探検家達 ― 2016年10月24日 21:59
探検家達
名古屋でのリブリーザー体験会の報告を兼ねて、神田のお店に行く。
どーせ長話になるということで、缶コーヒーを2本仕入れていったが、あっという間に飲み干した。
例によって、竹内さんとのダイビングのよもやま話。
嘆かわしい国内の状況や、浮沈子にとっては耳の痛い話、興味津々の話などなど。
メキシコのセノーテで、初めての洞窟にラインを張る話が出てきた。
取材に同行したときの話だそうだ。
水中洞窟の先で、地表の泉に出ると、その泉までの地上の道をジャングルの中に切り開くんだと。
翌日、そこに器材を運んで、また潜るわけだ。
そして、さらに先の洞窟を探検する。
ダブルタンクを担ぎ、さらに予備のシリンダーを持って、えっちらおっちら地上の道を歩いて、さらに水中で潜って新たなルートを切り開いてラインを張る・・・。
超ヘンタイな、異常な世界だ。
月に行った人は、何十人かいるかもしれないが、世界で数人しか到達していない洞窟もあるんだろうし、人跡未踏の超ヤバの洞窟(吐いた泡だけで、天井がパラパラと崩れてくるようなヤツ)もあるに違いない・・・。
そういうところに入るための器材について、ああでもないこうでもないと、際限なく話は続く。
浮沈子に話しても仕方がないと思うんだがな・・・。
沈船の中、洞窟の中には行かないからな。
話として聞いている分には、実に面白い。
未知の世界に行く。
しかし、考えてみれば、浮沈子にとっては、スービックの水中だって未知の世界だ。
誰かがラインを張ったところは、洞窟だろうが沈船内部だろうが、ファンダイブだというが、浮沈子から見れば、ヘンタイが大ヘンタイを語っているように聞こえる。
どっちもヘンタイであることに違いはない。
浮沈子は、別にヘンタイダイバーが悪いと言っているわけではない。
困難な環境でダイビングを行うための器材やスキルの開発に勤しみ、野を越え山越え、水中だけでは無く陸上でも困難に打ち勝って、新たな世界を切り開く冒険野郎(女性でもいいですが)に脱帽だ。
尊敬するし、感心もする。
呆れる方が強いかもな。
それでも、浮沈子には到底及ばない、新世界を切り拓く力には、素直に頭が下がる。
浮沈子は、それを目指しているわけではなく、その追随者でもないというだけだ。
テクニカルダイビングを志すといっても、レクリエーショナルレベルの延長線上のスキルアップと考えている。
そうではない、そこには、厳然とした壁があって、それを越えるためには死の覚悟と、それ相応の訓練が要求されるんだから、別世界なんだという考え方もある。
そうかもしれない。
だが、テクニカルダイバーといっても、スーパーマンやスーパーウーマンではない。
それだって、レベルはピンキリだろうし、選ばれた人たちではあっても、それ程特殊な人種には見えない。
それは、たぶん、見かけだけじゃないということが大きいんだろう。
テクニカルダイビングの入り口に立っている浮沈子が、今感じていることは、彼らは皆、ダイビングに関しては謙虚だということだ。
誤解を恐れずに言えば、控えめで、臆病ですらある。
やっているダイビングそのものは、深度100m以上行ったり、8時間以上の連続ダイビングしたりと、とんでもない内容なのだが、ルールの厳守、器材の選定、メンテナンス、運用のスキル、全てが保守的で、安全性を最優先している。
そうでなければ、実行できない、してはならないダイビングということになる。
実際に、事故も絶えない。
本人がそれを受け入れているとはいえ、末路は悲惨だ。
二度とダイビングの出来ない身体になったり、当然死亡事故も起こる。
レクリエーショナルダイビングレベルで、無謀なダイビングをするのと異なり、それなりの訓練や準備も行ってやるわけだが、それでも、その内容がヤバ過ぎるわけだな。
ストレスだって、半端ではない。
