する能力が前者より大きくできる。」

ははあ、どうやら、リアクションホイールというのは、常時回転していて、ベアリングの寿命を保つようになっているようだな。

アイドリングで待機する場合と、最大回転の半分で待機する場合があるようだ。

「角運動量の蓄積と解消
太陽からの放射光が生み出す力である太陽輻射圧のようなものが宇宙機に当り、それを受ける面が重心に対して偏りがあり続けるときには、機体を回転させる外力となる。このようなモーメントは微小でありリアクションホイールの回転数の変化によって吸収されるが、長期間に渡って同一方向にモーメントが蓄積されるとやがてはリアクションホイールの回転が限界に近づき、そのままでは「飽和」して制御が破綻する。この蓄積されたモーメントを解消するために、多くの宇宙機ではリアクションホイールとは別の姿勢制御システムを備えている。」

「別の姿勢制御システムの最も一般的なものには一液式ロケットがあり、ニ液式も採用されている。一液式は触媒に吹き付けて燃焼させるものと高圧ボンベに詰めた窒素ガスなどの噴射を用いるものがある。ニ液式は液体燃料と液体酸化剤を用いた小型のロケットエンジンである。 このような蓄積されたモーメントを解消する操作は「アンローディング」(Unloading) と呼ばれる。姿勢制御スラスタは、正確に噴射しないと軌道まで変更させてしまうリスクがあり、機械的なバルブや燃料の化学反応に依存するロケットの噴射機構は、電磁的に制御されるリアクションホイールよりも制御誤差が大きくなる傾向がある。また、アンローディングの回数が増えるとそれだけ噴射ガスの元となる燃料が消費される。」

「また、地球に近い軌道など磁場が存在する場所では、磁気トルカを使って運動量を打ち消すことができる。磁場のない環境では、イオンエンジンなどの高効率姿勢制御ジェットを使ったり、小さい宇宙船であれば太陽電池パネルやマストの先に軽量な太陽帆を備える場合もある。」

リアクションホイールは、微小な修正を行うには適しているが、その修正が蓄積すると容量一杯になってしまうため、それを解消する別の手立てが必要になるというわけだ。

GPM主衛星の場合は、今回は「磁気トルカ」という仕掛けを活用したらしい。

(磁気トルカ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A3%81%E6%B0%97%E3%83%88%E3%83%AB%E3%82%AB

「人工衛星内部のコイルに電流を流して、コンピュータでの制御可能な電磁石を作り、地球磁場との作用で磁気モーメントを発生させ 、その衛星を回転させる力(トルク)を利用して姿勢制御を行うメカニズムである。 電力は太陽電池・蓄電池等から供給するため、スラスターのように燃料が不要で、単純な機構なので故障の確率も低い装置で、電磁石の制御さえできれば、信頼性が高く低コストで小型化が可能である。」

軌道高度が407kmというので、たぶん、有効なのだろう。

(全球降水観測計画)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E7%90%83%E9%99%8D%E6%B0%B4%E8%A6%B3%E6%B8%AC%E8%A8%88%E7%94%BB

というわけで、目出度く、姿勢制御に成功したわけだが、浮沈子がこの事象に注目したのには訳がある。

ダイビングにおける、トリムのコントロールに参考になるのではないか。

トリムコントロールというのは、姿勢制御以外の何物でもない。

中性浮力の維持が、人工衛星の軌道高度の維持ならば、トリムコントロールは、人工衛星の姿勢制御に当たる。

ついでに、フィンワークは、スラスターの噴射といったところか。

うーん、ダイビングの3大要素、「中性浮力・トリム・フィンワーク」と人工衛星のコントロールは良く似ているというわけだ。

ついでに、GPM主衛星の姿勢制御には、スタートラッカーという恒星追尾システムが用いられているようだ。

「Star tracker(恒星追跡器、星センサ、スター・トラッカー)
太陽を除く複数の恒星の方向を測る光学機器。光電セルや半導体カメラを使って恒星の位置を測定する自動化された天測航法と言える。一般に姿勢を知るために使われる明るい恒星は57個存在する。最もよく使われるのはシリウスである。しかし、より複雑なミッションでは星のデータベース(高精度な星のカタログ)を使って衛星の姿勢を識別する。恒星追跡器は高感度でなければならず、後述するスラスターが噴射するガスによって太陽の光が反射されると、恒星を見失うことがある。
スペースシャトルの場合は、ジャイロスコープを内蔵した慣性航法装置と、スター・トラッカーを使って、軌道上の位置と姿勢を把握している。」

