断酒2014年07月30日 18:09

断酒


禁酒としなかったのには訳がある。

(禁酒と断酒の違いを教えて下さい。)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1364460533

「●禁酒
・誰かに酒を飲まさないようにすること。
・飲まないように我慢していること。
・酒を飲む人から酒をとり上げようとすること。
・酒のない社会を目指すこと。」

「●断酒とは?
・自分自身で、酒を飲まない生き方を選び、実践すること。
・酒を飲まないだけでなく、より心の健康を増進させる(成長する)為の努力を通じ、アルコール依存症から回復していくこと。
・素面で生きること。
・世の中の酒は他人の問題だからとやかく言わないが、自分は酒を飲まない生き方を目指すこと。」

「*禁酒は、酒との闘い、断酒は、アルコール依存症者自身の生き方の選択。
・人は変えられないが、自分の生き方は自分の努力で変えられるものです。」

あのー、浮沈子は、人の努力で自分の生き方を変えてもらいたいんですけど・・・。

まあいい。

人類の歴史は、酒の歴史でもある。

(酒)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%92

タバコと違って、大っぴらに効用が謳われている。

「効用:
・食欲の増進
・ストレスの解消
・コミュニケーションの円滑化
・疲労回復
・健康食品として
・死亡率の低下」

最後の死亡率の低下というのは、摂取量との兼ね合いがある。

「日本人の場合全くアルコールを飲まない場合よりも、一日あたりの純アルコール摂取量として、男性の場合10~19g、女性の場合微量~9gのアルコールを習慣的に摂取した場合に最も死亡率が低くなるとされている。しかし同時に、これらの量を超えてアルコールを摂取し続けた場合は、全くアルコールを飲まないのと同程度か、それ以上に死亡率が高まるとしている」

10gのアルコールというのは、ビールだとコップに2杯だ。

ワインだったら、グラスに3分の1くらいか。

うーん、そんなんで飲んだ気にはなれない。

アルコールの害については、今さらいうまでもない。

「健康への影響など:
・アルコール依存症
・がん
・肝臓ガン
・食道ガン
・喉頭ガン
・喉頭(コウトウ)がん
・口腔ガン
・脳の萎縮」

脳の萎縮については、先ほどの少量の飲酒を継続的に行っている人にも、リスクが確認されているようだ。

「「適量」と呼ばれている少量の飲酒であっても、脳の萎縮が起こり、過去の飲酒の影響も残り続けるため、脳の萎縮という観点から見れば、アルコールに適量は存在しないと言える。」

社会的なリスクについても、指摘されている。

「飲酒と社会:
・暴力
・自殺
・飲酒運転による死亡事故
・貧困
・社会的損失」

「飲酒が全面的に禁止されることは少ないが、一部の厳格なイスラム教国は例外である。」

「またアメリカには、飲料用アルコールの製造・販売等を禁止するアメリカ合衆国憲法の改正(俗に言う「禁酒法」)が行われていた時期があり、現在でも一部の郡では酒類の販売が禁じられている。」

「日曜日に酒類の販売を制限している自治体も多い。」

「また、インディアン居留地ではアルコール依存症を防止するために飲酒を禁じているところがある。」

「また、欧米などでは、屋外や公園などの公共の場所での飲酒を禁止しているところが多く、日本の花見のような光景は見られないことが多い。」

まあ、どんな社会でも、度を越して羽目を外すことを許容するのは限られている。

「イスラム教国の例:
・サウジアラビア
飲酒・所持・国内持込は全面禁止。
・クウェート/イラン/イエメン/イラク/アフガニスタン
飲酒は全面禁止。
・アラブ首長国連邦
内務省の許可の下、非イスラム教徒の外国人のみが、飲酒を認められる。
・パキスタン/バングラデシュ
イスラム教徒の飲酒は禁止であるが、一部の飲食店などは飲酒が認められる。」

しかし、こんな記述もある。

「イスラム教では、飲酒の効用は認めつつも酒癖や健康上などの弊害が多いことを理由に飲酒を避けることを強く推奨していることに加え、酒に酔って神にお祈りすることを禁じているため1日に5回もの頻繁なお祈りが義務付けられたムスリムには酔っている時間がなく、飲酒はできないことになっている。」

