国立科学博物館2016年08月02日 00:14

国立科学博物館
国立科学博物館


ちょっと思い立って、1日がかりで科学博物館に行ってきた。

記憶にあったのは、フーコーの振り子だけ(画像参照)。

全天周映像や、地球館の新設など、旧本館以外の施設が出来ていて、半世紀近く経って訪れた浮沈子を驚かせる。

中にはレプリカもあるが、ここにあるのは概ね本物だ。

江戸から明治、現代にかけての工業化プロセスを展示してあるコーナーでは、正に実物展示が目を引く。

パナソニックのタフパッド(TOUGHPAD JT-B1)を使った、音声と文字による解説グッズを借りて(310円もするけど)、床に書かれた番号を入力して解説を聞きながら歩く。

分銅を、「ぶんどう」とか言ってたけどな。

まあいい。

展示方法に工夫が凝らしてあって、従来のように、ただ並べて、勝手に見てくれという出し方ではない。

テーマや、時代など、複数の切り口で、立体的に展示してある。

細部に至れば、それぞれの研究部門のお家芸が光る。

概観して良し、突っ込んで良し。

まあ、浮沈子にとっては、いささか突っ込みが足りない印象はあったが、ガキども(失礼!、お子様方)や若い方にとっては、科学技術に関する全体的なイメージを形成する上では、有効な施設になっている。

全天周映像(解像度はイマイチ)の宇宙論の解説では、暗黒物質についても触れられていて、最新の知見を織り込んでいる(暗黒エネルギーについては触れられていなかったがな)。

科学は、日々進歩していて、コンテンツのブラッシュアップは永遠の課題だ。

いくつか気になるテーマもあって、小笠原の西之島の火山灰の展示が目を引いた。

(西之島 2014年噴火のマグマ成因を初めて解明:チラシのPDF)
https://www.kahaku.go.jp/event/2016/06magma/magma.pdf

西之島自体は、大陸性の安山岩質の溶岩が絶海の孤島で噴出するという、ちょっと信じられないケースだが、さらに、ホットスポットで形成された海山が、海溝下に沈み込んで、その成分が噴出しているという。

噴出物の分析で、その裏付けがなされたという展示だった(細かいデータとかが出ているわけではありません)。

9月4日までの時限的な展示のようだったな。

工業関係の研究で、受賞した技術を展示してあるコーナーもあった(浮沈子は、曙ブレーキの展示を見るために、わざわざ出かけたんだがな)。

遠赤外線を照射して、アスベストの有無を感知する仕掛けや、コマツのGPSを使った3次元解析で土木機械を制御するシステムなど、かなり面白いネタもあった。

お子様向け(夏休みの宿題用)の展示ということなんだが、ちょっと難し過ぎるかもしれない。

まあ、こういうぎこちなさも、ご愛敬というものだ。

回収されたフリーフライヤーの現物(実際に宇宙空間を飛んできたヤツ:外装とかは替えてあるそうです)があったり、スミソニアンにも引けをとらない内容だが、いかんせん規模が小さい。

