酸素減圧 ― 2015年07月30日 00:54
酸素減圧
禁断の酸素減圧。
水中で吸ってはならないと、つい4か月前までは法令で禁じられていたわけだが、今や標準の減圧方法として認められ、わが世の春を謳歌している(ホントかあ?)。
ナイトロックスのスペシャルティなどを受講すると、酸素分圧というのを覚えされられて、やれ1.4ataだとか、1.3ataだとか、いやいや、1.6ataだとか揉めるところだ。
ちなみに、PADIは、1.4ataを上限として運用するように指導しているようだな。
酸素中毒には、急性の中枢神経系酸素中毒と、慢性の肺酸素中毒があって、どちらも深刻な事態を招くが、水中でヤバイのは急性の毒性で、レジャーダイビングで酸素分圧がどうのこうのという時は、こっちの話になる。
ちなみに、改正高圧則では0.18ata以上1.6ata以下と定められている。
ドライベルとか、急性の酸素中毒で痙攣起こしても溺れる心配がない場合は、2.2ataまで認められるようだ。
純酸素吸うということになると、水深6mより浅いところということになる。
先日購入したNSK減圧表では、水中では9mで行うようになっている。
全面マスクで、ステージを使用するなどの溺れ対策が行われているということなんだろう。
減圧理論で、この酸素を用いた計算を行う際の実例については、以下に出ている。
(高気圧作業安全衛生規則改正検討会報告書)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000037880.html
報告書本体の、25ページ。
「酸素減圧は 25[min]酸素呼吸、5[min]空気呼吸を繰り返すため、25[min]間は窒素ガス濃度を 20[%]、5[min]間は 79[%]として計算する。」
気になる記述は、15ページにもある。
「(なお、後に記載するが、酸素毒性計算では、O2=100%で計算し、体内不活性ガス分圧の計算ではマスクからの漏れ等を考慮し、N2:O2=20:80 で計算するとより安全な減圧表となる。)」
業務潜水で普及している全面マスク式では、こういう配慮が必要なんだろう。
エアブレイクについては、中枢神経系酸素中毒に対する配慮のようだ(潜水士テキスト104ページ)。
テクニカルダイビングでも行われているらしいが、浮沈子は詳しくは知らない。
30分を1サイクルとしているようだが、NSK減圧表を見ても、概ねそんな感じになっている。
で、減圧計算を酸素を用いて行うとどうなるか、実際に計算してみた(画像参照)。
NSK減圧表との保守性を比較するために、同じ9mから純酸素を使用することにしてある(20パーセントの窒素混入は考慮してません)。
ちょっと、痙攣が恐い感じがするな。
CCRでマニュアル操作する時も、5m位のところで着底して練習した(インスピの時)。
これを、空気減圧の場合と比較してみる。
(減圧計算:画像のみ参照)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/07/19/7711753
浮上時間をオミットして、減圧停止時間だけ見てみると、空気減圧82分に対して、酸素減圧は34分と、アットーテキに短い(エアブレイクは入れてません)。
試しに、12m(溺れ対策済みの限界)として試算したら、29分と更に短くなった。
この計算では、酸素を使用しながら、減圧停止深度も徐々に浅くする方法をとっているが、NSK減圧表では、9m固定で減圧を済ませている。
あくまでも、試みの計算なので、実際にはいろいろ配慮しなければならないだろう。
長時間の空気減圧では、浅い水深でも窒素は溜まり続けている。
酸素の毒性に注意が必要とはいえ、酸素減圧を行うメリットは計り知れない。
長期間の酸素減圧を行った際に、どんな情況が生じるかというのは、これから事例を積み重ねていくしかないだろう。
CCRだって、ナイトロックスだって、空気潜水の歴史に比べたら、最近出てきた話である。
混合ガス潜水の場合も、検討会の報告書に事例が出ている(26ページから)。
ヘリオックスの例だが、トライミックスでも計算はできるわけで、そういう点ではビュールマンは融通が効くな。
窒素とヘリウムの両方の分圧を見なければならないのと、M値の計算がややっこしいので、表計算ソフトを大幅に改編しなければならない。
72[%]とか0.72とか見る度にイライラするんだがな。
まあ、どうでもいいんですが。
ヘリウム混合の件については、項を改めて書くことにしよう。
禁断の酸素減圧。
