エクソマーズ2016年03月13日 06:41

エクソマーズ
エクソマーズ


変更に次ぐ変更、打ち上げの延期、そして、元々分かり辛い計画・・・。

浮沈子の理解を超えた、火星探査が始まろうとしている。

(エクソマーズ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BA

「エクソマーズ(英語: Exobiology on Mars、ExoMars)は欧州が主導している火星探査計画。」

初めに断っておくが、浮沈子は火星に生命はいないと思っているので、この手の計画には冷淡である。

まあ、どうでもいいんですが。

エクソバイオロジーというのは、宇宙生物学という意味で、アストロバイオロジーと同義とされている。

(宇宙生物学)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6

「地球以外の天体からは生命体は発見されておらず、したがって広義の宇宙生物学は、二つの分野に分けられる。すなわち、「地球以外の場所の生命に関する問題」と「地球上の生命が宇宙に出た際の問題」である。狭義の宇宙生物学では後者のみを指す。」

この定義に従えば、今回打ち上げられるエクソマーズは、広義の宇宙生物学ということになる。

火星に、生命なんているわけないじゃん!?。

無駄、無駄・・・。

元々は、米国と欧州が手を組んで始めたようだが、米国が予算削減で降りて、ロシアが後釜に入ったようだ。

そういう時代なんだなあ。

で、ウィキにはゴチャゴチャ書いてあるが、明日打ち上げになるのは、トレース・ガス・オービター(TGO:3,130 kg)という火星を周回する衛星と、スキアパレッリと命名された小型着陸機(600 kg)だけ。

画像の、衛星の上に乗っている、金色のソロバン玉(!)が、小型着陸機のようだ(横に付いている菅笠(!)は高利得アンテナ)。

(「火星の生命」の探査機「エクソマーズ」打ち上げ)
http://wired.jp/2016/03/10/exomars-mission-life-on-mars/

しかもだ、この小型着陸機は、長くてもたった2日しか動作しない(ウィキには、原子力電池が積まれる計画とあるが、チャラになったようだ)。

着陸の予行演習を行うだけで、実際には殆ど観測なんてできないだろう。

「短命の探査機になるでしょう。(中略)バッテリーの大半は、探査機の温度を維持することだけに使われることになります」

しかも、打ち上げ延期となった原因のセンサーは、重要ではないから外してしまったというじゃないの!。

ふざけた話だ。

しかし、ESAは火星に探査機を下すのは初めてなので、仕方ないか。

一応、気候と電場に関するデータを収集するということになっているが、今回は、こっちの方は考えなくていい。

オマケだ。

衛星の方は、メタンの中の炭素原子の同位体を計測するようだな。

「2014年に米航空宇宙局(NASA)の火星探査ローヴァー「キュリオシティ」が、火星には大量のメタンが存在することを確認している。」

「火星大気のサンプルを収集し、生物を起源としないメタンに多く見られる放射性炭素(炭素14)同位体の量を測定する。」

(放射性炭素年代測定)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E7%82%AD%E7%B4%A0%E5%B9%B4%E4%BB%A3%E6%B8%AC%E5%AE%9A

浮沈子は良く分からないのだが、生物がいないと、一次宇宙線によって生成した炭素14は、生物の体の中に隔離されず、どんどん作られることになる(一方で崩壊もするので、平衡状態になるのかあ?)。

生物由来のメタンでは、炭素14の割合が少なくなっているというのだ(年代測定は、これを利用して行っているようです)。

宇宙線が炭素14を作るにしても、変動があるだろうし、ある程度の期間をかけて観測しないと、生物由来のものが混じっているかどうかは簡単には分からないだろう。

というわけで、明日の打ち上げは、このトレース・ガス・オービター(衛星)と、スキアパレッリ(小型着陸機)の2つを合体させて、ロシアのバイコヌール基地から打ち上げる。

この打ち上げ自体も、一度延期になっている。

(欧露の火星探査機「エクソマーズ2016」、センサーに問題 打ち上げ2か月延期)
http://sorae.jp/030201/2015_9_23_esa.html

