AvsB2014年07月22日 22:59

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2つの記事が、時間を置いて掲載された。

(エアバス、ファンボロー国際航空ショーで過去最高となる496機、753億ドル分を受注)
http://response.jp/article/2014/07/18/228002.html

(ボーイング、ファンボロー国際航空ショーの受注・発注コミットメント201機を獲得)
http://response.jp/article/2014/07/22/228198.html

この4日のズレに、何か意味を見出そうとしているわけではないのだが、並べてみると機数ベースでは、ほぼ2.5倍の差が付いている。

価格ベースでは、A社:753億ドルvsB社:402億ドルとなっていて、その差は縮まる。

内訳を見てみよう。

A社:
・A320ファミリー:363機(390億ドル)
・A330neo:121機(332億ドル)
・その他:12機(58億ドル)

B社:
・737MAX:20機
・737MAX8:86機
・737MAX9:5機
・737-800:4機
・787-9:18機
・777-9X:50機
・777フレイター:4機
・777-300ER:12機
・737-700C:2機

B社の方が、大型機の受注数が多いことが分かる。

別に、A社の方が割安なわけではないし、金額はあくまでもカタログベースなので参考にしかならない。

(ファーンボロー国際航空ショー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%AD%E3%83%BC%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E8%88%AA%E7%A9%BA%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%BC

「イングランド南部のハンプシャー州のファーンボロー空港で偶数年の7月に開催される航空ショーである。航空産業の重要な見本市のうちの一つで、一番大規模なパリ航空ショーと交互に開催され、同じく重要視されているベルリン国際航空宇宙ショーとは数週間違いで行われている。」

ちなみに、MRJも売れたそうだ。

(「飛べば世界が変わる」 MRJのこれからを川井社長に聞く)
http://www.aviationwire.jp/archives/41538

「米国のイースタン航空が最大40機発注する覚書(MoU)を締結。」

「ミャンマーのヤンゴンに拠点を置くエア・マンダレイ(LMT/6T)と最大10機発注する正式契約を締結した。」

50機といえば、たいそうな機数だ。

「こういう飛行機を作ります、こういう飛行機になるはずです、とは言っているが、「本当にお前ら出来るのか?」というのは、お客さんも一般の方も半分疑心暗鬼だと思う。」

「ちゃんと飛ばして、できれば飛んだ後にある程度は「性能がちゃんと出てますよ」というのを示せるのと、示せないのでは全然違うと思う。」

「飛べば世界が変わる。」

A社もB社も、既に何千機という飛行機を作って飛ばしている。

先行するB社にA社が追いつき、追い越し、今回、完全に抜き去ったかに見える。

(エアバス:受注機数と納入機数)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%90%E3%82%B9#.E5.8F.97.E6.B3.A8.E6.A9.9F.E6.95.B0.E3.81.A8.E7.B4.8D.E5.85.A5.E6.A9.9F.E6.95.B0

「年:A社:B社(受注数)
2011:640:138
2010:574:530
2009:271:142
2008:777:662
2007:1341:1413
2006:824:1044
2005:1111:1002
2004:370:272
2003:284:239
2002:300:251
2001:375:314
2000:520:588
1999:476:355
1998:556:606
1997:460:543
1996:326:708
1995:106:441
1994:125:125
1993:38:236
1992:136:266
1991:101:273
1990:404:533
1989:421:716」