30年以上前にワシントンに行った時には、アポロ11号(司令船)の現物とか、巨大ゴキブリの展示に、腰を抜かした!。

そういう、度肝を抜くインパクトには欠けるが、レプリカではない本物が持つ力を引き出し、それを若いころに実際に見ることによる影響は重要だ。

展示スペースに限りがあって、全てを見せるわけにはいかないんだろうが、歴史的に埋もれてしまう収蔵物を収集し、保存していくという作業も、博物館の重要な役目だ。

屋外には、ラムダ4Sのランチャーと、ロケットの模型が置かれていたし、シロナガスクジラのドハデな模型も展示してある(実物大:30mあります)。

620円(入場料)+310円(解説機レンタル料)で、1日楽しめる(食事代、電車賃除く)。

あちこちにベンチがあって、歩き疲れると解説だけ聞きながら、休んでいることもできる。

夏休みということもあり、ガキどもが多かったが、前回来たときは、浮沈子自体がガキだったわけで、半世紀近い時の流れを感じるな。

あの頃の自分を見ているようだ・・・。

そして、彼らもまた、半世紀経って訪れることがあれば、同じような感慨を抱くに違いない。

国立科学博物館自体、120年の歴史を持っているそうだが、自然科学や技術史の研究、教育の基盤としての役割は、今後も続いていくんだろう。

海外の同様の博物館との連携で、展示物を貸し借りしたり、国際的な技術動向を立体的に見せたりすることも出来るといいな。

美術館などは、収蔵品の貸し借りはふつーに行われているしな。

中国や東南アジアなど、新興工業国では、急速な技術革新の中で、失われていく歴史的な事物も多いに違いない。

国立博物館としての限界はあるだろうが、そういう方向性をもっと出してもいい。

理想を言えば、スミソニアンだが(たぶん、展示面積だけで10倍以上)、まあ、今後に期待というところか。

気になる点もあった。

音声ガイダンスはいいんだが、展示物について、より突っ込んだ解説を求めたい時に、誰もいないのだ。

最近の博物館は、そういう人を置いて、展示解説に厚みを持たせているところが多い。

お台場の科学未来館もそうだし、民間でいえば、品川のニコンの展示もそうだ。

まあ、同じ品川でも、三菱重工みたいに、そっけないのもあるけどな。

現役の研究者でなくてもいいから、人間の解説者を常時配置するような形が取れないものか。

解説ツアーのようなことはやっているようだが、厚みのある配置ではないようだ。

現物の持つ力と、適切な解説が融合した時に、強力な訴求力を発揮するに違いない。

VR技術との連携も重要だな。

インターネット時代に、どうやって現物を見せるかというのは、博物館にとっては死活問題だろう。

現物展示では、スペースや保存などの関係で見せることが出来ない収蔵物を、VRで見せるなど、前向きの対応が求められるところだ。

発掘など、研究の現場の状況を体験的に見せるなど、現物展示に厚みを持たせるなどのやり方もある。

一つ一つの展示を丁寧に見ていけば、1日ではとても見終えることは出来ない。

実質、5時間掛けて回ったが、場所的には全部見たものの(常設展示だけ)、内容的には、10分の1も見ていない感じだ。

1週間くらい通い詰めれば、とりあえず堪能することは出来るだろう。

インターネットやVRなどとの連携、人による解説の充実、展示スペースのさらなる拡大と、国内、海外との協力。

博物館自体の、今後の課題も見えてきた。

今日は、月曜日で、休館のところが多い上野界隈だったが、美術館がひしめく所でもあり、日を改めて、また来たいと思った。

音声解説機は、有料だが、それに見合った内容はある。

このコンテンツを、思い切ってネットで公開してもいいのではないか。

予習、復習にもなるし、将来のバーチャル博物館のきっかけになるかも知れない。

まあ、現物収蔵と現物展示の迫力には及ばないだろうけどな。

本物の持つ意味と、仮想化された世界の融合が、今後の課題の一つだと感じた。

しかしなあ、フーコーの振り子は懐かしかったなあ・・・。

有人火星探査に乗る?2016年08月02日 03:16

有人火星探査に乗る?
有人火星探査に乗る?


NASAの長官が、JAXAにねじ込みにやってくる。

(火星への旅「日本も一員に」 NASA長官、近く訪日へ)
http://www.asahi.com/articles/ASJ700F3NJ7ZUHBI01S.html

「今後数カ月かけて(日米で)協議を重ね、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提供できる技術や機器類を詰めたい」

我が国は、既に、有人火星探査に参加することを表明している。

(「国際宇宙探査ロードマップ」の概要について
平成26(2014)年12月19日
宇宙航空研究開発機構)
http://www8.cao.go.jp/space/comittee/kagaku-dai9/sankou3-1.pdf

が、予算の裏付けがあるわけでもなければ、具体的な計画が策定されているわけでもない。

まあ、こっちのほうに行きましょうか、という程度の話だ。

「位置づけ:
国際協力による有人宇宙探査プログラムを立ち上げるための調整用ツールという位置づけ。(国際約束ではない)」

具体的な工程はどうか。

「①ISSを最大限活用し、探査に向けた技術蓄積を行う(2030年頃まで)。
②月・小惑星・火星への(有人探査準備としての)無人探査
③ 2020年代に月周辺の有人探査を実施する。
・無人機で月周辺に移動させた小惑星有人探査
・月周辺の長期有人滞在ミッション
・月表面の有人探査
④ 2030年以降に有人火星探査を実施する。」

この計画の作成には、中国とオーストラリアは入っていない。

「GER第2版の作成に関わった宇宙機関(計12機関):
イタリア:ASI(伊)
フランス:CNES(仏)
カナダ:CSA(加)
ドイツ:DLR(独)
ヨーロッパ:ESA(欧)
インド:ISRO(印)
日本:JAXA(日)
韓国:KARI(韓)
米国:NASA(米)
ロシア:Roscosmos(露)
ウクライナ:SSAU(ウクライナ)
英国:UKSA(英)」

