精緻を極める2016年02月08日 22:48

精緻を極める


機械が複雑になるのは、もともと、複雑にしなければ実現できない機能を備えるためだから。

複雑であることは、目的ではなく手段である。

トゥールビヨンであれ、12気筒エンジンであれ、CCRであれ、そうしなければならないという必然性があって作られ、使われてきたわけだ。

その仕組みは精緻を極め、製造、メンテナンス、運用にはプロの技が必要だ。

まあ、腕時計ははめてるだけだがな。

しかし、定期的なメンテナンスに出すという、オーナーとしての義務は果たさなければならない。

それは、どんな機械でも同じだろうが、複雑精緻な機構を正確に動かすための必然である。

また、運用の際の手順、使用方法、運用の限界を遵守(じゅんしゅ)するということも当然だし、運用者の技量を磨くことも求められる。

まあ、腕時計ははめてるだけだがな。

ぶつけたりとか、落としたりとかしないように気を付けるだけでいい。

複雑な器材の限界を守るというのは、いくつかの意味で極めて重要だ。

一つは、その複雑さゆえに、故障する頻度も高いということ。

12気筒エンジンなら、単気筒エンジンの12倍故障し得る。

まあ、そう単純ではないが、確率的にはそうなる。

単気筒エンジンは、1気筒アウトになればそれで終わりだが、12気筒では、他が燃えていれば何とかなるかもしれないということはあるがな。

まあいい。

トゥールビヨンが動かなくなれば、時計は止まるし、酸素センサーが動かなくなれば本来の機能は発揮できない。

メンテナンスを怠らず、限界を守り、さらに運用者の技量の範囲で使う限り、複雑であろうが精緻であろうが、求められる機能を発揮する。

それらの機器は、高い性能を有するゆえに、そこで発生したトラブルは、深刻な結果を招きかねない。

まあ、時計は100均でも問題ないがな。

減圧停止中のCCR、200kmでコーナーリング中の12気筒・・・。

ちっと、壊れて欲しくないところだ。

しかし、限界を超えた運用を求められる時もある。

その際は、複数用意して、故障することを前提とした配備を行ったり、故障の際の異常な状態に対応できる運用者のスキルも開発しておかなければならない。

まあ、時計は2個着けておけばいいだけだがな。

台数も、多ければいいというものではない。

経済的なことは別としても、機動性や複雑な運用に伴う新たな問題の発生もある(人間のトラブルの方が、ややっこしかったりして!)。

正・副・予備の3系統というのが基本だろう。

リスクの取り方にもよるが、一つ壊れても、任務は遂行できる。

2つ壊れたら、任務は完全には遂行できない。

その時点で強行すれば、人的損失が発生する可能性が高い。

それ以前に発生していれば、撤退が困難になる。

どれだけ備えをしようが、完璧ということはない。

常に、リスクがあり、それを織り込んだ対応が求められる。

まあ、時計は・・・。

精緻を極めた機械は、それを所有したり、眺めたりしているだけでも心が豊かになる。

それらに求められる高い性能、それを発揮しなくても、その至高の世界に思いを馳せることが出来る。

そう、鍛え抜かれた日本刀を鑑賞しては興奮する気分だ(浮沈子の趣味ではありませんが)。

眺めて楽しむのが、無難でよろしい。

しかし、せっかくの高機能であれば、骨までしゃぶって使いこなしたいところだ。

高い性能の一部だけ、ゆとりをもって使うということもあるだろうが、本来求められている性能を、フルに使って機能させるのが、その機械にとっても本望だろう。

減圧ダイビングや、サーキットなどで、その震える様なパフォーマンスを存分に発揮させたいものだ。

時計は、・・・。

まあいい。

人の作りしもの、その精緻を極めた高性能な機械には、共通の魂が宿る。

人間をして、より高みに登らせたい。

神に近づきたい。

そのうち、きっと、バベルの塔のように、天罰が下るかもしれないな・・・。

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