浮力調整 ― 2014年07月17日 12:55
浮力調整
CCRの浮力調整については、このブログでも何度か触れたが、PADIのマニュアルを読んでいて、やはり纏めて書いておくことにした。
著作権に触れないように・・・!。
英語版しかないので、浮沈子の語学力ではなかなか捗らない。
まだ、20ページくらいを、うろうろしている(210ぺーじもあります!)。
浮力調整については、テキストの56ページに纏めて書いてある。
まあ、通り一遍の話だ。
カウンターラングに息を吐き、カウンターラングから息を吸う。
だから、トータルでは変わらないが、鼻から吐けば回路内のガスが抜け、ADVから供給されればガスが足される。
ここまでは、誰でも分かる。
酸素シリンダーのガスが、二酸化炭素に化けてスクラバーに吸収されて重さが変わらないと書いてあるが、問題は酸素シリンダーは呼吸回路に関係ないし、浮力にとって重要なのは、二酸化炭素という呼気ガスの体積が、スクラバーとの化学反応によって消滅するということなのに、その記述はない。
カウンターラングのOPV(オーバープレッシャーバルブ)から排気してもガスは減るし、ソレノイドバルブから酸素が吐出されればガスは増える。
マーク6の場合は、ディリュエントを吐き出すソレノイドバルブもある。
もちろん、そんなことは書いてないし、トリムの変化によっても浮力が変わるとか(呼吸回路が浅くなれば水圧の減少によって体積が増える)、前方に泳いでいるときは、そのトリムの変化が深度を変える要因になり、肩の上にカウンターラングがあるインスピレーションやマーク6のようなCCRでは、息を吸うと沈み(カウンターラングが萎んで、前方の浮力が減少することにより前下がりのトリムになる)、息を吐くと浮くという逆転現象が起こることなんて、全く触れられていない。
そして、とにかくミニマムボリューム(PADI語では、ミニマムループ)を維持するようにとある。
鼻からの排気はともかく、ADVでディリュエントの給気をコントロールさせようなんて、初心者向きではないんじゃね?。
カウンターラングから、ディリュエントのマニュアルインフレーターを取っ払った理由は、浮沈子にはよくわからない(故障による吹き上げリスクの回避か?)。
むしろ、初心者にこそ、給気のコントロールをマニュアルインフレーターによって行うように指導すべきなんじゃないだろうか。
浮沈子は、インスピのADVを押して給気するのに慣れているので必要ないが、マーク6のADVはそんなことができるのだろうか(まだ試してません)。
ガスの話に戻ろう。
マニュアルにあるように、発生する二酸化炭素のうち、酸素については酸素シリンダーに由来しているので、スクラバーの寿命を酸素シリンダーの充填サイクルに関連付けているメーカーの方針には合理性がある。
スカまで使い切って充填するというのが前提だけど。
インスピでは、時間管理(3時間)と教わる(エボリューションは2時間)。
いずれにしても、気体である二酸化炭素が個体の水酸化カルシウムに結合する化学反応(科学反応ではない!)の進行を、外部から管理しようというのだから容易ではない。
しかも、この反応は、温度だけではなく圧力にも依存していて、深度が増えると寿命が減るらしい。
最も重要な点は、この反応が正常に行われないと、ハイパーカプニアとなり、重篤な障害となることだ。
さらに、二酸化炭素の濃度が高い状況では、ハイポキシアになりやすいという。
逆に、完全に二酸化炭素を除去されたガスでは、息苦しさを感じない(脳の呼吸中枢では、二酸化炭素の濃度を検知して呼吸している)ので、別の意味でハイポキシアになりやすい。
困ったもんだが、最近まで、センサーを使って警告するなどという対策は一部のCCRに限られていた。
今では、売れ筋の機種は何らかの対応をしていて、マーク6のように酸素の消費量だけ(時間管理も含めて)で管理するというのは、例外になってきた。
センチネル、エクスプローラー(eSCR)、インスピレーションシリーズ(温度計と二酸化炭素センサー)は対応済みである(オプション含む)。
しかし、センサーに頼るのは、あくまで緊急事態を想定した場合で、基本は時間管理であることは変わらない。
(呼吸による二酸化炭素)
http://okwave.jp/qa/q74602.html
「吸気には O2 が 20.94%, CO2 が 0.03% 含まれており,O2 が消費され CO2 が産生される結果,呼気では O2 が 4~5% 減少し,CO2 が 4% くらい増加する。」
分子数で考えれば、酸素と二酸化炭素は、当然同じになっていいはずだ。
酸素分子1個の消費に対して、二酸化炭素分子が1個生成される。
気体なんだから、アボガドロの法則に従うし。
