トゥバタハ2014(その1:レンジャーステーション)2014年04月27日 15:20

トゥバタハ2014(その1:レンジャーステーション)
トゥバタハ2014(その1:レンジャーステーション)


4月19日から4月26日まで、パラオスポートでフィリピンの世界遺産でもあるトゥバタハリーフのダイブクルーズに参加した。

こうして、ブログを打っている今でも、船の揺れが残っていて困る。

3秒ごとに右に揺れ、また左に揺れているパラオスポート号のローリングの周期が収まらない。

まあいい。

数日すれば消えるだろう。

このツアーに参加しようと考えたのは、グアムのデイドリーム支店で働くハナキさんにお話を聞いたからだ(彼は以前パラオスポートのスタッフとして、長年トゥバタハに通っていた現地に最も詳しい日本人である)。

手付かずのサンゴ、荒らされていない海、世界遺産、そして年間で3か月、ダイバーにだけ解放される聖地。

10時間の船旅に耐え(浮沈子は、船酔いし易い体質です)、1日4ダイブというハードスケジュールを凌ぎ(浮沈子は、1日1ダイブが標準です)、1週間にわたるインターネットからの断絶を凌いで参加した。

正直言って、船酔いした。

ボートを所有していた頃からお世話になっているアネロン・ニスキャップは、初めの頃の揺れには効かなかったようだ。

しかし、到着して3日目には海況も穏やかになり、揺れも殆ど収まって酔い止め薬を飲まずに過ごせた。

手首の宵止めバンドもお借りしたが、効き目があったのかどうかは不明である。

ダイビングのことや、初めてのクルーズ船であるパラオスポート号のことは追々書くとして、最終日の昼頃に訪ねたレンジャーステーションの秘密を暴露しよう!。

世界初、少なくとも日本語のブログでは初公開である!。

レンジャーステーション自体は、北環礁の南側に位置する砂地の浅瀬に杭を打ち込んで建てられた高床式のコテージである(画像参照)。

周辺は浅い砂地で、干潮時は画像のように歩くことが出来る。

着底禁止とか上陸禁止とか、うるさいことをいう割には、ご覧のようにビジターが浅瀬を歩いていても、いきなりマシンガンで威嚇射撃されるようなことはない。

しかも、浮沈子は、目の前の砂地の島(砂州?)から撮影している。

そう、上陸してしまっているのだ!。

さらに驚くべきことに、その島(砂州?)で見たものは、ビーチバレーのネット(!)と、BBQをしたと思われる焚き火のあとが2か所(!!)。

レンジャーたちは、優雅なバカンスを過ごしていたのである(?)。

2か月間も絶海の孤島で密漁船を取り締まり、シーズン期間だけ許可されたクルーズ船(今年は12隻だそうです)を監視したり(パラオスポート号からは、飲み物とかを分けてもらっているようでしたが:賄賂かあ?)、孤独な生活を送る彼らには、気晴らしも必要である。

浮沈子一行が訪れた際には、2人の隊員がチェスをしていた。

どっちが強いんだ?、と聞いてみると、なかなか答えない。

あくまで、娯楽としてやっているのだろう(本当は、現金賭けているに決まってる!)。

一人の隊員に無理やり、「お前かあ?」と聞いたら、相手が強いと白状したが・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

レンジャーステーションでは、Tシャツを350ペソ(約700円)で売っており、オリジナルデザインの品を格安で購入できる(何種類かあります)。

シーズン後半になると、サイズが限られてしまうという(余分に置いとけばあ?)。

気に入った柄のぴったりサイズをゲットしたければ、早い時期のツアーがお勧めかも(ふつー、Tシャツ目当てに行くわきゃないでしょうが)。

ちなみに身長170cm体重80kgの浮沈子の場合、サイズはLでぴったりであった(その場で着てみました)。

当日は天気も良く、砂州の上を歩いてパラオスポートから乗ってきたテンダーボートに戻る際に、くらくらするほどの暑さだった。

赤道に近いこの場所(北緯8度くらい?)の日差しを舐めてはいけない。

一見長閑に見えても、近所にコンビニもなく、嵐が来ることもあり、急病になっても直ぐには医者にかかれない環境で、2か月交代でミッションをこなしている彼らが、目の前の砂洲でビーチバレーしたり、BBQしていても、咎めたりする気にはなれない。

画像では左手にあるテラスの向こう側の一角に、鉢植えの緑の花が植えられていたのが印象的であった。

見渡す限りの水平線、それに隔てられた海水と空しかない任地で暮らす彼らに、浮沈子は喜んで1票を投じよう(次回は、BBQに誘ってくれるという条件で!)。

トゥバタハ2014(その2:地下河川)2014年04月27日 17:10

トゥバタハ2014(その2:地下河川)
トゥバタハ2014(その2:地下河川)


世界遺産トゥバタハリーフを潜るツアーに参加して、フィリピンはパラワン島のプエルトプリンセサに停泊するパラオスポートに1泊、明けて4月20日の日程は、もう一つの世界遺産である地下河川の見学である。

