4日目の朝2016年09月28日 07:19

4日目の朝


昨夜は加藤先生の生徒さんと、食堂で話をした。

テック40を習っている。

深場の沈船のペネトレーションがしたいという・・・。

ああ、浮沈子とはちょっと違うな。

ダイビングの嗜好は人それぞれで、100人いれば100人異なる。

浮沈子は、洞窟ダメ、沈船の内部ダメ。

浅く明るく暖かいリゾートダイブが好みだ。

60mまでのCCRを練習しているのも、スキルアップのためで、浅いところに沈船があれば、それに越したことはない。

もう25年もダイバーやっておられるベテランの方だが、新たな目標を立てて取り組み始めたわけだな。

素晴らしい!。

浮沈子のように、成行き、気分次第、他人任せの状況とは異なる。

今朝は、6時過ぎに食堂に降りてパソコンを開く。

この時期だと、朝日がまだ差し込んでいて眩しいが、打っているうちに、庇の陰になった。

水面が、きらきらと輝いていて嬉しいが、ダイビングのことを考えると、曇りか小雨位が有難いんだがな。

まあいい。

スタッフはもう動き出していて、朝食の用意をしてくれている。

岸壁から飛び込んで、水浴びしている人がいるぞ。

港の中を泳いでいく。

酔狂な方だな。

昨夜は、夜中に1度だけ目覚めた。

トイレにゴキブリがいたが、格闘の末、成仏していただく。

浮沈子は、あの世では地獄に落ちて、ゴキブリに舐められるに違いない。

蜘蛛の糸のようなことにはならない。

ゴキブリを助けても、糸、出ないしな。

まあ、どうでもいいんですが。

その後は、なかなか寝付けなくて(ゴキブリの呪い?)、明け方うとうとして目が覚めた。

ベッドの上で、中性浮力のことを考える。

陸棲動物の人間は、どうやっても中性浮力向きにはできていない。

トレーニングして、感覚を身に着けて行くしかないのだ。

それも個人差がある。

浮沈子は、なかなか身に着かずに苦労しているが、止まれる方は止まれてしまうのだろう。

水中では、基本的に浮いたり沈んだりをしている。

オープンサーキットでもCCRでも同じだ。

心の乱れは呼吸の乱れ、呼吸の乱れは浮力の乱れである。

CCRは、俗に息を吐いても沈まず、吸っても浮かないといわれている。

誤りではないが、厳密には複雑な挙動があり、人間側の問題も含めて、結果的にビミョーな浮力差を生じてしまう。

CCRだからといって、ぞんざいな呼吸をしていると、決まったつもりの中性浮力が崩れる。

原因は様々で、浮沈子が認識しているのは、肺とカウンターラングの浮力重心の違いによるトリムの変化、肺胞とカウンターラングの膨張の違いによるタイムラグだ。

トリムの変化は、止まっていれば関係ないが、動いていれば深度に影響を与える。

オープンサーキットは、排気を水中にぶちまけてしまうので、カウンターラング付き閉鎖循環回路特有の問題はない。

肺の浮力重心の変化と、呼吸の量、速度(速度変化を含む)が全てだ。

浮くか沈むかというのは、水の抵抗によるタイムラグもあるが、これはオープンサーキットであれクローズドサーキットであれ同じだ。

体格や、器材のコンフィギュレーションによっても異なる。

呼吸すれば、必ず浮力の変化は生じるが、このタイムラグをうまく使って、位相を逆にしたタイミングで、適切な速度変化を付けて呼吸することにより、見かけ上浮上沈降を止めることが可能だ。

これが、ホバリングの全てである。

定常状態とか、ややっこしい話はしない(できない)。

人間の頭の中に、この制御を行う回路を構築できれば、誰でも止まれる。

物理の神様は公平だ。

問題は、常に人間の側にある。

天に掉さして、水中で活動しようというのだから、多少の無理はあるし、それをしなければホバリングは出来ない。

そして、適正なトリムでのホバリングの継続は、テクニカルダイビングの一丁目一番地であり、これが出来ない限り、その先のスキルに進むことは適わない。

というわけで、いつまでたっても、同じネタで恐縮だが、浮沈子のトレーニングは延々と続いているわけだ。

他のお客さんも降りてきて、食堂が賑やかになってきた。

食事も終わったので、一度引き上げるかな。