「2016年1月に予定してた火星探査機「エクソマーズ2016」の打ち上げを延期すると発表した。」

「当初2016年1月7日から27日の間に予定」

(火星にレッツゴー! 欧露共同開発の火星探査機「エクソマーズ2016」、発射場への輸送始まる 来年3月打ち上げ)
http://sorae.jp/030201/2015_11_26_exomars-2016.html

「打ち上げは2016年3月14日から25日の間に予定」

(火星探査機「エクソマーズ2016」、ロケットに搭載 14日打ち上げへ)
http://sorae.jp/030201/2016_03_04_exomars-2016.html

「打ち上げ日時は3月14日18時31分に設定されている。」

「延期前と変わらず、火星には同年10月19日に到着する予定」

打上の時期が2か月ずれても、到着が同じというのが、また分からない話だ。

(ホーマン軌道)
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/hohmann_orbit.html

「「ホーマン軌道」より飛行日数が少ない「準ホーマン軌道」」

「「ホーマン軌道」に飛ばす場合よりも、速度を上げ、打ち上げ方向を少しだけ変えたりすることによって、遠日点または近日点に達する前に、目的の惑星と会合し、飛行日数を減らすことができます。現在、ほとんどの惑星探査機は、この方法により打ち上げられています。」

ははあ、多少は調整が効くってことか。

さて、浮沈子の説が正しければ、10月19日に無事に火星にたどり着いたとしても、生命の痕跡は見つけられずに、エクソマーズ計画はとん挫することになるわけだが、一応、何かの間違いで、炭素14が減ってたりするとマズイ(?)ので、第二期のエクソマーズ計画もざっと見ておこう。

「2回目の打ち上げは2018年に予定されており、ロシアの着陸機はエクソマーズ・ローバーを火星表面に展開させる。」

「この再突入・降下・着陸モジュールは80%がロシア側で、20%がESAで製造される」

「着陸機(TBD:何の略かは不明)(中略)にロシアの原子力電源を装備することで、(中略)火星年で1年にわたって地表環境を観測できるようにすることが提案されている」

「探査車はオービターによって判明したメタン源を調査する。」

「自走式で六輪の探査車である」

原子力電池は、着陸機の方に積まれ、探査車には積まれず、そっちは太陽電池駆動になる。

火星では、太陽電池による発電量に限りがあり、出来ることも限られるので、大した調査は出来ないと見ていい。

結局、米国の二番煎じになるわけだな。

浮沈子は、ロシアがフランスと組んで、一計を案じたのではないかと思ってるんだがな。

(打ち上げ中止の火星探査機「インサイト」、2年後の打ち上げが決定)
http://sorae.jp/030201/2016_03_11_insight.html

「昨年末、フランス国立宇宙研究センターが開発した地震計に不具合が見つかり、打ち上げまでに修理は不可能と判断されたことで打ち上げが中止された。」

先に火星に行くことが出来るわけで、2018年も、延期になる可能性があるかも。

「問題が起きた地震計の改良や、完成している探査機本体や他の機器の保管などにさらに予算が必要になることから、NASAなどは追加予算を投じて2018年の打ち上げを目指すか、あるいはインサイト計画を完全に中止するかの選択を迫られていた。」

止めちまった方が良かったんじゃね?。

どうも、火星を巡っては、様々な思惑が入り乱れているような気がしてならない。

例によって、浮沈子の妄想の翼が、大きく羽ばたいてしまう・・・。

ともあれ、明日の打ち上げが無事に行われることを祈ろう。

火星の衛星2016年03月13日 17:28

火星の衛星
火星の衛星


火星には、2つの衛星がある(もちろん、天然のヤツだけ)。

人工の奴は、いくつかあるらしい(日付は、軌道投入日)。

・2001マーズ・オデッセイ(米国):2001年10月23日
・マーズ・エクスプレス(ESA):2003年12月25日
・マーズ・リコネッサンス・オービター(米国):2006年3月10日
・メイブン(米国):2014年9月21日
・マンガルヤーン(インド):2014年9月24日

この他にもあったかな(運用終了(マーズ・グローバル・サーベイヤー)は除く)。

天然の方は、間違いなく2つだ。

(フォボス (衛星))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%9C%E3%82%B9_(%E8%A1%9B%E6%98%9F)