(プエルト・プリンセサ地底河川国立公園)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%82%B5%E5%9C%B0%E5%BA%95%E6%B2%B3%E5%B7%9D%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%85%AC%E5%9C%92

ウィキでは往復6時間となっているが、実際に要した時間は自動車でサバンの港まで2時間弱、そこからバンカーボートで10分ほどの入り江に着け、陸路5分、手漕ぎのバンカーボートに乗り換えて30分程洞窟内を見学して戻ってくるというもので、どーせ帰りの車の中では昼飯食った後の眠気に耐えられないで寝てしまうので、それほど負担にはならない。

往きはガイド(兼運転手)が英語で喋り捲っているが、パラオスポートのクミさん(日本人ガイド:ダイビングの)が添乗してくれて、要所要所を日本語で補ってくれた(これは、たぶんサービスで、ツアーには含まれません!)。

面白かったのが、カシューナッツの実が生っているところを通った時に、運転手がクルマを止めて実を落として車内に持ってきてくれたこと(2回も)。

(カシューナッツ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%84

フィリピンではパラワン島が、カシューナッツの産地として知られるようで、トイレ休憩に立ち寄った土産物屋で早速1袋買ってみた(6ペソ:約120円)。

塩味も適当で、非常に美味しかった(その場で食べてみました)。

サバンに着くまでの間も、あちこちに石灰岩の岩山があり、内部に空洞(つまり洞窟)がある山もあるという。

そんな岩山が沈降してできたのが、地下河川というわけだな。

サバンの港(地下河川専用)では、乗船を待つ間にネックレスなどを売り歩く人が寄ってくる。

浮沈子一行は午後1時から(昼食後)の予定だったが、先に見学に行くように変更してもらった。

まあ、この辺は、フィリピンらしく融通が効くのだ。

6人乗りの小型のバンカーボートで、港から10分程、小さな岬を回ったところにある砂浜に着く。

多くのバンカーボート(50隻くらい?)がいて、見学中のお客さんが戻るのを待っているのだ。

千客万来であるな(約300人が見学中ということになる)。

港との間をピストン輸送しているのだが、地下河川を見学している間は、この浜に停泊しているわけだ。

浜から上がると、まるでジュラシックパークの世界だ。

頭上に茂る木々は鬱蒼としていて、木道を5分ほど歩くと小さな入り江に到着する。

ここの船着場でヘルメットを被り、10人乗りほどの手漕ぎのバンカーボートに乗り移る。

船頭は最後尾で、パドリング兼ガイドを行い、先頭に座った乗客が、手持ちライトを先導の指示に従って天井に向けたりするわけだな(バイト代を払ってくれるわけではない!)。

ガイドの英語が理解できないと、壁面をタイミングよく照らすことが出来ないので、浮沈子はやりたかったが遠慮した。

船着場で待つことしばし、ようやく手漕ぎバンカーの順番が回ってきた。

洞窟の入り口からは、ツバメが群れを成して出入りしている。

蝙蝠じゃないんだ!。

もちろん、天井からぶら下がっているのは蝙蝠だが、飛び回っているのはツバメである。

洞窟の中に巣があるというわけだ。

そんなことは、どこにも書いてなかった。

聞くと見るとでは大違いである。

天井から垂れ下がった岩も、いわゆる鍾乳石とは異なる形状をしており、成分と水の違い、形成されてからの浸食等の違いによるもので、規模も日原鍾乳洞の比ではない。

高いところでは、おそらく30mを超えるホールが何か所か形成されている。

浮沈子は、サンクタムのワンシーンを思い出した。

水路の幅も広く、10mはあるだろう。

入っていくボートと、出てくるボートとが容易にすれ違うことが出来る。

ガイド兼漕ぎ手は、岩の形が何かの動物に似ているとか、岩を垂れる水が描く模様がキリストに似ているとかしゃべっていたが、まあ、そう見えるかどうかは見る人の想像力にかかっているというレベルだな。

途中でUターンして戻ってきたが、奥にはまだまだ水路が続いている。

広さはUターンしたところからは狭くなっているということだったが、奥はまだまだ続いているそうだ。

雄大な自然の営みを肌で感じることが出来て、浮沈子的にはなかなか感動の経験だった(ケイバーからすれば、ちょっと大味かも知れないな)。

往復6時間かけて見学する価値はあるだろう。

昼飯の後は、爆睡状態でプエルトプリンセサの町に戻ってくる。

ロビンソン百貨店とやらで、お買い物タイム(水中カメラの予備バッテリーを買いました)、さらには土産物屋が立ち並ぶマーケットに寄って、パラオスポートに戻る。

今夜(4月20日)はいよいよ、フィリピンの誇る世界自然遺産、トゥバタハ岩礁海中公園に向けて出航である・・・。

トゥバタハ2014(その3:パラオスポート号)2014年04月27日 19:10

トゥバタハ2014(その3:パラオスポート号)
トゥバタハ2014(その3:パラオスポート号)