(アボガドロの法則)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9C%E3%82%AC%E3%83%89%E3%83%AD%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87
「同一圧力、同一温度、同一体積のすべての種類の気体には同じ数の分子が含まれる」
200年以上も前、気体分子の実在が明らかでなかった時代の、すごい仮説だ(半世紀の間、放置されたという)。
「元素、原子、分子の3つの概念を区別し、またそれらに対応する化学当量、原子量、分子量の違いを区別する上で鍵となる仮説である。」
(アメデオ・アヴォガドロ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%82%AC%E3%83%89%E3%83%AD
CCRダイバーは、イタリアに足を向けては眠れないな(イタリアのダイバーは、どーする!?)。
まあ、どうでもいいんですが。
吸気された酸素が、なぜ異なるパーセンテージの呼気中の二酸化炭素を生成するかという物理化学上の大問題はさておいて、呼気中の二酸化炭素が、事実上、同量の酸素によって生成されることは分かった。
酸素が使われた分だけ、二酸化炭素が増える。
そして、CCRでは(SCRでも)、二酸化炭素の殆ど全てはスクラバーと反応して個体として体積を失う。
(二酸化炭素との反応・変化)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E9%85%B8%E5%8C%96%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0#.E4.BA.8C.E9.85.B8.E5.8C.96.E7.82.AD.E7.B4.A0.E3.81.A8.E3.81.AE.E5.8F.8D.E5.BF.9C.E3.83.BB.E5.A4.89.E5.8C.96
反応式を見ると、同量の水(水蒸気)が生成されていることが分かる。
結露すれば液体の水となり、回路内に溜まることになる。
浮力的には考慮しなくてもいいだろう。
発熱反応なので、暖かく湿ったガスを発生させるということになる。
さて、せっかく発生させた二酸化炭素は、呼吸回路の中で体積を失っていくので、回路外から吐出される酸素だけが、一時的に回路の体積を増加させる(ディリュエントの吐出がない場合)。
長い周期で見れば、確かに二酸化炭素に化けて体積を失うので回路内のガスの体積としては均衡するが、酸素が出てきた時は浮力が増加して、ダイバーは短期的な浮力の収支をコントロールしなければならないことになる。
そのタイミングと吐出量に応じた鼻からの排気がミソだと教わる。
排気すれば、その分ディリュエントガスも出て行くので、どこかでディリュエントの給気が必要になってくる。
酸素の吐出量が少なくて、二酸化炭素の化学反応による体積の喪失と均衡させ得る場合は、出来るだけそのメカニズムによる調整に委ねるのが正解だろう。
あるいは、それを見越した回路の体積を維持すべきだ。
鼻から出したガスは、どこかで必ず入れなければならない。
適切なタイミングと、適切な量をコントロールし続ける。
先行投資して、浮力の振動を発生させずに、一定の範囲で収束させる。
定常状態を維持するわけだな。
(定常状態)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9A%E5%B8%B8%E7%8A%B6%E6%85%8B
「時間変化(流れ)はあるがその速度が変化しないような状態を非平衡定常状態あるいは単に定常状態という。これは、各点へのインプットとアウトプットとが等しくつりあっていることを意味する。」
これは、動的平衡とは異なる。
(動的平衡)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%9A%84%E5%B9%B3%E8%A1%A1
「互いに逆向きの過程が同じ速度で進行することにより、系全体としては時間変化せず平衡に達している状態」
系外から供給された酸素が、呼吸によってほぼ同体積の二酸化炭素に化けて、スクラバーによって系の中で体積を失うのだ。
原理的には、酸素が供給されたからといって、鼻からガスを逃がす必要はない。
PADIのテキストにも、そんなことは書いていないが、浮沈子が習ったイントラや柏崎さん(CCRインストラクター)も、酸素の供給のタイミングで微量の排気を行うように指導している。
それは、ロジックではなく、経験則によってそのように指導しているということになる。
