スピード94 ― 2016年03月24日 00:49
スピード94
リベリアが、ギニアとの国境を閉鎖した。
(リベリア、ギニア国境を閉鎖 エボラ熱で死者の発表受け)
http://www.afpbb.com/articles/-/3081287
「リベリア政府は、隣国ギニア南部でエボラ出血熱により5人が死亡した恐れがあるとの発表を受け、ギニアとの国境を全て閉鎖した。」
リベリアが、この流行で国境を閉鎖したのは2年前の7月。
その後、沈静化を経て、解除されていた。
今回は、予防措置ということらしいが、羹に懲りて膾を吹く対応になったらしい。
(エボラ出血熱再発、ギニアで5人死亡 保健当局)
http://www.afpbb.com/articles/-/3081277
「エボラ出血熱が再発生して以降、これまでに5人の死者が記録されており、うち3人は感染と推定、別の2人は感染が確認されている」
「ンゼレコレ(Nzerekore)市でも、エボラウイルスの陽性反応が出ていた男性が21日に死亡した」
地域的拡散が確認されたわけで、同一家族内に留まらず、感染が拡大していることを示している。
「犠牲者と接触があったとみられる961人に対しては今後、経過観察を行う予定」
2年前からエボラウォッチを続けている浮沈子から見ると、つまり、現時点では、何もやっていないということになる。
西アフリカ的対応というか、なんというか・・・。
この報道の中に、ドキッとする記述があって、浮沈子の頭は一瞬、パニックになりかけた。
「現在、エボラの犠牲者らとの接触によって感染した恐れのある数百人について調査が進められている。シラ氏によると、調査の重点は「(犠牲者らの)埋葬に誰が来たか、見舞いに誰が来たか、死体を誰が洗ったか」に置かれているという。」
今回の流行のキーワードであった、会葬者による死体の洗浄。
まだやってるのか・・・。
塩とか、海苔とか、お茶の代わりに、会葬御礼に、エボラお持ち帰りでどうする?。
「ギニア政府は、夫婦の家族の住居周辺に隔離エリアを設置するとともに、同地域での他の潜在的なエボラ患者の戸別捜索を実施すると発表した。」
WHOは、初期介入を検討しているのかもしれないが、おそらく出遅れるに違いない。
トレースしなければならない約1000人の関係者を、限られた人員でフォローすることは不可能だ。
しかも、コロパラからンゼレコレ市内へと、地域的拡散は既に始まっている。
おまけに、AFPの報道には、誤謬もある。
「コロパラ村は、今回の大流行で2013年12月に最初のエボラ出血熱患者が登録された場所と同じ地域にある。」
ンゼレコレ県が、登録されたのは、2014年3月であって、初発と推定されている12月の時点では、報告はない。
(2014年の西アフリカエボラ出血熱流行:流行の始まり)
https://ja.wikipedia.org/wiki/2014%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%A5%BF%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E5%87%BA%E8%A1%80%E7%86%B1%E6%B5%81%E8%A1%8C#.E6.B5.81.E8.A1.8C.E3.81.AE.E5.A7.8B.E3.81.BE.E3.82.8A
「流行は、2013年12月にギニアで始まった」
「最初期の感染者の疑いがあるとされている人の居住県として、コナクリ(4名)、ゲケドゥ(4名)、マセンタ(1名)、ダボラ(1名)が挙げられている。」
「ギニア保健省の3月25日の報告では、ギニア南東部のゲケドゥ、マセンタ、ンゼレコレ、キシドゥグでの発生が伝えられている」
情報の風化は、アフリカ情報には強いはずのAFPでも、既に始まっているのだ。
ちょっと、ヤバイ感じもする。
浮沈子は、流行初期の過剰な資源投入を、以前から主張している。
段階的でいいのは、終息段階での話であって、スピードが要求される初期段階でチマチマ資源投入していたら、エボラには勝てない。
2014年9月、リベリアに数千人の米軍が投入されたとき、CDCには、この辺りが分かっているんだと感じた。
ちょっと、タイミングは遅過ぎたが、規模や方法は適切だった(効果が出るまでには、やや時間が掛かった)。
そのリベリアが、早々に国境を封鎖したということは、ギニアには、緊急展開能力がないことを見切ってのことかもしれない。
コナクリのフランス大使館は、今回の感染を、他人ごとのように報じている。
(Des nouveaux cas d’Ebola confirmés en Guinée)
http://www.ambafrance-gn.org/Des-nouveaux-cas-d-Ebola-confirmes-en-Guinee