普段はパラオの南部の係留ブイに繋がれて、洋上ホテルになっているパラオスポート号。

(パラオスポート号)
http://www.sporttours.co.jp/palau/palau_sport.html

「パラオとフィリピンの世界自然遺産を運航する大自然で遊ぶ
パラオスポート号は2012年7月に全館をリニューアルし居住性を重視した洋上ホテル型クルーズ船。
パラオスポート号はダイバーが選ぶダイブ&トラベル大賞クルーズ部門12年連続1位を受賞。
22年間無事故のパラオスポート号のコンセプトはセフティファースト!
パラオクルーズでは毎日チェックイン・チェックアウトできる洋上ホテルとして運航。世界自然遺産観光”パラスポプラン”は1日4回の観光とアクティビティをパックにした”遊び放題”プラン。ダイバープランは1日3~4ダイブの”潜り放題”が人気。
船室には各部屋にシャワーとトイレを完備。食事は和・中・洋・フィリピン料理のビュッフェスタイルの1泊4食+ティータイムが好評。
船内サービス”日本人””パラオ人””フィリピン人”がおもてなし!
パラオを思いっきり満喫する”遊び”と”食”が含まれたオールインクルーシブのパラオスポート号で極上の洋上ライフをお楽しみください。」

宣伝はこれくらいにして、実際の洋上生活はどうなんだろうか。

不詳、浮沈子が、忌憚のない意見を述べさせていただく。

ちなみに、1級小型船舶操縦士の免許を有しながら、自分の操船していたボートに酔うほどの乗り物酔いなので、クルーズの経験は殆どない。

小笠原に1回、大島に数回の経験しかない。

泊りがけで行ったのは、小笠原丸の2等船室(雑魚寝ですな)のみである。

そんな浮沈子の目から見るパラオスポート号は、4月19日の夜に始めてみた時は頼りないほど小さく見えた。

2基ジーゼルで、オートパイロットもないショボイ船である。

「パラオスポート号 諸元
全長 38メートル
排水量 325トン
最大巡航速度 12ノット
キャタピラー社製 ディーゼルエンジン 2基
キャタピラー社製 ディーゼル発電機 2基
造水機 2機
ボイラー
エアコン
客室数 12部屋・30名収容
 2人部屋 9室
 4人部屋 3室
 各客室にシャワー・トイレ完備」

巡航速度12ノットというのは、外洋航海用の船としては、ちとショボ過ぎるような気がする(おがまるは20ノットくらいだった)。

船室は、浮沈子ともう一人が2人部屋(2段ベッド)に泊まったが、お湯のシャワーが出るので、下着を洗濯するのにも都合がいい。

トイレは水洗で、トイレットペーパーは、流さずにゴミ箱へ。

快適かどうかは、人によるだろう。

浮沈子的にはデスクがないこと、ベッドの上で座れないこと(天井低いので)が不満であった。

まあ、食堂は広々として天井も高いので、パソコンを打ったりするにはここに持ち込んでやればいいのだ(食事用のテーブルなので、高さは低い)。

ベッドでの電源は、蛍光灯のスイッチの隣にコンセントが一口ある。

そのほかに、ユニットバスの洗面台や、収納棚の脇にも1つずつあるので、同室者とシェアして使用できる。

エアコンは、常時噴出しているが、吹き出し口をふさぐことが出来る。

噴出し方向にハンガー掛けがあり、脱水機で脱水した下着を掛けて置くと、1時間ほどで乾いてしまう。

水着はボートデッキ(メインデッキ)にハンガーで干しておくと、次のダイビングまでには乾いていた。

脱水機がボートデッキにあって、大活躍をする。

ダイビングデッキとメインデッキの間は3つの階段があるので、非常に使い勝手がいい。

パラオスポート号の美点の一つである。

階段が少ないと、上り下りが交錯して不便な思いをするが、うまくやりくりすれば、この船では鉢合わせは殆どおこらない。

エンジンルームが最下層にあって、ダイビングデッキを挟んで船室のあるボートデッキとなっているので、騒音自体は少ないが、メインエンジンだけでなく、発電用エンジンの振動は、しっかり伝わってくる。