「しかし実際には多くのムスリムが適度な飲酒なら問題ないと考え、飲酒を楽しんでおり、事実上黙認されている。イスラム世界でもキリスト教徒やユダヤ教徒による醸造は許されたことが多く、飲酒文化が保持された。」

「古来より飲酒をするムスリムは非常に多く、ルバイヤートなどでは飲酒の快楽が述べられている。現代でも比較的世俗的なトルコ、エジプトなどでは飲酒が盛んである。」

(イスラム教における飲酒)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%A0%E6%95%99%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E9%A3%B2%E9%85%92

「イスラム法では飲酒を明確に禁止している。」

「公式行事での飲酒は避けることが多く、日本を訪問したイスラム圏の元首や王族などが皇居で催される宮中晩餐会や午餐会での乾杯の際用いられる通常ならシャンパンを同色のりんごジュースやジンジャーエールなどで代用することもしばしばあるという。」

ただし、実体としては飲酒の習慣はあるようだ。

宗教が絡むというのも、酒に特有の現象だな。

脳を麻痺させ、理性を失わせるアルコールというのは、神に対する冒涜なのだろう。

一神教では、その傾向が特に強いのかもしれない。

「酒は、神が人間に与えた麻薬だ」

先日、ルマン観戦でご一緒した方が、そう喝破されていた。

人間は、放っておくと、どんどん賢くなって、神に近づいてしまうので、酒を与えて適度にボーっとさせておくのだという。

浮沈子が酒を止めたのは、大深度潜水(概ね40m以上)の直後のビールを禁じられたからだが、その時だけ止めて、他では飲むという器用なことは出来ないと思った。

だって、一番飲みたいときに飲めないんだから・・・。

基本的に意志が弱いので、どうせなら、スパッと止めてしまった方が守れそうな気がしたからということもある。

そのころは、既にアルコール依存になり始めていたということもある。

アルコール依存の症状の一つに、酒を飲まないという選択肢がなくなるということがあるらしい。

(アルコール依存症)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E4%BE%9D%E5%AD%98%E7%97%87

「一見すると本人が自分の判断で好んで飲酒しているようにみえ、患者自身も好きで飲酒していると錯誤している場合が多い。」

「アルコール依存症になった者が元の機会飲酒者に戻ることはほとんど不可能であるとされている。」

「たとえ身体的に回復し、数年にわたる断酒を続けていた者であっても、一口でも飲酒をすることによって再び元の強迫的飲酒状態に戻ってしまう可能性が非常に高い。」

「そして、進行性の病気であるためにさらに症状は悪化していく。つまり、悪くなることはあっても、決して良くなることはない病気であり、寛解(かんかい)の状態で再発つまり再飲酒をどう防ぐかが治療の重要な点となる。」

浮沈子は、生きている限り酒を飲むことはないだろう。

酒のない人生である。

しかし、それは、人生のない酒より余程いい。

「一度アルコール依存症になってしまうと治療は難しく、根本的な治療法といえるものは現在のところ断酒しかない。」

「しかし本人の意志だけでは解決することが難しいため、周囲の理解や協力が求められる。重度の場合は入院治療が必要な場合もある。」

「但しそれでも完治することはない不治の疾患であり、断酒をして何年、十何年と長期間経過した後でも、たった一口酒を飲んだだけで、遅かれ早かれまた以前の状態に逆戻りしてしまう。」

「そのため、治療によって回復した場合であっても、アルコール依存症者が一生涯断酒を続けることは大変な困難を要する。」

こんな記述もある。

「2002年に国立アルコール乱用・依存症研究所は、アルコール依存症の会合に参加する4,422人のグループに対して調査を行った。」

「結果、1年後には一部の人々は低リスクの飲酒を行っていると著者は判断したが、いまだ25.5パーセントのグループは治療を受けていた。」

「詳細は25パーセントはいまだ(はいまだ)依存のまま、27.3パーセントはいくつか症状が残っており部分寛解、11.8パーセントは症状が現れることなく飲酒を続けている(飲酒は再発可能性を増加させる)、35.9パーセント完全回復、17.7パーセントは低リスク飲酒者、18.2パーセントは断酒」

35.9パーセントの完全回復というのは、何を指しているのかが不明だが、再発可能性を孕んだままでいるということなのだろうか。

(2001-2002 Survey Finds That Many Recover From Alcoholism:元ネタ)
http://www.nih.gov/news/pr/jan2005/niaaa-18.htm

