怪しい衛星2017年01月23日 01:39

怪しい衛星
怪しい衛星


(Xバンド防衛通信衛星)
https://ja.wikipedia.org/wiki/X%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89%E9%98%B2%E8%A1%9B%E9%80%9A%E4%BF%A1%E8%A1%9B%E6%98%9F

防衛省が使用している軍事用通信衛星だな(静止軌道衛星)。

従来は、スカパーのスーパーバード3機のトランスポンダーを借り受ける形で運用していたらしい。

(次期Xバンド衛星通信整備事業に関する基本的な考え方:平成23年8月)
http://www.mod.go.jp/j/procurement/pfi/siryou/xband.pdf

「防衛省・自衛隊は、現在、主として作戦部隊の指揮統制を目的とした衛星通信における基幹通信として、スーパーバードB2号機、同C2号機及び同D号機の3機によるXバンド衛星通信システムを運用している」

「このうちB2号機及びD号機の2機が平成27年度中に設計寿命を迎えるため、後継衛星の整備が急務」

軍事用基幹通信のインフラストラクチャーを宇宙に構築している割には、かなり杜撰な対応のような気がするんだがな。

「1号機は輸送時に損傷し修理のため打上げが2016年7月から2018年に延期された」

(H-IIAロケット32号機によるXバンド防衛通信衛星2号機の打上げ時刻及び打上げ時間帯について)
https://ja.wikipedia.org/wiki/X%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%89%E9%98%B2%E8%A1%9B%E9%80%9A%E4%BF%A1%E8%A1%9B%E6%98%9F

「・打上げ日:平成29年1月24日(火)
・打上げ時刻:16時44分00秒(日本標準時)
・打上げ時間帯:16時44分00秒~17時58分00秒(日本標準時)」

今回の打ち上げが失敗に終わるようなことになれば、我が国の防衛にとっては死活問題になりかねない。

まあ、衛星以外の通信手段がないわけではないだろうから、電話1本掛けられなくなるわけではないだろう。

(防衛情報通信基盤)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%B2%E8%A1%9B%E6%83%85%E5%A0%B1%E9%80%9A%E4%BF%A1%E5%9F%BA%E7%9B%A4

「伝送技術は光ファイバーまたは広域イーサネット、ATMや多重無線、また一部では衛星回線が使用されている。」

現代の戦闘では、個別兵器の性能の優劣以上に、情報戦において優位を得ることが重視されており、通信はその要となる。

耐用期限の切れた通信衛星の予備運用期間に縋り、綱渡りのような状況に陥っているようでは困るな。

国土を守り、国民の生命、財産を守る自衛隊にあるまじき体たらくである。

喝っ!。

まあ、どうでもいいんですが。

(「お米か? 特急か? いや、自衛隊初の独自通信衛星だ」 統合運用を前進させる「きらめき2号」)
http://www.sankei.com/premium/news/161207/prm1612070004-n1.html

「JA全農あきたが開発した県産米「秋のきらめき」」

「JR九州が運行する特急「きらめき」」

浮沈子は、どちらも知らない。

ワケワカの例えを引く必要はない。

「日本の英知を結集した「天空に美しく光り輝く」衛星」

高が通信衛星だろ?。

名前負けしなけりゃいいんだがな。

「防衛省はこれまで、民間の通信衛星を利用していた。しかし、容量に制限があり音声やファクスなどにしか使えず、画像データを送る場合は「1枚に数十分かかるので使い物にならない」(防衛装備庁関係者)という状態が続いていた。」

「陸海空自衛隊の部隊間の通信にも制限があり、統合運用の妨げともなってきた。」

今までが、ひど過ぎたということだな。

「(2016年)7月に「きらめき1号」が南米フランス領ギアナで打ち上げられる予定だったが、輸送中に損傷が発生したため延期。1号は30年3月以降に打ち上げることとし、2号の打ち上げが先に行われることになった。」

情けない話だ・・・。

「1号は太平洋上空をカバーし、32年度末に打ち上げが計画されている3号は日本上空を担当。1~3号が太平洋からインド洋にいたる幅広い地域で活動する自衛隊の活動を円滑化する。」

ちなみに、今回打ち上げ予定の2号機はインド洋上空での運用を担う。

「1号と3号には民間企業の機材も搭載する。このため総重量が重くなり、1号の発射場所には打ち上げエネルギーがより少なくて済む赤道に近いギアナを選んだ。」

運搬中に壊れた背景には、やらんでもいいPFIが絡んでいたわけで、防衛に対するセンスの無さを曝け出してしまったわけだ。

何時打ち上げになるかわからない3号機も、どーせアリアンで上げるしかないだろうから、また、壊れるかもな(空輸の際、気圧差でコンテナが変形し、アンテナが損傷したらしい)。

「3号も国外で打ち上げる予定で、種子島での発射は2号のみ。きらめきが飛び立つ雄姿を国内で見られるのは1月24日が最初で最後になるかもしれない。」

産経の記事は、どうも情緒的でいけない。

防衛意識を称揚するのは結構だが、2号機が、なぜ民間企業の器材を搭載せずに国内での打ち上げになったのかを、もう少し突っ込んで報道してもらいたいもんだな。

ロケットの打ち上げを国内で見せるためではなかろう?。

ことの経緯が不明なので、何とも言えないが、何やら怪しい雰囲気だな。

整合性が取れているようには見えない。

経済的なインセンティブを与えて、公共ミッションに民間資本を誘導するというのは、最近流行りの方法だが、事業を発注する方も、受注する方も不慣れなうえ、そもそも、発注する方にノウハウがないので、民間セクターの言いなりということになりがちだ。

防衛の基幹通信システムを構築するという事業に、そんなキワモノ的手法を取り入れる必要性はない。

我が国が、他国と異なり、宇宙開発に軍隊が関与してこなかったツケが、とんだところで回ってきているのかもしれない。

まあいい。

何処の記事を見ても、その辺について掘り下げて書かれたものはない。

軍事ジャーナリズム不在の状況を嘆くばかりだな。

こんなことで、まともな通信網が構築できるのかどうか。

また、その通信基盤に立った戦力の効果的な運用が可能になるのか。

F-35の敵地攻撃能力を云々する暇があったら、効果的な通信網の構築が危機的状況にあることについて、もちっと、ちゃんと報道してもらいたいもんだ。