代替燃料 ― 2014年07月26日 06:29
代替燃料
水素は21世紀の代替燃料にはなりえない。
ちょっと衝撃的なキャッチだが、記事を読むとなるほどと思う。
(水素は21世紀の代替エネルギー源にはなり得ない…フロスト&サリバン)
http://response.jp/article/2014/07/25/228502.html
この記事のポイントと突っ込みどころは、いくつかある。
・水から水素を抽出する電気分解のプロセスでは、抽出された水素が有する発電量よりも多い電力が消費されてしまう
→当然の話だ。もしも、投入される電力より多くの化学エネルギーが得られるなら、物理化学の法則は崩壊する。
・水素はほぼ全ての格納容器から通り抜けてしまうため、貯蔵が非常に難しい。圧縮水素の場合、放出される水素は大気放出よりも少ないが、水素を圧縮する工程で使用可能な水素エネルギーの約2%が消費されてしまう。
→水素の性質により避けがたいが、圧縮にかかる2パーセントのロスは、決定的な要素ではない。
・水素を電力として利用するためには、(水から水素に変換し、さらに)水素から電力への変換が必要である(ため、複数回のプロセスを要する)。
→既に水素があるならば、変換は一度で済む。
・電力として用いられるエネルギーを電池に貯蔵する方が、水素を貯蔵タンクに保存する方法よりも簡単で、コストも低い。
→そのとおり。しかし、電池からも放電してエネルギーが失われること、電池は充放電を繰り返すことにより劣化し、寿命があること、最も軽いリチウムイオン二次電池でも、自動車用の蓄電池としては重く、コストもかかることを無視している。
この記事の内容からは、詳細なデータは分からないが、上記のポイントから21世紀の代替燃料とならないという結論を導くとは、大したものだ!。
全ては、石油や石炭、天然ガスといった炭化水素を燃焼させるプロセスを前提とした、化石燃料との比較である。
炭化水素を燃焼させれば、二酸化炭素が発生し、それが地球温暖化の原因の一つになっていて、世界は今、この問題に取り組んでいる。
そんなことは、全く無視して、燃料としての経済効率だけを追求している。
また、化石燃料は数万年という短期的には枯渇が確実で、未来永劫文明を支えていくわけには行かない。
この記事の内容を要約すると、「水は21世紀の代替エネルギー源にはなり得ない」とするのが適当だ。
それなら、納得できる。
話は、水を電気分解して水素を得るところからスタートしているので、燃料としては水ということでなければ辻褄が合わない。
その貯蔵、運搬形態としての水素という話で整理しなければならないだろう。
確かに、水を燃料とするなら有望とはいえないな。
水素の供給は、水から作るのではなく、当面は化石燃料である天然ガスを当てにしなければならない。
指摘にあるように、発電した電力を使って水素を作るくらいなら、最終エネルギー形態である電気を、そのまま使う方が正解だろう。
また、貯蔵方法も、固定用途でよければ、電池の方が簡便である。
わざわざ水素に変換することはない。
水素が優れている点は、圧縮貯蔵が可能で、そこからエネルギーを取り出す際に、二酸化炭素を排出しないという点に尽きる。
全ての化石燃料は、エネルギーを取り出す際に二酸化炭素を発生させる。
また、一般には、電力を使って化石燃料を生産することは出来ない(詳しくは知りませんが)。
だから、そもそも、化石燃料と水素を比較しようということ自体がおかしな話なのだ。
電気を使って作り出すことが出来る化石燃料との比較でなければならない。
もちろん、そんなものはないし、もともとが話にならないのだ。
そうはいっても、水素を使ってうまく文明を回していく方法は、これからの課題だ。
長期的に見れば、太陽エネルギーと光合成で、二酸化炭素から植物が作り出され、植物に寄生する動物が増え、それらが変質して化石燃料が出来上がり、それを燃やして二酸化炭素を発生させているというのは、太陽エネルギーを植物の光合成を通じて化石燃料にストックしているのだともいえる。
今後もどんどん二酸化炭素を発生させて、植物の光合成を盛んにさせ、将来の化石燃料の製造に貢献するというのも文明のあり方かもしれない。
百万年のオーダーで考えれば、別に水素社会を作り上げる必要はない。
化石燃料が出来るまで、地球の営みを待てばいいのだ・・・。
うーん、そんなには待てない!。
そんなせっかちな人類のための、手っ取り早い解決方法が水素なんだろう。
化石燃料の天然ガスから、エネファームで燃料電池発電して、さらに太陽電池で発電して、余った電気はリチウムイオン電池に溜めて、お湯とかは太陽光や燃料電池の発熱などで賄い、電気自動車(近距離)や燃料電池車(概ね200km以上の走行距離)を活用するというのが、22世紀の普通のライフスタイルだろう。
工場や大規模施設、物流などの大型移動体など、どうしても使わざるを得ないところだけに、炭化水素たっぷりの化石燃料を使い、エネルギー密度低く、貯蔵が難しく、効率悪い水素を上手に使っていくしかない。
当面は、化石燃料との共存になる。
確かに、21世紀は有望じゃないかもしれないな。
その意味では、この分析は正しい。
22世紀に期待することにしよう。
(燃料電池車の導入を指示 菅長官、府省庁の公用車に「水素社会実現のため」)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140725/plc14072513420020-n1.htm
「菅義偉官房長官は25日午前の閣僚懇談会で、全府省庁で公用車への燃料電池車導入を徹底するよう指示した。水素を燃料とする燃料電池車の利用推進は成長戦略に盛り込まれており、普及を後押しするのが狙い。」
当面は、燃料電池車くらいかなあ。
水素は21世紀の代替燃料にはなりえない。