エアコンの噴出し音と、この振動は、気になる向きには気になるだろう。

さて、肝心の船のゆれだが、Vハル艇の基本どおり、ローリング(横揺れ)をメインにして、多少ピッチングも入る。

ヨーイングは殆どなく、複合的な揺れに悩まされることは少ない。

基本は横揺れである。

片側3秒の6秒周期。

浮沈子が苦手の、長い周期だ。

ダイビングで戻ってくる時に、水中でビルジキールを見たが、それほど大きいものではない。

船底もV角は浅く、この船で荒れた外洋を走りたくはないな。

穏やかな海を、12ノットでゆっくりと走るのに向いている。

今回は、まさにそんなクルーズだった。

食事は、まあ、人によってさまざまな評価があるだろう。

浮沈子的には、デザートが美味しかった以外は、ごく普通の食事だったような気がする。

これといって、特筆するようなメニューがあったわけではない。

日本そばが1回、バーベキュー(中身は普通の食事をサンデッキで食べただけ)が1回(いずれも、3日目)程度か。

コーヒー、水、紅茶等が飲み放題だが、以外に気づかないのが、メインデッキの流しのところにある麦茶である。

浮沈子は、愛飲したな。

麦芽飲料のミロが、飲み放題の中にあって、結構飲んだ。

ダイビング生活は、5日間。

1日目から4日目が1日4本、5日目は朝の1本だけ。

グループが3つあって、テンダーが2隻なので、浮沈子の日本人グループ(9人)は微妙に時間がずれるが、概ね7時、10時30分、13時30分、16時というパターンだ。

食事は、8時30分、11時30分、18時30分というパターンだ。

3時にはおやつが出る。

また、朝一番のダイビングの前にも、トーストなどは食べることが出来る。

バナナとマンゴーは食べ放題だが、航海の最後の方は在庫切れになって食べられなかった。

この辺りのセコさが、パラオスポートのチープさを垣間見る思いだ。

誰か、特に大食いの船客がいたのかどうかは、定かではない・・・。

まあいい。

テンダーはダイバー9人とクルー2人、ガイド2人が乗って、狭さは感じない。

和船風のオープンボートで、スズキの115馬力4ストロークエンジンを1機がけにしている。

2隻あるので運用でカバーできるとはいえ、理想的には2機がけにしておくべきだろう。

実際、3日目には1隻のエンジンが故障して、1ダイブはテンダー1隻でのピストン輸送になった。

本船に直接エキジットするという安全策をとったものの、2機掛けであれば何の問題もなかったはずである。

さて、ダイビングデッキは、エアの配管が施してあり、ナイトロックスでなければタンクの運搬なしに、ホルダーに挿したまま充填できる。

一人に2タンクのホルダーと、座席の下のロッカーがあり、フィンやマスクなどを収納しておける。

カメラ台と専用の水槽が作り付けになっていて、他の洗い物をされる心配がないのもいい。

ただ、ナイトロックスの場合は、混合する場所まで、スタッフがタンクを移動させる必要があり、1本潜る毎にタンクを外して入れ替えるという手間が発生する。

酸素の測定も、事実上、毎回行うので煩わしさは同じだ。

ナイトロックスは、32パーセント(だいたいこれよりは少ない)のNOAAナイトロックス1だけ。

どーせ深いところには行かないから、36パーセントのNOAAナイトロックス2を頼もうと思ってもできない。

別項で延べるが、浮沈子のようなナイトロックスをダブルタンクで運用する際は、タンクを2本ずつ交換することになって、それぞれに酸素濃度を測定することになるので、最高難度のややっこしさになる(2人分使えば、やや改善される)。

エアのシングルタンクのダイビングに最適化した設備になっているところが、裏目に出ているわけだ。

まあ、普通のダイビングだけしてればいいだけなんですけど。

ダイビングのパターンは、器材の準備を整え、ウエットを着た状態でダイビングデッキでブリーフィング、タンクと器材はセットした状態でテンダーに積み込み。

フィン・マスクを持ってテンダーに乗船。

カメラとウエイトベルトは、スタッフが纏めて積み込む。

ダイコンは、無論各自で身に着けている。

ポイントは、大体本船から5分以内。

流れがあってもなくても、潜行索があってもなくても、器材の準備が出来たら一緒にエントリーである。

浮沈子は、今回はサイドマウントだったので、この辺りの手順は少し違った。

水中では、前後にガイドがつき、概ねその間を泳ぐのだが、1000本越えの猛者になると自由気ままに泳いでいた。

浮沈子?。

もちろん、ガスの消費を考えて、みさなんより浅いところを泳いでいたな。

ダブルタンクでも、それ程余裕があるわけではない。

400持ち込んで200以上は残しているが、一番少ない時は190吸っていた。

深度は、せいぜい20mである。

エキジットは、ダイコンの関係で6m以浅で安全停止3分。

全員がクリアになるまで待機。

浮沈子は、初日に7分間の安全停止が出て、皆さんにご迷惑を掛けた。

そんなに深いところへは行っていないんだが。

ガイドがブイを上げ、オクトパスからバブルを出しながら浮上、テンダーが回収に来るというパターンである。

エキジットする時は、カメラ、ウエイトベルト、タンク付きBC、フィンを回収して、身一つになってラダーを上がる。

ボートの側面にロープが張ってあって、それに掴まりながら脱ぐわけだ。

浮沈子は、ウエイト入りのBCは着たまま、カメラ、タンク2本、フィンだけを回収してもらった(これで、手間は同じ)。

パラオスポートでサイドマウントダイバーを受け入れるのは、浮沈子が初めてだという。

お礼に、サイドマウントの運用について、所見を書いて置いてきた。

オーナーが読んでどのように判断するか、興味がある。

テンダーが本船に着くと、ダイバーだけ先に上がって、フィン、タンク付きBC、カメラ、ウエイトベルトはスタッフが上げて、タンク付きBCのみ各自の場所まで運んでくれる。

