こころの闇2015年03月28日 04:20

こころの闇


(墜落機副操縦士、病気隠し乗務か 独当局、破いた診断書押収)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015032701002082.html

「自宅から、破られた医療機関の診断書を押収したと発表した。診断書は墜落当日の24日を含め「乗務不可」とする内容。精神的な病気を勤務先に隠していた可能性」

(日本航空350便墜落事故)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%88%AA%E7%A9%BA350%E4%BE%BF%E5%A2%9C%E8%90%BD%E4%BA%8B%E6%95%85

「機長は、まだ副操縦士であったこの事故の6年前に初めて幻覚を見、それ以後、初期の精神分裂病、うつ状態、心身症などと診断をうけ、聖マリアンナ医大病院の医師、会社の常勤内科医、非常勤精神科医らの診察、治療を受けたが改善せず・・・」

1982年2月9日の事故。

浮沈子は、故あって、この事故のことを鮮明に覚えている。

航空機のことは詳しくないが、旅客機のパイロットとして就職するのは大変なんだろうな。

ストレスも多いだろうし、技量の維持も、心身のコンディションの維持も並大抵ではなかろうと思う。

運行する航空会社としても、乗務員の管理には、神経を使うところだ。

一人ひとりのケアはもちろん、チームとしての対応もある。

今回の事故を受けて、客室乗務員を離席する操縦士の代わりにコックピットに入室させる対応をとるらしいが、それでもだめなときはあるだろう。

偶然だが、尼崎線の事故についての判決も出た。

(JR西3社長、控訴審判決も無罪 尼崎脱線で予見可能性認めず)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27HEL_X20C15A3CC1000/

「事故の具体的な予見可能性は認められない」

(JR福知山線脱線事故)
http://ja.wikipedia.org/wiki/JR%E7%A6%8F%E7%9F%A5%E5%B1%B1%E7%B7%9A%E8%84%B1%E7%B7%9A%E4%BA%8B%E6%95%85

「9時18分ごろ、塚口駅通過後、制限速度70kmのカーブに116kmで進入、ブレーキを操作するが脱線」

「事故調査報告書によると運転士は度重なったミスにより、宝塚駅到着前後にはすでに心身的に影響があったとしている。」

「電車が傾き始めても運転士はレバーを握ったまま慌てる様子もなく、普段の運転姿勢のまま斜めになっていた」

大幅な速度超過でカーブに突っ込む運転士というのは、想定外なんだろう。

航空機の操縦にせよ、列車の運行にせよ、多数の乗客を乗せて運行されている大量輸送機関は、多かれ少なかれ同じようなリスクを抱えている。

高速バスの側壁激突なんてのもあった。

ベースとなる疾病があったかどうかは別にして、その乗務について、適格であるかどうかをチェックするような仕組みというのは完全ではない。

今回の航空機事故は、乗務不可であることを本人が秘匿していたこともある。

操縦者の故意によるという事故は、いくつか例があるが、全体から見れば極めて稀だ。

本人にしてみれば、病気なんだから仕方ないが、巻き込まれた方はたまったものではない。

怒りの持って行き場がない。

(独旅客機:意図的墜落、27歳副操縦士なぜ 控えめな性格)
http://mainichi.jp/select/news/20150327k0000e030176000c2.html

「米同時多発テロ後、もし操縦士が操縦室で1人になる場合、乗務員が操縦席に座り、監視する習慣があった。だが、ルフトハンザ社は「最近、そうしている航空会社はほとんどない」として、問題は無かったとした。」

「高い安全基準を持っていたが、今回のような出来事は防ぐことができない」

運行していたジャーマンウイングスではなく、親会社が、何でこんなコメント出しているのかが良く解らないが、実質的に支配権が及んでいるのかもしれない。

ということは、ルフトハンザの安全基準でも、この手の事故は防げないし、改善する気もないということだ。

(「操縦室2人常駐」「心のケア」欧州各社が推進)
http://www.yomiuri.co.jp/world/20150327-OYT1T50122.html

「今回の墜落を受け、独DPA通信によると、ルフトハンザ航空などドイツの民間航空会社が加盟する業界団体が27日、操縦室の常時2人態勢を導入することで合意。」

取って付けた様な対応だが、ルフトハンザが仮に2人体制を導入したとしても、喉元過ぎれば元に戻るに決まっている。

パイロットの心のケアといったって、何するわけでもない。

もともと、操縦士としての適正や定期健康診断(?)は、当然行われているわけで、それをどこまで実質的に運用するかという問題だ。

乗務不可と診断されたことを、本人が診断書を破ったくらいで秘匿できること自体が問題だろう。

そもそも、養成時代から精神疾患を抱えていたパイロットを、雇用し続けなければならない昨今のパイロット不足や、LCCの経営も問題にされていい。

航空機需要は、これから益々増大することが予想されていて、パイロットの量の確保が困難になることは解りきっている。

質の確保や、雇用後のケアまで面倒見られないというのが実態なのではないか。

それを前提に運用されている航空業界全体の問題として捉えなければ、今回の事故の教訓は生かされず、この手の事故は繰り返される。

やりきれない思いだ。

件の副操縦士は、パイロットになるのが夢だったというが、乗務不可となったことを苦にしていたかもしれない。

それを把握できなかった会社側の不備も許しがたい。

まして、この手の事故は防げない、などと平気でコメントするなどは、もってのほかだ。

浮沈子は、こころの闇は、ルフトハンザにもあるのではないかと思っている。

しかし、当然のことながら、犠牲になった乗員乗客や、その遺族らのこころの闇は、より深い。

この記事を書くのは、いささか辛い。

昨日は、気分転換に、チャラチャラした記事を書いて載せようとしたが、やはり、正面から向き合わないと次には進めなかった。

とりとめがなくなっているかも知れないが、浮沈子のこころの闇のせいに違いない・・・。

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