NIHだったんですねえ。

久里浜辺りかと思ったんだが。

(久里浜医療センター)
http://www.kurihama-med.jp/

これを見ると、浮沈子はネット依存の方が問題かもしれないな。

さて、ダイビングとアルコールの関係については、水中という環境が危険であるために、判断力を失わせる薬物は禁忌であり、ダイビング前のアルコールは当然禁じられている。

これについては、知る限りのどの指導団体でも同じだ。

前日の飲酒も控えめにすることが求められている。

なぜなら、水中では体内に残っているアルコールの効果が増幅されることが知られているからだ。

ダイビングの前の晩は飲まないのがよろしい。

(アルコールの処理にかかる時間:キリンビールのページ)
http://www.kirin.co.jp/csv/arp/fundamental/time.html

「アルコールの処理にかかる時間=純アルコール量/肝臓の処理能力」

「一般に体重60~70kgの人のアルコール処理能力は1時間に純アルコール約5gとされています。」

「WHO(世界保健機関)では、10gの純アルコールを含む飲料を1ドリンクと定義しています。」

「1ドリンク相当量:
ビール 中びん1/2本
日本酒 1/2合
ウイスキー シングル1杯」

つまり、単純計算で、中びん1本のビールが醒めるまでに、2時間かかるというわけだ。

人によっても違ってくるが、中びん4本飲んだら、翌朝にはまだ残っていると考えた方がいいだろう。

(原因&誘因)
http://www.divingmedicine.jp/decompression/d_2.html

このページは、もっと厳しい。

「前夜ビール1本または日本酒1合以上飲んでいたらチェック」

2ドリンクで8時間空けてもリスクファクターになるというこどだ。

4本(8ドリンク)なんて飲んだら、ダイビング中止であるな。

(減圧症)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%9B%E5%9C%A7%E7%97%87

「予防:
潜水直後の飲酒は減圧症を招きやすく危険である。」

あれま、ちゃんと書いてあるな。

(ダイバーの飲酒について)
http://www.geocities.jp/nagareko_diving_team/tech/07_alcol/index.html

前回も登場の、CCRユーザーの方である。

この記事を読むと、ダイビング前後の飲酒なんて有り得ないことが分かる。

まあ、それでなくても窒素酔い(最近は、ガス昏睡という)があるので、水中でアルコールの影響があるなんて事は絶対に避けるべきだ。

もう、自殺行為である。

脱水とか考えれば、コーヒーだってダメなんだろうが、こればっかりは浮沈子は止められない。

(WHO世界戦略への経緯)
http://alhonet.jp/who.html

「WHO世界戦略への経緯:
・2003年頃
「たばこ規制枠組み条約」が採択。
アルコールをめぐる議論が高まり始める。
・2004年
「世界で250万人がアルコールに関連した原因で死亡(32万人の15~29歳の若者を含む)」「アルコールの有害な使用は、すべての死の3.8%を占める」とする報告書がまとまる。
・2005年
有効な戦略とプログラムを、開発・実施・評価するよう加盟国に要請
・時期不明
スウェーデンが他の42カ国とともに、たばこのような国際基準を求める共同提案を提出。
・時期不明
危機感をもった世界の大手酒類メーカーは連携して、自主規制による対策で十分であるとアピール。
・時期不明
アメリカ・日本など消極派の反対で、国際基準づくりには合意が得られず
・2010年5月
「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」採択」

広告規制や、安売りや飲み放題の禁止や制限、課税や最低価格制による酒の価格引き上げなどを含む、幅広い対策を求めている。

(アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略)
http://alhonet.jp/pdf/who2010.pdf

この中に、興味深い記述があった(36ページから37ページ)。

「強力なエビデンスの裏付けがあるのは、血中アルコール濃度に十分な制限(0.02%-0.05%)を加えることが飲酒運転による大事故の低減に効果的であるという結論である。徹底した無作為の呼気検査、つまり一つは定期的に警官が運転者を無作為に停止させ、血中アルコール濃度の検査を行なうもの、もう一つは、選択的呼気検査というもので、自動車を停止させて飲酒運転の疑いがある運転手には呼気検査を受けさせるというものだが、この二つの方法により、アルコール関連の傷害や死亡事故は低減している。」

