傾向2014年08月20日 22:32

傾向
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公表されている感染者の数字が当てにならないとはいえ、他に傾向を読み取るものがないので、久々に表計算ソフトを使って、あることをやってみた。

元ネタは、例によって、英語版のウィキである。

(2014 West Africa Ebola virus outbreak:Timeline of the outbreak)
http://en.wikipedia.org/wiki/2014_West_Africa_Ebola_virus_outbreak#Timeline_of_the_outbreak

この表の数字は、全部ソースに当たったわけではないが、異常値があったので調べると、少なくとも1か所は誤りがある。

表中の「7 Jun 2014」のギニアの死亡者は、276ではなく、226が正しい。

(Ebola virus disease, West Africa (Situation as of 7 June 2014))
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4162-ebola-virus-disease-west-africa-7-june-2014.html

「Cumulatively the total number of cases and deaths attributable to EVD in Guinea is 351 (laboratory confirmed 210, probable 83 and suspected 58) including 226 deaths by 5 June 2014.」

他にもあるかもしれないが、気付いたのはそれだけ。

いろいろ数字を弄ってみたが、ギニアでの感染が落ち着いているということが、必ずしもいえないということが分かった。

シエラレオネやリベリアとも国境を接しているし、感染者の行き来もあるのでなんとも言えないが、依然として増え続けている。

12月1日を、感染初日とした経過日数でギニアの全感染者(疑いを含む)を割った数字をグラフにした(画像参照)。

面白い傾向が出ている。

グラフは、下に行くほど最近である。

見辛くて申し訳ないが、傾向を読み取るには十分だ。

経過日数で割っているので、感染者が増えなければグラフは下降する。

コンスタントに増えていれば、横ばいか増加。

増加が著しければ、急増する。

グラフの絶対値には、まあ、殆ど意味はないな。

初日を去年の12月1日にしたのは、この記事があったから。

(エボラ流行、最初の患者はギニアの2歳児か 国際チーム)
http://www.cnn.co.jp/world/35052219.html

「2歳児はギニア南部の村に住んでいた。発熱や黒色便、おう吐などの症状がみられ、発症から4日後の12月6日に死亡した。」

発症日近辺で、切りのいい日付にした。

深い意味はない。

で、傾向を見ると、何回か、流行が収まりかけているところがある。

3月の下旬、4月中旬から5月下旬にかけて、6月中旬から7月中旬、そして8月初旬から中旬にかけて。

グラフの増加がなくても、患者は増えているが、勢いを見るのにはいいかもしれない。

こんなグラフが、何らかの統計的な意味があるのかどうかは知らない。

で、問題なのは、WHOがギニアの流行が収まってきていると認識しているという点だ。

(エボラ熱死者、1200人超=一部で「明るい兆し」-WHO)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2014081900775

「WHOは19日、ギニアとナイジェリアで「明るい兆しがある」との声明を発表。」

「ギニアでは、感染予防についての住民の意識が他の感染国より高まっていると説明した。」

もっとも、相対的な問題であることは認識している。

「ただ「感染拡大は制御できていない」と警告し、予防策の徹底を呼び掛けた。」

そんな中で、国境付近では、他国からの患者を受け入れる準備をしている。

(エボラ熱、未承認薬をアフリカ人に初投与 ギニアは診療所再開へ)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0QO16V20140818

「ギニアは16日、リベリアやシエラレオネに居住する自国民の感染者が治療を求めて国境に集まっていることを受け、南東部で「エボラ診療所」を再び開設すると発表した。」

「ギニアはエボラ出血熱のまん延は抑えているとする一方、近隣国から感染が拡大する事態を懸念しているとした。」

治療の対象は、自国民だけ・・・。

ギニアは、先日、シエラレオネ及びリベリアとの国境を封鎖している。

(ギニアが国境一部封鎖 周辺に感染者の7割集中)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140810/mds14081000160001-n1.htm

「ギニア政府は9日、感染の拡大を防ぐため、隣国シエラレオネとリベリアとの国境を封鎖すると発表した。」

今回の診療所再開が、新たな感染の拡大を招くことのないように、慎重な対応が求められるだろう。

それでなくても、昨日の発表では感染者は再び増加傾向になったと浮沈子は見ている。

ただ、確かにリベリアやシエラレオネに比べればマシとはいえるな。

シエラレオネの感染者数の増加は、余りにもコンスタントなので、数字が操作されているんじゃないかと危惧している。

リベリアは、感染爆発である。

勢いが止まらない感じだ。

いろいろ事件も起こしてくれるし、この国の状況は、ちょっと、大幅に危険だな。

ナイジェリアは、今のところ微妙な動きをしているが、感染者が増えているというのは気になる。

この国に入った感染者は、たった1人であった。

で、15人が感染。

これで収まればいいのだが。

この間、米国やベトナム、ミャンマー、ドイツで疑い患者が出ているが、現在検査中だ。

(米カリフォルニア州の病院、患者1人をエボラ熱検査)
http://www.cnn.co.jp/usa/35052631.html

(ベトナムとミャンマーでエボラ出血熱に似た症状を示している患者3人が病院に収容される)
http://japanese.ruvr.ru/news/2014_08_20/276166320/

(ベルリンでエボラ熱患者か アフリカ出身の女性)
http://www.fukuishimbun.co.jp/nationalnews/CO/health/870915.html

UAEの結果も出ていないが、乗り継ぎでのことなので気になる。

(啓示)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/08/19/7417017

感染管理の要諦は、蟻の一穴をどうやって防ぐかということだ。

まあ、コストの問題もあるので、完璧にはいかない。

それでも、一定の確率や、感染範囲の中に押さえ込めれば、集中的に資源を投下したり、隔離を徹底して終息に向かわせることができる。

ナイジェリアが終息宣言を出せるかどうかは、微妙なところだ。

新たな感染者が報告されず、発症者が死亡または治癒してしまえば、とりあえずはOK。

しかし、油断は禁物である。

エボラの流行のおかげで、新たな懸念も生じている。

(エボラ出血熱の影響でマラリアの死者が増える危険が迫っている)
http://www.huffingtonpost.jp/2014/08/19/ebola-and-malaria_n_5690719.html

「敵はエボラ出血熱だけではない。雨季も半ばを迎えた現地はマラリアが伝染するピークの時期。ただでさえエボラ出血熱で多くの病院が封鎖されている上に、エボラ出血熱への感染の不安でマラリア患者が病院に行かず、マラリアが蔓延、エボラ出血熱より多くの死者を出す危険性が高まっているという。」

先に触れたベルリンの感染疑いの患者は、マラリアだったそうだ。

(独メディア:エボラ出血熱の疑似患者はマラリアに感染-新華網)
http://www.xinhuaxia.jp/social/44309

「ドイツ・ベルリンにあるカリテ病院は19日夜、同日午後に来院したエボラ出血熱の疑似患者は実際にマラリアに感染していたことを確認した。」

「西アフリカ出身で、故郷でエボラ出血熱感染者と接触したことがあるという。」

やれやれ、一安心だな。

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