浮沈子も、今までの経験で、そうする必要があると感じているが、理屈の上ではそんな必要はないわけだ。
多少の一時的な変化を、うまく押さえ込めれば(たとえばフィンワークとか?)、同じ深度で滞在する限り排気(もちろん給気も)は不要だということになる。
浅い水深(例えば3m)では、わずかの水深の変化が大きく影響するので、調節はより困難になる。
ちょっとでも浮けば、そして何も調節しなければ、一気に吹き上げに繋がる。
呼吸回路だけでなく、スーツ(ドライでも、ウエットでも)や、BCDの中のガスも膨れるからだ。
十分深ければ(例えば20m)、酸素の吐出による呼吸回路の一時的な体積変化が深度の変化を誘発する前に、二酸化炭素の化学反応による体積の消失で相殺されて微妙な調整は必要なくなる。
もちろん、潜行過程や浮上の際に深度が大きく変わるとか、マスクが合わなくてマスククリアを頻回に行うとか、BCDによる一次浮力の調整が甘いなどという理由の方が、浮力調整にとっては遥かに影響が大きい。
実用的には、これらの浮力変化を微調整するために鼻から排気する「鼻」調整を行うということがほとんどである。
給気の方は、ADVなんですかねえ?。
話は変わるが、排気しなくても、深度が変わればマスクの中のガスの圧力も変わる。
通常、なかなか意識しないが、たとえば潜行の際には、この変化は回路内のガスを供給することによってしか対応できない(マスクスクイーズ防止)。
水中への排気は行っていないが、呼吸回路という系からは排気しているのだ。
浮上の際には、理屈から言えば、鼻から吸って回路に戻す(OPVから排気かあ?)ということも可能だろうが、ふつうマスクから排気するわな・・・。
まあいい。
今度、鼻から吸ってみよう(マスクの下に溜まった水を吸い込むのがオチ!)。
回路からの排気については、PADIはOPV(カウンターラングの排気バルブ)を基本に、鼻や唇(!)からの排気を認めている。
CCRでの浮上の際に、浮沈子はほぼ100パーセント鼻から排気しているが、マーク6のプール講習では、OPVを緩めておくように習った。
ここから排気するためには、ベントバルブを作動させるために、息を吐く動作と同時に両方のカウンターラングを押してやる必要がある(しかも、微妙な調整は、ベントバルブを水面に向けていないとうまくいかない)。
そんな面倒なことは御免だ。
浮沈子は、絶対に、鼻から排気する!。
鼻からできなければ、マウスピースから、水を浸入させないように排気する技があるらしい(やったことはありませんが)。
CCRにおける浮力調整は、基本的にはミニマムボリュームを維持することと、BCD等による一次的な浮力の調整がメインだ。
深度が変われば、空気を溜めているあらゆるところ(BCD、呼吸回路、スーツ、マスクなど)に影響が生じ、そのための調整が生じる。
浅いところでは、特に顕著だし、急激な浮力の変化によって、吹き上げや墜落が発生する。
トリムの維持については、項を改めて書くが、CCRにとっては、これもまた重要だ。
浮力調整は、クローズドサーキットという構造を持つ限り、動的に調整していくしかない。
呼吸によらずに浮力を調整するというのは、浮沈子から見れば当たり前のように感じられる。
潜水艦から飛行船まで、およそ静的に浮力を得ている乗り物は皆同じように浮力を調整している。
この意味からも、オープンサーキットで、呼吸によって浮力をコントロールする方が邪道なのだ(熱気球は邪道なのかあ?)。
まあいい。
呼吸を使って、動的にコントロールする方が、浮力調整は困難なように思えるが、普通のダイバーは苦もなく行っている(レベルの差はありますが)。
ダイビングという環境で、大きな浮力変化を伴うオープンサーキットでの呼吸の方が、水中での浮力調整がしやすいというのは驚きである。
人間の身体能力の適応は、驚異的だといえよう。
加圧された空気を水中に持ち込んで呼吸するというのは、一部の水棲昆虫(ゲンゴロウとか)を除けば人間だけが行っている。
(ゲンゴロウ:成虫)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%83%AD%E3%82%A6%E9%A1%9E#.E6.88.90.E8.99.AB
「成虫は、水の抵抗の少ない流線型の体型、効率よく水を掻くことのできるようにブラシ状の毛の生えた長く太い後脚、水中での呼吸用の空気を溜めることのできる構造など、遊泳に非常に適した体の構造を持つ。」
「ほとんどの種はいったん上陸してからでないと飛び立てないが、例外的に汎世界分布種のハイイロゲンゴロウは遊泳中に水面から直接飛び立つことができる。」
スカイダイバーだな・・・。