浮沈子は、パラオのシャンデリアケーブでさえ、パニック寸前だった。
ダメだ・・・。
絶対に、浮沈子には向かない。
減圧シーリングの仮想天井でも、多分、むちゃくちゃストレス溜まるだろう。
そんなもんは、屁とも思わない、鉄の心臓を持つダイバー達。
彼らだけが見ることが出来る、異次元の水中世界がある。
人類が到達したことのない、未知の水中空間。
ある意味、月面よりも遠い世界がそこにある。
そのケーブダイバー達が、さらに危険に満ちていると指摘する、レックペネトレーションの世界。
数々のダイバーの命を奪う、魔性の沈船たち・・・。
うーん、超ヘンタイな世界がそこにもある。
マジヤバだな。
浮沈子は、絶対に行かない。
明言する。
外から見ているだけで十分だ。
穴倉にも入ることはない。
そこは、浮沈子が潜る世界じゃない。
探検家たちの聖地だ。
水中のエクスプローラーたち。
その英雄たちの話を聞いて、すっかりしょげ返って、神田の店を出た。
午後5時。
浮沈子が目指している、南の島の浅く明るく暖かいリゾートダイビングが、色褪せて感じられる。
マクロとの格闘とか、激流の中の大物ダイビングとか、浮沈子も、その片鱗を覗いたりしてきた。
でも、そういうのはちょっと違うような気もする。
まったりとした、水中散歩、浮遊感に満ち、別世界が開けるようなダイビングがいい。
透視度は、そりゃああったに越したことはないけど、ロタのような場所ばかりじゃないからな。
1日に、何本も潜らなくてもいい。
ずーっと、同じポイントを潜っていてもいい。
忘れられないロタホール、松運丸のダイビング、DD前でのトレーニングダイブ、熱海の沈船・・・。
ああ、グアムの東海丸とコーモランも忘れ難いな。
やっぱ、沈船がいい。
外から見てるだけ。
その動かぬ力を感じ、巨体にアットーされる。
それだけでも、浮沈子にとっては十分だ。
水中では、誰もが探検家だ。
自分自身の未知の世界を開いていく。
その遥か彼方に、ダイビングのスーパースターたちがいて、水中における人類の地平を切り開いている。
ディープな世界だ。
ダイビングだからな。
ディープなのは当然か・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
ダイビングというのは、競技性が少ない娯楽だから始めたというのもある。
勝ち負けなんて関係ない。
ただ、知識やスキルには、歴然と差が出る。
持って生まれた才能もあるだろうが、正しいトレーニングを積んで培う技量もある。
創意工夫や、指導者として、後進に教える能力も求められる。
競技性がないので、客観的に優劣を判断することは難しいが、一緒に潜って何かをやれば、分かる人にはたちどころに分かる。
隠しようがない。
出来ないものはできないし、やすやすとできる人は、苦も無くクリアする。
出来るようになるまで、次の段階に進むことはできない。
特に、テクニカルレベルでは、トレーニングの段階でさえ、危険ですらある(実際に、減圧停止とかするしな)。
浮沈子の前には、高い壁がある。
未だに越えることが出来ない高い壁だ。
ダイバーとしての基本、中性浮力、トリム、フィンワーク。
SMBの打ち上げも苦手だ。
繰り返し練習するしかあるまい。
今日は、大井町のダイビングは休みだったので、水泳プールの方で少しだけ泳いだ。
フィンなしの、ダイビングスタイルのフロッグキックの練習・・・。
もちろん、全然進まない。
周りの人は、怪訝な顔をしているに違いない。
あいつぁ、なにやってんだぁ?。
かまうもんか!。
浮沈子は、ダイバーとして生きている。
気分は探検家だしな。
自分のダイビングの世界を切り開く、プライベートな意味での探検家だ。
未踏の世界が、壁の向こうにある。
その世界が開かれるまで、壁を叩き続けるしかあるまい・・・。