そこで、BCを各自が付け替えておしまい。

ナイトロックスは、その際に酸素の測定を行い、リストに記入し、サインする。

MODの計算は、最近はダイコンで行うようだな(浮沈子も、途中からそうしました)。

シャワーを浴びて、洗濯して、食堂にある記録簿に記帳してダイビングが終わる。

これを、1日4回行うわけで、初日の3本目が終わったところで浮沈子は音をあげた。

波が高くなり、船酔いもあって、4本目のキャンセルを考えた。

少し、吐いた。

その後、酔い止めを飲んで少し休んだら元気が出てきて、4本目の浅いところの沈船を見る事ができた。

大したことはなかったが、キャンセルしないで済んでよかった。

他のメンバーも、ダイブクルーズに参加するだけの事はあって、耳の痛みで2ダイブキャンセルした女性が1名いただけで、他の方は17本全てのダイビングをこなしていた。

次稿では、いよいよ、水中の出来事を紹介する。

世界遺産にまでなった、東南アジア最大の珊瑚礁とはどんなところなのか、水中には何があり、どんな生物と遭遇したのか。

トゥバタハ2014(その4:世界遺産の海)2014年04月27日 20:48

トゥバタハ2014(その4:世界遺産の海)
トゥバタハ2014(その4:世界遺産の海)


初日から、すごいのが出て、その衝撃があまりに強烈だったので、後は余興のようなものだった。

なんと、いきなりジンベイが3回も出たのである。

おそらく、同じ個体だろう。

4メートルほどの体長で、ゆったりと泳ぎ回っていた。

画像は、3回目に現れた時に、比較的近くから撮ったもの。

この他に、カメやサメが出たり、ナポレオンも出た。

群れものでは、バラクーダの群れ、カスミアジの群れ、ギンガメアジの群れなどが出た。

しかし、このジンベイ程のインパクトはなく、後は、ハンマーかマンタが出るしかないが、今回は不発だった。

透明度は、良くて30m台、霞んでいるときは20m台で、メンバーの中には透明度が良いと感想を述べていた方もいたが、浮沈子的な得点は低い。

リーフの上の10m未満の深さでは、エダサンゴが美しく、どこまでも広がっている。

初日の3本は北環礁の北東あたり、4本目は南側に移り、2日目は北環礁の南側と、南環礁。

3日目4日目は、南環礁の南側、灯台付近に陣取って潜り、5日目はレンジャーステーションの前で潜った。

サンゴはどこでも綺麗で、棚上は極上である。

すこし下には、アオマスクなどもいて、マクロ系も楽しめる。

水温はダイコンの水温計によれば、29度とか30度を示しており、時折冷水塊に遭遇するものの、寒いというほどのものではない。

どこのポイントがいいかは、一概にはいえないが、今回のクルーズに限っては、ジンベイが出たシャークエアポートや、ウォッシングマシンを押しておこう。

ちなみに、ガイドのクミさんは、南環礁のデルサンレックが好きだとのこと。

確かに、棚上のサンゴ畑は一見の価値があるな。

しかし、浮沈子は、どのポイントであれ、トゥバタハリーフの価値は、ありのままの自然をそのまま残しているという点にあると考えている。

沖縄では、オニヒトデを駆除したり、珊瑚の養殖を行ったりしているが、漁業を禁じたり、ダイバーの制限を行って保護することはない。

国家が、自然を守るために、産業を犠牲にするなど考えられない。

自然をゆがめ、歪んだ自然を見世物にする観光産業を育成しようとしているだけだ。

沖縄のダイビングスポットを、年間9か月ダイビング禁止にするなどという発想は、我が国にはない。

いや、我が国だけではなく、世界でもめずらしいだろう。

そうして保護された、ありのままの海、餌付けされたグアムの湾内とかではなく、自然のままの海。

にごっている時でも、それは、自然の濁りであって、人間の生活排水で富栄養化した濁りではない。

そうしたありのままの海を見る事ができるということが、この海の価値なのだと思う。

あと2か月余りで、この海は再び人間の目から遠ざけられ、鳥とカメと、あらゆる水中生物だけの楽園に戻る。

いや、レンジャーステーションのバーベキューの匂いくらいはするかもしれない。

まあいい。

8人の人間の生活排水程度の浄化能力はあるだろう。

そして、来年の春、再び世界の限られたダイバーにだけ、その秘密のベールの裾を、チラと翻して見せるのだ。

この海は、その意味で、全人類の宝であり、全力で守る価値がある掛け替えのない海なのである。

透明度がどうのとか、マンタがでなかったとか、人間の尺度で測ってはいけない海だ。

ここは、ダイバーの聖地である。

南の海を語るダイバーは、一度はここを訪れるべきだ。

そして、手付かずのこの海を基準に、他の海を語るべきだろう。

世界遺産の海。

トゥバタハリーフの海には、それを誇るだけの理由があるのだ。

トゥバタハ2014(その5:<閑話休題>サイドマウントの導入)2014年04月27日 21:36

トゥバタハ2014(その5:<閑話休題>サイドマウントの導入)
トゥバタハ2014(その5:<閑話休題>サイドマウントの導入)


<以下は、パラオスポートのオーナー宛に、浮沈子が上申したメモに一部加筆訂正したものである。
なお、画像は、エントリー時にカメラを忘れた浮沈子を、ガイドが持って入ったそのカメラで撮影したもの。
カメラを忘れてエントリーした動かぬ証拠である(キビシーッ!)。>