「ISECGは、上記12機関に加えて、CNSC(中国)、CSIRO(オーストラリア)を加えた14機関から構成」

詳細を読んでいくと、今回、NASAが例に挙げているような技術項目がある。

(第3章 将来有人探査の戦略)
http://www8.cao.go.jp/space/comittee/kagaku-dai9/sankou3-2.pdf

「技術領域毎のクリティカルな技術項目」

しかし、具体な例として挙げているのは、少し違うようだ。

「日本の技術的な参加や貢献が期待される分野に「火星への離着陸機や人の居住施設といった有人火星探査に必要な装備類」を挙げた。」

来年(たぶん)開かれる第2回国際宇宙探査フォーラム(ISEF)では、この辺りが焦点になるんだろう。

NASAとしては、その前に具体的な根回しをしておきたいのかもしれない。

大臣交代のこの時期に、押し込んでくるという、タイミングの良さ(悪さ?)もあるしな。

何度も書いて申し訳ないが、浮沈子は、有人火星探査には反対の立場だ。

無人探査機なら構わないが、生身の人間が行くなんて、もってのほかだと思っている。

月だって、とんでもない話だ。

二度と行かなくていい。

地球低軌道に、短期間留まるのでさえ、躊躇われる。

今一度、人類の生存できる場所が、地球表面に限られているということを、しっかりと確認すべきだろう。

環境破壊や災害、人間同士の殺し合い(戦争含む)、貧困、差別、エトセエトセを克服することの方が、火星にちょこっと行って、身体ボロボロにするよりも、人類にとっては遥かに遠く、意義のある活動であることは間違いない。

アポロ計画は、人類には何一つ恩恵をもたらさなかった。

何百キロかの月の石以外に、人類が得たものは何もない。

火星だってえ?。

とんでもない話だ。

人類は、狂っているとしか思えないな。

機械を送り込み、いろいろ調べてくるのは構わない。

それだって、道楽以外の何物でもないだろうが、それさえダメだと言ってしまったら、ブログネタに困るしな。

まあ、どうでもいいんですが。

(国際宇宙探査ロードマップ)
http://www.jaxa.jp/projects/sas/planetary/files/roadmap_2_j.pdf

詳しい内容は、こちらでも読める。

「・・・今引き返すことは、私たちの
歴史と能力を否定することになるだろう。
~ジェームズ・A・ミッチェナー」

浮沈子は、そうは思わない。

適当なところで切り上げるというのも、立派な判断だと考える。

他になすべきことは、山ほどある。

若い世代が、それでも挑戦したいというなら、それは彼らの選択だ。

しかし、分別ある老人が、けしかける話ではない。

遠い星々へと旅するより、ここに留まって、故郷を住みよくする方がいいに決まっている。

ジジババが言うことは、何時の時代も同じだ。

そして、若者がその言うことを聞かずに、飛び出していくというパターンもまた、歴史が繰り返しているところだ。

しかし、火星に行くという話は、それとは異なる。

我が国が参加して、あわよくば、乗せてもらおうなんて考えているなら、止めた方がいい。

お付き合いとして、技術開発したり、供与するなら、ほどほどにした方がいい。

ISSの維持補修くらいが、分相応というものだ。

ケネディが、有人月探査をぶち上げた時、容易いから行くのではない、困難だから行くと言っていたのは、浮沈子には印象的だったな。

(人類の地平2)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/06/30/6881870

「我々は月に行く決断をした。我々は60年代のうちに月に行き、それ以上のことを達成する決断をした。たやすいから行くのではない、困難だからこそ行くのだ。このゴールが我々の意思力と能力を組織化し測るには最良だから行くのだ。」

