違うんじゃね?2017年02月05日 10:06

違うんじゃね?
違うんじゃね?


産経は、ときどき(?)無意識に(?)無理な主張(?)を展開する。

(トランプ大統領の出現は「オバマ的統治」を排すことへの期待の表れではないか?)
http://www.sankei.com/premium/news/170204/prm1702040033-n1.html

ここでいう、「オバマ的統治」について、記事の中で確認しておく。

・1991年のソ連崩壊以後の歴代米国大統領が「唯一の超大国」の座に安住し、とくにオバマ前政権が「全世界からの撤退」に等しい軍事忌避の影響力縮小を続けたこと

・オバマ前政権の国際関与からの「離脱」や「漂流」

・いまやその混迷の世界の力関係を変えようとする最大の主役は中国であり、それを抑止してきた米国の軍事力がオバマ前大統領の政策で実効力を失ってきた

・中国の軍事的な膨張やロシアのクリミアへの侵略などを放置したオバマ前政権の消極策

これらの指摘が一定の説得力を持つのは、結果として中国が台頭し軍事的にも積極的な展開を示すようになってきたということが上げられる。

米国の政策の如何に関わらず、中国の国力は増大しただろうし、軍事力を増強してきただろうとは思うけどな。

多少は、米国の消極策が影響しているのかもしれない。

米国は、再び世界のあちこちでドンパチやらかすんだろうか?。

そして、米国民はそれを求めてドナルド・トランプに投票したんだろうか?。

3つの論文が、日本のマスコミが認識していない現実を指摘しているという産経の主張は、その通りなのかもしれない。

認識していても、十分に伝えていないことは確かだ。

また、米国民の多くが、移民の一部の入国規制に賛成しているというのも事実だ。

しかし、米国民が、世界への積極的な関与を望んでいるとか、特に軍事的プレゼンスの増大をドナルド・トランプに期待しているかのような印象を与えるのは間違っている。

もちろん、3つの論文は、過去の検証として、中国の台頭などが米国の軍事的な消極策と時期を同じくして起こっていることを指摘してはいる。

良くて若干の因果化関係があるかどうか、悪くすれば、たまたま時期が重なっただけで、無関係かも知れない。

ロシアのクリミアへの出兵、併合も、ウクライナの政変が直接的な引き金で、米国の関与が薄かったというのは背景に過ぎない。

政情不安な地域に展開している企業にとっては、どっか、強力な軍事力を投入して、軍事的安定を図り、商売しやすい状況を作ってくれるのが有り難いし、それが中国やロシアじゃないのが嬉しいだろう。

米国の企業だって、我が国の企業だって、多分そう考えているに決まっている。

だからといって、米国民の多数がそれを望んでいるとは思えないな。

それに期待して、現政権が生まれたというのも違っている(たぶん)。

移民の入国制限に反対しているのは、その労働力に期待している米国の一部の企業だしな。

国民の多くは賛成だ(産経の、57パーセントが支持というのは、どっから持ってきたんだあ?)。

閉ざされた国への回帰。

世界のドンパチからの撤退。

その流れは変わらないだろう。

国防長官は、我が国でリップサービスに余念がないが、しっかりと我が国の国防費の増額に念押ししてたしな。

本音は、手を引きたいわけだ。

米国は、中国とは、かつて日本の頭越しに手を握った国だしな。

(ニクソン大統領の中国訪問)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%83%B3%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E3%81%AE%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E8%A8%AA%E5%95%8F

「1971年7月15日に、それまで極秘で進めてきた米中交渉を明らかにして、自身が中華人民共和国を訪問することを突然発表して世界を驚かせた」

何するか分かったもんじゃない。

我が国の報道機関が、米国の実情を十分伝えていないという点については、浮沈子も同意する。

それは、米国の多くの報道機関についても同じだ。

また、多くの米国民が、移民規制に賛成していることも確かなようだ。

さらに、冷戦終了後の米国政府が一貫して取ってきた軍事費の削減が、世界の情勢に変化をもたらしているというのも、その通りかもしれない。

「これら3論文は、米国でこうした国際的変動への意識が「危機での強い指導者志向」とも相乗してオバマ氏的な統治を排し、従来の枠組みを破るトランプ氏への期待に寄与したという判断をも示していた。」