パラオスポートでサイドマウントを導入する際の問題点などについて、思いつくままに書いておく。

なお、サイドマウントがどのようなコンフィギュレーションであるか、ダイバーにとってどのようなメリットがあるかについては、PADIのホームページなどに詳しいので、本稿では割愛する。

1 サイドマウントの動向
(1)世界の動向
PADIがサイドマウントのスペシャリティを導入した理由については、個人的には「テックレック」の導入と無縁ではないと考えている。

今までレクリエーショナルダイビングと明確に切り分けられていたテクニカルダイビングを、レクリエーショナルダイビングの延長上に位置付けて、新たな市場を開拓しようとする野心的な経営方針だ。

オープンサーキットでのテクニカルダイビングでは、バックマウントのダブルタンクが基本になるが、実際、この重量がネックになってテクニカルダイビングに踏み切れないダイバーも多い。

そこで、従来洞窟潜水で使用されてきたサイドマウントをテクニカルダイビング一般に導入するという着想を得たのではないか。

サイドマウントであれば、タンクの運用を1本ずつ行うことが可能となり、ダブルタンクの器材を背負わなければならないというテクニカルダイビングのボトルネックを解消することが可能だ。

通常のトレーニングで、最大4本のタンクを運用しなければならないテクニカルダイビングにとっては大きなメリットである。

しかし、テクニカルダイビングに進む時に、初めてサイドマウントを体験するよりは、通常のレクリエーショナルダイビングの段階から導入していれば、サイドマウントでのテクニカルダイビングは、ダイバーにとってさらに敷居が低くなり、マーケットの拡大にも貢献する。

以上は、あくまで個人的な推測に過ぎないが、一定の合理性があり、従来はキャリアアップするためには、インストラクターになるなど、プロを目指すしかなかったダイビング業界に、テクニカルダイビングへの道筋を付けたというPADIの営業方針とも整合性がある。

現在、レクリエーショナルダイビングにおけるサイドマウントのコースは世界中で開催されていて、器材もテクニカル系の器材を扱っていたメーカーが中心となって、レクリエーショナルでも使いやすいモデルが登場してきている。

一例を挙げれば、Hollisの「SMS50スポーツ」などがあり、それまではインフレーターホースが腰から出ていたものを、一般的なBCと同じく背中側から取出すようにするなど、レクリエーショナルダイバーが移行しやすい配慮がなされている。

また、同社の「SMS75」という最新モデルは、サイドマウントだけではなく、バックマウント用にも使えるタイプであり、ダイビング初心者が選択しやすい器材の開発も行われている(個人的に使っている器材がホリスであるだけで、推奨しているわけではないので念のため)。

既に、PADIではサイドマウントでダイビングを始めるコースも作られているので、今後は通常のバックマウントでは潜れないダイバーが出現することが予想される。

しかしながら、2014年時点ではフロリダなどの一部地域を除いて、レクリエーショナルダイビングでサイドマウントがボリュームゾーンになっているという状況にはない。

また、近い将来において、バックマウントのシングルタンクに取って代わるような状況にはならないと考えられる。

(2)日本及びアジア・パシフィック地域における動向
国内では、メタリコンのスチールタンクの使用が殆んどであることを考えると、サイドマウントが国内ダイビングで普及することは有り得ない。

沖縄など、一部アルミタンクを導入している地域では、普及の可能性はある。

アルミタンクは、必ずしもサイドマウント普及の要件ではなく、洞窟潜水ではスチールタンク(メタリコン塗装ではない)が標準である。

しかし、器材メーカーは、サイドマウント用の器材を、レクリエーショナルダイビングにおいて圧倒的に普及しているカタリナやラクスファーのアルミタンクを想定して開発しているため、必要な浮力などの点で、メタリコンタンクの対応は考慮されていない。

日本のダイビングは、サイドマウントから取り残される運命にあるといえる。

したがって、国内でサイドマウントのスキルを習得したダイバーが、海外でレクリエーショナルダイビングをサイドマウントで行いたいという需要は、ほぼ無視していい。

日本人ダイバーについては、海外でサイドマウントを習得し、海外でサイドマウントで潜るというパターンだけを考慮すればいい。

そのようなダイバーは、絶対数では限られるものの、進取の気性に富んだダイバーであり、一度サイドマウントを経験してその快適さを味わうと、二度とバックマウントでは潜らなくなる(個人的には、断言できる)。

アジア・パシフィック地域では、テクニカルが盛んな韓国が注目される。

今はそれほど普及していないかもしれないが、今後、サイドマウントを希望するダイバーは、一定の数を占めるようになる可能性は十分ある。

2 サービス側から見たサイドマウント
(1)サイドマウントのメリット
アルミタンクを運用している限り、また、器材を持ち込み限定とした場合は、器材的に新たな投資を殆んど行わずに導入できるというメリットはある。

今は、まだ普及途上にあるサイドマウントに対応しているというステータス性で訴求できるということもある。

ナイトロックスについて別料金を設定している場合は、基本的にダブルタンクが標準のサイドマウントの場合、その収益は倍増する。

安全管理上、2本のインデペンデントタンクを持ち込み、2組のレギュレーターセットが存在するダブルタンクのコンフィギュレーションは、シングルタンクのバックマウント、シングルタンクのサイドマウントに比較して、圧倒的なメリットがある。

