スピード212014年09月25日 09:35

スピード21
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英語版のウィキが、主要3か国のネタ元を見つけてくれたので、頻繁に更新が掛かっている。

(Timeline of reported cases and deaths)
http://en.wikipedia.org/wiki/Ebola_virus_epidemic_in_West_Africa#Timeline_of_reported_cases_and_deaths

前回から2日目で更新になった。

たった2日分の積み増しなのに、感染者は200人以上増えている。

「22 Sep 2014:
国名:感染者:死者
Guinea:1,048:643
Liberia:3,369:1,779
Sierra Leone:1,967:554
Nigeria:20:8
Senegal:1 0
Total:6,405:2,984」

ギニアは、マセンタ県の増加が引っ張っているが、首都コナクリのジリジリした増加が不気味だ。

(140万:グラフ参照)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/09/24/7441889

確定数だけの県別の数字を、コナクリのフランス大使館のページから拾っている。

(Année 2014)
http://www.ambafrance-gn.org/-Annee-2014-

傾向を見るには十分だが、可能性例が多いGuékédou県があるので、ここは大幅に積み増ししなければならない。

(HumanitarianResponse:WEST AND CENTRAL AFRICA:Guinée)
https://wca.humanitarianresponse.info/fr/locations/guin%C3%A9e

(Rapport de la Situation Epidémiologique
Guinée, Epidémie de la Fièvre Hémorragique Ebola
Situation au 22 Septembre 2014 à 18h00)
https://wca.humanitarianresponse.info/fr/system/files/documents/files/GUINEA_EBOLA_SITREP%20N%20160%20DU%2023%20SEPTEMBRE_2014%20VF1docx.pdf

引用したグラフではマセンタ県がGuékédou県を追い抜いたように見えるが、実際には届いていない(画像参照)。

まあ、次回辺りには追い抜くだろう。

ギニアは、もちろん、初発国であるが、既に最大の感染国ではない。

主要3か国のうちでは、逆に最も少ない。

ウィキの集計によれば、7月17日にシエラレオネに抜かれ、8月4日にリベリアに抜かれている(シエラレオネは、8月18日にリベリアに抜かれた)。

集計上は、何度か沈静化の様相を見せていたが、8月中旬にマセンタ県が爆発して、再びコンスタントな増加に転じた。

首都コナクリの増加も止まらない(ここが爆発すると、ヤバイです)。

それだけではなく、新たな発生地が西部でも増えている。

この国では、まだ、エボラはフレッシュなのだ。

それでも、リベリアやシエラレオネに比べれば、感染者の増加は緩やかである。

8月1日からの増加数を見てみる。

国名:8月1日:9月22日:増加(ギニアの増加との比較)
ギニア:485:1048:553(1倍)
リベリア:468:3369:2901(5.2倍)
シエラレオネ:646:1967:1321(2.4倍)

しかし、安心は出来ない(倍以上に増えてるし)。

リベリアのような感染爆発が、いつ、どこで起こっても不思議ではない。

啓発活動が比較的進んでいると見られたギニアでも、その啓発活動に従事するスタッフが虐殺されるという事件も起こっている。

初発地に近いマセンタ県の流行が収まらないのは、この辺りにも原因があるのではないか。

フランス軍は、この東南部の地域に医療拠点を構築しようとしているが、だいじょうび?。

疑問2014年09月25日 11:23

疑問
疑問


浮沈子は、統計とか拡散モデルとかには全く知識が無い。

だから、今抱いている疑問は、その筋の方から見れば、ちゃんちゃらおかしい話かもしれない。

このところ、各国が発表している地区別の動向に興味があって、まめに表計算ソフトに入力しては、グラフ化して眺めている。

今日も、シエラレオネの24日のデータを入力しては、Kailahun地区、Kenema地区のボリュームゾーンの増加は落ち着いてきたかに見えるが、首都フリータウンがあるWestern Urban地区、隣接するWestern Rural地区、さらには、Port Loko地区やBombali地区でも増加の勢いが増しているのを見ては気を揉んでいる。

この国では、9月19日から21日までの3日間、全国に禁足令を出して石鹸を配るというキャンペーンを行った。

(シエラレオネ、戸別訪問でエボラ感染150人確認 遺体は70体)
http://www.afpbb.com/articles/-/3026709?ctm_campaign=topstory

