再使用VS再利用2016年09月01日 10:03

再使用VS再利用
再使用VS再利用



(スペースX、再利用ロケットで初の衛星打ち上げへ)
http://jp.wsj.com/articles/SB11655255021065154097004582285041244364420

英語の表題はこうなっている。

「SpaceX Signs First Customer for Launch of Refurbished Rocket」

(refurbish)
http://ejje.weblio.jp/content/refurbish

「化粧直しを行なう」

浮沈子が、一番ピンと来た訳語。

furbishが錆落としとか金属を磨き上げる意味なので、再使用とかそういう感じではないな。

もう一歩前進して、いいものを使い続けるのが当たり前という中での言葉遣いになっているのだ。

輝きを取り戻したロケットという感じ。

いいな。

(スペースX、ロケットの「再使用打ち上げ」を実施へ - 4月に回収した機体で)
http://news.mynavi.jp/news/2016/08/31/114/

浮沈子が贔屓にしている鳥嶋さんは、再使用という用語を使っている。

今までは、まあ、機能的に問題がなければ再度使用するという感じのフィーリングで、浮沈子もある程度意識的に「再使用」という表現をしてきた。

最早、そういう、いわば、チープな感じの使い方は馴染まないということなのか。

(スペースX、念願の再利用ロケットを今冬に打ち上げ決定 衛星「SES-10」を軌道投入へ)
http://sorae.jp/030201/2016_08_31_x.html

「なお、スペースXはこの再利用ロケットを「Flight-proven Rocket(飛行証明済みロケット)」と呼んでいます。再利用よりは証明済み…の方が、聞こえがいいのは確かですね。」

さあ、どんなもんかな。

新規開発製品が、世の中に出て実際に使い物になるかどうかという時などに使う、コンバット・プローブンという言葉がある(軍事用語?)。

文字通り、実戦証明済みということなのだが、その意味に近いかもしれない(若干、ニュアンスが違いますが)。

WSJの記事には、こんな記述もある。

「ただ、米軍は再利用ロケットの技術が証明されるまで高額な衛星の打ち上げをゆだねることには消極的なようで、その反応は冷めたものだ。」

まあ、そうかもしれない。

空軍の軍事衛星で試し打ちして、ちゃんと動くことが証明されたら、安心して民間で使うというのも一つの考え方だしな(そうなのかあ?)。

ひょっとすると、これからは、再使用ロケットの方が安心して使えるということになるのかもしれない。

「また打ち上げ失敗時の保険を提供する保険業者も、スペースXやファルコン9に高い信頼を寄せており、ファルコン9の再使用打ち上げにかかる保険料は、新造機を使う際と比べ、目立った変化はなかったという。」

鳥嶋さんの記事にはこうあるが、初物の方が、保険料が高くなるのも時間の問題かもな。

(スペースXが初の試み、再利用ロケットを年内にも打ち上げ)
http://www.cnn.co.jp/fringe/35088325.html


「・・・中古のロケットなので定価の6200万ドル(約62億円)より安くなることを確認した。」

まあ、中古という言い方もあるな。

色気も何にもありゃしない。

飛行機とか、自動車なら、中古という言い方もあるんだろう。

もちろん、使い続けることを前提とした品物で、新品が一番いいという前提での表現になる。

一定のメンテナンスを、使用のたびに繰り返さなければならないロケットの場合、どういう表現が妥当かはこれから決まって来るんだろう。

「スペースXの関係者はまた、打ち上げ後回収されたロケットのエンジン部分は素晴らしい状態で、改装の必要はほとんどないことが分かっていると説明。」

「同社幹部らは、ファルコン9のエンジンは最終的には複数回にわたって再利用できると見込んでいる。最大では数十回の使用も可能性(←可能?)とみており、一部の専門家たちも同じ意見だ。」

こうなると、冒頭に紹介したリファービッシュドというのが、一番しっくりくるような気がする。

つーか、逆に、それが当たり前になれば、新品のロケットの打ち上げの方に、何らかの特別な呼び方を考えなければならないな。

もちろん、一度きりしか使えないロケットの呼び方は、使い捨てロケットで沢山だ。

そういう時代は、やがて終焉を迎えるに違いない。

再使用ロケットの商用利用が始まるとき、宇宙開発は大きく舵を切ることになるんだろう。

おりしも、通信衛星等の延命の話も出ている。

(世界の商業宇宙開発最前線 大貫美鈴の現地レポート 第1回:主役が変わった!スペースシンポジウム)
http://sorae.jp/02/2016_08_17_misuzureport.html

