宇宙タクシー2014年09月16日 11:08

宇宙タクシー
宇宙タクシー


NASAが調達する宇宙タクシーの開発が大詰めを迎えているという。

(ボーイングとスペースX 「宇宙タクシー」受注へ火花 NASA選定大詰め)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/140913/mcb1409130500003-n1.htm

「事業は2017年までにISSへの乗組員輸送を目指すもので、総事業費は30億ドル(約3218億円)余り。NASAが月内に委託先企業を選定する。」

この記事の書き方だと、開発ではなく、実際の輸送契約を行うような感じだ。

以前から、選定されるのは1社だけだといわれていた。

(民間輸送ロケット)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/01/08/7180952

「(Commercial Crew Development)
http://en.wikipedia.org/wiki/Commercial_Crew_Development
「William Gerstenmaier, NASA's Associate Administrator for Human Exploration and Operations for NASA, has stated that most likely only one competitor will be chosen to deliver crew to the ISS.」
(ウイリアム・ガーステンマイヤー(NASAのエライ人)は、ISSへの人員の搬送に最も相応しい唯1社が選ばれるだろう、と宣言した。:浮沈子:訳)」

手前味噌で恐縮だが、この話(商業有人宇宙機)については、日本語のウィキがない。

我が国は、有人ロケットの開発から完全に撤退しているので、中国が有人ロケットを打ち上げてもシカトし、米国の民間企業が開発していても無視し続けている。

世論が沸騰し、なぜ有人宇宙開発をしないのか(ISSの「きぼう」は、有人宇宙開発という位置付けなんだそうだ)という非難が起こるのを押えているかのようだ。

(JAXAに聞いた!日本は有人宇宙ロケットは打ち上げないの!?)
http://woman.mynavi.jp/article/140412-36/

「2025年からの運用を目標に、宇宙飛行士が乗る「有人宇宙船」や、その宇宙船を宇宙まで送り届けるための「有人打ち上げ用ロケット」の研究を開始しました。」

「寄付金を有効活用すべく、有人宇宙輸送システムに必要となるLAS(Launch Abort System = 非常脱出装置)の研究などを行っています。」

(有人打上用ロケットにお寄せ頂きました寄附金使途のご報告《平成24年度分》)
http://www.jaxa.jp/about/donations/img/2012/02_use02.pdf

寄付に頼って、50年も前に確立された緊急脱出装置の焼き直しを検討しているだけの内容なのに、どうして以下の結論になるのか浮沈子にはよく分からないんだが・・・。

「日本が独自に有人宇宙ロケットを打ち上げる時代がもうすぐやって来るかもしれません。胸が熱くなりますね!」(飲みすぎて、胸焼けでもしてるんじゃね?)

まあいい。

今後、インドが、有人宇宙ロケットを開発し、実現する可能性もある。

(主要国のロケット開発の動向:インド参照)
http://www8.cao.go.jp/space/seminar/dai1/cao-7.pdf

「有人宇宙船や大型ロケットを開発中。」とある。

(インドの有人宇宙飛行計画)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E6%9C%89%E4%BA%BA%E5%AE%87%E5%AE%99%E9%A3%9B%E8%A1%8C%E8%A8%88%E7%94%BB

「ISROとロシア連邦宇宙局はインドの有人宇宙飛行の為に共同で宇宙船を製造する予定である事が明らかになった。」

ロシアは、自前では有人宇宙飛行から撤退する方向にあるが、技術と実績は折り紙つきだ。

それを、今後、インドで展開するという流れなわけだな。

ESAは、米国の次期宇宙船に相乗りするようだし、今後はインドの動向に注目というところだ。

浮沈子は、インドの有人宇宙飛行は、近々実現すると見ている。

しかし、中国にしても、インドにしても、ロシアの技術が流れ込んで、独自の展開をしている。

まあ、それをいったら、我が国も米国の技術が流れ込んで、独自の展開をしているだけだが。

米国は、莫大な投資と複雑な技術でスペースシャトルを実現したが、結局、発展することなく撤退した。

その間、シコシコと使い捨てロケットを運用してきたロシアは、改良に改良を重ねてきた(たまに、失敗するんですが)。

スペースXとボーイング(画像参照)が、宇宙タクシーに選定される公算が高いといわれている。

有翼式のシエラネバダは、落ちるわけで、その残りカスとJAXAが技術提携するという。

浮沈子は、有人宇宙開発には反対である。

ISSからも、早期に撤退すべきと考えている。

人間が宇宙空間に生身を晒して得るものなど、何もない。

それこそ、完全自動制御のロボットで沢山だ。

まあ、そうはいっても、人間が宇宙空間へ進出しようとするのを止めることは難しいだろう。

宇宙への帰還である。

どうやら、最近は、生命の起源が宇宙空間にあるらしいという話もある。

(国立天文台、星の誕生現場で生命の源となるアミノ酸の基の検出に成功)
http://response.jp/article/2014/09/13/232378.html