CCRの浮力調整については、このブログでも何度か触れたが、PADIのマニュアルを読んでいて、やはり纏めて書いておくことにした。
著作権に触れないように・・・!。
英語版しかないので、浮沈子の語学力ではなかなか捗らない。
まだ、20ページくらいを、うろうろしている(210ぺーじもあります!)。
浮力調整については、テキストの56ページに纏めて書いてある。
まあ、通り一遍の話だ。
カウンターラングに息を吐き、カウンターラングから息を吸う。
だから、トータルでは変わらないが、鼻から吐けば回路内のガスが抜け、ADVから供給されればガスが足される。
ここまでは、誰でも分かる。
酸素シリンダーのガスが、二酸化炭素に化けてスクラバーに吸収されて重さが変わらないと書いてあるが、問題は酸素シリンダーは呼吸回路に関係ないし、浮力にとって重要なのは、二酸化炭素という呼気ガスの体積が、スクラバーとの化学反応によって消滅するということなのに、その記述はない。
カウンターラングのOPV(オーバープレッシャーバルブ)から排気してもガスは減るし、ソレノイドバルブから酸素が吐出されればガスは増える。
マーク6の場合は、ディリュエントを吐き出すソレノイドバルブもある。
もちろん、そんなことは書いてないし、トリムの変化によっても浮力が変わるとか(呼吸回路が浅くなれば水圧の減少によって体積が増える)、前方に泳いでいるときは、そのトリムの変化が深度を変える要因になり、肩の上にカウンターラングがあるインスピレーションやマーク6のようなCCRでは、息を吸うと沈み(カウンターラングが萎んで、前方の浮力が減少することにより前下がりのトリムになる)、息を吐くと浮くという逆転現象が起こることなんて、全く触れられていない。
そして、とにかくミニマムボリューム(PADI語では、ミニマムループ)を維持するようにとある。
鼻からの排気はともかく、ADVでディリュエントの給気をコントロールさせようなんて、初心者向きではないんじゃね?。
カウンターラングから、ディリュエントのマニュアルインフレーターを取っ払った理由は、浮沈子にはよくわからない(故障による吹き上げリスクの回避か?)。
むしろ、初心者にこそ、給気のコントロールをマニュアルインフレーターによって行うように指導すべきなんじゃないだろうか。
浮沈子は、インスピのADVを押して給気するのに慣れているので必要ないが、マーク6のADVはそんなことができるのだろうか(まだ試してません)。
ガスの話に戻ろう。
マニュアルにあるように、発生する二酸化炭素のうち、酸素については酸素シリンダーに由来しているので、スクラバーの寿命を酸素シリンダーの充填サイクルに関連付けているメーカーの方針には合理性がある。
スカまで使い切って充填するというのが前提だけど。
インスピでは、時間管理(3時間)と教わる(エボリューションは2時間)。
いずれにしても、気体である二酸化炭素が個体の水酸化カルシウムに結合する化学反応(科学反応ではない!)の進行を、外部から管理しようというのだから容易ではない。
しかも、この反応は、温度だけではなく圧力にも依存していて、深度が増えると寿命が減るらしい。
最も重要な点は、この反応が正常に行われないと、ハイパーカプニアとなり、重篤な障害となることだ。
さらに、二酸化炭素の濃度が高い状況では、ハイポキシアになりやすいという。
逆に、完全に二酸化炭素を除去されたガスでは、息苦しさを感じない(脳の呼吸中枢では、二酸化炭素の濃度を検知して呼吸している)ので、別の意味でハイポキシアになりやすい。
困ったもんだが、最近まで、センサーを使って警告するなどという対策は一部のCCRに限られていた。
今では、売れ筋の機種は何らかの対応をしていて、マーク6のように酸素の消費量だけ(時間管理も含めて)で管理するというのは、例外になってきた。
センチネル、エクスプローラー(eSCR)、インスピレーションシリーズ(温度計と二酸化炭素センサー)は対応済みである(オプション含む)。
しかし、センサーに頼るのは、あくまで緊急事態を想定した場合で、基本は時間管理であることは変わらない。
(呼吸による二酸化炭素)
http://okwave.jp/qa/q74602.html
「吸気には O2 が 20.94%, CO2 が 0.03% 含まれており,O2 が消費され CO2 が産生される結果,呼気では O2 が 4~5% 減少し,CO2 が 4% くらい増加する。」
分子数で考えれば、酸素と二酸化炭素は、当然同じになっていいはずだ。
酸素分子1個の消費に対して、二酸化炭素分子が1個生成される。
気体なんだから、アボガドロの法則に従うし。