「火星の第1衛星。もう1つの火星の衛星であるダイモスより大きく、より内側の軌道を回っている。」

「フォボスの軌道は火星の静止軌道より内側にあるため、公転速度は火星の自転速度よりも速い。」

「1日に2回西から上り速いスピードで空を横切り東へ沈む。」

(ダイモス (衛星))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A2%E3%82%B9_(%E8%A1%9B%E6%98%9F)

「火星の第2衛星。火星のもう1つの衛星フォボスより小さく、外側を公転する。」

ダイモスの公転周期も短いな。

「公転周期:1日 6時間 17.9分(1.2624 日)」

ちなみに、月(地球の衛星)は、27日ちょっとで回っている。

どちらも、小惑星が火星重力に捕捉されたという説が有力だが、インパクト説もあるらしい。

フォボスは、近いうちに(といっても、3千万年から5千万年)、火星に衝突するか砕け散ってしまうらしい。

探査するなら、今のうちだ。

(くらし☆解説 「火星往復!?日本の探査機」)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/222385.html

「探査機は火星の周りをまわってその衛星に着陸し、地質サンプルを採取。」

「数年かけて地球に持ち帰る「サンプルリターン」と呼ばれる計画」

「「火星のそばにある小惑星をターゲットにした『はやぶさ3』」、のような計画」

ロシアは、フォボス・グルントで失敗してしまったので、衛星探査はしばらくやらないだろう。

火星本体からのサンプルリターンは、いろいろ計画があるようだが、衛星からというのはない。

(「火星の衛星」日本が探査へ 世界初を競うライバル国は?)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/06/09/mars-jaxa_n_7549110.html

「ロシアは、後継機を2020年に打ち上げることを目標にしており、日本のライバルとなりそうだ。」

懲りずに、またやるのかあ?。

まあいい。

たぶん、難易度からいえば、フォボスの方が高いということになるんだろうな。

重力デカイし、軌道も低いし、当然スピードも速い。

ここは、チャレンジ要素を減らすために、ダイモスのほうにすべきだろう。

「どちらに着陸するかは未定」

まあ、どっちでもいいんですが。

火星の探査は、一発で成功したインドを除けば、死屍累々だ。

米国も、90年代には、かなりの確率で失敗している。

(火星探査機:アメリカ合衆国)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%81%AB%E6%98%9F%E6%8E%A2%E6%9F%BB%E6%A9%9F#.E3.82.A2.E3.83.A1.E3.83.AA.E3.82.AB.E5.90.88.E8.A1.86.E5.9B.BD

「マーズ・オブザーバー:1992年9月25日打ち上げ、1993年8月21日に燃料逆流から爆発し通信途絶。」

「マーズ・クライメイト・オービター:1998年12月11日打ち上げ、1999年9月23日に火星に到達したが軌道投入に失敗。そのまま火星表面に墜落した。」

「マーズ・ポーラー・ランダー:1999年1月3日打ち上げ、12月3日に火星に到達したが、着陸に失敗した。」

「ディープ・スペース2号:マーズ・ポーラー・ランダーに搭載して打上げられて火星に到着したが、データは送られて来なかった。」

20世紀になってからは、ようやく安定してきたようだな。

フェニックスは短命だったが、一応活動はしたようだしな。

我が国は、のぞみの失敗を経験している。

「のぞみ (PLANET-B) - 1998年7月4日打ち上げ、2003年12月9日に火星軌道投入を断念。12月14日に火星から 1000 km地点を通過。」

生命探査とかでない限り、無人探査機はガンガン飛ばしてもらいたい。

2020年代初頭ということは、H3による打ち上げもあるかもしれない。

しかしなあ、火星の衛星なんて、あんま興味湧かないしな。

サンプルリターンも、3回目になると飽きが来るしなあ。

その頃になると、小惑星の有人探査に関心が集まっていて、もちろん、人間が帰ってくることもあって自動的にサンプルリターンになるわけで、火星のショボイ衛星に行ったからって、インパクトないような気がするがな。

でも、是非是非成功させてもらいたいものだ。