スピード102014年08月19日 22:18

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報告されている限りだが、今回の流行によると思われる死者の数が、ある数字に近づいている。

(エボラ出血熱:概要)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E5%87%BA%E8%A1%80%E7%86%B1#.E6.A6.82.E8.A6.81

「「エボラ出血熱」の恐怖が知られるようになってから30年以上が経つが、これまでの死者数は1,590人(2012年12月現在)で、これは今日でも年間10万~数10万人の死者を出しているマラリアやコレラと比較しても格段に少ない」

今回の流行が発生するまでに確認されている累計死者数は、1590人である。

間もなく、その数字に達する。

(エボラ熱死者、1200人超=一部で「明るい兆し」-WHO)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014081900775

「世界保健機関(WHO)は19日、西アフリカで感染が広がっているエボラ出血熱について、16日時点の死者が1229人に達したと発表した。」

(Ebola virus disease update - West Africa Disease outbreak news 19 August 2014)
http://www.who.int/csr/don/2014_08_19_ebola/en/

(2014 West Africa Ebola virus outbreak:Timeline of the outbreak)
http://en.wikipedia.org/wiki/2014_West_Africa_Ebola_virus_outbreak#Timeline_of_the_outbreak

8月の更新を見てみると、ギニアの新規の感染者数は、今回の報告で、減少から増加に転じたと見るべきだろう(日付は発表日)。

・19 August 2014:24
・15 August 2014:9
・13 August 2014:4
・11 August 2014:11
・8 August 2014:0
・6 August 2014:10
・4 August 2014:13

何を根拠にWHOの担当者が、楽観視しているかは不明だが、浮沈子には納得いかない。

5月のギニアの数字を見てみよう。

・30 May 2014:10
・27 May 2014:23
・23 May 2014:5
・18 May 2014:5
・15 May 2014:15
・14 May 2014:-3(確定数が減ったため)
・7 May 2014:5
・5 May 2014:5
・2 May 2014:5

この時も、一旦は終息の気配を見せながら、その後も感染は拡大した。

5月末頃の感染者は291人だが、今回の発表では543人となっている。

ギニアの状況は、リベリアやシエラレオネに比べればマシかもしれないが、感染は拡大し続けているといえる。

ナイジェリアについては、死者はゼロだが、新たな感染が起こっているのはどういうわけか。

当局が監視していた人々の中からなのか、そうではない人なのか。

WHOは、感染者のプロファイルを明かさないので、この辺りは不明だが、アブダビで死亡した患者がどうだったのかは気になるところだ。

最悪の状態が続いているリベリアとシエラレオネは、相変わらずの勢いである。

しかし、感染者数については、実態を反映した数字でないことは、WHOも認めているので、絶対数には意味がない。

それでも、数字の上では、極端な増加傾向は見られない。

コンスタントに増えている。

英語版のウィキには、1日辺りの増加数がグラフ化されているが、傾向としては爆発的な増加を示しているわけではない。

それが、過少報告によるものか、感染抑止の効果と見るべきかは分からない。

感染症は、放置すれば、ある程度等比級数的に増えるので、増加数が一定ならば、何らかの抑止力が働いていると見るのが普通だ。

それが、過少報告というなら、何をかいわんやである。

まあいい。

(エボラ急拡大に潜む細菌兵器の可能性(1))
http://www.data-max.co.jp/politics_and_society/2014/08/13482/post_0818_hmd_01/

(エボラ急拡大に潜む細菌兵器の可能性(2))
http://www.data-max.co.jp/politics_and_society/2014/08/13611/post_0819_hmd_02/

(エボラ急拡大に潜む細菌兵器の可能性(3):追加)
http://www.data-max.co.jp/politics_and_society/2014/08/13754/post_0820_hmd_03/

(エボラ急拡大に潜む細菌兵器の可能性(4):追加)
http://www.data-max.co.jp/politics_and_society/2014/08/13806/post_0821_hmd_04/

挑発的な標題につられて読んでしまったが、まあ、比較的良く纏まった記事だ。

しかし、米国が何のためにワクチン開発に金を出しているかという点では、てんで分かっていない(なんちゃって!)。

別に、米国が細菌兵器を開発しようとしているとか、そういう話では(たぶん)ない。

むしろ、エボラのような致死性の高いウイルスが細菌兵器として用いられた場合の対抗策として開発されているわけだ。

記事は、続きがあるようなので、期待しないで待つことにしよう。

しかし、ウイルスを細菌兵器として使うというのは、言葉的にはややっこしいな。

(生物兵器)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%85%B5%E5%99%A8

用語としては、生物兵器というらしい(どっちにしても、ウイルスは一般的には生物じゃない)。

(ウイルス)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9

(ジュネーヴ議定書 (1925年))
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%B4%E8%AD%B0%E5%AE%9A%E6%9B%B8_(1925%E5%B9%B4)

