字幕 ― 2014年08月02日 16:56
字幕
先日買ったリブリーザーダイビングのDVDの字幕を読んでいる。
ヒアリングだけでは聞き取れないので、字幕を出して、ポーズボタンで止めて、じっくりと読む。
意味が分からない単語は、字幕をスマホで撮影して、自動翻訳してくれるソフトに頼る。
しかし、字幕(解説?)が多いビデオだな。
センテンスが途中で途切れているということもあるが、それはそれで、1画面に表示される字幕の量が一定なので、テキストコンテンツの量に比例しているといえる。
ざっと数えて、500を超える(!:既にスペリングミス1か所と、重複を1か所発見!)。
これは、ビデオの字幕としての数なので、途中に画像として出てくる注意書きや解説などは含まれない。
内容を直接ここに書くわけには行かないが、いくつか気になることがあるので書いておく。
まず、全体の構成だが、如何にリブリーザーが準備やチェックに時間が掛かるとはいえ、水に入るシーン(イントロを除く)は全体が50分34秒(クレジット含む)の中で、19分ジャストである。
それまでは、延々と組み立て前の準備や実際の器材の組み立て、プレダイブチェックの話が続く。
確かに、CCRの場合、浮沈子に限らず、ダイビングの準備に時間がかかるということはあるだろう。
さらに、そこで何か手順を誤ったり、抜かしたり、エラーの警告を無視したり、意図的にメーカーの指示と異なる行為を行った場合の影響は決定的だ。
命にかかわる。
ハッキリ言って、死ぬ・・・。
このビデオの価値は、この19分間にあるといってもいい。
水に入ったときには、リブリーザーダイバーの運命は決まっているのだ・・・。
浮沈子の場合、CCR(インスピ)のダイビングは、準備に1時間(ソフノライムのパッキング含む)、ダイビングが1時間、片付けが1時間というペース配分である。
時間管理のソフノライムの場合、密封のうえで、繰り返して使うことがあるので、その場合には多少準備の時間が短くなるが、30分は掛かる。
片付けは、どこまでやるかによるが、次回の予定がなく、完全にしまう場合は、乾燥時間があるので丸一日掛かるともいえる。
翌日にダイビングがある場合は、カウンターラングを洗ったり、ホースを外してリンスする程度だが、それでも30分は見ておいたほうが無難だ。
余程慣れて、スムーズにいった場合でも、準備にかかる時間が30分を切ることは稀である(念のため、準備や後片付けが早いことには、何の価値もない。自分のペースで行えばいいだけだし、マニュアルでは、ゆっくり行うことを推奨している)。
プレブリージングしたり、いろいろ忙しいのだ。
それにしても、19分も経って、ようやくダイビングが開始されるというのが、このビデオの最大の特徴だな。
肝心のスキルについては、まあ、これってこうなのかあ?、というのもあるにはあるが、概ね想定の範囲内である。
しかし、何度見ても、ベイルアウトの際、呼吸回路のマウスピースを開いて浮上に伴って膨張する回路内のガスを逃がすというのがしっくりこないなあ・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
一つには、両手が塞がれるということ、もうひとつは、カウンターラングのOPVから排気した方が、浸水のリスクが少ないということ。
まあ、PADIとしては、器材によって対応が異なるOPVからの排気より、共通のアイテムであるマウスピースを選んだのかもしれない。
浮上時に一番上にあるという、一応もっともらしい理由もあるし・・・。
器材としては、インスピ(エボリューション)が出てくるが、ディリュエント側のマニュアルインフレーターについては、プレダイブチェックの中でも確認するシーンがあるので、小道具さんのミスではない。
しかし、当然、大部分のシーンで登場するマーク6には、そんなものはないし、eSCRのエクスプローラー(モデルさんが背負っているだけで、殆ど操作系の説明には出て来ない)にもない(そもそも、カウンターラングが背中のケースの中にある)。
インスピといえば、ベイルアウト用のセカンドステージを、ロングホースで右側から出しているというのも気になる点だ。
24章の中で、しっかりと使用されている。
ご存知のように、インスピには、オートエアという、まあ、Sプロのエア2みたいに、パワーインフレーターの先にセカンドステージが付いたやつがある。
浮沈子はイントラの勧めもあって、また、調子が悪かったこともあって、普通のパワーインフレーターと別体のセカンドステージに換えてしまったが、ビデオの中では、当然、オートエアのまま、セカンドを増設するコンフィギュレーションになる。