「軌道上衛星サービスは今、最もホットな商業プロジェクトの1つであると思う。寿命が尽きた静止軌道衛星を延命、軌道での修理や軌道離脱などを行う。」

「寿命が尽きた衛星に同社のGEOStarバスをベースとしたミッション延命機(MEV)がランデブ・ドッキング、5年間の延命を行う。MEVは15年の寿命であり最大衛星3基の延命が可能、2018年に初号機MEV-1を打ち上げ、2019年から商業運用を開始する予定となっている。」

「ルクセンブルクの衛星オペレータ世界大手SESが軌道上衛星サービスで、MDAとオービタルATKと交渉していることを明らかにした。MDAの軌道燃料補給機は補給後にすぐに移動して他の衛星の補給サービスを行い、オービタルATKはドッキングしたまま5年間補給し続けるそれぞれのアーキテクチャである。SESは現在、52基の通信衛星を運用、年間少なくとも3基の延命需要があるとしている。」

まあ、そのうち、衛星サービスを行う衛星の延命とかもするかもな。

この手の話は、それこそ大昔からある話だ。

事実、宇宙ステーションという衛星は、毎度、延命策を施されて運用されているともいえるしな。

有名なところでは、ハッブル宇宙望遠鏡も、何度か改修、延命を受けている。

(光学系の不具合・修理)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%83%E3%83%96%E3%83%AB%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%9C%9B%E9%81%A0%E9%8F%A1#.E5.85.89.E5.AD.A6.E7.B3.BB.E3.81.AE.E4.B8.8D.E5.85.B7.E5.90.88.E3.83.BB.E4.BF.AE.E7.90.86

「打ち上げ直後の調整で天体の光を集める鏡の端が設計より0.002mm平たく歪んでいることが発覚。」

「元々ハッブルは運用期間15年(当初の予定)の間に数回スペースシャトルから修理などを受ける予定だった」

「NASAはこの修理に鏡の誤差を修正する光学系の装置を入れる事を急遽決定。」

いやあ、一時はどうなることかと思っていたが、ぴんぼけも治って、延命も果たし、2020年代の廃棄まで、鮮明な画像を送り続けてもらいたいものだ。

いいものを作って、メンテナンスしながら、長く使い続けるという思想と文化が、宇宙でも定着するといいんだがな・・・。

資料探し2016年09月01日 20:10

資料探し
資料探し



ちょっと、原子炉とか、核燃料にハマっている(直ぐにハマるんだな・・・)。

この分野の資料は、ネットではかいつまんだ要約のようなものしかなくて、じっくり読める一般向けの資料がない。

専門書は浮沈子にはワケワカだし、一般書籍ということになると、反原発関係のバイアスの掛かった読み物しか手にできない。

そういう本の方が売れるからな。

一般公衆に重大な影響を及ぼす原子炉だから、事故があれば書籍も売れるわけだしな。

毎年、どこかで事故が起こってくれないかな(そ、そうなのかあ!?)。

まあいい。

実際、火力発電所の本とか、水力発電所の本なんて、見たことないしな。

そういう、社会のインフラというか、普段意識しない世界というのは、あまり日が当たらない世界なのだ。

そして、その方がいい。

専門の人たちが、しっかりと支えて、当たり前のように事故なく、安全に運用するというのがインフラの世界だ。

一般公衆は、そんなことは忘れて、スマホ弄ったり、ポケモン探してたりすればいいのだ。

そうはいっても、ニュースを見れば地球温暖化だとか、原子炉が再稼働したとか停まったとか、気になる話が出てくる。

原子炉ネタを拾っていくと、第4世代原子炉とか、福一の後始末の話とかもある。

我が国が、なぜあれだけの事故を起こしていながら原発に拘り続けるのか。

そして、世界は、なぜ、スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマを経験しながら、今も原子力に突き進んでいるのか(足を洗えないだけかあ?)。