火星に行くというのは、似てはいるが、とてつもなく異なる話だ。

質的に異なる。

機械が行くなら、構わないが、人間が行くという話ではない。

2020年代のいつか、ISSの運用が終わって、ロシアや中国の宇宙ステーションや、民間の宇宙ホテルが出来るだろう。

それで十分ではないのか。

有人宇宙計画を、どう終息させるか。

そんな、国際協力があってもいいような気がする。

20世紀は、確かに宇宙開発の世紀だった。

21世紀は、その果実を得る時代だろう。

22世紀くらいになってから、さて、次はどうしようかと考えても、全く問題ないのではないか。

宇宙は広大で、謎に満ちている。

そして、辛抱強いに違いない。

「宇宙は私たちが行うことに無関心であり、私たちの宇宙への取り組みに対して一切の感情、計画、または興味も持っていない・・・」~ジェームズ・A・ミッチェナー

まあいい。

浮沈子がどう考えようが、なるようにしかならない。

だが、こんな風に考える人間もいるということだ。

有人火星探査に現を抜かす暇があるなら、他のことを見つけた方が、遥かにマシだと思うんだがな・・・。

(「日本、有人火星探査に難色」 NASAが報告書:追加)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG06H4E_W6A500C1000000/

「火星への有人探査を国際協力で行うNASAの計画に、日本が「果たすべき役割が明確になるまで参加は難しい」と難色を示している」

「「通信や天気予報など、国民生活に具体的な利益のある宇宙開発以外は、年々予算獲得が難しくなっている」

どうやら、ボールデン長官の来日は、この内部監査報告への対策らしいな。

(NASA'S INTERNATIONAL PARTNERSHIPS:元記事:たぶん)
https://oig.nasa.gov/audits/reports/FY16/IG-16-020.pdf

資料ページで、19ページから20ページにかけて、ニュース関連の記述がある。

まあ、トップダウンで解決する話ではないだろう。

金じゃないとはいいながら、マンパワーを含めて他の事業が停滞、廃止に追い込まれることになるしな。

有人火星探査なんて、やってられるかよ!、って、バシッと言ってやりゃあいいのに・・・。

宇宙開発の是非2016年08月02日 14:24

宇宙開発の是非
宇宙開発の是非


そもそも、何のために宇宙開発するのか。

有人火星探査には消極的な浮沈子は、その辺りについてもあまり積極的にはなれない。

いつかは落ちて来て燃え尽きる人工衛星とか、行ったきりで帰ってこない探査機、たまに帰ってきても、ゴミみたいな試料しか持ち帰らない話ばっかだ。

アポロ計画以降、人類の地平は、地球低軌道に限られ、その利用も限定的だ。

積極的に利用されているのは、通信衛星、放送衛星、偵察衛星など、地球の方を向いている衛星や、そっぽ向いてる宇宙望遠鏡くらいのもんだろう。

ああ、ISSも衛星だけどな(どっち向いてるんだあ?)。

浮沈子は、たまに探査衛星飛ばすのは、仕方ないと思う。

月や、小惑星、太陽系内の天体がどうなっているのかとか、生命がいるのか(いたのか)など、知識欲を満たすためにそこに行くしかないなら、そして、まあまあの予算で行けるなら、行ってもいい。