「正式名称は、「窒息性ガス、毒性ガスまたはこれらに類するガスおよび細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書」(Protocol for the Prohibition of the Use in War of Asphyxiating, Poisonous or other Gases, and of Bacteriological Methods of Warfare)。」

「1919年のヴェルサイユ条約では、ドイツの化学兵器の保有禁止が盛り込まれた。ジュネーブ議定書は、この制限を国際的なものとし、化学兵器の使用禁止を定めたものである。フランスにより提唱され、ポーランドによって生物兵器を対象に加えることが提案された。」

「ただし、この議定書において制限されたのは使用のみで、開発、生産、保有が制限されない点で化学兵器・生物兵器の包括的禁止の観点からは不充分なものであった。」

「これらの点を含めた包括的な制限は、1972年作成の生物兵器禁止条約と、1993年に作成された化学兵器禁止条約を待たなければならなかった。」

(生物兵器禁止条約)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%85%B5%E5%99%A8%E7%A6%81%E6%AD%A2%E6%9D%A1%E7%B4%84

「正式名称は「細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約」。」

「生物兵器の使用は1925年のジュネーヴ議定書(窒息性ガス、毒性ガス又はこれらに類するガス及び細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書)で禁止されているため、BWC本文には使用禁止規定は明記されていない。」

「署名国(13カ国):批准してない国:
シリア、ネパール、ミャンマー、ハイチ、ガイアナ、エジプト、コートジボワール、ソマリア、タンザニア、中央アフリカ、ブルンジ、マラウイ、リベリア」

「未署名国・地域(19カ国・地域):
イスラエル、キリバス、ツバル、サモア、ニウエ、ナウル、ミクロネシア、マーシャル、アンドラ、アンゴラ、エリトリア、カメルーン、ギニア、コモロ、ジブチ、チャド、ナミビア、モーリタニア、モザンビーク」

未署名国に、ギニアがあるのは皮肉だな。

リベリアも、批准はまだのようだ。

シエラレオネ、ナイジェリアは批准済み。

まあ、どうでもいいんですが。

(生物兵器禁止条約(BWC)の概要)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bwc/bwc/gaiyo.html

「対象となるもの:
・防疫の目的,身体防護の目的その他の平和的目的による正当化ができない種類及び量の微生物剤その他の生物剤又はこのような種類及び量の毒素
・微生物剤その他の生物剤又は毒素を敵対目的のために又は武力紛争において使用するために設計された兵器,装置又は運搬手段(原料又は製法の如何を問わない)」

「条約の主な内容:
・生物兵器の開発・生産・貯蔵・取得及び保有の禁止(第1条)
・生物兵器等の廃棄及び平和的目的への転用(第2条)
・生物兵器等の不拡散(第3条)
・条約の国内実施措置の確保
(以下、略)」

この手の条約の活動としては、結構活発に議論しているようだ。

浮沈子は、浜田和幸氏がどんな問題を提起するにせよ、生物兵器を開発して環境にぶちまけることの国際的なリスクを負ってまで、エボラを改造したりするなどということは有り得ないと考えている。

もちろん、防疫上の研究とかは認められているし、そういうところから事故で放出されてしまったということがないとは言い切れないが、極めて根拠に乏しい。

しかし、感染の急速な拡大が、過去の事例と異なると感じている点については、何となく分かる気がする。

そこには、様々な要因が絡んでいる可能性があるので、断定的なことはいえないが、地域の医療機関が機能せず、それどころか、感染拡大の温床になっていたかもしれないという話もある。

医療従事者の異常なまでの感染については、初めの頃、浮沈子も首を傾げた。

感染の形態が変わったわけではなく、医療従事者が適切なガードをせずに診療に当たったことが原因とされている。

いずれにしても、今のところ、感染拡大のスピードが抑制されたと思われる根拠は何もない。

1590人を超える死者数を計上することは、ほぼ確実な情勢である。

仮に2240人の感染者がいたとして、7割が死亡するということになれば、1568人になる。

今後、一切の感染者が出なかったとしても、過去の累積の死者数を上回る可能性は高い。

そして、もちろん、感染者はまだまだ増加し続けるということだ。

(エボラ出血熱感染地域への運航継続を、孤立防止へ-IATA)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140819-00000025-bloom_st-bus_all

「IATAは18日、航空機の利用について、エボラウイルス感染に関連する「リスクは低い」とする世界保健機関(WHO)の勧告を引用し、航空業界が乗客を対象とした検査を実施する必要があるのは感染地域の空港のみであり、そこでは感染の疑いのあるケースについて隔離を含めた厳格な措置を適用し、その後、機内を消毒すべきだと指摘した。」

妥当な措置だろうな。

しかし、乗り継ぎは大丈夫なのかあ?。

「「WHOは旅行と貿易を禁止する必要はないとの認識を非常に明確に示している」と説明。「この勧告が変更されない限り、エボラウイルス感染の根絶に向け懸命に取り組んでいる国々が引き続き航空機利用の恩恵を受けることができるよう望んでいる」」

そうあって欲しいものだ。

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