新たな感染者が1万人くらい見つかるかと思っていたが、泰山鳴動して150人だな。

しかし、たった一人でも放置すれば、瞬く間に増加する。

一度のイベントで済ますことなく、継続した対応が必要だ。

「ボランティアによる戸別訪問は全世帯の80%近くに行うことができ、今回の作戦は成功したとの見方を示した。」

こういう認識だから、感染拡大を阻止できないんじゃね?。

まあいい。

で、浮沈子が抱いている疑問というのは、ばらばらの地域で拡散している感染者がいて、ある地域では沈静化し、ある地域では増加に転じたりしていて、しかも、その地域が隔絶していて地域的なつながりは無いのに、しかも、主要3か国とも増加の傾向は異なるのに、纏めてグラフ化すると、綺麗な指数関数的な増加を見せるのはなぜかということだ。

(拡大するエボラ感染)
http://jp.reuters.com/news/globalcoverage/ebola

ロイターの特集ページには、主要3か国の積み重ねのグラフが掲載されている。

シエラレオネは若干加速気味だし、リベリアは爆発、ギニアはコンスタントな伸びなのに、グラフは綺麗に放物線を描いている。

もう少し、ギクシャクしてもいいと思うんだが・・・。

7月17日に感染者が初めて1000人を超え、そこから僅か2か月余りで6倍になった。

この勢いが続けば、11月末には3万人を遥かに超えているだろう。

もう、そんなレベルは、当たり前になってしまって、年末に10万人といっても誰も驚かなくなってしまった(なんたって、1月末で140万人ですから)。

地域がばらばらなのに、一定の傾向を示す感染って、何なんだろう?。

元は、確かに一人の感染者から始まったのだろうが、その後は飛び地も含めて、広範囲に伝播した。

それぞれの地区では、対策が取られたり取られなかったりして、増加の勢いもばらばらだし、ギニアのマセンタ県とか、リベリアの首都モンロビアのように、ある日突然、爆発的に増加に転じるところもある(感染者の捕捉の問題かも)。

しかし、そういう細かい変化を合算すると、滑らかな増加(加速?)になる。

3か国の人口は、2000万人以上なので、おそらく治癒した患者がバリアとなるには至っていないと思われる。

エボラが広がる余地は、まだまだいくらでもあるのだ。

(エボラ熱、他地域に拡大なら経済的損害は壊滅的規模に-世銀)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NCA31P6K50Y601.html

「エボラ出血熱感染が西アフリカの他地域にも広がれば、経済的損害は「壊滅的」規模に拡大するとの見通しを、世界銀行のアフリカ担当チーフエコノミスト、フランシスコ・フェレイラ氏が示した。」

「感染拡大抑制に向け対処しているナイジェリアやセネガルのような対策を近隣諸国が講じることができなければ、損害はさらに大きく膨らむだろう」

「世銀が17日発表した推計では、感染拡大によるリベリア、シエラレオネ、ギニア3カ国の損害は最大で計8億900万ドル(約880億円)に上る可能性がある。」

なんだ、そんなもんか。

「同氏は、経済的損害の大部分は、感染拡大が制御不能に陥るとの懸念が住民の間に急速に広がることによる恐れや回避行動の結果発生すると指摘した。」

感染してもいいから、仕事しろってことかあ?。

金貸しは、人間の命なんて、消費財としか考えていないんだろうな。

確かに感染のリスクを恐れて経済活動が停滞したり、外資が資本や人材を引き揚げたりすれば、経済的な打撃は大きい。

国家が自力で対応できるようになければ、カンフル剤(国際援助)をいくらやっても、根本的な解決にはならない。

それでなくても、この地域は貧しいのだ(生活が豊かでないという意味ではない)。

エボラは、そんな西アフリカ地域に打ち込まれた楔になってしまった。

亀裂が拡大し、広がっている。

亀裂のうちはまだいい。

崩壊してしまえば、修復のコストや時間は膨大なものになる。

ナイジェリアに蔓延しなかったのは良かった。

ここがやられると、世界経済にも影響が出かねない。

しかし、まだ安心は出来ない。

航空機による飛び火感染、陸路、海路による、隣接国への拡散、国内での拡散と多発のリスクは続いている。

それらを回避しつつ、感染を封じ込め、経済的な損失を最小限に押し留めて再度、発展の道を歩むことができるのだろうか?。

これもまた、大きな疑問である。

誤報2014年09月25日 21:40

誤報
誤報


何か、悪い夢でも見ているのだろうか?。

(西アフリカのエボラ熱死者、3000人に迫る=WHO)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0HK0VH20140926