原論文には当たっていないので、内容がその通りかどうかについてはコメントできない。

浮沈子はそうは思っていないし、内向きな米国の政策が、ますます世界を不安定にすると感じている。

米国民の多くや、新政権が海外の軍事力の増強を望んでいるとは思えない。

米国が中国と手打ちして、太平洋の西半分をくれてやったとしても、浮沈子は驚かないけどな・・・。

米軍事費の推移2017年02月05日 14:50

米軍事費の推移
米軍事費の推移


冷戦後、米国の軍事費はどうなっているのか。

世界の中での相対的な割合はどうなのか。

主要国の中では、どこが増えているのか。

基礎知識を確認しておこう(←そんなことも知らなかったのかあ?:いつもの事ですが)。

まず押さえておきたいのが、この記事のグラフ。

(アメリカNOW 第114号 「世界の警察官」後の米国の国防予算~「異例」とまでは言えない国防予算の縮小~(安井明彦))
http://www.tkfd.or.jp/research/america/a00254

「(図表5)世界の軍事費に占める割合」

「(注)米ドル換算。
(資料)SIPRI資料により作成。」

「「世界の警察官ではない」と宣言した米国も、国防予算の推移から判断する限りでは、過去の「戦後」と変わらない縮小過程を辿っているように見える。中国の軍事費が増加しているとはいえ、世界の軍事費に占める割合でも、米国の存在感は相変わらず圧倒的である(図表5)。」

米国は、最近下がって入るけど、確かにアットーテキなボリュームを占めている。

通貨換算しているので、絶対的な比較は直接できないけれど、傾向は捉えられている。

欧州は、減少の一途だし、中国・ロシアは増え続けている。

もう少し絶対額とかでの比較がないかと探してみた。

(主要国の軍事費推移をグラフ化してみる(2016年)(最新))
http://www.garbagenews.net/archives/2258869.html

「主要国軍事費推移(各年米ドル換算、億ドル)(2015年時点の軍事費上位5か国)」(画像参照)

驚いたことに、米国の軍事費は、冷戦後も2011年までは、一貫して増え続けている。

オバマ政権2期目の2012年以降は減少しているが、2015年になっても就任時の2008年より高い。

オバマ政権になってから、軍事費が削減されたというのは、少なくとも第1期については誤っているし、通しで見ても正しいとは言えない(2016年は未確認)。

その他の国々についてみると、通貨換算しない自国通貨の名目での比較が分かりやすい(ロシア除く)。

「主要国軍事費(自国通貨における1992年分からの倍率)(2015年時点の軍事費上位10か国)(除くロシア)」

「やはり中国、そしてインドの伸び率が著しい。またサウジアラビアもここ数年大きな上昇率を見せている。それ以外の国は自国通貨の額面上でも、さほど大きな変化は示していないことも確認できる。韓国がやや上昇基調にあると表現しても良いぐらいだろうか。」

ロシアは、最初のグラフで見るしかない。

通貨価値が下落しているので、対ドル換算しないとワケワカになる。

それにしても、冷戦後、一度は落ち込んだが、その後、多少の増減はあるにしても、増加傾向で推移している(最近は、減少気味)。

米国の軍事費が、今後どうなるかは分からないが、冷戦後、平和の配当を十分に受け取っていないことは確かなようだ。

そもそも、そんなものを期待していいのかどうかは分からないけどな。

そして、中国がオバマ政権とは関係なく、一貫して軍事費を増やしていることも確認できた。

ちなみに、我が国の軍事費は通貨換算後では、ドイツ、韓国とほぼ同じ水準にある。

「主要国軍事費推移(各年米ドル換算、億ドル)(2015年時点の軍事費上位10か国から米中ロ抜き)」

多少は増額してもやむを得ないが、身の丈に合った規模にしとかないとな。

米国のアットー的な軍事費を前にすると、我が国が如何に慎ましいかが分かる。

そして、中国の台頭が、今後も継続して続いていくことを確信せざるを得ない(自分でも、そう言ってるし)。

こんなのに付き合ってたら、いくら金があっても足りなくなる。

一部、肩代わりするにしても、日本周辺は全部自前でなどということは、止めといた方が無難だな。

辺野古だけじゃなくて、岩国も付けて、何としてでも海兵隊に残ってもらわなければならない。

グアムの整備負担も、大幅に増額していく必要があるかもしれない。

ハワイまで後退するつもりなら、そっちも手配しましょうとか。

あーあ、また、消費税値上げかあ・・・。

盾と矛かあ?2017年02月05日 22:23

盾と矛かあ?
盾と矛かあ?