オートエアから、オクトパスブリージングを行うことも、物理的に不可能ではないが、BCDからの排気の問題もあるので普通はしないな。
もちろん、マーク6の方はオートエアのようなものはなく(SプロのBCDなら別ですが)、ジェットストリームというチャチなセカンドを付けている。
エクスプローラーは、水中のシーンには登場しないので、詳細は不明だ。
インスピに、ディリュエント側のマニュアルインフレーターが付いているというのは、ちょっと解せない。
ADVだって、シャトオフバルブ付きで、ちゃんと装備されているのに・・・。
PADIのリブリーザーテキストの25ページにもインスピの写真があるが、ここにもしっかりと青いプッシュボタンが写っている(良く見ると、57ページ、130ページ、142ページ、170ページ、180ページでも確認できる)。
しかもだ、念のために確認した17ページのCCRの構成図のなかには、12番として、マニュアル・ディリュエント・バルブと明記されているではないか!。
ははあ、少なくともインスピでは、SCRモードでの運用は、構造的には出来るようになっているんだ・・・。
タイプRだからって、舐めてかかるとヤケドするぜ!。
まあいい。
オープンサーキットのダイバーと一緒に潜る時の注意点(7つ)とか、事故に繋がる5つの神話など、テキストの内容を整理してコンパクトに纏めている(それぞれ、149ページ、155ページ)。
ビデオの中では、プレブリージングの重要性も繰り返し出てくる(プレダイブチェックのところでは当然だが、それ以外のところでも2回出てくる)。
二酸化炭素を除去するソフノライムの有効性を確認するには、プレブリージング(人体実験だな)するしかないのだ。
テンプスティック(インスピの温度計)は、反応熱を測っているだけで、実際に除去されているかどうかは分からないし、二酸化炭素センサーも、作動させるためには、呼吸してみなければ話にならない。
水中で人体実験してもいいが、命の補償は一切ない(良い子は真似しないでね!)。
陸上の、気を失って倒れても、怪我をしないところで行うのが正しい(考えてみれば、野蛮なテストであるな)。
浮沈子の場合は、インスピでは水面移動中に仰向けに泳ぎながら行う(まあ、リスキーですが)。
それでも、ソフノライムを詰め替えた時には、陸上でじっくりと5分以上掛けて、テンプスティックの目盛りが2つ変わるくらいを目安に行っている。
これは、当然、二酸化炭素だけではなく、ADVの動作や酸素の供給がちゃんと行われているかを確認する意味もある(限界はあります)。
陸上なのでローセットポジション(デフォルトでは、0.7)になっているが、こいつを維持できるかどうかを液晶画面とにらめっこしながら確認するわけだ。
インスピの場合は、これをしながら、3つの酸素センサーの本日のご機嫌を伺っているということもある。
高めに出るのか、低めに出るのか(もちろん、キャリブレーションは自動で行われている)、応答性はどうか、そろそろ交換した方がいいのかどうか。
プレブリージングは重要だ。
ネガティブリークテストと共に、ユーザーが関与しなければ行えないチェックであり、おそらくは自動化出来ない最後のチェックでもある(酸素を消費して、二酸化炭素を吐き出すロボットにやらせればいいんじゃね?)。
テキストでもビデオでも、鼻を摘めとしつこく書いてある。
浮沈子も、陸上では、一応そうしている。
鼻から、回路の外の新鮮な空気を吸い込んでしまえば、チェックの意味がない。
一つには、確かに(二酸化炭素が濃くなって不快になるという)人体実験の意味がなくなってしまうからだが、酸素センサーの値の変動にノイズが入ることになるし、インスピの場合、外部の空気が入って、スクラバーに当たる二酸化炭素が薄まってしまうとチェックに時間がかかるということもある。
マスクを着けて行うという方法もあるが、熱帯の陸上では避けたいところだな(水面移動中は、当然こっち)。
浮沈子は、やったことはないが。
シンクロナイズドスイミングの洗濯ばさみがいいかも知れない。
シンクロ用ノーズクリップ(鼻栓)
http://review.rakuten.co.jp/item/1/226856_10000016/1.1/
「買って良かった
小鼻&高くしたくて購入しました。」
これって、美容器具なのかあ?。
いずれにしても、プレブリージングは重要だな。
リブリーザーダイバーの性格的な問題についても触れている(テキストでは、198ページから)。
