米国の選択(宇宙開発)2017年02月10日 20:45

米国の選択(宇宙開発)
米国の選択(宇宙開発)


そういえば、米国の宇宙政策は、政権交代でどうなるんだろうか?。

バラク・オバマは、月への帰還をぶち壊し、火星とかいうトンデモな目標を掲げてNASAをどん底に叩き込んだ(そうなのかあ?)。

コンステレーション計画は露と消え、スペースローンチシステムは遅々として進まず、ロシアのソユーズにおんぶにだっこしてかろうじてISSを維持している。

民間宇宙船は、しょっちゅう爆発するし、ロシアのプログレス(補給船)は、毎年不具合に陥る(恒例ですな)。

トランプ政権の宇宙政策について、WSJが記事を書いている。

(トランプ氏の宇宙政策、当面は短期目標に絞るか
巨大な政府主導型計画と割安な新興企業主導型のせめぎ合いも)
http://jp.wsj.com/articles/SB11367774349816344181604582604153054062724

「外部の専門家は今後10年間の全任務を遂行するために必要な資金をNASAは確保できないとみている。」

「移行チームや業界関係者によると、数多い政策オプションの中には一つの共通するテーマがある。それは、幅広く有権者の支持を得ることを目指し、トランプ大統領が政権に就いている4年の間に実際に完遂可能なプロジェクトに焦点を絞っていることだ。」

政府主導の宇宙開発が、政治的な意味合いにベタっと染まっていくのは、洋の東西を問わない。

「ドナルド・トランプ米大統領が策定しつつある宇宙政策は民間投資を促進するものになると期待されているが、当面は2020年までに月の軌道へ宇宙飛行士を送るという比較的短期の目標になりそうだ。」

なんと・・・。

月探査を復活させようというんだろうか?。

NASAの名義で、スペースXのファルコンヘビーと、有人宇宙船ドラゴン2を飛ばして、手っ取り早く実績作ろうということなんだろうか?。

「航空宇宙局(NASA)の最優先課題の一つを官民パートナーシップの促進に据えている。」

間違いない。

「商業宇宙開発の支持者はNASAの移行チームが最初に示していた「当局によるアクションプラン」を、民間企業が率いる「迅速かつ妥当な金額での月への帰還」に作り直すことを求めている。」

もちろん、SLSでは2020年までというスケジュールを果たすことは不可能だ。

何てったって、ロケットは影も形もないからな。

(Exploration Mission 2)
https://en.wikipedia.org/wiki/Exploration_Mission_2

「NASA is aiming to launch between 2021 and 2023, with a crew to perform a practice flyby of a captured asteroid in lunar orbit .」

間に合わないことは明らかだな。

WSJは、別の記事も掲げている。

(商業宇宙飛行連盟、NASA大型ロケット計画と協力へ)
http://jp.wsj.com/articles/SB10734999991334983926204582608894142832150

「SLSの最初の無人飛行は来年、有人飛行は2021年までに予定されている。」

「業界関係者の間では、トランプ政権の意向に沿うよう、有人飛行は20年に前倒しされる可能性があるとの見方が広がっている。」

あれっ?、やっぱ、SLSで行くのかあ?。

「イーロン・マスク氏率いるスペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)は貨物、さらには将来米国の宇宙飛行士を宇宙ステーションに運ぶ多額の契約を結んでいる。」

意図的か、うっかりかは知らないが、ボーイングの有人宇宙機の契約の方が高いということを忘れている。

「SLSはボーイングと多くの提携企業が開発を進めている。」

こっちじゃねーよ!。

B社は、スターライナーを開発中だ。

(ボーイングの有人宇宙船「スターライナー」、有人初飛行をまたしても延期へ)
http://sorae.jp/030201/2016_10_13_boe.html

「ボーイングが開発中のカプセル型有人宇宙船「CST-100 スターライナー」の有人初飛行が、2018年の12月以降に再延期されることとなりました。」

「遅れの原因は製造過程や資格関連のテストにもあるとしています。また9月には圧力に耐えるためのドームにも問題が見つかっており、開発は順調に進んでいるわけではないようです。」

