40年 ― 2014年10月31日 22:03
40年
打ち上げに失敗したアンタレスのエンジンが、元々の製造日から40年が経っているとして、問題視する声があるようだ。
(爆発のロケット、なぜソ連製エンジン?)
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20141030001
「ロシア製のロケットは頑丈で信頼性が高いことで知られるが、これほど古いものを使うリスクについて疑問の声が上がるだろう」
さて、40年前といえば、浮沈子が所有する83タルガよりも古い(31年前)。
1974年といえば、高校生だな。
遥かに昔の話で、記憶を辿っても何も出てこない(昔でなくても、出てこないのに・・・)。
(1974年)
http://ja.wikipedia.org/wiki/1974%E5%B9%B4
サザエさんの連載が終わり、小野田少尉が発見され、モナリザが日本で公開された。
コンビニ最大手のセブンイレブンは、この年に1号店を開設している。
北の湖が横綱になり、ウォーターゲート事件でニクソンが大統領の座を追われ、佐藤栄作がノーベル平和賞を受賞した。
アメダスの運用が始まり、11月には東京湾でタンカーが衝突炎上するという事件も起こっている。
巨人ファンにとっては、長嶋の引退が思い浮かぶのではないだろうか。
キティちゃん(ハローキティ)は、この年の12月に誕生している(だから、今年は宇宙からメッセージを贈るキャンペーンをやってるんだ!)。
(キティ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/08/13/7413531
かもめのジョナサンが大ヒットし、ノストラダムスの大予言がブームになった年。
前年の第一次オイルショックの影響で狂乱物価が発生し、小坂明子の「あなた」、グレープの「精霊流し」が流行り、「エクソシスト」が日本で公開された。
エーリッヒ・ケストナー、オスカー・シンドラー、ダビッド・オイストラフが他界した。
そんな頃につくられたエンジンである。
もちろん未使用(使い捨てですから)、新品であるし、改良が施され運用前には検査もされているに違いない。
これまでの運用で、経年劣化による不具合は生じていないようだし。
もちろん、まだ、エンジンが原因と決まったわけではないし、仮にそうだとしても、製造からの経過年数が長いということが原因かどうかは分からない。
加熱とか、繰り返し力を掛けるとか、それこそ酸素リッチな環境に晒すとかしなければ、ロケットエンジンは基本的に丈夫で長持ちするように作られているはずである。
そういう機械だ。
何らかの不具合が起こるとしたら、エンジンと燃料タンクとの接合や、コントロールしている電装系の方が可能性が高い。
21世紀になっても使い続けられるエンジンを開発した技術力の高さもさることながら、そのエンジンを改装して使い続ける技術も大したものだと思う。
もちろん、個々の要素技術の高さも重要だが、その要素を統合して使いこなしていくことの方が大切だ。
技術は運用に従い最適化される。
コスト管理も運用の重要な一面であり、どこにどれだけの資源を割り振って信頼性を上げるかということも重要なポイントになる。
民間企業である以上、収益を上げなければならず、その意味でもコスト管理は大切になる。
40年前のエンジンだろうが、使えるものは使っていくという考え方があってもいい(まあ、使えるものかどうかが問題なんだろうが)。
ナショジオの記事では、ファルコンロケットの開発には、3億ドル掛かったという話が紹介されている。
50機打ち上げて元を取るには、1機当たり600万ドルを稼がなければならない。
まあ、そのくらいは儲かっているだろう。
開発費には国費も投じられている。
それでも、ファルコン1は失敗したし、ファルコン9Rは爆発した。
ロシア製のエンジンといえば、RD-180の問題もある。
(RD-180)
http://ja.wikipedia.org/wiki/RD-180
このエンジンは、民間貨物輸送には供されていないが、ボーイングの有人宇宙船であるCST-100の打ち上げには、RD-180を使用したアトラスVが使われるといわれている。
(CST-100)
http://ja.wikipedia.org/wiki/CST-100
このエンジンは、40年前のエンジンではない。
開発年を見ると、1999年となっている。
実際の製造はそれよりも新しいわけだから、ロシア製エンジンという、まあ、曖昧な括りで問題視されているに過ぎない。
実際、アトラスVロケットは、ほぼ完璧な打ち上げ実績を持っている。
(アトラス V)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B9_V
エンジンの設計時期という点から言えば、デルタⅣロケットに採用されているRS-68(1998年設計)と同時期であり、比較的新しい。
(RS-68 (ロケットエンジン))
http://ja.wikipedia.org/wiki/RS-68_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3)
ちなみにファルコン9に使われている1Dエンジンは2010年代の開発ということになるだろう(ちょっと不明)。
また、我が国が誇るLE-7Aエンジンは、1994年から2000年に掛けて開発された。
その前のLE-7エンジンは、1986年から1994年に掛けて開発されている。
そりゃあ、新しいほうがいいに決まっているが、枯れた技術で贅沢に作られたエンジンをブラッシュアップして使おうというのも悪い話ではない。
自動車でいえば、ベントレーの6.75リットルのOHVエンジンのようなものか。
(ベントレー・ミュルザンヌ (2010))
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%83%8C_%282010%29
もっとも、このエンジンはロールスロイスの古い型式のエンジンを載せてはいるものの、中身は別物といっていいほど変わっている。
(ベントレーの系譜を豊かに継ぐ「コンチネンタルGT/ミュルザンヌ」に試乗)
http://www.asahi.com/and_M/interest/SDI2014092561391.html
ロケットエンジンとは違うが、古いからといって、直ちにダメということではない。
現代の需要に、どれだけマッチしているかという点と、改良の良し悪しを見極める必要があるだろう。
打ち上げに失敗したアンタレスのエンジンが、元々の製造日から40年が経っているとして、問題視する声があるようだ。
(爆発のロケット、なぜソ連製エンジン?)