浮沈子のような性格(忘れっぽく、おっちょこちょいで、慎重さに欠け、計画性がなく、気が多く、流されやすく、興味本位で動き、ちょっと出来るようになると自信過剰になって、自己満足に陥りやすい)は、リブリーザーダイバーに向かない。
愚直で、慎重で、ルールを厳守し、一つ一つを確認しながら行う性格がいい。
字幕やテキストでは、違う表現になっているが、要するに、リブリーザーダイビングにおける原則からの逸脱というのは、死に繋がるということだ。
本質的には、性格の問題ではなく、認識の問題である。
そのチェックを行わなかった場合に、どんなリスクが伴うのか、その結果はどうなるのか、その警告を無視した時の影響は何なのか、生きて戻ることが出来るのか。
ハッキリ書いておこう。
リブリーザー、馬鹿は死ななきゃ、潜れない!。
リブリーザーは、頭で潜る潜水器である。
器材に関する広範で深い理解、潜水器としての原理と構造を本質的に理解し、内在する多くのリスクを認識し、チェックや警告が何を意味するのかを把握していなければ、まともに運用することなんてできっこない。
手順だけを覚えて(記憶に頼ることは禁じられていますが)、組み立てやプレダイブチェックを行っても、その意味を理解していなければ、行為の質に違いがでてくるのだ。
計算が速いとか、記憶容量があるとか、論理的思考を多段階で行うことができるとかいう、いわゆる頭の良さではなく、物事を深く理解し、その行為を、原理原則に従って分かった上で行うことが出来るかどうかを問われている。
Oリングにひびがあったら、どうするか。
グリスでごまかすのか、ちゃんと交換するのか、手持ちがなければダイビングを中止するのか。
そもそも、そんなOリングを点検もせずに、ダイブサイトに行くのか。
プレダイブチェックを、ダイブサイトで行うというのは、映像の見栄えから言って、仕方ないとは思うが、こんなことは、本当なら1か月前に自宅で行っておくに決まっている(もちろん、潜る直前にもやりますが)。
ソフノライムの確認は仕方ないとしても、それ以外は、いつでもどこでも出来るし、不具合に対応するためのリードタイム(インスピの場合、英国から部品を輸入するわけだし)を考えると、1か月前というのは、大げさでもなんでもない。
そういったことが嫌なら、リブリーザーで潜る資格はないのだ。
軍隊や商業的な潜水で、メンテナンスにたっぷりとお金や時間や手間を掛けられることを前提に開発された器材である。
元々、巷で宣伝されているようなリブリーザーのメリットを、骨の髄までしゃぶろうというなら、レクリエーショナルレベルでは足りない。
従来のオープンサーキットで十分だし、レンタルも含めて、余程サービスは充実している。
潜水器の王道を行くリブリーザーは、環境圧ダイビングの限界を広げる潜水器だし、限られた条件の中でのメリットを味わうためのものでもない。
リブリーザー(まあ、CCRですが)との付き合い方を覚えたら、是非ともテック40CCRや、テック60CCR、できればテック100CCRまで進むべきだろう。
31章のチャプターのうち、純粋にリブリーザーダイビングのスキルといえるのは、6章から19章までである。
1章はイントロダクション、2章から5章までは準備、20章から26章はトラブル対応、27章はオープンサーキットのバディと潜る時の注意事項だし、28章は後片付け、29章から31章は心構えだ。
しかし、この章立てというのが、リブリーザーの性質を良く現しているといえる。
極論すれば、リブリーザーダイビングは、準備とトラブル対応、心構えが全てである。
潜ってしまえば、そして、器材がまともに動いていれば、難しいことは何もない(中性浮力は別!)。
普通に呼吸し、普通に泳ぎ、普通に液晶画面をチェックする。
それだけである。
潜行や浮上の際に、多少面倒なことがあるとしても、それはドライスーツの運用よりも容易なはずである(浮沈子は、詳しくは知りません)。
鼻からの排気が出来るし、ADVもあるわけだし。
500を超える字幕を読んで、それでも、たぶん、相当圧縮したのだろうと思われる。
原稿を書いた方は、もっともっと伝えたいことがあったに違いない。
紙のテキストだって、削りに削って纏めたに決まっている。
器材の扱いという、リブリーザーの運用の要の部分を、メーカーのマニュアルに委ねてあるとしてもだ。
リブリーザーダイビングの、ほんのさわりに過ぎない。
それにしても、インスピのディリュエント側のマニュアルインフレーターが気になるなあ!。