我が国では普通に行われている取締りである。

「血中アルコール濃度が許容値を超えた場合は行政により運転免許を停止し、アルコールに関連した病気には強制的にカウンセリングや治療を受けさせ、飲酒運転常習者にはイグニション・インターロックを使用させることなどが、ある程度有効であるという。」

インターロックかあ。

CCRにアルコールセンサーを付ければ、可能だな。

タイプAとかいって、PADI指定のモデルを作ってはどうか(Aはもちろん、アルコールのA!)。

プレブリージングをせずに潜ってしまったら、元も子もないんだが。

まあ、どうでもいいんですが。

ダイビングとアルコールは、飲酒の習慣がある方にとっては、切っても切れない関係にあるといえる。

潜る前はともかく、エキジット後の一杯がなければ、一体何のために潜るのか。

浮沈子は、3年半前まで、それを楽しみに潜ってきただけに、その気持ちは良く分かる。

そして、ダイビングを続ける楽しみと、アルコールを身体に入れて、脳やその他の臓器の機能を阻害し続けることを量りに掛けて、ダイビングを選んだ。

もう二度と、機会飲酒の習慣には戻れない。

きっと、再び依存状態になってしまって、ダイビングが出来ないことになるだろう。

喫煙と違って、浮沈子の場合は断酒を継続することに、それほど苦痛は感じないで済んでいる。

重症化する前に、依存を断ち切ったのが良かったかもしれない。

ちなみに、断酒する直前は、休肝日を週に1日設けて、それ以外は、生ビールの中ジョッキーを2杯、晩酌に飲むという状態だった。

職場の飲み会を月に1回行う以外は、殆ど飲まなかったのだが、毎日1杯飲むようになり、それが2杯になった時、ヤバイと気付いた(その店には、それ以後は行っていません)。

ダイビングをきっかけにはしたが、依存の兆候を自覚できていたことが大きい。

タイのピピで、アイリッシュコーヒーに結構なアルコールが入っていたのを飲んだ以外(飲んでから気付いたんですが)、1滴のアルコールも飲まずに過ごしている。

スーパーやコンビニで酒類のコーナーを通り過ぎても、誘惑に駆られるようなことはない(この時期、たまに、缶ビールが気になることはありますが)。

テレビを見なくなったというのも大きいかもしれないな。

酒類の広告は、時期的に集中して流れていたような記憶がある。

しかし、タバコと違って、アルコールの規制は、困難を極める。

有史以来、人類の絶ち難い欲求を、適正にコントロールするというのは社会の課題であり続けている。

しかし、ことダイビングについては、自動車運転と同様の規制が求められているといえよう。

法的規制が掛かるのを待つのか、自主的に規制していくのか。

それは、禁酒ではなく、断酒であるべきだと浮沈子は考えている。

ダイビングの現場にいて、他人が酒を飲むのを止めさせるということは、なかなか困難である。

ただ、明らかにアルコールの影響が残っているダイバーとバディを組まされそうになったら、浮沈子は(ご本人ではなく)ショップやサービスに理由を言って、丁重にお断りしようと思っている。

そういうダイバーを、ショップやサービスがどう扱うべきかというところから、問題提起しつつ対応を促していくしかあるまい。

幸い、去年から今年前半に掛けての一連のオープンサーキットダイビングでは、そのような状況に陥ることはなかった。

自己責任を果たすには、自己管理を行うしかない。

自己管理は、自己点検と自己評価、そして明確な自己基準に従った自己決定あるのみである。

浮沈子にも、いつかダイビングを諦める時が来る。

何度も書くが、ダイバーの末路は2つしかない。

ダイバー止めるか、人間止めるか。

ダイバーの末路として、穏やかに引退する日が来ることは覚悟している。

その朝、もう二度と再びフィンを履くことはないと自ら決める時、一点の曇りなく清明に決断できるかどうか。

うじうじして、迷いに迷って、思い切り後ろ髪引かれながら(前髪、ないんで・・・)、いやいや諦めることになるのか。

まあ、後の方だろうな。

でも、それでも、誰に迷惑を掛けることもなく、無事に引退できればそれでいい。

酒に酔って判断を誤ったり、環状動脈詰まって心臓が止まったり、頭の中の血管が詰まったり、破れたりして、他のダイバーを巻き込んで事故って引退するよりは100倍いい。

それまでのダイビングの一つ一つを大切にしていきたい。

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