(2)サイドマウントの課題
バックマウントのダイバーとの混在が起こり、エントリーやエキジットだけでなく、タンクのハンドリングなどにも影響が出る。

ガイド自身がサイドマウントで潜る必要は全く無いが、安全管理上、少なくともサイドマウントダイバーがいるグループのガイドには、サイドマウントスペシャリティーのインストラクター資格を取得させる必要がある(コストの発生)。

営業上、サイドマウントダイバーがいることにより、ボリュームゾーンであるバックマウントダイバーがデメリットを被ることのないように配慮する必要がある。

器材レンタルを行う場合や、サイドマウントの体験ダイビングやスペシャリティの取得を商品にする場合は、器材の購入、維持、更新のコストが発生する。

タンクの運用を含めて、一人で2本のタンク、2組のレギュレーターセットを運用する方法を確立する必要がある。

3 パラオスポートにおけるサイドマウント導入
(1)パラオスポートの特性との関係
パラオスポートの場合、サービス形態としてはクルーズ船の運用に限定されているので、基本的にはある程度経験のあるダイバーが顧客層を形成している。

サイドマウントのスキルを持ったダイバーであっても、当然、バックマウントでのダイビングは可能であり、サイドマウントに対応していないからといって、ダイビング自体を行えなくなるということによる機会損失は、今のところない。

(2)市場における他社との競合
同業他社との競争においては、サイドマウントへの対応の有無は、サイドマウントダイバーにとっては決定的な要素となり得る。

対象とするゲレンデ、船舶としての快適性や、食事、ガイドの質が同等であれば、サイドマウントダイバーは間違いなく対応してくれるサービスを選択する(個人的には、断言できる)。

(3)具体的な運用上の課題と解決策の提言
パラオスポートの場合、シングルタンクを前提としてダイビングデッキが設計されている。

各人のロッカー(座るところの下にある)の背中に、タンクホルダーが2本分あり、今回分と次回分のタンクをキープして、BCはダイバーがセットすることになる。

ダブルタンクで潜る場合、基本的に2本とも換えるので、レギュレーターセットの付け替えの際にタンクの置き場に困ることになる。

理想を言えば、スタッフが全て交換するというのがベストだが、ナイトロックスを使用する場合は酸素の測定を行わなければならない。

スタッフが測定した値を、ダイバーが立ち会って確認するスタイルの場合、レギュレーターをはずし状態にしておく必要がある。

4本分のタンクホルダーがないので、使わなくなったタンクを直ぐに撤去する必要がある。

この辺りのタンクのハンドリング、レギュレーターのリンスや交換について、明確に手順を決めておく必要がある。

一つの提案としては、レギュレーターセット用のメッシュバッグを導入して、上がってきたらスタッフがタンクからレギュレーターやタンクベルトなどをはずして、タンクナンバーを元に、個人を識別して、個人ごとに割り当てられたメッシュバッグに入れてリンスする。

タンクはそのまま回収する。

タンクホルダーには新品のナイトロックスタンクが2本置かれていて、酸素の測定を行い、ダイバーがタンクに記入し、記録簿も付けた上で、リンス後のレギュレーターをメッシュバッグから出して、スタッフ又はダイバーがセッティングを行う。

こうすれば、取り違いのトラブルも防ぐことができ、効率的にサイドマウントのダブルタンクを運用することができるだろう。

でないと、タンクホルダー周りに4本のタンクが存在することになり、ダイバー的には運用しづらい。

テンダー周りでは、タンクの取り違いが起こらないようにしなければならないが、タンクにシールを貼ることで解決可能だ。

BCは、基本的に本船で着てもらっておけば、エントリーの際に手早く対応できる。

ダブルタンクの場合、安全管理上、インフレーターが付いた左側のタンクを装着してエントリーしてもらうという選択も有る。

カメラもエントリー時に持ってもらうのがいい。

ロングホース付の右のタンクは、船上から渡す。

これなら、サイドマウントダイバーが同一テンダーに3人くらいいても対応できるだろう。

10人だったらどうなるか。

余り考えたくはないが、1本持って入って、ボートのサイドロープに取り付いてもらって、順に2本目を渡して、タイミングを計って潜行という運用が考えられる。

笛でも吹いてタイミングを取るか、ボートスタッフが確認を取って、指示を出すというのもある。

エキジットの時には、カメラ、タンク、フィンだけ回収して、BCは着たまま上がってもらうのがいいだろう。

BCがウエイトと一体になっている器材なので、安全管理上も問題はないし、スタッフの手間も省ける。

どうしてもBCを脱ぎたい向きには、別にそれでも構わない。

人数が増えた場合の最大の問題は、タンクのスペースだ。

ガイドは別にして、最大20本のタンクを並べられるか。

積み下ろしの労力も必要だ。

サイドマウントダイバーが10人も纏まることはめったにないだろうが、運用のノウハウを確立しておくに越したことはない。

タンクに貼るシールとメッシュバッグの番号を統一しておけば、ダイバーによる取り違えもないだろう。

もちろん、タンクナンバーとのダブルチェックも必要だ。

以上は、あくまでも一例である。

タンクのハンドリング、レギュレーターやタンクベルトの管理、ナイトロックスの測定を含めて、また、ボートへの積み込み、BCの着用のタイミング、エントリー、エキジットの方法といったトータルな運用基準を考えておく必要があるだろう。