先日買ったリブリーザーダイビングのDVDの字幕を読んでいる。
ヒアリングだけでは聞き取れないので、字幕を出して、ポーズボタンで止めて、じっくりと読む。
意味が分からない単語は、字幕をスマホで撮影して、自動翻訳してくれるソフトに頼る。
しかし、字幕(解説?)が多いビデオだな。
センテンスが途中で途切れているということもあるが、それはそれで、1画面に表示される字幕の量が一定なので、テキストコンテンツの量に比例しているといえる。
ざっと数えて、500を超える(!:既にスペリングミス1か所と、重複を1か所発見!)。
これは、ビデオの字幕としての数なので、途中に画像として出てくる注意書きや解説などは含まれない。
内容を直接ここに書くわけには行かないが、いくつか気になることがあるので書いておく。
まず、全体の構成だが、如何にリブリーザーが準備やチェックに時間が掛かるとはいえ、水に入るシーン(イントロを除く)は全体が50分34秒(クレジット含む)の中で、19分ジャストである。
それまでは、延々と組み立て前の準備や実際の器材の組み立て、プレダイブチェックの話が続く。
確かに、CCRの場合、浮沈子に限らず、ダイビングの準備に時間がかかるということはあるだろう。
さらに、そこで何か手順を誤ったり、抜かしたり、エラーの警告を無視したり、意図的にメーカーの指示と異なる行為を行った場合の影響は決定的だ。
命にかかわる。
ハッキリ言って、死ぬ・・・。
このビデオの価値は、この19分間にあるといってもいい。
水に入ったときには、リブリーザーダイバーの運命は決まっているのだ・・・。
浮沈子の場合、CCR(インスピ)のダイビングは、準備に1時間(ソフノライムのパッキング含む)、ダイビングが1時間、片付けが1時間というペース配分である。
時間管理のソフノライムの場合、密封のうえで、繰り返して使うことがあるので、その場合には多少準備の時間が短くなるが、30分は掛かる。
片付けは、どこまでやるかによるが、次回の予定がなく、完全にしまう場合は、乾燥時間があるので丸一日掛かるともいえる。
翌日にダイビングがある場合は、カウンターラングを洗ったり、ホースを外してリンスする程度だが、それでも30分は見ておいたほうが無難だ。
余程慣れて、スムーズにいった場合でも、準備にかかる時間が30分を切ることは稀である(念のため、準備や後片付けが早いことには、何の価値もない。自分のペースで行えばいいだけだし、マニュアルでは、ゆっくり行うことを推奨している)。
プレブリージングしたり、いろいろ忙しいのだ。
それにしても、19分も経って、ようやくダイビングが開始されるというのが、このビデオの最大の特徴だな。
肝心のスキルについては、まあ、これってこうなのかあ?、というのもあるにはあるが、概ね想定の範囲内である。
しかし、何度見ても、ベイルアウトの際、呼吸回路のマウスピースを開いて浮上に伴って膨張する回路内のガスを逃がすというのがしっくりこないなあ・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
一つには、両手が塞がれるということ、もうひとつは、カウンターラングのOPVから排気した方が、浸水のリスクが少ないということ。
まあ、PADIとしては、器材によって対応が異なるOPVからの排気より、共通のアイテムであるマウスピースを選んだのかもしれない。
浮上時に一番上にあるという、一応もっともらしい理由もあるし・・・。
器材としては、インスピ(エボリューション)が出てくるが、ディリュエント側のマニュアルインフレーターについては、プレダイブチェックの中でも確認するシーンがあるので、小道具さんのミスではない。
しかし、当然、大部分のシーンで登場するマーク6には、そんなものはないし、eSCRのエクスプローラー(モデルさんが背負っているだけで、殆ど操作系の説明には出て来ない)にもない(そもそも、カウンターラングが背中のケースの中にある)。
インスピといえば、ベイルアウト用のセカンドステージを、ロングホースで右側から出しているというのも気になる点だ。
24章の中で、しっかりと使用されている。
ご存知のように、インスピには、オートエアという、まあ、Sプロのエア2みたいに、パワーインフレーターの先にセカンドステージが付いたやつがある。
浮沈子はイントラの勧めもあって、また、調子が悪かったこともあって、普通のパワーインフレーターと別体のセカンドステージに換えてしまったが、ビデオの中では、当然、オートエアのまま、セカンドを増設するコンフィギュレーションになる。