だけど、そこまでだ。

宇宙空間で生存できない人間を、わざわざ送り込む必要がどこにあるのか。

どーせ、短期間しか居られないし、遠くに行けば行くほど、身体はボロボロになる。

人類が、地球生命の代表として、他の惑星に進出するなんて与太話は、とてもじゃないが受け入れ難い。

地球低軌道の有人衛星だって、その意義は疑わしい。

ISSが無くなったら、余計なことはしないで、以後の宇宙ステーションは作らないのがよろしい。

まあ、中国はどうしても作りたいらしいけど、つまらないからやめろとでも言ってやった方がいい。

ロシアも、独自のステーションを模索してるらしいが、まあ、たぶん、できないだろう。

宇宙ホテルで一儲けしようと考えている連中もいるかもしれないが、投資に見合うゲインはない。

人間にとって、宇宙空間は、それ程魅力的なところではないだろう。

それは、海洋についても同じだ。

資源探査や、科学的な研究は仕方ないが、居住などという話は、とっくに消えてなくなっている。

健全だな。

人類の棲息が、地上の限られたエリアに制限されていて、そこでひしめき合いながら生き続けるしかないのだ。

未来永劫・・・。

それって、不幸なんだろうか?。

歴史の停滞や、進歩の否定なんだろうか?。

知的な行動の限界で、科学技術の放棄なのか?。

そういう、脅しや問題のすり替えに屈してはなるまい。

単なる事実と、それに向き合い、妥当な選択をするという、極めて真っ当な話に過ぎない。

他にやるべきことがないならともかく、人類が抱えている課題は膨大だ。

ここは、しっかりと優先順位をつけて、やるべきことを峻別すべきだろうな。

宇宙開発は、決して高い優先順位じゃない。

そのなかで、何を行い、なにを諦めるかという話も、ちゃんと議論すべきだ。

また、方法論についても、何でも自前で行うのではなく、多様な選択肢の中から、最適な方法を選ぶべきだろう。

選択肢がなければ、やるかやらないかということでいい。

これからは、宇宙開発というのは、他の事業と区別して、特別扱いされるようなものではなくなる。

他に方法があり、それが有利ならば、そちらを選択すべきだろう。

宇宙開発が、独自の意義を持つ時代は終わった。

そこに行かなければできないことに限って、厳選して行うべきだし、人間が行かずにできるなら、そうすべきだ。

宇宙開発以外の事業は、概ねそうして決定されている。

なぜ、宇宙開発だけが特別扱いされなければならないのか。

そんな理由は、何一つない。

ああ、ひょっとして宇宙人とかがいて、独自の宗教を持ってることが分かれば、バチカンとかが出張って行って、布教活動することはあるかも知れない。

それは、きっと、神に与えられたミッションだからとか言ってな。

場合によっては、宗教戦争とかするかもしれない。

宇宙を舞台にした、大戦争だ(スターウォーズもびっくりだな)。

今のところ、そんな心配はしなくてもよさそうだが、火星に植民でもして、そこが独自の文化を築けば、あながち夢物語ではなくなるかもしれない(悪夢だがな)。

そんなことをせずに済ませるには、有人火星探査なんて与太話に乗らないのが一番だろう。

世界の宇宙機関の寄り合いでは、火星が最終目標になっているが、アポロ計画の時代は、月が最終目標だった。

火星で終わると思ったら、大間違いだ。

木星圏や、金星の雲の中とか、いや、果ては、恒星間航行とかもやりかねない。

そういうアホな話になる前に、ここいらで、バシッと止めておくことが肝心だろう。

理由は簡単だ。

人間は、他の惑星を含めて、宇宙空間では生きることが出来ないから。

では、全く諦めてしまうしかないのか。

前にも書いたが、優秀な宇宙人が迎えに来て、あらゆる問題を解決して連れて行ってくれるのを、ひたすら待つという道が残されている。

その時まで、この地球上で生き永らえる方策に注力するのが、自前で何とかしようとするより、余程現実的(?)だと思うんだがな。

でも、もう一歩、突っ込んで考えれば、じゃあ、一体、その宇宙人のいた惑星では、なぜ宇宙開発が継続できたのかという問題は残る。

パンスペルミア説のようなもんだな。

まあいい。

よその惑星のことは、そっちに任せておくしかない(どーせ、考えてもしょうがないしな)。

人類の英知が、宇宙開発などという与太話に現を抜かしているのは、実に嘆かわしい話だ。

ここいらで、ゼロベースから見直しを掛けて、従来のしがらみを捨て去る方がいいのではないか。

有人火星探査がリアリティを増してくるにつけ、ますますそういう思いを強くしている。

地球に大陸があるのはなぜ?2016年08月02日 19:22

地球に大陸があるのはなぜ?
地球に大陸があるのはなぜ?


人間が陸上に暮らしているのは、まあ、そこが住み易いからに違いないが、初めからそうだったわけではないだろう。

だって、生命は海から生まれたといわれているから。

それが、海中が生きにくくなって、陸へと追いやられてしまったというのが本当のところなんだろう。

まあ、クジラみたいに、また、海に戻って行ったのもいるけどな。

しかし、そもそも、陸があるというのはなぜなんだろう?。

太陽系の惑星で、大陸を持っているのは地球だけだそうだ(金星の高地は、便宜上大陸と呼ばれている)。

(金星:地形)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E6%98%9F#.E5.9C.B0.E5.BD.A2

「金星表面には地球にある大陸に似て大きな平野を持つ高地が3つ存在する。」

「イシュタル大陸はオーストラリア大陸ほどの大きさで北側に位置する。」

「この大陸には金星最高峰であり高さ11kmのマクスウェル山を含むラクシュミー高原などがある。」

「南側の大陸はアフロディーテ大陸と呼ばれ、南アメリカ大陸ほどの大きさである。」

「さらに南の南極地域にはラダ大陸がある。」

「高地の面積は金星表面の13%を占めるが、このほかに金星表面は中程度の高度を持つ平原(金星表面の60%を占める)、最も低い低地(金星表面の27%を占める)の、計3つの区分に分類されている」