「Le gouvernement guinéen a annoncé par communiqué que deux personnes ont été testées positives à Ebola à Koropara (région de N’zérékoré).Les autorités sanitaires ont pris les mesures appropriées afin de circonscrire la propagation de la maladie.」
まあ、他人ごとだけどな・・・。
ギニアというお国柄は、首都コナクリ周辺と、南東部では、国が違うのではないかと思う程、隔たりがある。
しかし、幹線道路で繋がっている関係で、感染はあっという間に西部の首都圏に広がる。
2013年の段階でも、感染者(死者ではない)が一桁の段階で、ゲケドウ(4名)から発生した感染者が、コナクリでも同数確認されている。
ンゼレコレ周辺で、抑え込めなければ、コナクリへの伝播は防げないかもしれない。
死者の会葬者が、ウイルスを持ち帰り、発病して死に至り、さらにその会葬者が感染を広めるという、悪夢のような話が、まだ繰り返されているのか。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。
(Hundreds of contacts identified and monitored in new Ebola flare-up in Guinea)
http://who.int/csr/disease/ebola/guinea-flareup-update/en/
この記事では、5人目の死者は、隣のマセンタ県に旅行して死んだとある。
予防接種も行われるとある(安全性とか、確立してるのかあ?)。
このスピードシリーズ、2桁で終わらせようと思っていたが、どうやら、3桁確実な情勢になってきたようだ。
しかし、以前とは違う。
状況は、コントロールされているとまでは言えないものの、少なくとも把握されているし、ほぼリアルタイムに報道されている(メディアが間違ったりしてるけどな)。
まあいい。
初期対応を間違わなければ、限局することが出来る可能性はある。
この数週間が、勝負所だろう。
そうでなければ、我々は、再び、悪夢を見ることになるのだ・・・。
リベリアが、ギニアとの国境を閉鎖した。
(リベリア、ギニア国境を閉鎖 エボラ熱で死者の発表受け)
http://www.afpbb.com/articles/-/3081287
「リベリア政府は、隣国ギニア南部でエボラ出血熱により5人が死亡した恐れがあるとの発表を受け、ギニアとの国境を全て閉鎖した。」
リベリアが、この流行で国境を閉鎖したのは2年前の7月。
その後、沈静化を経て、解除されていた。
今回は、予防措置ということらしいが、羹に懲りて膾を吹く対応になったらしい。
(エボラ出血熱再発、ギニアで5人死亡 保健当局)
http://www.afpbb.com/articles/-/3081277
「エボラ出血熱が再発生して以降、これまでに5人の死者が記録されており、うち3人は感染と推定、別の2人は感染が確認されている」
「ンゼレコレ(Nzerekore)市でも、エボラウイルスの陽性反応が出ていた男性が21日に死亡した」
地域的拡散が確認されたわけで、同一家族内に留まらず、感染が拡大していることを示している。
「犠牲者と接触があったとみられる961人に対しては今後、経過観察を行う予定」
2年前からエボラウォッチを続けている浮沈子から見ると、つまり、現時点では、何もやっていないということになる。
西アフリカ的対応というか、なんというか・・・。
この報道の中に、ドキッとする記述があって、浮沈子の頭は一瞬、パニックになりかけた。
「現在、エボラの犠牲者らとの接触によって感染した恐れのある数百人について調査が進められている。シラ氏によると、調査の重点は「(犠牲者らの)埋葬に誰が来たか、見舞いに誰が来たか、死体を誰が洗ったか」に置かれているという。」
今回の流行のキーワードであった、会葬者による死体の洗浄。
まだやってるのか・・・。
塩とか、海苔とか、お茶の代わりに、会葬御礼に、エボラお持ち帰りでどうする?。
「ギニア政府は、夫婦の家族の住居周辺に隔離エリアを設置するとともに、同地域での他の潜在的なエボラ患者の戸別捜索を実施すると発表した。」
WHOは、初期介入を検討しているのかもしれないが、おそらく出遅れるに違いない。
トレースしなければならない約1000人の関係者を、限られた人員でフォローすることは不可能だ。
しかも、コロパラからンゼレコレ市内へと、地域的拡散は既に始まっている。