これを見ると、材料が宇宙から降ってきて、惑星の海で掻き回されて生命誕生ということになるらしい。

いずれにしても、宇宙タクシーの選定結果に注目というところだな。

(ボーイング、NASA宇宙タクシー事業受注の公算大:追加)
http://jp.wsj.com/news/articles/SB12785023003277603623104580157413453399910

(NASAの民間有人宇宙船開発支援計画、BoeingがSpaceXを下して最有力候補との見通し:追加)
http://www.businessnewsline.com/biztech/201409161407530000.html

(ピンク・ネブラ vol.17:追加)
http://www.sorae.jp/0250/5261.html

(ボーイング社、宇宙船CST-100のCCiCap全マイルストーンを達成:追加)
http://www.sorae.jp/030615/5272.html

スピード172014年09月16日 12:44

スピード17
スピード17


英語版のウィキの更新があった。

感染者はとうとう、5000人を超えた(今回の流行の前までの累計の感染者は、たった2387人)。

(Timeline of the outbreak)
http://en.wikipedia.org/wiki/Ebola_virus_epidemic_in_West_Africa#Timeline_of_the_outbreak

リンク先を見ると、どうやらこのページから各国の元ネタを見つけて、独自に集計することにしたらしい。

(Humanitarian Response:WEST AND CENTRAL AFRICA)
https://wca.humanitarianresponse.info/

(About Us)
http://www.humanitarianresponse.info/about

例の、OCHA(お茶?)であるな。

浮沈子は、最初、イタリアのページかと思った。

Humanitarian(人道主義者の意)→Human+itarian(Italianが正しい!)

LとRの区別がつかない、日本人の一人なんで・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

しかし、そのリンク先の資料を見てみると、それぞれの国での集計日が異なっている。

(Rapport de la Situation Epidémiologique
Guinée, Epidémie de la Fièvre Hémorragique Ebola
Situation au 13 Septembre 2014 à 18h00)
https://wca.humanitarianresponse.info/fr/system/files/documents/files/GUINEA_EBOLA_SITREP%20N%20151%20DU%2014%20SEPTEMBRE_2014.pdf

(Liberia Ebola SitRep no. 119
Ministry of Health and Social Welfare
Sept. 11, 2014)
https://wca.humanitarianresponse.info/fr/system/files/documents/files/Liberia%20Ebola%20SitRep%20119%20Sept%2011%2C%202014_0.pdf

(Government of Sierra Leone
Ministry of Health and Sanitation
EBOLA VIRUS DISEASE - SITUATION REPORT (Sit-Rep) – 13 September, 2014:中見ると、9月12日までの集計)
https://wca.humanitarianresponse.info/fr/system/files/documents/files/Ebola-Situation-Report_Vol-108_0.pdf

(Rapport de la Situation Epidémiologique
Sénégal, Epidémie de la maladie à virus Ebola
Situation du 13 septembre 2014)
https://wca.humanitarianresponse.info/en/system/files/documents/files/SITREP-SENEGAL-13Sep-2014.pdf

ギニア→9月13日
リベリア→9月11日
シエラレオネ→9月12日
セネガル→9月13日

まあ、これをひっくくって、9月13日付けとしている。

まあいい。

これで、元ネタの集計が出来るようになったわけだ。

めでたしめでたしである。

さっそく、浮沈子の表計算ソフトに放り込む。

9月10日の合計が誤った数字になっているが、そのうち訂正されるだろう(本日時点では、感染者4,846(正:4848)、死者2,375(正:2376)となっている)。