金星のこのような地形がどういうメカニズムで生じたのかは分かっていない。

「金星では少なくともプレートテクトニクスは機能しておらず、どのようなメカニズムで高地が生まれたものかは今後の研究に委ねられている。」

他の惑星には、そもそも海がないしな。

衛星とかで、海がありそうなのはある。

(エウロパ (衛星))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%A6%E3%83%AD%E3%83%91_(%E8%A1%9B%E6%98%9F)

「氷に覆われた海は南極のボストーク湖に近い環境であると推測されており、生命が存在する可能性が指摘されている。」

(土星の衛星エンケラドスに生命の新たな可能性)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20150312/438954/

「エンケラドス表面の分厚い氷の下にある「内部海」から噴出する微粒子について報告している。」

探せば、いくつか出てくるかもしれないが、海だけじゃあな・・・。

これらの海を持つ衛星には、逆に大陸はない。

地球に大陸が出来たプロセスというのは、まだ良く分かっていないようだ。

(島弧マグマと地殻形成:マントルから大陸を創る)
http://www.kazan-g.sakura.ne.jp/Vol/vol61.1p079.pdf

「地球は太陽系で唯一,海洋と大陸を持つ惑星である」

「大陸形成論には大きく 2 つの潮流がある.肥厚した玄武岩質下部地殻の再融解が重要と考えるものと,プレートの収束境界(沈み込み帯)のマグマ生成が重要と考えるものである.」

「マントルと大陸地殻の間にはミッシングリンクが存在している.」

「一見すると,厚い大陸地殻の中に,初生玄武岩マグマを大陸の安山岩へと分化させるミッシングリンクがあり,大陸(安山岩)を生成するためには大陸(厚い地殻)が必要である,という仮説を多くの研究者が暗黙に了解している節がある.」

「しかし,大陸を生成するためには大陸は必ずしも必要ではないことが最近明らかにされた.」

「それを明確に示したのは,2013 年 11 月に再開した西之島の火山活動である.この活動は薄い島弧地殻における分化した安山岩マグマの噴出であった.マントルに一番近い島が大陸地殻を形成しているのである.この西之島の噴火は安山岩成因論,大陸成因論に新たな一石を投じている」

さて、従来のミッシングリンク仮説をぶち破ることができるんだろうか。

(【 西之島 】新島誕生~大地創成の謎に迫る~ NHKスペシャル 2015.08.23:動画出ます)
http://www.dailymotion.com/video/x33ad0e

NHKの番組がアップされているが、いつまで観られるかは分からない。

画像は、西之島の溶岩の分析結果だが、酸化ケイ素の割合を見ると、安山岩であることが分かる。

大洋底から、いきなり安山岩質の溶岩が吹き出しているというわけだな。

このことについては、以前にも、このブログで取り上げた。

(228馬力)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/05/11/7631827

「伊豆大島の三原山、三宅島、小笠原の西之島、伊豆東部火山郡、箱根山、富士山は、皆一連の火山である(西之島以外は、玄武岩質のマグマ)。
なんか、西之島だけ、安山岩なんだそうだ。」

もう一度、引用しておこう。

(西之島の不思議:大陸の出現か?)
http://www.jamstec.go.jp/j/jamstec_news/20140612/

「なぜマントルに近い島から大陸そっくりの安山岩マグマが噴出するのか。西之島が大陸成因の鍵をにぎっているのかもしれない。」

「太陽系で地球だけに存在する海と大陸。その謎を解く鍵が西之島と「ちきゅう」による大深度掘削にある。どちらも調査するにはチャレンジングな対象であるが、そこにはワクワクする海と火山と地底の世界が広がっている。」

まあ、西之島が、将来大陸になるという話はリアリティがないような気もするけどな。

出来たばかりの頃の地球は、全面が海洋だったらしいことは間違いない。

だから、大陸は、海洋底から出来たというところまではいい。

だが、プレート沈み込み帯というのは、海洋プレートが大陸プレートの下に入り込むところじゃないのかあ?。

(収束型境界)https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8E%E6%9D%9F%E5%9E%8B%E5%A2%83%E7%95%8C

「プレートの組み合わせにより大陸-海洋型、大陸-大陸型、海洋-海洋型の3種類に分けることもある。」

最初は、海洋ー海洋型で、大陸が出来た後は、ほかの組み合わせも出来たということなんだろう。

いずれにしても、その辺りは、良く分かっていないということらしい。

大陸プレートは、マントルの上にぷかぷか浮いていて、地球内部の熱が上がってきて、プレートの動きによって大きな超大陸になったかと思えば、分裂してバラバラになったりを繰り返しているという。