(アボガドロの法則)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9C%E3%82%AC%E3%83%89%E3%83%AD%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87
「同一圧力、同一温度、同一体積のすべての種類の気体には同じ数の分子が含まれる」
200年以上も前、気体分子の実在が明らかでなかった時代の、すごい仮説だ(半世紀の間、放置されたという)。
「元素、原子、分子の3つの概念を区別し、またそれらに対応する化学当量、原子量、分子量の違いを区別する上で鍵となる仮説である。」
(アメデオ・アヴォガドロ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%82%AC%E3%83%89%E3%83%AD
CCRダイバーは、イタリアに足を向けては眠れないな(イタリアのダイバーは、どーする!?)。
まあ、どうでもいいんですが。
吸気された酸素が、なぜ異なるパーセンテージの呼気中の二酸化炭素を生成するかという物理化学上の大問題はさておいて、呼気中の二酸化炭素が、事実上、同量の酸素によって生成されることは分かった。
酸素が使われた分だけ、二酸化炭素が増える。
そして、CCRでは(SCRでも)、二酸化炭素の殆ど全てはスクラバーと反応して個体として体積を失う。
(二酸化炭素との反応・変化)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E9%85%B8%E5%8C%96%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0#.E4.BA.8C.E9.85.B8.E5.8C.96.E7.82.AD.E7.B4.A0.E3.81.A8.E3.81.AE.E5.8F.8D.E5.BF.9C.E3.83.BB.E5.A4.89.E5.8C.96
反応式を見ると、同量の水(水蒸気)が生成されていることが分かる。
結露すれば液体の水となり、回路内に溜まることになる。
浮力的には考慮しなくてもいいだろう。
発熱反応なので、暖かく湿ったガスを発生させるということになる。
さて、せっかく発生させた二酸化炭素は、呼吸回路の中で体積を失っていくので、回路外から吐出される酸素だけが、一時的に回路の体積を増加させる(ディリュエントの吐出がない場合)。
長い周期で見れば、確かに二酸化炭素に化けて体積を失うので回路内のガスの体積としては均衡するが、酸素が出てきた時は浮力が増加して、ダイバーは短期的な浮力の収支をコントロールしなければならないことになる。
そのタイミングと吐出量に応じた鼻からの排気がミソだと教わる。
排気すれば、その分ディリュエントガスも出て行くので、どこかでディリュエントの給気が必要になってくる。
酸素の吐出量が少なくて、二酸化炭素の化学反応による体積の喪失と均衡させ得る場合は、出来るだけそのメカニズムによる調整に委ねるのが正解だろう。
あるいは、それを見越した回路の体積を維持すべきだ。
鼻から出したガスは、どこかで必ず入れなければならない。
適切なタイミングと、適切な量をコントロールし続ける。
先行投資して、浮力の振動を発生させずに、一定の範囲で収束させる。
定常状態を維持するわけだな。
(定常状態)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9A%E5%B8%B8%E7%8A%B6%E6%85%8B
「時間変化(流れ)はあるがその速度が変化しないような状態を非平衡定常状態あるいは単に定常状態という。これは、各点へのインプットとアウトプットとが等しくつりあっていることを意味する。」
これは、動的平衡とは異なる。
(動的平衡)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%9A%84%E5%B9%B3%E8%A1%A1
「互いに逆向きの過程が同じ速度で進行することにより、系全体としては時間変化せず平衡に達している状態」
系外から供給された酸素が、呼吸によってほぼ同体積の二酸化炭素に化けて、スクラバーによって系の中で体積を失うのだ。
原理的には、酸素が供給されたからといって、鼻からガスを逃がす必要はない。
PADIのテキストにも、そんなことは書いていないが、浮沈子が習ったイントラや柏崎さん(CCRインストラクター)も、酸素の供給のタイミングで微量の排気を行うように指導している。
それは、ロジックではなく、経験則によってそのように指導しているということになる。
浮沈子も、今までの経験で、そうする必要があると感じているが、理屈の上ではそんな必要はないわけだ。
