スピード92014年08月16日 11:14

スピード9
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このところ、2日毎にエボラの感染と死者が報告されている。

(2014 West Africa Ebola virus outbreak:Timeline of the outbreak)
http://en.wikipedia.org/wiki/2014_West_Africa_Ebola_virus_outbreak#Timeline_of_the_outbreak

(Ebola virus disease update - west Africa Disease outbreak news 15 August 2014)
http://www.who.int/csr/don/2014_08_15_ebola/en/

航空機におけるリスクは低いという話が出ているが、まあ、感染者が乗り込んでいたとしても、発症していなければ、という話だ。

乗り込むときに、発症していなくて、乗ってから発熱するようだと少し心配になる。

機内や空港でゲロぶちまけたりすると、近くに座っていたくはないな。

それでも、口や鼻からそれらの体液を取り込まなければ感染はしない。

概ね、手で触れてからその手であちこち触るというのが問題だ。

紫外線に反応するクリームを塗って、手を洗わせるというテストがあるが、洗う前に、鼻とか、顔とか、髪の毛とかを触ってしまう人もいる。

聞いた話だが、ズボンの前が蛍光していた男の子がいたという・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

気の利いた病院では、スタッフが髪の毛を弄らないように、スタッフ用の手洗い器の前には鏡を付けないという話も聞いたことがある。

人間の手というのは、感染を媒介する重要なアイテムだな。

2127人になった感染者だが、浮沈子は、もう数字には拘らないことにした。

どうせ、まともな数字が報告されているわけじゃないから。

少なくとも、これよりは多いだろうという程度の精度である。

桁が違うということは考えにくいが、2倍、3倍は当たり前かもしれない。

なにしろ、報告を掲載しているWHO自身がそう表明しているのだから。

(過小評価)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/

昨日書いた記事だが、読み直してみると随分な話だ。

(エボラ出血熱、患者や死者は発表より大幅に多い可能性)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2275628.html

「感染地域に新たな治療拠点を設けたところ、予想を大幅に上回る人の感染が確認され、実態を把握し切れていないことが明らかになったということです。」

態勢が整ってくれば、新たな感染者の発掘が行われて、数字が跳ね上がるというわけだ。

(国境なき医師団“エボラ封じ込め 6か月かかる”)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2275778.html

「国境なき医師団のリュー会長によりますと、感染拡大のスピードに治療が追いつかず、新たに治療センターを設置しても、すぐに定員を超えてしまう状態だということです。また、収束にはあと6か月はかかるとの見通しを示しました。」

今回の感染の規模は、万の単位になることは、確実になったと見るべきだろう。

いや、そうなって欲しくないのだが、単純な話、2日間で152人増えているわけで、6か月(180日)では13680人という計算になる。

しかも、この期間については、「楽観的」なものだという。

さらに、報告される感染者の数は、実態を反映していない(少な過ぎる)とWHOが指摘している。

可能性という話になれば、10万人のオーダーになることも考えておかなければならない。

専門家の中には、死亡率は8割に達すると考えている人もいるので、死者8万人・・・。

その規模での対策が求められているということだ。

今必要なのは、効率的な対策ではなく、「過剰な」対策、後になってから、「そこまでしなくても良かったんじゃないか?」と、避難を浴びるほどの対策である。

経済規模が世界第3位のどっかの国は、1億5千万円の追加援助をしたらしいが、100倍くらい投入しても、足りないだろう。

感染者1人当たりのコストをどう考えるかにもよるが、ざっと100万円(10万円じゃ少ないし、1000万円は掛からないだろうから)とすると、10万人では1千億円である。

感覚的には、そう外れた数字ではない。

これには、間接的な経費は含まれていない。

隔離地域の生活を保障するための援助、拡散を阻止するための封鎖のコスト、疲弊している社会インフラを維持するための膨大な費用・・・。

国際社会は、1兆円くらいは、覚悟しなければなるまい。

この地域に、それだけの価値があるのか?。

いやいや、そういう話ではない。

中途半端な対策(感染を拡大するような病院を作るとか)を行って、事態を放置した場合、世界が被る損害は、そんな規模ではないだろう。

インド人が4万5千人住んでいるとか、中国人が2万人いるとか、そういう話の中で、例えばこの2つの国に蔓延したときのことを考えると、世界経済に与える影響は、1兆円では済まない。

2桁くらいの違いが出る可能性もある。

直接経費が1千億とかは、安いものだ。

今なら、それで解決できる可能性がある。

今回の流行は、今までの流行とは異なる。

エボラは、自由気ままに振舞い、思う様広がり続けている。

今までの対策は、その実情を探るためのサーベイランス程度に過ぎない。

(エボラ出血熱「終息に半年必要」)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140816/k10013846571000.html

「ギニアでは感染が広がってから半年がたち、人々が病気への対処方法を理解しつつあることもあって、状況は改善しているようだ。今、患者の数が急速に増えているリベリアでもあと半年はかかるだろう」

「感染の広がりについてコンピューター上で分析するなどの支援も必要ではあるが、それにも増して必要なのは感染者と接触した人たちの追跡などに当たる現場でのスタッフだ」

国境なき医師団という、直接支援をしている立場の発言であることを差し引いても、現場の対応が急務であることは確かだ。

ギニアの流行が終息に向かっているという認識は、その中で救いではある。

しかし、新たな感染者は報告され続けているし、完全に終息しているというわけではない。

(エボラ出血熱:「危機的状況」…リベリアの日本人国連職員)
http://mainichi.jp/select/news/20140816k0000e030164000c.html

「モンロビア(首都です)にある四つの病院は医師らが感染を恐れて閉鎖。政府や国連が診察を再開するように交渉しているが、住民はエボラ出血熱だけでなく、他の病気の治療も受けられない状態だ。」

「今月12日に中国から医療物資100トンが届いた。日本も医療物資の送付や医師、看護師の派遣、または現地医師の研修など支援をぜひ検討してほしい」

中国の支援と絡めての要請というのは、なかなかの戦術だな。

まあいい。

どの道、日本政府には「過剰な投資」を行う意思などないのだ。

現地との貿易額、他の医療援助の実績、他国とのバランス、政策的な投資に見合うかどうかの検討を経て、1億5千万円で手を打ったということだろう。

医師の派遣は、知り得る限り2人(豊島病院の足立先生と、国立国際医療研究センター病院の加藤先生)である。

3週間程度の短期滞在で、組織的な対応になっていない。

我が国は、過去しか見ていない。

過去の経験からしか学んでいない。

戦術はあっても、戦略はないのだ。

WHO(=CDC?)は、戦略的に動こうとしている。

西アフリカ地域での封じ込めに失敗すれば、高致死率の感染症が、世界に蔓延するという大失態を演じることになるからだ。

健康の守護者を自認するWHOとして、そんなことは断じて許されない。

そのためには、何としても現地での封じ込めを確実なものとしなければならない。

報告されている数字が信用ならないとか、まあ、常識的に考えたら絶対表ざたにならないような話がアナウンスされているというのも、その一環だろう。

1億5千万円だってえ?。

恥ずかしくもなく、よく言えたものだと呆れる。