浮沈子の場合、プールダイビングにおいては、プール壁面のタイルの模様が、シリウスとかに相当するわけだな。

慣性航法装置に当たる耳の奥の器官については、余り性能が良くないので、目視による姿勢制御に頼ってしまう。

今まで、コンパス(磁針)を携行することがなかったのだが、水平を維持したり、進路を安定させたりするのに役立つかもしれない。

最近のダイコンは、この辺りも組み込まれているようだから、少し資料を見てみよう。

というわけで、最低のスキルと最大の器材というコンセプトは、今日も健全である・・・?。

画像はゴダード宇宙飛行センターのページから。

外人さんには、なかなか理解しがたい習俗なんだろうなあ。

(JAXA "Three Shrine Pilgrimage" Ceremony)
http://pmm.nasa.gov/image-gallery/jaxa-three-shrine-pilgrimage-ceremony

最新の機材に、最古の習俗(神頼み)というところか。

マッスルスーツ2014年03月02日 16:33

マッスルスーツ
マッスルスーツ


圧縮空気を用いて、外骨格を機動し、筋肉を補助してくれるという有難い装置がお目見えした。

(ロボットスーツでパワフル介護 30―80万円で発売へ)
http://www.asahi.com/articles/ASG2W5VD2G2WULBJ00W.html?iref=comtop_list_biz_t

(着る人工筋肉「マッスルスーツ」ベンチャー、東京理科大など設立 介護や物流の現場支援に)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1402/27/news144.html

ここに出てくる動画を見ると、背中にタンクを背負って登場するデモンストレーターの格好は、まんまダイバーであるな。

もちろん、このタンク内の空気を吸うことは出来ない(たぶん)。

水中での実用化が成った折には、もったいないので、適正圧に減圧して、呼吸してから排気してもらいたいものだ。

そう、最低のスキルに最大の器材をコンセプトとする浮沈子は、水中遊泳補助装置に最も近いものをここに見たわけだ。

水中で筋力を補助してもらうコンセプトについては、このブログでも既に触れた。

(パワードスーツ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/01/04/7177441

ハンディキャップド・ダイビングというのは、別に障害者に限ったことではなく、もともとエアの消費が多くて、泳力にまで酸素をまわすゆとりのない浮沈子のようなダイバーも含まれる。

圧縮空気という動力源については、ダミー人形オスカー(古いですな)でも採用されていたので、今更という感じがしないでもない。

実際、アクチュエイターの部分は、何でもいいのだと思う。

(2013国際ロボット展-マッスルスーツの訪問介護、施設介護のデモスト)
http://www.youtube.com/watch?v=mNdJgh0ZcrM

まあ、この仕掛けを水中に持ち込んで、どれ程のメリットがあるかというのはいささか疑問だ。

そもそも、そんなエアを持ち込むなら、自分で吸い込んで、てめえの筋肉動かした方がいいんじゃないかとか、いろいろな突込みがありそうだな。

さて、それらの非難轟々を乗り越えて、目出度く水中泳力補助装置が導入された暁には、太ももをわずかに動かすことによって、補助動力装置のスイッチが入るので、特に動作を意識することはない。

感覚としては、軽く漕いだつもりなのに、ずいぶん勢い良く進むなあ!、という程度だ。

一体、そんな余分なガスを、どうやって持ち込むんだろう?。

もちろん、サイドマウントということになる。

動力として使用されて減圧されるので、その減圧された空気(ナイトロックスでもいいんですが)を、呼気にまわすことも出来る。

無駄なガスではないのだ。

うまく制御することが出来れば、駆動ガスを漏れなく呼気にも使えて、一石二鳥!!。

いやあ、なんか、実現可能性が高いんじゃないかと、ドキドキする。

それだけじゃあない!。

ボートダイビングで、浮沈子が苦手とするエキジットの時に、タンクの残圧を利用して、どっこいしょとデッキに上がる仕掛けとか、超実用的な用途にも応用可能なんじゃなかろうか。