ちょっと衝撃的なキャッチだが、記事を読むとなるほどと思う。
(水素は21世紀の代替エネルギー源にはなり得ない…フロスト&サリバン)
http://response.jp/article/2014/07/25/228502.html
この記事のポイントと突っ込みどころは、いくつかある。
・水から水素を抽出する電気分解のプロセスでは、抽出された水素が有する発電量よりも多い電力が消費されてしまう
→当然の話だ。もしも、投入される電力より多くの化学エネルギーが得られるなら、物理化学の法則は崩壊する。
・水素はほぼ全ての格納容器から通り抜けてしまうため、貯蔵が非常に難しい。圧縮水素の場合、放出される水素は大気放出よりも少ないが、水素を圧縮する工程で使用可能な水素エネルギーの約2%が消費されてしまう。
→水素の性質により避けがたいが、圧縮にかかる2パーセントのロスは、決定的な要素ではない。
・水素を電力として利用するためには、(水から水素に変換し、さらに)水素から電力への変換が必要である(ため、複数回のプロセスを要する)。
→既に水素があるならば、変換は一度で済む。
・電力として用いられるエネルギーを電池に貯蔵する方が、水素を貯蔵タンクに保存する方法よりも簡単で、コストも低い。
→そのとおり。しかし、電池からも放電してエネルギーが失われること、電池は充放電を繰り返すことにより劣化し、寿命があること、最も軽いリチウムイオン二次電池でも、自動車用の蓄電池としては重く、コストもかかることを無視している。
この記事の内容からは、詳細なデータは分からないが、上記のポイントから21世紀の代替燃料とならないという結論を導くとは、大したものだ!。
全ては、石油や石炭、天然ガスといった炭化水素を燃焼させるプロセスを前提とした、化石燃料との比較である。
炭化水素を燃焼させれば、二酸化炭素が発生し、それが地球温暖化の原因の一つになっていて、世界は今、この問題に取り組んでいる。
そんなことは、全く無視して、燃料としての経済効率だけを追求している。
また、化石燃料は数万年という短期的には枯渇が確実で、未来永劫文明を支えていくわけには行かない。
この記事の内容を要約すると、「水は21世紀の代替エネルギー源にはなり得ない」とするのが適当だ。
それなら、納得できる。
話は、水を電気分解して水素を得るところからスタートしているので、燃料としては水ということでなければ辻褄が合わない。
その貯蔵、運搬形態としての水素という話で整理しなければならないだろう。
確かに、水を燃料とするなら有望とはいえないな。
水素の供給は、水から作るのではなく、当面は化石燃料である天然ガスを当てにしなければならない。
指摘にあるように、発電した電力を使って水素を作るくらいなら、最終エネルギー形態である電気を、そのまま使う方が正解だろう。
また、貯蔵方法も、固定用途でよければ、電池の方が簡便である。
わざわざ水素に変換することはない。
水素が優れている点は、圧縮貯蔵が可能で、そこからエネルギーを取り出す際に、二酸化炭素を排出しないという点に尽きる。
全ての化石燃料は、エネルギーを取り出す際に二酸化炭素を発生させる。
また、一般には、電力を使って化石燃料を生産することは出来ない(詳しくは知りませんが)。
だから、そもそも、化石燃料と水素を比較しようということ自体がおかしな話なのだ。
電気を使って作り出すことが出来る化石燃料との比較でなければならない。
もちろん、そんなものはないし、もともとが話にならないのだ。
そうはいっても、水素を使ってうまく文明を回していく方法は、これからの課題だ。
長期的に見れば、太陽エネルギーと光合成で、二酸化炭素から植物が作り出され、植物に寄生する動物が増え、それらが変質して化石燃料が出来上がり、それを燃やして二酸化炭素を発生させているというのは、太陽エネルギーを植物の光合成を通じて化石燃料にストックしているのだともいえる。
今後もどんどん二酸化炭素を発生させて、植物の光合成を盛んにさせ、将来の化石燃料の製造に貢献するというのも文明のあり方かもしれない。
百万年のオーダーで考えれば、別に水素社会を作り上げる必要はない。
化石燃料が出来るまで、地球の営みを待てばいいのだ・・・。
うーん、そんなには待てない!。
そんなせっかちな人類のための、手っ取り早い解決方法が水素なんだろう。
化石燃料の天然ガスから、エネファームで燃料電池発電して、さらに太陽電池で発電して、余った電気はリチウムイオン電池に溜めて、お湯とかは太陽光や燃料電池の発熱などで賄い、電気自動車(近距離)や燃料電池車(概ね200km以上の走行距離)を活用するというのが、22世紀の普通のライフスタイルだろう。
工場や大規模施設、物流などの大型移動体など、どうしても使わざるを得ないところだけに、炭化水素たっぷりの化石燃料を使い、エネルギー密度低く、貯蔵が難しく、効率悪い水素を上手に使っていくしかない。
当面は、化石燃料との共存になる。
確かに、21世紀は有望じゃないかもしれないな。
その意味では、この分析は正しい。
22世紀に期待することにしよう。
(燃料電池車の導入を指示 菅長官、府省庁の公用車に「水素社会実現のため」)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140725/plc14072513420020-n1.htm
「菅義偉官房長官は25日午前の閣僚懇談会で、全府省庁で公用車への燃料電池車導入を徹底するよう指示した。水素を燃料とする燃料電池車の利用推進は成長戦略に盛り込まれており、普及を後押しするのが狙い。」
当面は、燃料電池車くらいかなあ。
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