そんな素朴な疑問から、原子力の世界、原子炉の世界に首を突っ込み始めた。

ちゃんとした基礎的な素養がないので、定量的な話になると(数式が出てくると)、途端に思考停止になるが、それでも必死に食らいついて資料と格闘している。

今日は、日本原子力学会誌という冊子のバックナンバー求めて、東京都立産業技術研究センターに行ってきた。

(地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター)
https://www.iri-tokyo.jp/

「東京都の中小企業に対する技術支援(依頼試験、研究開発、技術相談、人材育成など)により、東京の産業振興を図り、都民生活の向上に貢献することを役割として、東京都により設置された試験研究機関」

お台場の未来科学館の近所だ。

建物は、鉄骨とガラスの外連味のないモダン建築で、実にメンテナンス性が良さそうで、浮沈子的な好感度は高い。

巨大な室内空間の割に、人気(ひとけ)がないのが何とも言えないな。

で、この図書室にお目当ての学会誌のバックナンバーがそろっている。

浮沈子の近所の東京工業大学大岡山キャンパスの図書館には、残念ながら最近のヤツは置いてなくて(購読停止)、すずかけ台キャンパスまで行くのは面倒なので、お台場に行くことにしたわけ。

最近は、インターネットで雑誌のバックナンバーのありかが探せるので助かる。

概ね、無料で閲覧出来たり、安い金額でコピーできたりするので、利用しない手はない。

今日は、軽水炉の燃料に関する連載(2004年頃に10回に渡って掲載された)を、460円でコピーしてきた(2枚失敗したのを含む)。

東工大にも夕方に行って、開架書庫にある書籍を眺めてきた。

原子炉工学入門の元本も、目次だけコピーさせてもらった。

このネタは、昨日調べた筑波大学の講義メモと同じだな。

貸し出しは、暫く通って信用が出来ないとダメらしい(そうは言ってなかったような気がするんだがな)。

どうせ、借りて帰ってきても読まないだろうから、静かな図書室(さすがに、皆さん真剣に勉強してました)で、じっくり読んだ方がいいともいう。

ここでも、コピーは取れるので、必要なら写してきてもいい。

一般向けの読み物(原子力関係)もある程度揃っているので、熱暴走しそうになったら少し気分転換もできるだろう。

東工大は、蔵書の検索がインターネットから行えるので助かる。

(東京工業大学附属図書館
蔵書検索 (OPAC))
http://topics.libra.titech.ac.jp/

浮沈子が読むような本は、殆ど学生さんが閲覧することはないだろうから、たぶん、いつでも読めるだろう。

教員は、大概、自分の部屋に持ってるしな。

今どきは、オンラインで情報収集することが多いだろうから、紙媒体というのは流行らないだろう。

FAQを読むと、試験前の時期は、さすがに混むらしい。

そんな時期は避けて、浮沈子の道楽で、我が国の貴重な頭脳の成長を阻害することがないようにしなければならない。

どーせ、暫くすれば、この熱病状態も治まるに違いない。

今日は天気も良く、お台場にはボクスターの屋根を全開にして行った(めちゃ暑かったです:利用者は、構内に停められるようです)。

東工大は、電話で問い合わせたら、自転車ではだめだと言っていたが、年に数回ある構内取り締まり以外は、乗って入っても大丈夫なようだ(極秘ですが)。

たまたま運悪く、撤去されてしまっても、浮沈子は関知しないけどな。

暫く通って、関連書籍を眺めてみよう。

東工大には、キャンパス内に原子炉はないが附置研究所がある。

(原子炉工学研究所)
http://www.nr.titech.ac.jp/jp/

先日、見学を申し込もうとしたら、あっさりと断られた(一般の見学というのはないそうです)。

学園祭の時に、一部公開するらしいが、今年はパラオ行きと重なってしまった。

そのうちなんとか潜り込もうと、策を練っている。

まあ、どうでもいいんですが。

鉛ビスマス炉を研究しているらしいので、その辺のネタを調べてみたい。

(研究の概要:革新型高速炉に関する研究)
http://www.lane.iir.titech.ac.jp/jp/member/data/mtakahas.html

「また,金属リチウムを冷却材に用いる核融合炉や宇宙炉の流動伝熱研究も行っています。」

このオッサンは、宇宙炉の研究もやっているようだな。

(宇宙炉 (03-04-11-03))
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=03-04-11-03