菊池製作所には、悩めるダイバーの声に、是非耳を傾けていただいて、試作品とか作って頂きたいものである。

試用にあたっては、浮沈子が喜んで協力しよう!。

サイバーダインのロボットスーツもいいけれど、圧縮空気を使うというコンセプトは、水中での取り扱いにも馴染みがいい。

パワードスーツとダイビングの未来は、きっと明るいに違いない。

歴史の真実2014年03月02日 21:43

歴史の真実


なんか、凄い題名だが、今回触れようとしているのは、きっかけにはなったが、直接的には韓国の話ではないと、初めに断っておく。

(石破氏「河野談話検証は真実の探究」)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140301/k10015635361000.html

「いわゆる従軍慰安婦の問題を巡り、菅官房長官が政府の謝罪と反省を示した平成5年の河野官房長官談話の作成過程を検証する考えを示したことに対し、韓国のパク・クネ大統領は1日、独立運動が始まった日を記念する式典での演説で、「歴史の真実は生きている人たちの証言だ」と述べてけん制しました。」

まあ、内容ではなく、「作成過程を検証する」というのが、何を意味するのか、浮沈子は知らない。

そして、その作業に対して、韓国側が反発している理由も明きらかではない。

パク・クネ大統領の発言にある、「歴史の真実は生きている人たちの証言だ」という言葉が、その本来の意味するところとは独立して、妙に引っかかったのである。

じゃあ、当事者が死んでしまえば、歴史の真実は失われてしまうのか、死人に口無しで、時の権力によって、如何様にも改竄され、弄ばれるのだろうか。

歴史に価値があるならば、その事実としての重みを受け止め、真実の光を当てて意味を汲み取り、もしそこに過ちがあるなら繰り返さないように学び、賞賛されることがあれば現世に生かせば良いのだ。

それには、事実を事実として持ち寄り、多方面からの検証を経て相互に認め合うプロセスが欠かせない。

そこを土台にしなければ、双方が納得できる共通の認識など、持てるわけがない。

このような話は、どんな国にも、どんな社会にもあって、膨大な手間と時間がかかる作業を厭うために、世界は誤解と欺瞞と怨嗟に満ちているのである。

事実が確定したからといって、それをどう評価するかというのは別の話だ。

人間の行為の決定には、様々なプロセスが関わっていて、その時の社会情勢を支配していたクウキのようなものだって、影響を与えていたに違いない。

それを、どう評価するのか。

その段階だって、様々な意見や立場の違いがあって、百年、千年経ったって、議論は続いている。

そんなことは、昔から続いている話で、今更のことではない。

そして、これからも、人の世がある限り、永遠に続いていく。

「Power tends to corrupt and absolute power corrupts absolutely.」

(John Dalberg-Acton, 1st Baron Acton)
http://en.wikipedia.org/wiki/John_Dalberg-Acton,_1st_Baron_Acton

この警句を吐いたアクトン卿にしても、「アメリカ独立革命運動を支持した一方、その後のフランス革命には反対した」エドマンド・バークを担いで、『フランス革命講義』で、フランス革命を批判し続けたコテコテの自由主義者だ。

歴史なんてものは、たぶん、過去の事実なんかより、今現在の主義主張、自らの立場を擁護し、正当性を際立たせるためのスパイス位にしか考えられていないんじゃないか。

たとえば、米国の歴史の教科書が、先住民の立場から書かれているというような話は聞かない。

中国の歴史の教科書が、被支配地域の立場で書かれているということもないだろう。

事実は事実として存在していたとしても、隠蔽されたり、歪まされたり、無視されたりする。

そもそも、歴史と(いろいろな意味での)神話は不可分だし、恥ずかしくもなくそれを歴史と強弁する輩もいる。

さらに、宗教が絡んでくると、歴史という言葉の意味は、霞のようにぼんやりとしてくる。

(史実の改竄)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/10/07/6596157

崔杼の話が残っているということは、つまり、他の記述は概ね改竄されたと見て間違いない(そおかあ?)。

記録された「言葉」も当てにはならない。

その意味では、生きている人たちの証言の方が、まだ当てになる。

だからどうする、というのは、また、別の話になる。

そこは、政治だろう。

順序は、概ねそういうことになるわけで、逆はない。

千年経っても史実は変わらないだろうが、それに対する認識は、大いに変わるだろうし。

話は変わるが、ドイツでは、公衆の面前で片手を上に突き出すしぐさが禁じられているという。

(ナチス式敬礼)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%81%E3%82%B9%E5%BC%8F%E6%95%AC%E7%A4%BC