名古屋でのリブリーザー体験会の報告を兼ねて、神田のお店に行く。
どーせ長話になるということで、缶コーヒーを2本仕入れていったが、あっという間に飲み干した。
例によって、竹内さんとのダイビングのよもやま話。
嘆かわしい国内の状況や、浮沈子にとっては耳の痛い話、興味津々の話などなど。
メキシコのセノーテで、初めての洞窟にラインを張る話が出てきた。
取材に同行したときの話だそうだ。
水中洞窟の先で、地表の泉に出ると、その泉までの地上の道をジャングルの中に切り開くんだと。
翌日、そこに器材を運んで、また潜るわけだ。
そして、さらに先の洞窟を探検する。
ダブルタンクを担ぎ、さらに予備のシリンダーを持って、えっちらおっちら地上の道を歩いて、さらに水中で潜って新たなルートを切り開いてラインを張る・・・。
超ヘンタイな、異常な世界だ。
月に行った人は、何十人かいるかもしれないが、世界で数人しか到達していない洞窟もあるんだろうし、人跡未踏の超ヤバの洞窟(吐いた泡だけで、天井がパラパラと崩れてくるようなヤツ)もあるに違いない・・・。
そういうところに入るための器材について、ああでもないこうでもないと、際限なく話は続く。
浮沈子に話しても仕方がないと思うんだがな・・・。
沈船の中、洞窟の中には行かないからな。
話として聞いている分には、実に面白い。
未知の世界に行く。
しかし、考えてみれば、浮沈子にとっては、スービックの水中だって未知の世界だ。
誰かがラインを張ったところは、洞窟だろうが沈船内部だろうが、ファンダイブだというが、浮沈子から見れば、ヘンタイが大ヘンタイを語っているように聞こえる。
どっちもヘンタイであることに違いはない。
浮沈子は、別にヘンタイダイバーが悪いと言っているわけではない。
困難な環境でダイビングを行うための器材やスキルの開発に勤しみ、野を越え山越え、水中だけでは無く陸上でも困難に打ち勝って、新たな世界を切り開く冒険野郎(女性でもいいですが)に脱帽だ。
尊敬するし、感心もする。
呆れる方が強いかもな。
それでも、浮沈子には到底及ばない、新世界を切り拓く力には、素直に頭が下がる。
浮沈子は、それを目指しているわけではなく、その追随者でもないというだけだ。
テクニカルダイビングを志すといっても、レクリエーショナルレベルの延長線上のスキルアップと考えている。
そうではない、そこには、厳然とした壁があって、それを越えるためには死の覚悟と、それ相応の訓練が要求されるんだから、別世界なんだという考え方もある。
そうかもしれない。
だが、テクニカルダイバーといっても、スーパーマンやスーパーウーマンではない。
それだって、レベルはピンキリだろうし、選ばれた人たちではあっても、それ程特殊な人種には見えない。
それは、たぶん、見かけだけじゃないということが大きいんだろう。
テクニカルダイビングの入り口に立っている浮沈子が、今感じていることは、彼らは皆、ダイビングに関しては謙虚だということだ。
誤解を恐れずに言えば、控えめで、臆病ですらある。
やっているダイビングそのものは、深度100m以上行ったり、8時間以上の連続ダイビングしたりと、とんでもない内容なのだが、ルールの厳守、器材の選定、メンテナンス、運用のスキル、全てが保守的で、安全性を最優先している。
そうでなければ、実行できない、してはならないダイビングということになる。
実際に、事故も絶えない。
本人がそれを受け入れているとはいえ、末路は悲惨だ。
二度とダイビングの出来ない身体になったり、当然死亡事故も起こる。
レクリエーショナルダイビングレベルで、無謀なダイビングをするのと異なり、それなりの訓練や準備も行ってやるわけだが、それでも、その内容がヤバ過ぎるわけだな。
ストレスだって、半端ではない。
浮沈子は、パラオのシャンデリアケーブでさえ、パニック寸前だった。
ダメだ・・・。