その端っこの方では、日本列島のような島弧を作ったりもする。

マントルからどうやって大陸が出来るのか、なぜ、海洋底は玄武岩質で、大陸はその上に安山岩質の岩石が乗っているのか。

そのダイナミズムを解き明かすには、更なる調査・研究が必要なんだろう。

(西之島 火山活動に衰えか?「噴気や溶岩流見えず」海保)
http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/6/16102.html

「先月と比べて噴気活動は一段と縮退していて、変色水域の面積も減少していることから、地下の熱水活動も縮退が進んでいると考えられる」

「今回の観測で火山活動は静穏な状態だったが、突発的な噴火活動の可能性は否定できない」

ようやく、一段落というところか。

今後、上陸が可能になり、試料採取が容易に行われるようになれば、新たな知見が得られるかもしれない(父島から、船で8時間だけどな)。

大陸形成のカギを握る島なのかもしれないし、単なる例外なのかもしれない。

今後の調査に期待だな。

(なぜ世界のマグマ研究者が小豆島に注目するのか:追加)
http://www.town.shodoshima.lg.jp/oshirase/tyoutyou-semi/PDF/isinosinpo-tatumikyoujyusiryou.pdf

火星の水2016年08月03日 23:15

火星の水
火星の水


少なくとも、火星の地形の形成には、流水や氷河が関与していないという話があるらしい。

(火星の渓谷、実は「液体の水」が作ったものではない?:NASAが報告)
http://sorae.jp/030201/2016_08_03_mars-2.html

「水の河川で削られたような渓谷が見られるのですが、最新の研究では残念ながら、これらは「液体の水」とは関係さそうだとNASAが報告しています。」

「以前には「水の河川」によって作られたと思われるこの渓谷が「液体の水やその副産物によるものではない」とNASAが発表」

(July 29, 2016
Mars Gullies Likely Not Formed By Liquid Water:元記事?)
http://crism.jhuapl.edu/newscenter/articles/20160729.php

大昔(10億年くらい前)に、水があったかもしれないと含みを持たせているものの、少なくとも今はない。

(マーズ・リコネッサンス・オービター)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%8D%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%BF%E3%83%BC

「アメリカ航空宇宙局 (NASA) が開発した、火星の周回軌道から火星を調査・探索する多目的探査機である。」

「2005年8月12日に打ち上げられ、2006年3月10日に、火星の周回軌道に到達した。2006年8月、空力ブレーキにより、同年11月より開始される、科学観測に適した周回軌道に移ることに成功した。」

「高精度の分光計 (CRISM) では地表の鉱物の分析から水の存在した形跡を探索する。」

今回の発表は、この分光計による測定の結果ということになる。

「火成岩の風化による酸化鉄やフィロ珪酸塩鉱物、炭酸塩鉱物などが反射分光学的方法で分析される。」

まあ、ないというなら、ないんだろう。

極冠にはあるらしいが、ふつーのところにはなかったわけだ。

(解説:火星に水が現存する証拠、水源はどこから?)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/093000270/

「大気に含まれている水分を地表の塩が吸収したという仮説もある。研究チームは、こちらの方が可能性としては高いと考えているようだ。」

水はあるのか、それともないのか。

今回の発表では、ないということになる。

(マーズ・リコネイサンス・オービタ)
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/mars_reconnaisance_orbiter.html

「2007年2月には、さっそく火星に水が流れていた証拠となる地形を発見しました。」

かつては、流れていたのかもしれない。

そして、現在は、一部で水和塩を形成する程度の「湿気」があるのかもしれない。

だが、それ以上の話はない。

火星は、現在は、乾ききった、薄い大気を纏った死の惑星であることが、徐々に分かってきた。

運河はないし、イカタコ星人はいないし、浮沈子の予想では細菌さえいないだろう(たぶん)。

微化石の中には、何かそれらしいものは見つかるかも知れない。

そして、それで終わり。

人間が住めるような環境ではないし、テラフォーミングなんて、非現実的なことが実際に行えるわけではない。

火星でも、金星でも、地球でも、その惑星が現在の状態になったのは、それなりの理由があるからであって、人為的に改変したとしても、直ぐに元に戻るか、さらにひどい状況に移行していくに決まっている。