4 サイドマウント対応の導入時期
(1)段階的な対応の必要性
初めに述べたように、サイドマウントが現在のバックマウントに取って代わることは考えられず、また、日本人ダイバーに限定した場合、日本国内での普及が絶望的なことから、今後も急速に普及することは有り得ない。

アジア・パシフィック地域のゲレンデにおいては、米国からのダイバーが少ないこともあって、サイドマウントダイバーの絶対数が数年以内に増加することもないと考えられる。

全く、何の対応もしなくても、営業成績に著しい影響を与えることはない。

現在は、レンタル器材を提供し、体験ダイビングや講習を実施するなどの積極的な対応を行うかどうかは、戦略的な判断を要する時期である(同業他社は、戦略的に導入しているところもある)。

パラオスポートの場合、全く対応できないので、サイドマウントダイバーはお断り、ということはないとしても、現状ではタンクサービスのみで、全器材持込、セッティングからエントリー、エキジットの対応も明確な基準がなく、個々のダイバー任せという状況は、安全管理上も好ましくない。

例外として受け入れる場合でも、明確な運用を定め、最小限守ってもらうルールを決めておく必要はある。

まず、それを確立して、器材持込での受け入れから始めてはどうか。

対外的には、「サイドマウントでのダイビングをご希望の方は、お問い合わせください」程度のプレゼンスで十分である。

スタッフのスキルとしても、全く経験のないガイドだけでは、ダイバーとしても不安が残るので、インストラクションのスキルはなくても、スペシャリティくらいは取っていてもらいたい。

まずは、このあたりから初めて、徐々にノウハウを蓄積しつつ、市場の動向を見ながら判断していくという段階的な導入が望ましい。

器材持込についても、現在のサイドマウントダイバーの場合、個人の体形やスキルに合わせてコンフィギュレーションした器材を持っていることが殆んどなので、レンタル対応しないことによる機会損失は、現段階では殆んどない。

ただ、持ち込み器材が故障した際の、臨時の貸し出し用のレギュレーターセットがあると心強い。

BCまで対応するかどうかは考え物だ。

サイドマウントがアジア・パシフィック地域で普及するかどうかは、韓国人ダイバーがキーになる可能性もある。

欧州の動向も含め、ワールドワイドな視点が欠かせない。

何度も言及するが、日本国内でサイドマウントが普及することは、ここ10年以内には考えられない(メタリコンタンクがある限り)。

日本人ダイバーの動向だけで本格投入のタイミングを計ることは、その意味ではリスクが伴う。

(2)受け入れ可能のアピールのタイミングとは?
未だに、サイドマウントのスタンダードな運用はない。

それぞれのダイビングサービスが試行錯誤しているのが実体だ。

しかし、PADIのスペシャルティとして公式に導入されているコンフィギュレーションに、当社は対応できません、というのは、サービスとしての怠慢以外の何物でもない。

既に、サイドマウントでCカードを取得するコースもできており、世界的にはバックマウントで潜らないダイバーも出現している。

レンタル器材を導入したり、スペシャルティの開催を行うなどの本格導入は別にして、受け入れ可能な環境の整備は急務であると考える。

いつか、どこかの段階でサイドマウントに対応しなければならなくなるのは確実だ。

それは、いつなのか。

今でしょ?。

5 終わりに
今回、トゥバタハリーフクルーズに参加して、パラオスポートを初めて利用させていただいた。

初めてのサイドマウントの受け入れにも拘らず、様々な配慮をしていただき、我侭も聞いていただいて、有り難く感謝している。

サイドマウントは、一度経験してしまうと、水中での快適さ故に、二度とバックマウントに戻れなくなる(個人的には、断言できる)。

ダブルタンクのコンフィギュレーションの場合は、その冗長性による安全管理上のメリットも計り知れない。

日本での普及は望めなくても、海外での普及が進めば、パラオスポートの利用者の中でも、サイドマウントの希望者が出てくることは間違いない。

その際に、「できません!」とは言って欲しくない。

明確な運用基準の元に、希望するダイバーへのサービスを提供できるパラオスポートであって欲しい。

新しいダイビングスタイルに、興味を示しているスタッフもいる。

パラオスポートが、サイドマウントのエバンジェリストになる必要はない。

ダイバー側からではなく、サービス側から見た場合、サイドマウントには解決すべき課題も多い。

それらを一つずつ解決しながら、スタッフの運用スキルを確実に確保していくことの方が重要だ。

また、当然のことながら、サイドマウントダイバーを受け入れたことによって、他の顧客の満足度が下がるようなことがあってはならない。

両者の満足度を上げる様々な工夫が必要だし、ダイビングサービスとしてそれを追求していくのは義務でもある。

本稿が、そのことに少しでもお役に立てれば望外の光栄である。