まあ、大きな影響はない。

感染者の増加の傾向が落ちたように見えるが、原因は、もちろん、リベリアの集計のタイミングが早いだけである(ああ、シエラレオネも1日早い)。

前回の集計は、9月10日の数字を使っているので、実質1日しか経っていない。

既に半数近いボリュームを占めるリベリアが、3分の1しか集計されていないわけで、この数字を鵜呑みにして、増加傾向が衰えたなどと考えるのは誤りである。

各国の発生地域別の内訳を見てみないと、ハッキリとした傾向は見えてこないが、リベリアについていえば、初発地に近いLofa郡の増加が収まりかけているように見える(相変わらず増加はしています)。

一方で、首都モンロビアのあるMontserrado郡及び隣接するMargibi郡は、指数関数的増加に転じていることが分かる(画像参照:今回は、対数軸にしてみました)。

黒い直線は、Montserrado郡のトレンド線で、グラフの右端は10月1日である。

実数としては、2200くらいか。

すさまじい増加である。

感染のスピードを制御するのは、最早、容易ではない。

対策が時間との戦いになっているということは、これを見ても明らかだ。

米国流2014年09月16日 15:56

米国流(画像はシエラレオネの地区別の傾向:一部確定分のみ)
米国流(画像はシエラレオネの地区別の傾向:一部確定分のみ)


米国の対エボラ策が報じられた。

(Ebola outbreak: Barack Obama 'to pledge US troops to fight virus')
http://www.bbc.com/news/world-africa-29217350

BBCによれば、内容は以下のとおり。

「US officials said the aim of the anti-Ebola initiative is to:
・Train up to 500 healthcare workers a week(毎週500人の医療スタッフを訓練)
・Construct 17 heathcare facilities, each with about 100 beds(100床規模の治療施設を17箇所設置)
・Establish a joint command based in Monrovia, Liberia, to co-ordinate between US and international relief efforts(リベリアのモンロビアに合同拠点を置き、米本国や国際活動との連絡調整に当たる)
・Distribute home healthcare kits to thousands of households(在宅医療キットの大量配布)
・Conduct a home and community-based campaign to train local people in how to handle patients(在宅及び地域での患者の取扱いに対するキャンペーンを実施)」

浮沈子に言わせれば、焼け石に水だが、それでもないよりは、あったほうがいいに決まっている。

地域での対応に重点を置いているのは評価できるな。

施設に収容されるのは、氷山の一角で、大部分の感染者や患者は、地域でケアされる。

その際の二次感染を抑止するというのは、重要なポイントだ。

それを、完全にガードできれば、エボラは1か月で終息する。

まあ、そう簡単にいかないから拡大し続けているわけだ。

病床数は圧倒的に不足しているが、これは仕方ない。

箱物は作れても、運営する人員が確保できない。

1700床を回すには、5000人のスタッフが必要で、思惑通り、毎週500人の育成ができたとしても、年内にやっと稼動できるかどうか(訓練したスタッフが、全員定着するとは限らない)。