多少の一時的な変化を、うまく押さえ込めれば(たとえばフィンワークとか?)、同じ深度で滞在する限り排気(もちろん給気も)は不要だということになる。
浅い水深(例えば3m)では、わずかの水深の変化が大きく影響するので、調節はより困難になる。
ちょっとでも浮けば、そして何も調節しなければ、一気に吹き上げに繋がる。
呼吸回路だけでなく、スーツ(ドライでも、ウエットでも)や、BCDの中のガスも膨れるからだ。
十分深ければ(例えば20m)、酸素の吐出による呼吸回路の一時的な体積変化が深度の変化を誘発する前に、二酸化炭素の化学反応による体積の消失で相殺されて微妙な調整は必要なくなる。
もちろん、潜行過程や浮上の際に深度が大きく変わるとか、マスクが合わなくてマスククリアを頻回に行うとか、BCDによる一次浮力の調整が甘いなどという理由の方が、浮力調整にとっては遥かに影響が大きい。
実用的には、これらの浮力変化を微調整するために鼻から排気する「鼻」調整を行うということがほとんどである。
給気の方は、ADVなんですかねえ?。
話は変わるが、排気しなくても、深度が変わればマスクの中のガスの圧力も変わる。
通常、なかなか意識しないが、たとえば潜行の際には、この変化は回路内のガスを供給することによってしか対応できない(マスクスクイーズ防止)。
水中への排気は行っていないが、呼吸回路という系からは排気しているのだ。
浮上の際には、理屈から言えば、鼻から吸って回路に戻す(OPVから排気かあ?)ということも可能だろうが、ふつうマスクから排気するわな・・・。
まあいい。
今度、鼻から吸ってみよう(マスクの下に溜まった水を吸い込むのがオチ!)。
回路からの排気については、PADIはOPV(カウンターラングの排気バルブ)を基本に、鼻や唇(!)からの排気を認めている。
CCRでの浮上の際に、浮沈子はほぼ100パーセント鼻から排気しているが、マーク6のプール講習では、OPVを緩めておくように習った。
ここから排気するためには、ベントバルブを作動させるために、息を吐く動作と同時に両方のカウンターラングを押してやる必要がある(しかも、微妙な調整は、ベントバルブを水面に向けていないとうまくいかない)。
そんな面倒なことは御免だ。
浮沈子は、絶対に、鼻から排気する!。
鼻からできなければ、マウスピースから、水を浸入させないように排気する技があるらしい(やったことはありませんが)。
CCRにおける浮力調整は、基本的にはミニマムボリュームを維持することと、BCD等による一次的な浮力の調整がメインだ。
深度が変われば、空気を溜めているあらゆるところ(BCD、呼吸回路、スーツ、マスクなど)に影響が生じ、そのための調整が生じる。
浅いところでは、特に顕著だし、急激な浮力の変化によって、吹き上げや墜落が発生する。
トリムの維持については、項を改めて書くが、CCRにとっては、これもまた重要だ。
浮力調整は、クローズドサーキットという構造を持つ限り、動的に調整していくしかない。
呼吸によらずに浮力を調整するというのは、浮沈子から見れば当たり前のように感じられる。
潜水艦から飛行船まで、およそ静的に浮力を得ている乗り物は皆同じように浮力を調整している。
この意味からも、オープンサーキットで、呼吸によって浮力をコントロールする方が邪道なのだ(熱気球は邪道なのかあ?)。
まあいい。
呼吸を使って、動的にコントロールする方が、浮力調整は困難なように思えるが、普通のダイバーは苦もなく行っている(レベルの差はありますが)。
ダイビングという環境で、大きな浮力変化を伴うオープンサーキットでの呼吸の方が、水中での浮力調整がしやすいというのは驚きである。
人間の身体能力の適応は、驚異的だといえよう。
加圧された空気を水中に持ち込んで呼吸するというのは、一部の水棲昆虫(ゲンゴロウとか)を除けば人間だけが行っている。
(ゲンゴロウ:成虫)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%82%B4%E3%83%AD%E3%82%A6%E9%A1%9E#.E6.88.90.E8.99.AB
「成虫は、水の抵抗の少ない流線型の体型、効率よく水を掻くことのできるようにブラシ状の毛の生えた長く太い後脚、水中での呼吸用の空気を溜めることのできる構造など、遊泳に非常に適した体の構造を持つ。」
「ほとんどの種はいったん上陸してからでないと飛び立てないが、例外的に汎世界分布種のハイイロゲンゴロウは遊泳中に水面から直接飛び立つことができる。」
スカイダイバーだな・・・。
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