将来の宇宙開発では、この話が不可欠になるだろうが、今のところ、表立った動きはない。

(【宇宙用原子炉】アメリカとソビエトの宇宙炉の比較とその特徴)
http://orbitalrailway.blog.fc2.com/blog-entry-56.html

20世紀末には、開発が終了しているような感じだ。

(宇宙用原子炉
宇宙用原子炉の冷却材と発電方式)
http://spacenuclear.jp/nuclear/spacereactor2.html

ショボい電力での外惑星探査とか、相変わらずの化学推進エンジンでの航行ではなく、人類が解放した核エネルギー(天然原子炉もありますけど)を使って、是非とも充実した惑星探査を行ってもらいたいものだな。

もう、放射性物質でも放射線でも、好きなだけ撒き散らして頂いて、超臨界で暴走させて惑星ごと吹っ飛ばすくらいの勢いで開発してもらいたいもんだな(そろそろ、危なくなってきたようです・・・)。

こっちの方に発展していくと、暫くの間、浮沈子の発熱は治まらないだろう。

危ない危ない。

幸い、今のところ、宇宙開発と原子炉の話は、切り離されている。

打ち上げのリスク、代替手段の開発、その他もろもろで、すぐに実用化される様子はない。

だが、浮沈子は、時間の問題だと思うんだがな。

火星でのエネルギー調達も、太陽光だけでは限界があるしな。

中国とか、月くらいでもやりそうだしな。

(宇宙技術を応用した「宇宙炉」、褐炭ガス化に成功)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0324/c95952-9035008.html

なんか、ワケワカの記事だが、「宇宙」というのがブランド化してるような気がする。

なんにでも「宇宙」を付けりゃあいいってもんじゃあないじゃね?。

再び木っ端微塵2016年09月02日 10:12

再び木っ端微塵
再び木っ端微塵



(SpaceXのFalcon 9ロケット爆発事故、イスラエルのAMOS-6通信衛星も喪失・損失額は約2億ドル)
http://business.newsln.jp/news/201609012200420000.html

「公開された爆発時の模様を撮影したビデオ映像を見ると、爆発は衛星フェアリングの下の部分で起きており、爆発原因は、当初、伝えられていたロケットの燃焼試験時に生じたロケットエンジンの問題ではなかったことが明らかにもなりつつある。」

「SpaceXによると爆破を起こしたロケットは、打ち上げ直前の、スタティックファイアテスト(打ち上げ前に実施するロケットエンジンの燃焼試験のこと)を行っていたとしている。」

「フロリダの地元紙では爆発を起こしたのはセカンドステージの酸素燃料タンクと報じている」

「燃焼試験中に、何等かの原因により、ファーストステージより上のセカンドステージのエンジンか、あるいは別の機構が爆発を起こし、その後、その爆発の炎がファーストステージの燃料タンクにも引火することで、ロケットの構造体全部が爆発を起こす形となったようだ」

映像を見ていると、衛星が入ったフェアリングが落下していく様子も鮮明に映っている。

原因が何であれ、また、損害がどれほどであれ、けが人が出なかったのが何よりだ。

それにしても、昨年6月の空中爆発と異なり、黒煙を上げながら長時間燃えている映像はちょっとショックだ。

このロケットでの有人カプセルの打ち上げというのは、もう少ししてからの方がいいような気がしてきたな。

(SpaceXの「ファルコン9」爆発で貨物のFacebook人工衛星も破壊:追加)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1609/02/news061.html

「ファルコン喪失を引き起こした爆発は、推進剤充填中に酸素タンクの上部付近で発生した。詳細は調査中」

近過ぎ?2016年09月02日 15:40

近過ぎ?
近過ぎ?


