東京2014年09月18日 06:41

東京
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BMWのⅰ8が展示されているというので、東京駅のショールームに行ってみた。

(2014.09.12 ニューBMW i8、再び。)
http://news.bmw.co.jp/brand/2014/09/bgs-bmwi8again.html

なんと、ショールームは今日だけ工事中!。

しかし、そんなことではめげない浮沈子は、内装工事の職人さんの脇をすり抜けて、ショールーム内に侵入した!(良い子は真似しないでね!)。

係の人に(相当無理やり)お願いして、ⅰ8の写真を撮らせてもらった(画像参照:背後には内装工事の材料が・・・))。

まあ、唯のプラグインハイブリッドのクーペに過ぎない。

思ったよりも、普通のクルマだったな。

このクルマの試乗記が上がっているので、リンクを貼っておく。

(BMW i8 インプレが到着。走りも技術も近未来)
http://carview.yahoo.co.jp/article/testdrive/20140520-20102086-carview/

金が余ってて、新しがりで、目立ちたいならどうぞ、というところか。

コンセプトカーに乗れる!、という喜びは味わえるだろう。

走りもBMWの名に恥じないというから、そっちに期待してもいいかもしれない。

しかし、他のクルマと比較したり、実用性とか訳のわからん基準を持ち込んではいけないようだな。

だって、コンセプトカーだもん。

ショールームでは、特に説明を受けたわけでもないし、お邪魔にならないように、数分で退散した。

さて、せっかく東京に来たのだから、芸術の秋(ちょっと早いですが)を堪能すべく、ブリヂストン美術館に足を向ける。

10年ぶりくらいか。

もっと前かもしれない。

とにかく、八重洲口からまっすぐ海に向かって歩いて右側としか覚えていなかった場所は、直ぐに見つかる。

一般料金800円を払って入場。

「絵画の時間」という企画展を9月23日までやっていて、「時間」(ストーリー)を感じさせる絵画を24枚チョイスして、キュレーター(学芸員)が解説を書いて絵の横に掲げている。

なかなか面白い企画だな。

まあ、ただ、そうはいっても、所蔵品をだらだらと展示してあることに違いはない。

浮沈子がこの美術館を訪れる理由は、10年前も、今回も、ただ1点の絵を見るためだけ。

(クロード・モネ
《睡蓮の池》
1907年, 100.6×73.5cm, 油彩・カンヴァス)
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/works/83/

「睡蓮の浮き葉と池の周囲にある柳の木の反映とが、画面に幻想的な空間を生み出しています。水面に映る空の光の反射が、画面に躍動感を与えています。」

浮沈子的には、この絵があるだけで、ブリヂストン美術館に足を運ぶ価値があるというものだ。

モネの睡蓮の連作は全世界で200点以上に及ぶ。

浮沈子は、まだ1割足らずしか見ていないが、この絵を凌ぐ作品には巡り会っていない。

近くで見ると、筆の運びも緻密とはいえず、水彩のような柔い感じの筆致である。

にも拘らず、ある距離を取って眺めると、あーら不思議!。

水面の蓮の葉が、くっきりと浮かび上がってくるのだ。

ブリヂストン美術館には、もう一枚モネの睡蓮がある。

(クロード・モネ
《睡蓮》
1903年, 81.5×100.5cm, 油彩・カンヴァス)
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/works/101/

横長の絵で、浮沈子は初めて見た。

水面がベタで映りこみもなく、画面の上の柳の枝が鬱陶しい。

わずか4年の間に、作風が大きく変わっている(《睡蓮》が先)。

今回は、この2枚の絵が、並んで展示されていた。

お得感満載だな(2枚が同時に展示されることは、余りないようだ)。

キュレーターによるギャラリートークがあるというので、3時からのツアー(?)に参加する。

(ピエール=オーギュスト・ルノワール
《すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢》
1876年, 97.8×70.8cm, 油彩・カンヴァス)
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/works/11/

(クロード・モネ
《黄昏、ヴェネツィア》
1908年頃, 73.0×92.5cm, 油彩・カンヴァス)
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/works/2/