絶対に、浮沈子には向かない。
減圧シーリングの仮想天井でも、多分、むちゃくちゃストレス溜まるだろう。
そんなもんは、屁とも思わない、鉄の心臓を持つダイバー達。
彼らだけが見ることが出来る、異次元の水中世界がある。
人類が到達したことのない、未知の水中空間。
ある意味、月面よりも遠い世界がそこにある。
そのケーブダイバー達が、さらに危険に満ちていると指摘する、レックペネトレーションの世界。
数々のダイバーの命を奪う、魔性の沈船たち・・・。
うーん、超ヘンタイな世界がそこにもある。
マジヤバだな。
浮沈子は、絶対に行かない。
明言する。
外から見ているだけで十分だ。
穴倉にも入ることはない。
そこは、浮沈子が潜る世界じゃない。
探検家たちの聖地だ。
水中のエクスプローラーたち。
その英雄たちの話を聞いて、すっかりしょげ返って、神田の店を出た。
午後5時。
浮沈子が目指している、南の島の浅く明るく暖かいリゾートダイビングが、色褪せて感じられる。
マクロとの格闘とか、激流の中の大物ダイビングとか、浮沈子も、その片鱗を覗いたりしてきた。
でも、そういうのはちょっと違うような気もする。
まったりとした、水中散歩、浮遊感に満ち、別世界が開けるようなダイビングがいい。
透視度は、そりゃああったに越したことはないけど、ロタのような場所ばかりじゃないからな。
1日に、何本も潜らなくてもいい。
ずーっと、同じポイントを潜っていてもいい。
忘れられないロタホール、松運丸のダイビング、DD前でのトレーニングダイブ、熱海の沈船・・・。
ああ、グアムの東海丸とコーモランも忘れ難いな。
やっぱ、沈船がいい。
外から見てるだけ。
その動かぬ力を感じ、巨体にアットーされる。
それだけでも、浮沈子にとっては十分だ。
水中では、誰もが探検家だ。
自分自身の未知の世界を開いていく。
その遥か彼方に、ダイビングのスーパースターたちがいて、水中における人類の地平を切り開いている。
ディープな世界だ。
ダイビングだからな。
ディープなのは当然か・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
ダイビングというのは、競技性が少ない娯楽だから始めたというのもある。
勝ち負けなんて関係ない。
ただ、知識やスキルには、歴然と差が出る。
持って生まれた才能もあるだろうが、正しいトレーニングを積んで培う技量もある。
創意工夫や、指導者として、後進に教える能力も求められる。
競技性がないので、客観的に優劣を判断することは難しいが、一緒に潜って何かをやれば、分かる人にはたちどころに分かる。
隠しようがない。
出来ないものはできないし、やすやすとできる人は、苦も無くクリアする。
出来るようになるまで、次の段階に進むことはできない。
特に、テクニカルレベルでは、トレーニングの段階でさえ、危険ですらある(実際に、減圧停止とかするしな)。
浮沈子の前には、高い壁がある。
未だに越えることが出来ない高い壁だ。
ダイバーとしての基本、中性浮力、トリム、フィンワーク。
SMBの打ち上げも苦手だ。
繰り返し練習するしかあるまい。
今日は、大井町のダイビングは休みだったので、水泳プールの方で少しだけ泳いだ。
フィンなしの、ダイビングスタイルのフロッグキックの練習・・・。
もちろん、全然進まない。
周りの人は、怪訝な顔をしているに違いない。
あいつぁ、なにやってんだぁ?。
かまうもんか!。
浮沈子は、ダイバーとして生きている。
気分は探検家だしな。
自分のダイビングの世界を切り開く、プライベートな意味での探検家だ。
未踏の世界が、壁の向こうにある。
その世界が開かれるまで、壁を叩き続けるしかあるまい・・・。
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