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20141030001
「ロシア製のロケットは頑丈で信頼性が高いことで知られるが、これほど古いものを使うリスクについて疑問の声が上がるだろう」
さて、40年前といえば、浮沈子が所有する83タルガよりも古い(31年前)。
1974年といえば、高校生だな。
遥かに昔の話で、記憶を辿っても何も出てこない(昔でなくても、出てこないのに・・・)。
(1974年)
http://ja.wikipedia.org/wiki/1974%E5%B9%B4
サザエさんの連載が終わり、小野田少尉が発見され、モナリザが日本で公開された。
コンビニ最大手のセブンイレブンは、この年に1号店を開設している。
北の湖が横綱になり、ウォーターゲート事件でニクソンが大統領の座を追われ、佐藤栄作がノーベル平和賞を受賞した。
アメダスの運用が始まり、11月には東京湾でタンカーが衝突炎上するという事件も起こっている。
巨人ファンにとっては、長嶋の引退が思い浮かぶのではないだろうか。
キティちゃん(ハローキティ)は、この年の12月に誕生している(だから、今年は宇宙からメッセージを贈るキャンペーンをやってるんだ!)。
(キティ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/08/13/7413531
かもめのジョナサンが大ヒットし、ノストラダムスの大予言がブームになった年。
前年の第一次オイルショックの影響で狂乱物価が発生し、小坂明子の「あなた」、グレープの「精霊流し」が流行り、「エクソシスト」が日本で公開された。
エーリッヒ・ケストナー、オスカー・シンドラー、ダビッド・オイストラフが他界した。
そんな頃につくられたエンジンである。
もちろん未使用(使い捨てですから)、新品であるし、改良が施され運用前には検査もされているに違いない。
これまでの運用で、経年劣化による不具合は生じていないようだし。
もちろん、まだ、エンジンが原因と決まったわけではないし、仮にそうだとしても、製造からの経過年数が長いということが原因かどうかは分からない。
加熱とか、繰り返し力を掛けるとか、それこそ酸素リッチな環境に晒すとかしなければ、ロケットエンジンは基本的に丈夫で長持ちするように作られているはずである。
そういう機械だ。
何らかの不具合が起こるとしたら、エンジンと燃料タンクとの接合や、コントロールしている電装系の方が可能性が高い。
21世紀になっても使い続けられるエンジンを開発した技術力の高さもさることながら、そのエンジンを改装して使い続ける技術も大したものだと思う。
もちろん、個々の要素技術の高さも重要だが、その要素を統合して使いこなしていくことの方が大切だ。
技術は運用に従い最適化される。
コスト管理も運用の重要な一面であり、どこにどれだけの資源を割り振って信頼性を上げるかということも重要なポイントになる。
民間企業である以上、収益を上げなければならず、その意味でもコスト管理は大切になる。
40年前のエンジンだろうが、使えるものは使っていくという考え方があってもいい(まあ、使えるものかどうかが問題なんだろうが)。
ナショジオの記事では、ファルコンロケットの開発には、3億ドル掛かったという話が紹介されている。
50機打ち上げて元を取るには、1機当たり600万ドルを稼がなければならない。
まあ、そのくらいは儲かっているだろう。
開発費には国費も投じられている。
それでも、ファルコン1は失敗したし、ファルコン9Rは爆発した。
ロシア製のエンジンといえば、RD-180の問題もある。
(RD-180)
http://ja.wikipedia.org/wiki/RD-180
このエンジンは、民間貨物輸送には供されていないが、ボーイングの有人宇宙船であるCST-100の打ち上げには、RD-180を使用したアトラスVが使われるといわれている。
(CST-100)
http://ja.wikipedia.org/wiki/CST-100
このエンジンは、40年前のエンジンではない。
開発年を見ると、1999年となっている。
実際の製造はそれよりも新しいわけだから、ロシア製エンジンという、まあ、曖昧な括りで問題視されているに過ぎない。
実際、アトラスVロケットは、ほぼ完璧な打ち上げ実績を持っている。
(アトラス V)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B9_V
エンジンの設計時期という点から言えば、デルタⅣロケットに採用されているRS-68(1998年設計)と同時期であり、比較的新しい。
(RS-68 (ロケットエンジン))
http://ja.wikipedia.org/wiki/RS-68_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3)
ちなみにファルコン9に使われている1Dエンジンは2010年代の開発ということになるだろう(ちょっと不明)。
また、我が国が誇るLE-7Aエンジンは、1994年から2000年に掛けて開発された。
その前のLE-7エンジンは、1986年から1994年に掛けて開発されている。
そりゃあ、新しいほうがいいに決まっているが、枯れた技術で贅沢に作られたエンジンをブラッシュアップして使おうというのも悪い話ではない。
自動車でいえば、ベントレーの6.75リットルのOHVエンジンのようなものか。
(ベントレー・ミュルザンヌ (2010))
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%83%8C_%282010%29
もっとも、このエンジンはロールスロイスの古い型式のエンジンを載せてはいるものの、中身は別物といっていいほど変わっている。
(ベントレーの系譜を豊かに継ぐ「コンチネンタルGT/ミュルザンヌ」に試乗)
http://www.asahi.com/and_M/interest/SDI2014092561391.html
ロケットエンジンとは違うが、古いからといって、直ちにダメということではない。
現代の需要に、どれだけマッチしているかという点と、改良の良し悪しを見極める必要があるだろう。
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