おまけに、AFPの報道には、誤謬もある。
「コロパラ村は、今回の大流行で2013年12月に最初のエボラ出血熱患者が登録された場所と同じ地域にある。」
ンゼレコレ県が、登録されたのは、2014年3月であって、初発と推定されている12月の時点では、報告はない。
(2014年の西アフリカエボラ出血熱流行:流行の始まり)
https://ja.wikipedia.org/wiki/2014%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%A5%BF%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E5%87%BA%E8%A1%80%E7%86%B1%E6%B5%81%E8%A1%8C#.E6.B5.81.E8.A1.8C.E3.81.AE.E5.A7.8B.E3.81.BE.E3.82.8A
「流行は、2013年12月にギニアで始まった」
「最初期の感染者の疑いがあるとされている人の居住県として、コナクリ(4名)、ゲケドゥ(4名)、マセンタ(1名)、ダボラ(1名)が挙げられている。」
「ギニア保健省の3月25日の報告では、ギニア南東部のゲケドゥ、マセンタ、ンゼレコレ、キシドゥグでの発生が伝えられている」
情報の風化は、アフリカ情報には強いはずのAFPでも、既に始まっているのだ。
ちょっと、ヤバイ感じもする。
浮沈子は、流行初期の過剰な資源投入を、以前から主張している。
段階的でいいのは、終息段階での話であって、スピードが要求される初期段階でチマチマ資源投入していたら、エボラには勝てない。
2014年9月、リベリアに数千人の米軍が投入されたとき、CDCには、この辺りが分かっているんだと感じた。
ちょっと、タイミングは遅過ぎたが、規模や方法は適切だった(効果が出るまでには、やや時間が掛かった)。
そのリベリアが、早々に国境を封鎖したということは、ギニアには、緊急展開能力がないことを見切ってのことかもしれない。
コナクリのフランス大使館は、今回の感染を、他人ごとのように報じている。
(Des nouveaux cas d’Ebola confirmés en Guinée)
http://www.ambafrance-gn.org/Des-nouveaux-cas-d-Ebola-confirmes-en-Guinee
「Le gouvernement guinéen a annoncé par communiqué que deux personnes ont été testées positives à Ebola à Koropara (région de N’zérékoré).Les autorités sanitaires ont pris les mesures appropriées afin de circonscrire la propagation de la maladie.」
まあ、他人ごとだけどな・・・。
ギニアというお国柄は、首都コナクリ周辺と、南東部では、国が違うのではないかと思う程、隔たりがある。
しかし、幹線道路で繋がっている関係で、感染はあっという間に西部の首都圏に広がる。
2013年の段階でも、感染者(死者ではない)が一桁の段階で、ゲケドウ(4名)から発生した感染者が、コナクリでも同数確認されている。
ンゼレコレ周辺で、抑え込めなければ、コナクリへの伝播は防げないかもしれない。
死者の会葬者が、ウイルスを持ち帰り、発病して死に至り、さらにその会葬者が感染を広めるという、悪夢のような話が、まだ繰り返されているのか。
喉元過ぎれば熱さを忘れる。
(Hundreds of contacts identified and monitored in new Ebola flare-up in Guinea)
http://who.int/csr/disease/ebola/guinea-flareup-update/en/
この記事では、5人目の死者は、隣のマセンタ県に旅行して死んだとある。
予防接種も行われるとある(安全性とか、確立してるのかあ?)。
このスピードシリーズ、2桁で終わらせようと思っていたが、どうやら、3桁確実な情勢になってきたようだ。
しかし、以前とは違う。
状況は、コントロールされているとまでは言えないものの、少なくとも把握されているし、ほぼリアルタイムに報道されている(メディアが間違ったりしてるけどな)。
まあいい。
初期対応を間違わなければ、限局することが出来る可能性はある。
この数週間が、勝負所だろう。
そうでなければ、我々は、再び、悪夢を見ることになるのだ・・・。
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