台風12号が近づいてきている。

今度は、10号のようなヘンタイ台風と異なり、コースとかはまともだ。

しかし、発生場所が近過ぎないか?。

10号は特例かも知れないが、最近の台風は日本のすぐ近くで発生しているような気がする。

発達しながらじわじわと接近してくる、あの胸が締め付けられるような恐怖を味わう余裕(?)もなく、いきなり発生、いきなり発達、いきなり接近である。

このまま温暖化が進むと、東京湾の中で発生するようになるかもしれない(!)。

熊本地震の爪痕が癒えない九州地方を縦断して日本海に抜けるコースが予想されている。

あまり関係ないが、今日は利根川水系の取水制限が全面的に解除された。

先月下旬(24日)から、一時解除されていたが、これで水不足に悩まされずにトイレの水を流せるわけだ(別に、流していなかったわけではありませんが)。

九州地方は、この時期、台風の被害が多い季節だし、ちょっと心配だな。

さすがに倒れる様な暑さはなくなったが、夏はまだ続いている。

台風の季節が終わり、秋の長雨が晴れ上がると、待望の秋が来る。

それまでは、天気図から目が離せないな。

MOXとプルトニウム2016年09月02日 23:42

MOXとプルトニウム
MOXとプルトニウム



今日も、原子炉のお勉強。

(〇改良型沸騰水型原子炉における混合酸化物燃料の全炉心装荷について)
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9483636/www.nsr.go.jp/archive/nsc/shinsashishin/pdf/1/ho009.pdf

(女川原子力発電所3号機におけるプルサーマル計画について)
http://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/3979.pdf

(プルトニウム 単行本 – 1994/3)
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%97%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0-%E9%88%B4%E6%9C%A8-%E7%AF%A4%E4%B9%8B/dp/4900622044

先日問い合わせをして、日本電源開発の広報の方にご紹介頂いた資料と書籍。

書籍の方は、明日でも、東工大の図書館で拾い読みしてくるつもり。

資料は、ネットの資料はざっと目を通した。

難しいところは飛ばして、分かるところだけ読む。

要するに、フルMOX炉(MOX燃料体を全バンクに装荷した原子炉)の安全性については、ABWRの場合、若干の変更を加える程度でウラン燃料と同等程度の安全性(危険性?)を保てるということらしい。

おそらく、その事実に誤りはないだろう。

中性子吸収による炉のコントロールが悪くなるとか、加熱暴走するリスクが増えることに対しては、それなりの対策をとるようだ。

既存の軽水炉でMOX燃やすよりも、余程いい。

大間の原発は、元々、そういう前提で設計されているらしい。

むろん、だからといって、絶対安全というわけではない。

それは、どんな原発も同じだ。

原発に絶対の安全性がないこと、それを求めるなら、原発やめるしかないことは、今や国民の常識である。

その中で、十分な安全(欲にかられた現代人の言い訳?)を得るにはどうしたらいいかを考えるのが現実的というもんだろう。

浮沈子はそう考えている(欲にかられた現代人だから)。

気になったのは、初めの資料の53ページの図だ(第3-4図 ABWR平衡炉心におけるプルトニウムの核分裂寄与割合例)。

この図は、電源開発のページにも出てくる。

(フルMOX炉心の特性)
http://www.jpower.co.jp/bs/field/gensiryoku/project/aspect/mox/attribute/index.html