「第二次世界大戦後のドイツでは、ナチス式敬礼をすると「ナチ賛美・賞賛」と見做され民衆扇動罪で逮捕・処罰の対象となる。オーストリアでも同様な法律があり、取り締まりの対象になっている。これはナチズムに賛同しているかどうかという事は一切関係なく、店のクリスマスディスプレーで右手を挙げたサンタクロース人形を使用した事が問題となり、撤去に追い込まれたこともある。」

サンタの人形こそ、いい面の皮だ。

我が国では、これに類する法令は聞いたことがない。

この国は、未だに敗戦国としての認識がないのではないか。

戦後の復興を早期に成し遂げ、輸出による外貨獲得に奔走し、太りかえり、暴走する。

そして、再び周辺国を巻き込んだ戦争へと向かう・・・。

(歴史は繰り返す)
http://kotowaza-allguide.com/re/rekishiwakurikaesu.html

もし、歴史にいくばくかの真実があるならば、「いつの時代も人間の本質に変わりないため、過去にあったことは、また後の時代にも繰り返して起きるということ」と洞察した、古代ローマの歴史家クルティウス・ルフスの言葉を噛み締めるべきだ。

むろん、繰り返すべきことではないだろうが、いつの時代にも、人間の本質は変わらないのだ。

それが、人間の歴史である限り、人間が変わらなければ、同じことが起こる。

浮沈子は、そのことが、歴史の真実なのだと思う。

ウクライナで起きていることも、バンコクで起きていることも、支配を巡る闘争を好む、人間の本質を如実に示している。

日本国が、再び太平洋西側及び東アジア全域に深く関与し、当該地域の政治や経済に大きな影響を与えているのは周知の事実だ。

インドや中東にもその影響は及びつつあるし、アフリカにだって手を伸ばしている。

現行の憲法を戴き、不戦の誓いをしたからこそ、我が国の立場は受け入れられ、ここまでやってこられたのではないのか。

武器を輸出し、集団的自衛権を他国に対して行使し、場合によっては国際的な合意の下に、あなたの国に武力侵攻する場合がありますよ!、といっていたら、ここまで発展しえただろうか。

また何か、不穏なことをやらかしたりするんじゃないだろうか。

竹島でも、尖閣でも、北方四島でも、沖縄でも、小笠原でもいい。

従軍慰安婦や、強制連行でもいい。

国家機密保護法でも、国家盗聴法でも構わない。

消費税だっていい(あんま、関係ないかあ?)。

事ある毎に、自らの胸に手を当て、いま、過ちを繰り返そうとしているのではないか、歴史の転換点に立っているのではないかと、自問自答すべきだ。

まあ、大体は、その心配はないと思うんだが。

しかし、どうも、最近の話として聞こえてくるのは、大東亜共栄圏構想の夢よ、もう一度というのばかりのような気がする。

欧米の侵略から、アジアを開放するという、威勢のよい話だ。

戦争という手段が悪かっただけで、しかも、あろうことか、負けちゃったなんてサイテーの結果になったからいけないわけで、ビジョンは正しかったのだと。

戦後の我が国の政策は、正に、戦争によらないアジアの開放だったわけで、そのことを非難する声は、余り聞こえてこない。

ただ、そのアジアの開発の恩恵に漏れた人々がいて、その国の政策や、歴史的な位置付けから、なかなか行き届かないというのも現実の話だ。

さらに、日本の国内にだって、そんな話はいくらもある。

貨幣経済から取り残されているからといって、必ずしも貧しいとは限らないし、不幸であるとはいえないが、いろいろな問題を抱えていることに違いはない。

そんな、現実の生活の中で、歴史は作られ、育まれる。

未来の歴史を刻むために、虚心坦懐に過去と向き合う勇気と、受け入れる器の広さを持ちたいものだ。