発症2014年09月01日 11:20

発症


セネガルに陸路で渡った学生が、エボラ出血熱を発症していたことが分かった。

WHOが、経過の詳細を公表した。

(Ebola virus disease – Senegal)
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4265-ebola-virus-disease-senegal.html

「The case is a 21-year-old male native of Guinea, who arrived in Dakar, by road, on 20 August and stayed with relatives at a home in the outskirts of the city.」(21歳のギニア人男子学生は、8月20日、陸路でダカールに着き、市の郊外にある親戚の家に滞在)


「On 23 August, he sought medical care for symptoms that included fever, diarrhoea, and vomiting.」(8月23日、発熱、下痢、嘔吐を含む症状の治療のため、受診)

「He received treatment for malaria, but did not improve and left the facility.」(マラリアの治療を受けたが改善せず病院を後にした。)

その後、親戚の家に戻ったらしい。

「On 26 August, he was referred to a specialized facility for infectious diseases, still showing the same symptoms, and was hospitalized.」(8月26日、同じ症状が継続する中、感染症専門病院を受診し入院)

27日にギニアから情報を得た当局が、ダカールのパスツール研究所のラボで検査を行い、大騒ぎになったわけだな。

(Pasteur Institute:Institut Pasteur today:ダカールにもありました)
http://en.wikipedia.org/wiki/Pasteur_Institute#Institut_Pasteur_today

やれやれ、大変なことだ。

彼が滞在した親戚の家はもちろん、初めに受診した医療機関、その後入院した感染症専門病院は、大騒ぎになったに違いない。

発症した患者は、急速な病状の進行で動けなくなるので、航空路に於ける感染のリスクは少ないといってたような気がするんだが。

陸路は関係なかったのかあ?。

(セネガルで初のエボラ熱感染者 西アフリカで5カ国目)
http://www.cnn.co.jp/world/35053089.html

「地元メディアによると、ギニア当局は27日にセネガル政府に対し、その学生の行方が分からなくなったことを通知したという。その後、同学生が健康診断のため病院を訪れたため、隔離したとしている。ただ、学生に出血の兆候は見られず、容体も安定しているという。」

報道の内容は、少し事実と異なっていたということになる。

健康診断というから、発症していないということだと浮沈子は思っていた。

ギニア政府の通知の前に、入院していたことになり、前後関係も誤っている。

出血の兆候は見られないというが、エボラ出血熱とはいえ、外出血を伴わない症例も多いといわれている。

容体が安定していると報じられているが、WHOの発表では発熱、下痢、嘔吐を含む症状が改善されたのかどうかは分からない。

8月21日の国境封鎖直前に入国したので、入国管理上の問題はない。

(エボラ感染者 セネガルにも拡大)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140830/t10014208311000.html

NHKの報道は、正しかったということだな。

「セネガル政府は、ギニア政府から「エボラ出血熱の患者と接触していたとみられる学生の行方が3週間ほど前から分からず、セネガルに入国した可能性がある」と2日前に通知を受けて探したところ、首都ダカールの病院で治療を受けている学生を発見したとしています。」

治療を受けていたということは、既に発症していたことになるし、保健当局が認識したのは入院後である。

この感染症専門病院は、保健当局が見つけなければ、エボラの検査は実施しなかったかもしれない。

オマケに、感染防護用のアイテムも不足している。

ナイジェリアと同様の環境だったわけで、感染の拡大は必至だな。

滞在先の親戚の問題もある。

入院するまでの1週間、たっぷりと感染しているに違いない。

そして、彼らは、それ以後も外部と接触を続けたわけだ。

「セネガルの保健当局はこの学生と接触した人たちの追跡に追われています。」

何十人という規模での感染が起こる可能性がある。

追跡のスピードが問われる事態だし、その後の監視体制も重要だ。

そもそも、この患者自身が、ギニアの監視体制を潜り抜けて越境したわけだし・・・。

まあいい。

先日調べたように、セネガルもマラリアの罹患が多い国の一つだ。

(国別マラリア患者数:2008年)
http://www.tramedic.com/images/malaria_kanja.pdf

そりゃあ、毎年1億人近い感染者を出すインドに比べれば、70万人というのは少ないかもしれないが。

今回の患者の症状は、マラリアの症状と似ていたわけだ。

最初に訪れた病院では、マラリアの治療を受けたようだ。

(マラリアの症状)
http://kishosenka.jp/patient/malaria/symptoms.html

「マラリアを疑う症状:
・突然の高熱(38℃以上)
・悪寒
・頭痛
・筋肉痛
・吐き気
・下痢」

初回に受診した医療機関でマラリアの治療を行ったというのも分からないではないが、マラリアに特有の症状はなく、血液検査をしなければならない。

してねえだろうな、どーせ・・・。

この辺りが、エボラの問題をややっこしくしている原因の一つだろう。

どーせ、マラリアじゃね?。

薬出しとくから、安静にしてれば治るだろ。

治んなければ、また来てね。

ってノリじゃね?。

その間も、ゲロ吐くわ、ビチグソ垂れ流すわ(お食事中の方、すみません!)。

病原体を周囲に撒き散らしながら、症状が悪化していく。

どうしょうもなくなって、再度病院を訪れる頃には、最早手遅れになりかねない。

毎年70万人の患者を出す風土病と、たった一人の輸入感染症を区別しろという方が無理だ。

ということは、追跡対象者についても、全く同じことが起こる可能性を排除できない。

「どーせ、マラリアじゃね?。

薬出しとくから、安静にしてれば治るだろ。

治んなければ、また来てね。

(以下、略)」

トレースの迅速さと、感染の広がる速度が競い合うわけだ。

追いつけなければ、広がりは際限なく続く。

たった1人でも見逃せば、その1人から、感染の広がりが発生する。

補足した後の管理にも、手間がかかる。

そこですり抜ければ、再び同じパターンの繰り返しだ。

現地では、毎日のようにこんなことが続いているんだろう。

チラシを配り、説明し、注意を与え、脅したり、なだめたり、すかしたりしながら、公衆衛生上の義務と、早期治療への誘導、隔離に関する理解を求め続ける。

エボラは、政府が外国と一緒になって撒き散らしている疫病だという、もっともらしい噂(?)と戦いながら。

(エボラ熱感染者確認のセネガル、患者と接触の20人を観察下に:追加)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NB71ZG6TTDS201.html

「(患者は)自動車でギニアから国境を越えてセネガルに入国した」

「抗生物質などの投与による治療を受けて熱が下がり、回復が見込まれているという。」

まあ、ウイルスなんで、抗生物質が効いたわけじゃないでしょうが・・・。

「国連のHIV・エイズプログラムのディレクターを務めた経歴を持つセック保健・社会活動相は「患者が発症の兆しを見せて以降、接触のあった人物全員を追跡することが最大の課題だ」と説明。「1人も見逃したくない。今が最も重要な時期だ」と語った。」

いやあ、この人分かってるなあ!。

「患者の家族や医療関係者を含む20人を観察下に置いている」

「同国は患者と接触のあった人物の特定を進め、感染抑制に向けて迅速に対応した。」

少し、期待しても良さそうだな。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
kfujitoの徒然の筆者のペンネームは、
「○○子」です。
○○を記入してください。

コメント:

トラックバック