浮沈子が最も評価するのは、指揮命令系統の一本化である。

エボラのスピードに追いつくには、集中的に資源を投入し、一気に仕留めなければならない。

戦術レベルでの統合が図れなければ、ばらばらの対応になってしまう。

時間を掛けて、悠長に妥協案を探っている暇はないのだ。

官僚的なWHOには、期待できない芸当である。

ここは一つ、米国のお手並み拝見というところか。

CDCは、既に事前調査に現地入りしている。

リベリアの火中の栗は、米国が拾うことになる。

問題は、いつから展開できるかということだ。

今月末には、首都モンロビアのあるMontserrado郡の感染者は2000人を超える。

さらに隣接するMargibi郡でも1000人規模に到達する。

半分は死んでしまうが、それでも、残った人数だけで、年末までに整備できるかどうかという1700床がほぼ埋まってしまうわけだ。

全てを収容することは、所詮不可能なのである。

在宅で対応せざるを得ないことは、明らかな情勢なのだ。

そのための、在宅用資源の配布と感染防止法のキャンペーンである。

その規模は、病床数の10倍から100倍は必要になってくる。

年末までの感染者は、このまま放置すれば、10万人の規模(最大28万人)に達する。

現在までの感染者(たった5000人)は、5パーセント未満に過ぎない。

これから新たに感染する95パーセント以上の人々こそ、対応しなければならない本命なのだ。

短期間の過剰な資源の投入。

「必要な」でもなければ、「十分な」でもない。

「過剰な」資源(人、物、金、サービス、情報、etc.・・・)。

この展開に失敗すれば、感染は止まらなくなる。

展開のスピードが、速ければ速いだけ、効果はあがる。

初期に、どれほどの資源を、一気に投入できるかが勝負だな。

米国は、何が起ころうとしているのか、正確に把握しているのだろう。

一般には、知り得ない情報を持っているに違いない。

遺伝子の変異の中に、何かの兆候を見ているのか、既に報道され、公表されている情報の中に、意図的に隠された真実があるのか。

ここに来て、急遽対応を加速している。

その米国流の加速で、一刻も早く、エボラに追いついてもらいたいな。

(U.S. ramping up Ebola effort as Obama heads to CDC:追加)
http://edition.cnn.com/2014/09/16/politics/obama-ebola-isis/index.html?iref=allsearch

(UPDATE 1-Liberia must wait weeks or months for new Ebola centres - WHO:追加)
http://af.reuters.com/article/commoditiesNews/idAFL6N0RH32X20140916

ギニアの真実2014年09月16日 20:32

ギニアの真実
ギニアの真実


ギニアは、確定した感染者数しか県別には公表されていないと思っていたが、せっかく、「疑い」や「可能性」も含めた資料を見つけたので、一応グラフにしてみた。

(Rapport de la Situation Epidémiologique
Guinée, Epidémie de la Fièvre Hémorragique Ebola
Situation au 13 Septembre 2014 à 18h00」
https://wca.humanitarianresponse.info/fr/system/files/documents/files/GUINEA_EBOLA_SITREP%20N%20151%20DU%2014%20SEPTEMBRE_2014.pdf

もう、面倒くさいので、9月13日の県別だけ(画像参照)。

初発地のGuéckédou県は、検査が十分出来ないで亡くなった方もいるのだろうが、可能性例が多い(110件:死亡の可能性例と等しい)。

ここと隣のMacenta県、首都コナクリのあるConakry県で、全体の8割を占めている。

(コナクリ州:=コナクリ県:首都コナクリ市と同じ行政範囲)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%8A%E3%82%AF%E3%83%AA%E5%B7%9E

増加は、Macenta県とConakry県を中心に、他県でも五月雨式に起こっているし、最近新たに発生した県もあって、なかなかしぶとい。

ギニアは、実は対応がまずいんじゃないかというのが、浮沈子の感想。

感染者の管理や、その周辺の感染の可能性がある人々の管理が行き届いていない。

感染の拡大が、慢性化しているのではないか。

そして、新たな感染地域の拡大を生み、そこで再発生する。

Dabola、Kissidougou、Dinguiraye、Télimélé、Boffaの5件は、完全に終息したことになっているが、予断は許さない。

いつ、他からの伝播で再発してもおかしくない。

爆発的に増えているところはMacenta県くらいだが、首都コナクリも不気味だ。

Nzérékoré県は、今回、14人も増えている。

感染が、しっかりとコントロールされていないのだ。

散発するのは、杜撰な管理の証拠だろう。

この国での完全な終息は、困難になっている。

長い戦いになってしまった。

地道なトレースを徹底して、監視強化と啓発活動、資源配布を行うしかない。

幸い、首都の医療資源は崩壊していない。

他の地域における終息を測りつつ、首都でのブレイクを発生させないようにしなければならない。

厄介だな。

Coyah県とDalaba県は、今月になってからの発生だ。

特にCoyah県は、首都に近い。

首都コナクリからの飛び火だとすると、ちょっと気になる。

トータルの感染者が936だから、もう直ぐ1000件の大台に乗る。

時間の問題だな。

放って置けば、何度目かの感染爆発を起こすことになる。

Nzérékoré県なのか、首都コナクリなのか。

リベリアほど、ドハデではないし、シエラレオネほど話題を提供しない国だが、改めて見れば、この1か月で400人以上の感染者を出している大流行国である(8月13日は519人)。

2か月前は、411人だった。

つまり、感染のスピードも急速に上がっているのだ。

13日近辺の集計日:感染者数:前回からの増加(8月までは、ウィキの数字から)
4月14日:168:ー
5月12日:248:80
6月15日:394:46
7月14日:411:15
8月13日:519:108
9月13日:936:417

まあ、8月から9月の増加は、半分以上がMacenta県である。

しかし、Guéckédou県やConakry県でのコンスタントな増加も寄与しているし、Dubréka県、Kérouané県の増加もあった。

予断を許さない状況が続いているのだ。

ったく、目が離せないな。