「WHOはエボラ出血熱の流行が始まったギニアで、感染の拡大が一服したとの見方を示した。」

「ギニアで過去5週間のうちに感染が新たに確認されたのは75─100件で、懸念は残るものの、状況は安定したようだ」

今朝、ギニアの状況は楽観を許さないと、ブログに書いたばかりなのに・・・。

(スピード21)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/09/25/7442688

(140万:グラフ参照)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/09/24/7441889

「8月1日からの増加数を見てみる。
国名:8月1日:9月22日:増加(ギニアの増加との比較)
ギニア:485:1048:553(1倍)
リベリア:468:3369:2901(5.2倍)
シエラレオネ:646:1967:1321(2.4倍)
しかし、安心は出来ない(倍以上に増えてるし)。
リベリアのような感染爆発が、いつ、どこで起こっても不思議ではない。
啓発活動が比較的進んでいると見られたギニアでも、その啓発活動に従事するスタッフが虐殺されるという事件も起こっている。
初発地に近いマセンタ県の流行が収まらないのは、この辺りにも原因があるのではないか。」

過去5週間の確定感染者が100人というのは本当なんだろうか。

少なくとも、疑いを含む感染者は、8月16日には543人だったが、5週間後の9月20日には、1008人になっている。

463人の増加のうち、100人しか確定しなかったとでもいうのだろうか。

マセンタ県は、ギニアではないとでもいうのだろうか?。

ここだけの確定感染者だけで250人になる(8月16日から9月21日まで)。

ロイターの誤報なのか、WHOの誤認なのか。

(WHO: Ebola Response Roadmap Situation Report
24 September 2014)
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/134771/1/roadmapsitrep_24Sept2014_eng.pdf?ua=1

「The upward epidemic trend continues in Sierra Leone and most probably also in Liberia. However,the situation in Guinea, although still of grave concern, appears to have stabilized: between 75 and 100 new confirmed cases have been reported in each of the past five weeks.」

ロイターの誤訳だな。

5週間の合計が100だといっているわけではない。

週単位で見ると、100以下に収まっているということだ(画像参照)。

なあんだ、びっくりした!。

「each of」ってのも、ちゃんと訳してね。

ロイターにはとりあえずメールで指摘をしたが、訂正されるかどうかは不明である(翌日に訂正されました)。

ったく、人騒がせな記事だ。

しかし、それにしても、重大な懸念があるとしつつも安定しているという認識はいかがなものか。

安定して増加しているだけじゃん!?。

シチュエーションレポートの表現としては、適切とは言い難いと浮沈子は思うけどな。

まあ、他の2国に比べて感染者の増加が低いことは認めよう(今朝の記事にも、そう書いたし・・・)。

しかし、毎週75人から100人の感染者が出るというのは、尋常な状況でないことは確かだ。

「Figure 2: Ebola virus disease cases reported each week from Guinea and Conakry」にあるように、ギニアとしては、過去最大の感染者の増加を記録している最中なのである。

「The situation in Guinea remains stable, with between 82 and 102 new confirmed and probable cases reported in each of the past five weeks (figure 2).」

「Unlike the capitals of Liberia and Sierra Leone, transmission in the Guinean capital, Conakry, remains stable and moderate, with 3–15 newly reported cases each week.」

首都の状況についても、一言。

だいたい、モンロビアと比較して、多いとか少ないとかを論ずるのは間違っている。

あそこは、そもそもが異常事態なのだ。

医療機関が機能しているにも拘らず、コナクリの感染者が増加し続けていることを問題にすべきだろう。

Gueckedou県とかMacenta県についても、御託を並べているが、根拠となる資料を示してからにしてもらいたいな。

まあいい。

どのみち、集計漏れが2万件もあるとCDCにコケにされている公式報告の細かい話をしても無意味だ。

重箱の隅であるな。

リベリアとシエラレオネは、集計自体が不完全であると言い訳している。

そんなことで、いいわけ?(なんちゃって!)。

フリータウンの増加は、ここがホットスポットになる可能性を示唆している。

3日間の禁足令で炙り出した150件の感染者がカウントされるのは、一体いつなんだろう?。

それとも、公式報告じゃないから、なかったことにされるのかな。