オートエアから、オクトパスブリージングを行うことも、物理的に不可能ではないが、BCDからの排気の問題もあるので普通はしないな。
もちろん、マーク6の方はオートエアのようなものはなく(SプロのBCDなら別ですが)、ジェットストリームというチャチなセカンドを付けている。
エクスプローラーは、水中のシーンには登場しないので、詳細は不明だ。
インスピに、ディリュエント側のマニュアルインフレーターが付いているというのは、ちょっと解せない。
ADVだって、シャトオフバルブ付きで、ちゃんと装備されているのに・・・。
PADIのリブリーザーテキストの25ページにもインスピの写真があるが、ここにもしっかりと青いプッシュボタンが写っている(良く見ると、57ページ、130ページ、142ページ、170ページ、180ページでも確認できる)。
しかもだ、念のために確認した17ページのCCRの構成図のなかには、12番として、マニュアル・ディリュエント・バルブと明記されているではないか!。
ははあ、少なくともインスピでは、SCRモードでの運用は、構造的には出来るようになっているんだ・・・。
タイプRだからって、舐めてかかるとヤケドするぜ!。
まあいい。
オープンサーキットのダイバーと一緒に潜る時の注意点(7つ)とか、事故に繋がる5つの神話など、テキストの内容を整理してコンパクトに纏めている(それぞれ、149ページ、155ページ)。
ビデオの中では、プレブリージングの重要性も繰り返し出てくる(プレダイブチェックのところでは当然だが、それ以外のところでも2回出てくる)。
二酸化炭素を除去するソフノライムの有効性を確認するには、プレブリージング(人体実験だな)するしかないのだ。
テンプスティック(インスピの温度計)は、反応熱を測っているだけで、実際に除去されているかどうかは分からないし、二酸化炭素センサーも、作動させるためには、呼吸してみなければ話にならない。
水中で人体実験してもいいが、命の補償は一切ない(良い子は真似しないでね!)。
陸上の、気を失って倒れても、怪我をしないところで行うのが正しい(考えてみれば、野蛮なテストであるな)。
浮沈子の場合は、インスピでは水面移動中に仰向けに泳ぎながら行う(まあ、リスキーですが)。
それでも、ソフノライムを詰め替えた時には、陸上でじっくりと5分以上掛けて、テンプスティックの目盛りが2つ変わるくらいを目安に行っている。
これは、当然、二酸化炭素だけではなく、ADVの動作や酸素の供給がちゃんと行われているかを確認する意味もある(限界はあります)。
陸上なのでローセットポジション(デフォルトでは、0.7)になっているが、こいつを維持できるかどうかを液晶画面とにらめっこしながら確認するわけだ。
インスピの場合は、これをしながら、3つの酸素センサーの本日のご機嫌を伺っているということもある。
高めに出るのか、低めに出るのか(もちろん、キャリブレーションは自動で行われている)、応答性はどうか、そろそろ交換した方がいいのかどうか。
プレブリージングは重要だ。
ネガティブリークテストと共に、ユーザーが関与しなければ行えないチェックであり、おそらくは自動化出来ない最後のチェックでもある(酸素を消費して、二酸化炭素を吐き出すロボットにやらせればいいんじゃね?)。
テキストでもビデオでも、鼻を摘めとしつこく書いてある。
浮沈子も、陸上では、一応そうしている。
鼻から、回路の外の新鮮な空気を吸い込んでしまえば、チェックの意味がない。
一つには、確かに(二酸化炭素が濃くなって不快になるという)人体実験の意味がなくなってしまうからだが、酸素センサーの値の変動にノイズが入ることになるし、インスピの場合、外部の空気が入って、スクラバーに当たる二酸化炭素が薄まってしまうとチェックに時間がかかるということもある。
マスクを着けて行うという方法もあるが、熱帯の陸上では避けたいところだな(水面移動中は、当然こっち)。
浮沈子は、やったことはないが。
シンクロナイズドスイミングの洗濯ばさみがいいかも知れない。
シンクロ用ノーズクリップ(鼻栓)
http://review.rakuten.co.jp/item/1/226856_10000016/1.1/
「買って良かった
小鼻&高くしたくて購入しました。」
これって、美容器具なのかあ?。
いずれにしても、プレブリージングは重要だな。
リブリーザーダイバーの性格的な問題についても触れている(テキストでは、198ページから)。