「原子炉にウラン燃料を入れて運転すると、ウラン235が徐々に燃焼していくとともに、ウラン238からプルトニウムが生成し燃焼するようになります。」

まあ、これはいいんだが、問題は次だな。

「通常使われているウラン燃料も、炉心に入れるとすぐにいわばMOX燃料となるわけです。」

???。

んなわけ、ないでしょ!?。

来週辺り、今回お世話になった広報の方に教えてあげないとな。

それぞれの図のタイトルもおかしい。

●ウラン炉心→9×9ウラン燃料装荷炉心
●1/3MOX炉心→360体MOX燃料装荷炉心
●フルMOX炉心→全MOX燃料装荷炉心

ここまで細かく書かなくてもいいが、せめて、定常運転時であることをことわるべきだろう。

もちろん、原発の炉心が、最初に火入れをするときには、全部の燃料がウランで構成されているに決まっている。

で、燃えるにつれて、プルトニウムが生成されて、これもまた燃えていく。

このことは、資料ページの51ページの図でも明らかだ(第3-2図 燃料集合体におけるプルトニウムの核分裂寄与割合例)。

53ページの図は、炉心全部の燃え具合を表現しており、定常運転になって、燃料を部分的に交換しながら運転しているときの状態である。

一つ一つの燃料集合体でみれば、51ページの図のようになっているわけだ。

MOX燃料はウランとプルトニウムの燃焼割合で見れば、燃焼期間中ほとんど変わらないので、全部の燃料体がMOXになれば、炉全体の燃焼割合はほぼ一定になる。

3分の1(あるいは、360体)の構成比では、その中間程度の様相になるんだろう。

そう見ると、電源開発のホームページの図も、まあ、納得できるような気もする(解説はめちゃくちゃですが)。

電源開発のホームページでも、燃料体単独の燃焼割合に関する図は出てくる。

(ウラン燃料とMOX燃料の比較:ウラン燃料とMOX燃料の燃焼)
http://www.jpower.co.jp/bs/field/gensiryoku/project/aspect/mox/comparison_output/

「ウラン燃料は、最初はウランのみが燃焼(核分裂)しますが、時間の経過とともに、燃料中にプルトニウムが生成され、このプルトニウムが燃焼するようになります。最終的には発電で得られるエネルギーの約3分の1はプルトニウムによって得られます。」

「一方、MOX燃料の場合には、最初から主としてプルトニウムが燃焼します。」

まあ、ここまではいい。

だからといって、この纏め方はないだろう!?。

「したがって、原子炉内全体を見ると、ウラン炉心でもMOX炉心でもウランとプルトニウムが混在した状態で燃焼することに変わりはありません。」

まあ、どうでもいいんですが。

電力会社の立場として、いままでの原発とあんま変わらないんだということを強調したいという気持ちは分からないでもない。

しかし、ちょっと、ハッキリ言って、無理やりな感じがするな。

ついでに、もう一つだけ。

(MOX燃料の使用実績)
http://www.jpower.co.jp/bs/field/gensiryoku/project/aspect/mox/loadings_results/index.html

2008年12月末時点で、軽水炉で燃やした燃料体の数が出ている表がある。

世界中で6350体のうち、我が国ではたった6体だけ。

原子力安全委員会が認めた、炉心当たり3分の1をMOXとした装荷の実績もない。

「全炉心にMOX燃料を装荷することは、これまでに軽水炉による実績がないことから、特に初号機においては、全MOX燃料装荷炉心に計画的かつ段階的に移行し、その各段階毎に、各種のデータを確認しながら慎重に進めていく必要がある。」

ぶっつけ本番、いきなり人体実験ということになる。

これって、ヤバくね?。

「なお、今後とも以下のような研究から得られる最新の技術的知見を取り入れ、現行の安全設計手法及び安全評価手法の向上を図ることが肝要である。」

「③ 先行BWRにおけるMOX燃料の炉心装荷率が1/3程度までの実績に基づく燃料挙動、核特性及び運転特性評価」

2013年末の世界の実績の表がある。

これ以降は、国内では動いていないわけだから、これで十分なはずだ・・・。

(世界の軽水炉におけるMOX燃料の使用実績)
http://www.fepc.or.jp/nuclear/cycle/pluthermal/jisseki/sw_index_01/index.html

よく見ると、BWRで装荷された実績があるのは、我が国では福島第一の3号機だけだということが分かる。

もちろん、3分の1には程遠い。

ドイツのグンドレミンゲンの原発(B、C炉:たぶん同型?)がそれなりの実績を残しているが、実際の装荷率がどの程度かは分からない(18年間くらいの累積で、2基併せて908体:年に4分の1交換としても、アベレージでは1基100体くらいしか装荷してないことになる(454÷18×4:申請では300体(38%):原子力安全委員会の資料4ページ)。

3分の1には、ほど遠いんじゃないだろうか(約13%?:1基当たり、合計784体収容可能)。

大間は、つまり、いきなり世界初に挑戦するようなもんだな。

理論値では大丈夫だと言っているし、原子力安全委員会は、慎重な対応を謳っているが、ぶっつけ本番、世界初、3分の1装荷すら、殆ど初めてだろうな。

商業炉で、いきなりやって、大丈夫なんだろうか。

もちろん、ふげんは、炉の形式が全く異なるので、燃焼管理上の参考にはならない。

原子力安全委員会は、冷却がBWRと同じ軽水だから、運用上の問題はないと評価しているようだ。

そっちの方が問題だな・・・。

さて、今日のお勉強はこのくらいにすっかな・・・。