(アンリ・マティス
《青い胴着の女》
1935年, 46.0×33.0cm, 油彩・カンヴァス)
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/works/18/

(パブロ・ピカソ
《腕を組んですわるサルタンバンク》
1923年, 130.8×98.0cm, 油彩・カンヴァス)
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/works/23/

(藤田嗣治
《ドルドーニュの家》
1940年, 45.5×53.3cm, 油彩・カンヴァス)
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/works/30/

(岡鹿之助
《雪の発電所》
1956年, 72.8×90.9cm, 油彩・カンヴァス)
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/works/36/

今回、解説があった作品の一部である(ネットでは展示中の作品は88点しか検索されないが、実際には160点ほど展示されている)。

キュレーターの解説は素晴らしく、作品の背景や関連する他の美術館所蔵の作品も紹介するなど、時間が許せば是非ツアーに参加することをお薦めする(約1時間)

しかし、絵画の鑑賞に解説など不要!、というのが浮沈子の持論ではある。

絵そのものが全てであり、画家の命との対話は、絵の前で一人で行う。

絵画鑑賞というのは、ある意味、時間芸術なのだと思う。

展示室に辿り着くまでのワクワク感、遠くから、お目当ての絵を見出した時の喜び、近くに寄って詳細を見て、筆遣いや絵の具の盛り、パレットナイフで削り取った跡などを仔細に観察する。

画家の作業を想像しながら、再び少し離れて絵と向き合い、画家が見ていた対象と、そこから何を掴み取って描いたのかを想像する。

カンバスや絵の具というハードウェアを駆使して、しかし、実は画家が残したものはそこに紡がれているソフトウェアなのではないかと、浮沈子は考えている。

音楽が、作曲家によって楽譜というハードウェアに残されるようなもんだな。

音楽は演奏によって聴覚を刺激し、鑑賞者の心持ちに変化を起こし、それを時系列的に感じることによって鑑賞する。

絵画の場合は、それが視覚によって行われている。

画家が掴み取ったこの世界の真実を、見る者の心に刻み付ける。

心から心への、時間と空間を越えた感応。

実物の絵を見るというのは、生演奏を聴きに行くようなもんだ。

ライブなのである。

インターネットや画集で見るのは、音楽でいえばCDで聴いているようなものだ。

まあ、それはそれで手軽でいいし、本物を見た後なら、イメージを蘇らせるきっかけとすることもできるだろう。

しかし、それは、あくまでもまがい物に過ぎない。

マルモッタン美術館の「印象 日の出」を見たときに、浮沈子はそのことを改めて確信した。

微妙な色使いといい、絵の具のカンバスへの盛りといい、実物を見なければ決して分からない要素が多くあった。

そうはいっても、優れた解説を聞き、その製作の背景を知り、画家の生涯の中での位置付けを分かった上で改めて見直すというのも、絵画鑑賞の豊かな一面であることは否定できない。

今回、ルノワールが描いたシャルパンティエ嬢の絵が、生涯、描かれた本人の手元にあり、それが遺族によって売りに出され、今、パリを遠く離れて(ホント、遠かったです!)異国の地、日本の東京にあるという話を聞いた時、何ともいえない感慨に浸ったことは確かである。

ブリヂストン美術館は、小さいけれどコレクションの質は高い。

いいもの集めてると感じる。

展示室の一角には、画集などの書籍を閲覧できるコーナーがあり、手にとって、椅子に腰掛けて、展示してある絵画の解説を読むことが出来る。

たぶん、そんなことをしていたら、丸一日かかっても鑑賞しきれないかもしれない。

ネットでは閲覧できない絵画や、彫刻の解説も読める。

とはいえ、実際に絵の前に立って、画家の命と向き合うのがあくまでも浮沈子の絵画鑑賞の基本だ。

今回の展示で、最も深く心に残ったのが、この作品。

(ジョルジュ・ルオー
《ピエロ》
1925年, 75.2×51.2cm, 油彩・紙)
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/works/20/

釘付けになって、暫く絵の前を離れられなくなる。

何の解説もいらない・・・。

たまには、美術館に行かなければならんな。

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