スタンダードミサイル3ブロック2Aが、艦船から発射されたそうだ。

(日米共同開発の新型迎撃ミサイル 海上発射試験成功)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170205/k10010865281000.html

「ハワイ沖の海上で発射試験を行い、成功したと発表」

当たるも八卦当たらぬも八卦・・・。

「センサーの改良によって弾道ミサイルを探知する能力が向上するほか、燃料の搭載容量が増えるため、射程が伸び、防護できる範囲が大幅に拡大する」

このミサイルは、既にブロック1Aが配備されているが、今後、2Aに更新されていく予定である。

(スタンダードミサイル:ブロックIシリーズ、ブロックIIシリーズ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB#.E3.83.96.E3.83.AD.E3.83.83.E3.82.AFI.E3.82.B7.E3.83.AA.E3.83.BC.E3.82.BA

「日本の海上自衛隊ではこんごう型護衛艦がブロックIAを運用する」

「ブロックIIからは日米共同で開発されている。」

「ブロックIIはブロックIBのキネティック弾頭とシーカーと同一のものを使用するが、2段および3段ロケットを1段と同じ直径21インチ(53センチ)に大型化し、射程を延伸させ高速化させて迎撃範囲を広げ、ノーズコーンも21インチ対応型に変更する。」

「ブロックIIは技術実証用で実戦配備されることはない。」

ははあ、開発用の機体というわけか。

「ブロックIIAはイージスBMD5.1と適合化され、キネティック弾頭とこれに搭載する赤外線シーカーを大型化させて破壊力と識別能力を向上させ、ロケットもさらに改良して速度を向上させるなどして高性能化をさせる。」

「このブロックIIAが現在配備されているブロックIAを更新する予定」

「ブロックIIBは多弾頭型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を迎撃することを目指して自らも多弾頭化する迎撃ミサイル」

一時、開発が保留されたらしいが、再開されているようだ。

ブロック2Aは、海外にも輸出される。

(RIM-161スタンダード・ミサイル3:配備計画:ポーランド)
https://ja.wikipedia.org/wiki/RIM-161%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB3#.E3.83.9D.E3.83.BC.E3.83.A9.E3.83.B3.E3.83.89

「日米が共同開発しているSM-3ブロックIIAが初めて第三国に供与・配備される」

ということは、あれだな、ロシアが配備した弾道ロケットと、ガチで戦うことになるわけだ。

(ロシアが東欧の飛び地カリーニングラードに核ミサイル配備?)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/11/post-6208.php

「核搭載が可能な弾道ミサイル「イスカンダル」」(キャプションより:本文には、イスカン「デ」ルとある)

(9K720)
https://ja.wikipedia.org/wiki/9K720

「9K720「イスカンデル」(ロシア語:9К720 "Искандер"ヂェーヴャチ・カー・スィムソード・ドヴァーッツァチ・イスカンヂェール)はロシア製の短距離・固体燃料推進・移動式・戦域弾道ミサイル複合(TBM、Оперативно-тактический ракетный комплекс、ОТРК)である。」

ニューズウイークの記事では、イスカンデルには通常弾頭の他に核弾頭も搭載可能だとあるが、ウィキにはそのような記述はない(元ネタが、ロシアかあ?)。

うーん、どっちなんだあ?。

まあいい。

ポーランドに配備されたスタンダードミサイルは、こいつを相手にするんだろうか?。

「精度:5 - 7m 最終段階での光電子工学追尾システム付き(「イスカンデルM」:ロシア連邦軍配備型)」

こんなの、防げるんだろうか?。

盾と矛のどちらが強いかは、やってみなければ分からない。

ただし、矛は、失敗したら(盾で防がれたら)、また打ち掛かればいいが、盾で防ぐのに失敗するということは、二度と防げなくなることだからな。

長射程のイスカンデルは、ベルリンを射程に捉えているらしいしな。

「改良で最大射程が700キロに延びた新型になると、ドイツの首都ベルリンも射程に収める。」

それを叩き落とすミサイルを開発して、東欧に配備しようとしている我が国に対して、ロシアがどう受け止めるかを考えれば、北方領土の返還なんて、太陽の寿命が来るくらい先の話じゃなかろうか。

まあ、どうでもいいんですが。

つーか、あれだな、イスカンデルを北朝鮮に輸出するのが手っ取り早いしな(ウィキによれば、韓国への輸出を目論んでいるようだ)。

そうすると、日本海上空で直接対決ということになる。

怪しげな北朝鮮製のミサイルと違って、ちょっと手強そうだな。

弾道低く、MDを回避する能力があると言われている。

際限なくエスカレートしていく軍備競争。

その行方に、我が国も関与していることを忘れてはいけないだろうな。