浮沈子のような性格(忘れっぽく、おっちょこちょいで、慎重さに欠け、計画性がなく、気が多く、流されやすく、興味本位で動き、ちょっと出来るようになると自信過剰になって、自己満足に陥りやすい)は、リブリーザーダイバーに向かない。
愚直で、慎重で、ルールを厳守し、一つ一つを確認しながら行う性格がいい。
字幕やテキストでは、違う表現になっているが、要するに、リブリーザーダイビングにおける原則からの逸脱というのは、死に繋がるということだ。
本質的には、性格の問題ではなく、認識の問題である。
そのチェックを行わなかった場合に、どんなリスクが伴うのか、その結果はどうなるのか、その警告を無視した時の影響は何なのか、生きて戻ることが出来るのか。
ハッキリ書いておこう。
リブリーザー、馬鹿は死ななきゃ、潜れない!。
リブリーザーは、頭で潜る潜水器である。
器材に関する広範で深い理解、潜水器としての原理と構造を本質的に理解し、内在する多くのリスクを認識し、チェックや警告が何を意味するのかを把握していなければ、まともに運用することなんてできっこない。
手順だけを覚えて(記憶に頼ることは禁じられていますが)、組み立てやプレダイブチェックを行っても、その意味を理解していなければ、行為の質に違いがでてくるのだ。
計算が速いとか、記憶容量があるとか、論理的思考を多段階で行うことができるとかいう、いわゆる頭の良さではなく、物事を深く理解し、その行為を、原理原則に従って分かった上で行うことが出来るかどうかを問われている。
Oリングにひびがあったら、どうするか。
グリスでごまかすのか、ちゃんと交換するのか、手持ちがなければダイビングを中止するのか。
そもそも、そんなOリングを点検もせずに、ダイブサイトに行くのか。
プレダイブチェックを、ダイブサイトで行うというのは、映像の見栄えから言って、仕方ないとは思うが、こんなことは、本当なら1か月前に自宅で行っておくに決まっている(もちろん、潜る直前にもやりますが)。
ソフノライムの確認は仕方ないとしても、それ以外は、いつでもどこでも出来るし、不具合に対応するためのリードタイム(インスピの場合、英国から部品を輸入するわけだし)を考えると、1か月前というのは、大げさでもなんでもない。
そういったことが嫌なら、リブリーザーで潜る資格はないのだ。
軍隊や商業的な潜水で、メンテナンスにたっぷりとお金や時間や手間を掛けられることを前提に開発された器材である。
元々、巷で宣伝されているようなリブリーザーのメリットを、骨の髄までしゃぶろうというなら、レクリエーショナルレベルでは足りない。
従来のオープンサーキットで十分だし、レンタルも含めて、余程サービスは充実している。
潜水器の王道を行くリブリーザーは、環境圧ダイビングの限界を広げる潜水器だし、限られた条件の中でのメリットを味わうためのものでもない。
リブリーザー(まあ、CCRですが)との付き合い方を覚えたら、是非ともテック40CCRや、テック60CCR、できればテック100CCRまで進むべきだろう。
31章のチャプターのうち、純粋にリブリーザーダイビングのスキルといえるのは、6章から19章までである。
1章はイントロダクション、2章から5章までは準備、20章から26章はトラブル対応、27章はオープンサーキットのバディと潜る時の注意事項だし、28章は後片付け、29章から31章は心構えだ。
しかし、この章立てというのが、リブリーザーの性質を良く現しているといえる。
極論すれば、リブリーザーダイビングは、準備とトラブル対応、心構えが全てである。
潜ってしまえば、そして、器材がまともに動いていれば、難しいことは何もない(中性浮力は別!)。
普通に呼吸し、普通に泳ぎ、普通に液晶画面をチェックする。
それだけである。
潜行や浮上の際に、多少面倒なことがあるとしても、それはドライスーツの運用よりも容易なはずである(浮沈子は、詳しくは知りません)。
鼻からの排気が出来るし、ADVもあるわけだし。
500を超える字幕を読んで、それでも、たぶん、相当圧縮したのだろうと思われる。
原稿を書いた方は、もっともっと伝えたいことがあったに違いない。
紙のテキストだって、削りに削って纏めたに決まっている。
器材の扱いという、リブリーザーの運用の要の部分を、メーカーのマニュアルに委ねてあるとしてもだ。
リブリーザーダイビングの、ほんのさわりに過ぎない。
それにしても、インスピのディリュエント側のマニュアルインフレーターが気になるなあ!。
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