2015年11月27日 10:56

毒



アウディだって、悪いクルマではないんだろう。

乗用車ベースで事業を展開してきて、それでも、モータースポーツに積極的に参加したり、スポーティな乗用車を作ってきたりした。

TTやR8とかも出したしな(うーん、乗用車かあ?)。

何度か試乗したりしたが、カッチリとしたボディや、シンプルで外連味のない内装など、質実剛健のドイツ車の面目躍如だ。

駆動方式は、FFをベースにしたAWD(4WD)で、効率的な駆動力の伝達、矢のような直進安定性、全天候高速巡行性能を発揮する。

エンジンにも特徴があって、ターボ加給エンジンを早くから導入してきた。

欧州では、二酸化炭素の削減ということもあり、ディーゼルエンジンが主流だ(後で出てきますが、ドイツでのカイエンの販売のほとんどはディーゼル車だそうです)。

で、やっちゃったわけだな、例のやつ・・・。

(米当局、アウディにリコール計画の提出を要求…3.0 V6ディーゼルの排ガス問題)
http://response.jp/article/2015/11/27/264980.html

「今回の問題では、アウディが開発した3.0リットルV型6気筒ターボディーゼルTDIエンジンに、AECDと呼ばれる排ガスを不正に制御する違法なソフトウェアが組み込まれていた。」

このエンジンを使用しているクルマとして、アウディ以外にも、VW(トゥアレグ)、ポルシェ(カイエン)が挙げられている。

ポルシェも、とうとう引っかかったわけだ。

(ポルシェ、アウディ製ディーゼルの排ガス不正に声明…カイエン に搭載)
http://response.jp/article/2015/11/26/264922.html

「この問題を受けて11月25日、ポルシェの米国法人、ポルシェカーズノースアメリカは声明を発表。「ポルシェは引き続き、全ての関係当局に全面的に協力していく」と発表した。」

(Porsche Cars North America Statement Regarding California Air Resources Board in Use Compliance Letter:元記事)
http://press.porsche.com/news/release.php?id=962&utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+PorschePressNews+%28Porsche+Press+News%29

「Porsche awaits detailed information from the engine supplier, Audi AG」

うちが悪いんじゃねえぞ!。

まあ、そういうわけじゃないだろうが、メーカーとして、何か言わなきゃならんだろうということだな。

意図して不正を働いたんじゃない、というわけだ。

ガソリンエンジン車を作り続けてきたポルシェとしては、如何に売れ筋とはいえ、カイエンのディーゼルを単独で開発するより、同じ釜の飯を食ってるところから調達する方が得策だと判断したわけだ。

そこに毒が盛られているとも知らないで・・・。

知ってたのかも?。

知らないわけはないだろうというのが、浮沈子の見立てだ。

サプライヤーの品質管理に厳しい基準を適用するポルシェが、原動機の特性に目配りを怠るはずはない。

Q7(アウディ)、VW(トゥアレグ)、ポルシェ(カイエン)の3兄弟の共通のエンジンとして採用する際にも、ポルシェのエンジニアが関与していないわけがないのだ。

(ポルシェ・カイエン:958型(2010年-))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3#958.E5.9E.8B.EF.BC.882010.E5.B9.B4-.EF.BC.89

「カイエン・ディーゼル - 2,967ccV6ター。240PS。550Nm(56.1kgm)/2,000rpm。最高速214km/h。日本には正規輸入されない。(しかしドイツ本国でのカイエンのほとんどはディーゼルである)」

(Porsche Cayenne:Engines)
https://en.wikipedia.org/wiki/Porsche_Cayenne#Engines_2

「Model:Production period:Engine Power (PS, torque)@rpm:Emissions CO2
・Cayenne Diesel:2010-2011:2,967 cc (3.0 L; 181.1 cu in) V6:240 PS (180 kW; 240 hp)@4000, 550 N·m (410 lb·ft)@2000:-

・Cayenne Diesel:2011-2014:2,967 cc (3.0 L; 181.1 cu in) V6:245 PS (180 kW; 242 hp)@4000, 550 N·m (410 lb·ft)@1750:189 g/km

・Cayenne Diesel:2012-:2,967 cc (3.0 L; 181.1 cu in) V6:262 PS (193 kW; 258 hp)@4000, 580 N·m (430 lb·ft)@1750 173 g/km」

年々手を入れているようだな。

(Audi Q7:Engines)
https://en.wikipedia.org/wiki/Audi_Q7#Engines_2

「・Model:3.0 TDI clean diesel quattro
・Year:2009–
・Engine type:2,967 cc (2.967 L; 181.1 cu in) V6 turbo
・Power, torque@rpm:270 PS (199 kW; 266 hp)@4000–4400, 550 N·m (406 lb·ft)@2000–2250」

ちなみに、トゥアレグは、カイエンと同じスペックである(エンジンは、2種類あるようですな)。

パワーが異なるエンジンをカイエンに積む際、出力特性などを検討するために、ポルシェが関与しないはずはないのだ。


それとも、このエンジンだけ、手抜きをしたとでもいうんだろうか?。

エンジンサプライヤーであるアウディを全面的に信頼して、うちはなんにも知りませんでしたと、白を切るつもりなんだろうか?。

「11月25日、CARB(カリフォルニア州大気資源局)が明らかにしたもの。「アウディおよびフォルクスワーゲン、ポルシェに対して、3.0リットルディーゼル車のリコール計画の提出を求めた」と発表している。」

当局は、製品としてのクルマを売りまくったメーカーを追及している。

サプライヤーのコントロールは、メーカーの責任なのだ。

「今後、3.0リットルV6ディーゼルエンジンの修理や再認証に必要な行動を取っていく」

ポルシェは、あくまでも部品であるエンジンの問題だと印象付けたいようだが、浮沈子は騙されない。

アウディという毒を飲んだポルシェの対応は、いささか誠実さに欠けるような気がする(毒を盛ったヤツが悪くって、うちも被害者だぞ、というわけだ)。

仮に、全く関与していなかったとしたら、つまり、出来合いのエンジンを買ってきて、ポンと載せただけだったとしたら、ポルシェの態度として、そっちの方が問題があるような気もするがな。

ポルシェのエンブレムって、その程度のもんか。

顧客にとっては、メーカーの中の話なので、真実を知ることは難しい。

カイエン・ディーゼルは、我が国では正規販売はされていないし、そもそも、浮沈子は絶対に買わないクルマだ。

文句を言う筋合いじゃない。

しかし、問題なのは企業としての姿勢だ。

確かに現代のクルマにとって、原動機は部品の一つに過ぎない。

その不具合については、最終的にはメーカーの責任であるにしても、作ったのは俺じゃないという気持ちは分かるような気もする(浮沈子は、そうじゃないと思ってるがな)。

エアバッグの問題にしても、サプライヤーの選択から、調達部品の品質管理も含めて、メーカーの責任が問われているわけだし、増してや、その開発に関わっていたとすれば罪、一等重い。

この件の推移は、少し見守る必要がありそうだ。

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