「年代:A社:B社(受注数)
2010:1024:668
2000:6173:5917
1990:2728:4086
1980:421:716」

これをみると、B社だって落ち込んでいるわけではなく、需要の伸びをA社に取られているのが良く分かる。

しかし、もちろん、民間航空機部門だけで見ても、両社(特に、B社)の全容は分からない。

(ボーイング)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0

「部門:
この会社は、ボーイング民間航空機と、統合防衛システムの2つの大きな部門にわけられる。
・ボーイング・キャピタル(Boeing Capital)
・ボーイング民間航空機(Boeing Commercial Airplanes)
・・ボーイング・エバレット工場(ボーイング747、767、777、787製造)
・・ボーイング・レントン工場(英語版)(ボーイング737、P-8 ポセイドン製造)
・・ボーイング・チャールストン工場(ボーイング787の部分組み立て)
・・Aeroinfo Systems
・・Alteon Training、元フライトセイフティボーイング(FlightSafetyBoeing)
・・Aviall
・・Aviation Partners Boeing
・・CDG
・・Jeppesen Sanderson
・・Preston Aviation Solutions
・・Global Aeronautica
・ボーイング・ディフェンス、スペース・アンド・セキュリティー(Boeing Defense, Space & Security)
・・ボーイング軍用航空機(Boeing Military Aircraft)
・・グローバル・サービス・アンド・サポート(Global Services & Support)
・・ネットワーク・アンド・スペースシステムズ(Network and Space Systems)
・・ファントムワークス(Boeing Phantom Works)
・・ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(50%出資)
・・ボーイング・セントルイス工場(F-15 イーグル、F/A-18 ホーネット製造)
・・ボーイング・フィラデルフィア工場(CH-47 チヌーク、V-22 オスプレイ製造)
・・ボーイング・メサ工場(AH-64 アパッチ製造)
・・ボーイング・エル・パソ工場(B-1 ランサー、PAC-3製造)
・Boeing Shared Services Group
・・ボーイング不動産(Boeing Realty)
・・ボーイング旅行マネージメント会社(Boeing Travel Management Company)
・・サプライヤ管理(Supplier Management)
・Engineering, Operations & Technology
・・Boeing Research & Technology
・・Boeing Test & Evaluation
・・Intellectual Property Management
・・Information Technology
・・Environment, Health, and Safety
・ボーイング・ジャパン株式会社(Boeing Japan, Co Ltd.)
・ボーイング・オーストラリア株式会社(Boeing Australia, Ltd.)」

これに対して、A社は、航空宇宙防衛企業のEADS「エアバス・グループ」傘下にある航空機メーカーである。

(エアバス・グループ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/EADS

「部門:
・民航機(旅客機)
・・エアバス:2006年10月にBAEシステムズ保有の株式を買収して100%子会社とした。
・・ATR:旧アエロスパシアルの持分を引き継ぎ、50%を保有。
・ヘリコプター
・・エアバス・ヘリコプターズ:(100%) 小~大型機まで手掛ける軍用・民間用ヘリコプターのメーカー。世界全体で約40%のシェアを持つ。
・防衛・宇宙・セキュリティ
・・エアバス・ディフェンス・アンド・スペース
・・A400M:ロッキード・マーティン C-130 ハーキュリーズと競合しているターボプロップ4発輸送機
・・A310 MRTT(参考 エアバスA310)
・・A330 MRTT(参考 エアバスA330)
・宇宙産業
・・EADS アストリアムの100%株主(2003年1月30日にBAEシステムズから25%の株を買いとった)。
・・EADS スペーストランスポテーションの100%株主。コロンバス実験モジュール、ATVなどを製造。
・・EADS スペースサービスィズの100%株主。この企業は、パラダイムセキュアコミュニケーションズLtdという、軍事衛星運用会社が前身。イギリスの防衛省のために「スカイネット5」システムを運用している。
・・アリアンスペースの株を28%保有。これは私企業の中では最大の割合。
・防衛・安全保障システム
・アビオニクス
・・ディフェンスエレクトロニクス:EADSにセンサとアビオニクスを供給。
・軍用航空機
・・Mako/HEAT(英語版) (High Energy Advanced Trainer) を含む製品を製造している。以下の企業の株を保有する:
・・ダッソー・アビアシオン (45.76%) :戦闘機 ミラージュなどの軍用機のメーカー。
・・ユーロファイター GmbH (46%) :戦闘機 ・・ユーロファイター タイフーンのメーカー。
・・ユーロコプター:輸送、戦闘、哨戒等軍用のヘリコプターを生産。
・ミサイル
・・MBDA (37.5%)
・・LFK」

民間航空機部門は、軍事部門無くしては有り得ない領域だということが分かる。

キチキチとコスト管理され、自由競争に晒されるばかりでは、息が付けない。

「これは、A330neoとA320neoが最もコスト効率の優れた航空機として認められている証だ」

A社のCOOの発言は、民間航空機部門における旅客機の役割を象徴している。

機材は金儲けの道具に過ぎない。

償却期間に、どれだけ稼げるかが選択の基準である。

もちろん、顧客(飛行機の搭乗者)に選ばれなければ金儲けも出来ないので、顧客満足度の高い機材が求められるという面はある。

単一の航空ショーでの受注実績を、単純に比較するだけでは、もちろん全体を見誤ることもあるだろう。

「2014年のネット総受注数は783機となった。」

このペースは、過去の受注と比較しても、決して悪いどころか最高に近いペースである。

A社の今年の受注数は不明だが、ファンボローの実績を見る限り、悪いわけはないだろう。

(エアバス、航空ショーで過去最高の受注数―ボーイング上回る)
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303768704580036682877107528

この好調がどこまで続くかは分からないが、航空機産業が、世界の新たな機軸産業として動いていることは確かだ。

MRJがどこまで伸びることが出来るかはわからないが、自動車の次の機軸産業として羽ばたくことが出来るのか。

B社にも頑張ってもらいたい(我が国も、下請けに入っていることだし)。

それにしても、A社の鼻息は、益々荒くなることだろう!。

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