水中で吸ってはならないと、つい4か月前までは法令で禁じられていたわけだが、今や標準の減圧方法として認められ、わが世の春を謳歌している(ホントかあ?)。
ナイトロックスのスペシャルティなどを受講すると、酸素分圧というのを覚えされられて、やれ1.4ataだとか、1.3ataだとか、いやいや、1.6ataだとか揉めるところだ。
ちなみに、PADIは、1.4ataを上限として運用するように指導しているようだな。
酸素中毒には、急性の中枢神経系酸素中毒と、慢性の肺酸素中毒があって、どちらも深刻な事態を招くが、水中でヤバイのは急性の毒性で、レジャーダイビングで酸素分圧がどうのこうのという時は、こっちの話になる。
ちなみに、改正高圧則では0.18ata以上1.6ata以下と定められている。
ドライベルとか、急性の酸素中毒で痙攣起こしても溺れる心配がない場合は、2.2ataまで認められるようだ。
純酸素吸うということになると、水深6mより浅いところということになる。
先日購入したNSK減圧表では、水中では9mで行うようになっている。
全面マスクで、ステージを使用するなどの溺れ対策が行われているということなんだろう。
減圧理論で、この酸素を用いた計算を行う際の実例については、以下に出ている。
(高気圧作業安全衛生規則改正検討会報告書)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000037880.html
報告書本体の、25ページ。
「酸素減圧は 25[min]酸素呼吸、5[min]空気呼吸を繰り返すため、25[min]間は窒素ガス濃度を 20[%]、5[min]間は 79[%]として計算する。」
気になる記述は、15ページにもある。
「(なお、後に記載するが、酸素毒性計算では、O2=100%で計算し、体内不活性ガス分圧の計算ではマスクからの漏れ等を考慮し、N2:O2=20:80 で計算するとより安全な減圧表となる。)」
業務潜水で普及している全面マスク式では、こういう配慮が必要なんだろう。
エアブレイクについては、中枢神経系酸素中毒に対する配慮のようだ(潜水士テキスト104ページ)。
テクニカルダイビングでも行われているらしいが、浮沈子は詳しくは知らない。
30分を1サイクルとしているようだが、NSK減圧表を見ても、概ねそんな感じになっている。
で、減圧計算を酸素を用いて行うとどうなるか、実際に計算してみた(画像参照)。
NSK減圧表との保守性を比較するために、同じ9mから純酸素を使用することにしてある(20パーセントの窒素混入は考慮してません)。
ちょっと、痙攣が恐い感じがするな。
CCRでマニュアル操作する時も、5m位のところで着底して練習した(インスピの時)。
これを、空気減圧の場合と比較してみる。
(減圧計算:画像のみ参照)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/07/19/7711753
浮上時間をオミットして、減圧停止時間だけ見てみると、空気減圧82分に対して、酸素減圧は34分と、アットーテキに短い(エアブレイクは入れてません)。
試しに、12m(溺れ対策済みの限界)として試算したら、29分と更に短くなった。
この計算では、酸素を使用しながら、減圧停止深度も徐々に浅くする方法をとっているが、NSK減圧表では、9m固定で減圧を済ませている。
あくまでも、試みの計算なので、実際にはいろいろ配慮しなければならないだろう。
長時間の空気減圧では、浅い水深でも窒素は溜まり続けている。
酸素の毒性に注意が必要とはいえ、酸素減圧を行うメリットは計り知れない。
長期間の酸素減圧を行った際に、どんな情況が生じるかというのは、これから事例を積み重ねていくしかないだろう。
CCRだって、ナイトロックスだって、空気潜水の歴史に比べたら、最近出てきた話である。
混合ガス潜水の場合も、検討会の報告書に事例が出ている(26ページから)。
ヘリオックスの例だが、トライミックスでも計算はできるわけで、そういう点ではビュールマンは融通が効くな。
窒素とヘリウムの両方の分圧を見なければならないのと、M値の計算がややっこしいので、表計算ソフトを大幅に改編しなければならない。
72[%]とか0.72とか見る度にイライラするんだがな。
まあ、どうでもいいんですが。
ヘリウム混合の件については、項を改めて書くことにしよう。
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