環境のバランスを完全にコントロールできるなどというのは、単なるSFだ。

探査機を送り込むのは、まあ、やむを得ない。

いろいろ調べれば調べるほど、人間が行くところじゃないというのが分かるだろう。

長期滞在なんてとんでもない話だ。

(火星探査車に酸素生成装置 NASA、有人にらみ搭載へ)
http://www.sankei.com/life/news/160801/lif1608010006-n1.html

「火星は希薄な二酸化炭素の大気で覆われており、これを分解して酸素を作る装置を搭載。」

「飛行士の呼吸や、宇宙船が地球に帰還する際の推進薬に使えるか検証する。」

どのように作っても、酸素は酸素だと思うんだがな。

まあいい。

コストとか、度外視して作るんだから、せいぜい高純度の酸素を作ってもらいたいもんだ。

酸素作れれば、帰りの燃料は水素だけでいい。

少しでも軽くして、地球周回軌道辺りまで戻ってこれれば、あとはどうにでもなるだろう。

ああ、もちろん、生きてる保証はないけどな。

人間は、火星に置きっぱなしにして、火星の石とか、積んで打ち上げることになるのかもしれない。

記事でも、「宇宙船」は帰還するけど、「飛行士」が帰還するとは書いてないしな。

まあ、どうでもいいんですが。

(大西卓哉宇宙飛行士
有人宇宙開発と無人探査の協力で「火星への夢」 津田雄一プロマネがエール)
http://mainichi.jp/articles/20160706/mog/00m/040/002000d

「彼は「火星へ行きたい」と言っている。」

好きにしてくれ。

浮沈子は反対だがな。

パサパサの大地、スカスカの大気、宇宙放射線がシャワーのように降り注ぐ不毛の惑星。

無理すれば、行くことすら出来ないとは思わないが、もちろん、還ってくることは出来ない(往復なんて、身体が持たない)。

穴掘って、地球からの補給を待って、生き延びているだけのミッションだ。

いつまで?。

それを決めるのは、彼らではない。

放射線による循環器系の傷害か、何らかの事故で命を落とすまでの間、地球からの物資補給を行う我々が決めるわけだ。

有人火星探査なんて、愚の骨頂だろう。

(火星滞在10年 NASAの自信 有人探査計画のリポート公表(2/3ページ))
http://www.sankei.com/premium/news/151017/prm1510170017-n2.html

「NASAは、火星有人探査を3つのカテゴリーに分類して進める考えという。」

「具体的には、
(1)飛行士や貨物を安全で効果的に火星まで運び、飛行士やロボットが安全に作業できる環境の整備
(2)安全で健康的に火星滞在ができる住居の開発・建設
(3)飛行士の持続的な火星探査の実現」

元記事にはあたっていないが、還ってくる話はないのだ。

(沢田研二 - 勝手にしやがれ (1977 TMF):動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=VZbADPnLklI

「行ったきりなら、幸せにになるがいい・・・。」

戻る気になっても、そうはいかないのだろう。

それでも行きたいという人が、世界には何十万人もいるのだ。

(マーズワン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%AF%E3%83%B3

「2013年12月30日、約20万人の移住希望者の中から日本人10人を含む1058人の候補者を選んだと発表した。」

「火星から地球に戻ることは現在の技術および資金的に不可能なので、移住者は技術の進歩に伴い地球帰還の手段を得られない限り、火星に永住することになる」

まあ、究極のヨタ話だから、どうでもいい。

浮沈子は、無人探査も、そろそろいい加減にしたらどうかと思っている。

どーせなら、当面、絶対に行けっこないところに探査機を飛ばすべきだろう。

木星とか、土星とか、その衛星とかな。

水星は、ベピ・コロンボが行くらしいけどな。

そういうところの知見を増やした方が、やっぱ、ろくでもないところだと分かって、もっと地球のことを考えるようになるだろうからな。

火星の谷は、水で削られて出来たものではなさそうだという今回の話は、更なる検証が必要かもしれないが、今後の有人火星探査について考える時の重要な要素になりそうだ。

(「若人よ、火星に来たれ!」 NASAが火星探査メンバー募集のポスターを製作:追加)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/06/post-5372.php

「火星の現状を考えればあまりにも現実離れした謳い文句だが、宇宙を目指す血気盛んな若者は果たして集まって来るだろうか。」

(mars-posters-explorers-wanted:元ネタ)
http://mars.nasa.gov/multimedia/resources/mars-posters-explorers-wanted/

余りにも、米国らしいな・・・。