これは、宇宙船の方なんだが、肝心のロケットはどうなってるんだあ?。

(「アトラスV」ロケット、失敗と紙一重の打ち上げ成功 - 機体の異常を挽回)
http://news.mynavi.jp/articles/2016/04/05/atlasv/

連続成功を重ねているが、トラブルは発生しているわけで、有人ロケットとしての安全性には疑問が残る。

そもそも、有人用のアトラスVがどうなっているかについての情報は良く知らない。

(アトラス V:形式)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B9_V#.E5.BD.A2.E5.BC.8F

「ロッキードとビゲロー・エアロスペースは、2006年9月に有人仕様のアトラスVを潜在的な民間宇宙飛行市場へ投入する合意を交わした」

そもそも、エンジンが供給されなくなって、今後の打ち上げが行われるかどうかも分からない。

新しいバルカンロケットは、影も形もないしな。

(米国の次期基幹ロケット「ヴァルカン」が目指す「長寿と繁栄」)
http://news.mynavi.jp/series/vulcan/001/

「完成したアトラスVは、10年以上にわたって安定した打ち上げを続けてきた。しかし、2014年に状況が変わる。」

「この年の2月に端を発したウクライナ問題をめぐって米露関係が悪化。米国議会は同年、ロシアに対する経済制裁の一環として、今後のRD-180の輸入数に制限をかける法案した。」

「法案する」という流行語があったんだろうか?。

「その後、同年12月にこのRD-180の使用禁止令はいったん解かれ、今後の入札にはアトラスVも参加が可能にはなっている。」

「RD-180の使用禁止が決定される前、陰りが見え始めたばかりの2014年にはすでに、デルタとアトラスを継ぐ、新たなロケットの開発に着手したのである。それが「ヴァルカン」だった。」

このヴァルカンというのは、ロケット業界だけ見ても、混乱のもとになりかねない。

(ヴァルカンエンジン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3

「欧州宇宙機関(ESA)のアリアン5ロケットのエンジンである。」

「・ヴァルカン:アリアン5、アリアン5Gと5G +
・ヴァルカン2:アリアン5 ECA、アリアン5 ECAは推力増強型である。」

(ヴァルカン (ロケット))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%B3_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88)

「ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)が開発中の打上げ機である。」

もちろん、ロケットの方。

「現時点では、まずセントールを使用するヴァルカンを2019年から運用に投入し、2020年代の中ごろにACESを装備するヴァルカンを投入することが計画されている。」(鳥嶋さんの記事より)

まあ、そう計画通りに行くかどうかは分からない。

とりあえずは、アトラスVで運用せざるを得ないが、トラブっている。

(Atlas V and Starliner reveal new configuration to mitigate aerodynamic issues)
https://www.nasaspaceflight.com/2016/10/atlas-v-starliner-mitigate-aerodynamic-issues/

「Issues with the Atlas V/Starliner configuration were noted at the start of the year (L2), with models of the configuration put through a battery of wind tunnel and CFD (Computational Fluid Dynamics) testing.」

どうやら、空力上の問題があったらしい。

スターライナーの下にスカートを履かせることで解決したらしいが、なんかダサくね?。

この辺りも含めて、米国の宇宙開発の今後に注目だな。

ひょっとしたら、SLSなんて、消えてなくなってしまうかもしれないしな。

飛ばんでいい・・・。

民間で、火星に植民したがっているんだから、任せとけばいい。

小惑星探査を長期目標にして、火星はイーロンマスクにくれてやれ(だから、大統領の傍でうろうろしてんのかあ)。

(SpaceX and “new space” up against traditionalists for future of NASA:追加)
http://www.teslarati.com/spacex-new-space-traditionalists-future-nasa/

この記事の見立てだと、月=SLS、火星=イーロンマスクという図式になりそうだという。

「If “Moon first” becomes the winner in the end, it still wouldn't likely interfere with Elon Musk's Mars plans but rather help them along with all the new space infrastructure launch income for SpaceX.」

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