いるいる詐欺2017年02月26日 01:24

いるいる詐欺
いるいる詐欺


そうだ、そうだ!。

と、思わず口走ってしまった記事。

(7つの惑星に水存在の可能性
NASAが地球似の惑星発見「生命いるいる詐欺」?)
https://r25.jp/topic/00055786/

「「トラピスト1」は太陽のおよそ8%の質量で、比較的温度も低い」

「今回発見されたのは、地球から約40光年離れた恒星「トラピスト1」を周回する7つの惑星。」

「7つの惑星の気候は温暖で、いずれの惑星も岩が多く、質量も地球に近い」

「このうち3つの惑星は海や大気圏が存在する可能性もあり、生命が誕生するのに適しているといわれる領域「ハビタブル・ゾーン」にある」

この話は、3日ほど前に発表されていて、例によって浮沈子は、ぶうたれて無視していた。

NASAが、予告までして発表したわけで、地球外生命の可能性という錦の御旗が、また一つ増えたわけだ。

「「NASAの7惑星、とってもロマンを感じる」
「今朝のNASAの発表見てからわくわくがとっまらっない♪」
と、テンションが上がる人も多い。」

おいおい、ちみたち、騙されちゃいけないよ!。

世の中に、うまい話と地球外生命は落ちてないんだからね!。

素直な反応を示すことが出来なくなってしまった浮沈子は、皮肉につぶやくだけ。

そうしたら、嬉しいことに、こんな反応があるんだと。

「「NASAさんやい、もう惑星発見のお知らせはお腹いっぱいです。私が見たいのは地球外生命体なんです」
「NASAの“ビッグニュース”がまた『いるいる詐欺』だった件について」」

記事にもあるように、系外惑星の大気を調べたりするのは、容易なことではない。

生命の存在を確実に証明することは、そう簡単にはいかないんだ・・・。

実際に、探査機を飛ばして見に行くことは出来ないしな。

そういう計画は、何十年も前から、手を変え品を変え、提案されている。

(ダイダロス計画)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%AD%E3%82%B9%E8%A8%88%E7%94%BB

「英国惑星間協会 (BIS) が1973年から1978年にかけて行った恒星間を航行する原子力推進宇宙船の研究における航宙計画」

「恒星間宇宙船ダイダロス号は地球軌道に(訳注: 「地球の衛星軌道」ではない)建設され・・・」

あれっ?、木星軌道じゃなかったけ?。

まあ、どうでもいいんですが。

(オリオン計画)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%AA%E3%83%B3%E8%A8%88%E7%94%BB

「アメリカにて1950年代 - 60年代にかけて行われた宇宙船の研究計画で、原子力推進宇宙船の、世界で最初の工学的な研究開発計画」

「フリーマン・ダイソンは、オリオン型惑星間宇宙船のアイデアを恒星間宇宙船に適用している。」

稀有壮大な話だが、さすがに実現しそうもないので、手を変え品を変え、新たな提案も出てきた。

(ブレークスルー・スターショット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%88

「太陽系から4.37光年離れているケンタウルス座α星へ数千個のレーザー推進の超小型宇宙船を送り込む計画である」

「プロジェクトの発表は、2016年4月12日(米国時間)にニューヨークで開催された報道機関向けのイベントでロシアの富豪でベンチャー投資家のユーリ・ミルナーと、宇宙物理学者のスティーブン・ホーキングにより行われた」

地球外生命も、恒星間飛行も、ヨタ話(ロマン?)の域を出ない。

スケールの大きさと、その影響の大きさから、人類を虜にし続けているが、そして、仮に実現したら、とてつもない話になるということから、おそらく、消えてなくなることはない話だ。

NASAを初めとして、宇宙探査に関わる人々が、声高に宣伝するのは、そのためだろう。

決して、業界の利益(!)のためではないと信じたい。

浮沈子は、いるいる詐欺とまでは言わないけど(ホントかあ?)、永遠に繰り返されるハビタブルゾーン付きの系外惑星の話は、そろそろ聞き飽きてきたというのも事実だ。

最近は、手近な太陽系内で、生命を見つけようという話もある。

木星の衛星エウロパや、土星の衛星エンケラドゥス、更には、タイタンまで(これは、与太話の範疇だな)。

現在進行中の話としては、火星があるけど、こっちはそろそろネタが切れかかっている。

人類は、もう、何十年も探査し続けているけど、生命の痕跡は見つけ出せていない。

「遠く離れた宇宙の話であるので、生命の有無をすぐに確認できないのは仕方ないことだが、「そろそろ地球外生命を見せてくれ!」というのが、ネットの本音なのかもしれない。」

記事を書いた方は、健全にまとめている。

一般の読者へ向けた内容としては妥当だ。

浮沈子のように、いるわけない存在を、あたかも存在の可能性があるように偽って、大衆をあおり、騙し、そそのかしている、などと書いてはいけないのだ(それって、やっぱ詐欺じゃね?)。

科学としては、いないことを証明するというのはほぼ不可能だから、ポジションとしては、いる方に立った方が有利ということもある。

下世話な話としても、飯の種にはなるしな。

しかし、大衆の一人としては、うまい話には騙されないぞという気概(?)を持ちたい。

系外惑星の話を聞き飽きたという反応の先には、もうたくさんだ、世迷言はやめてくれというのと、早く見つけて欲しいというポジティブな方向とがあるだろう。

マーケティングとしては、是非ともポジティブな方に持っていきたいところだ。

しかし、実際の話として、新たなネタを出すことは難しい。

観測技術の進歩は留まるところを知らないが、系外惑星の生命を確認することは当分無理だろう。

太陽系内での生命は、直接観測できるだろうから、そっちの方で頑張るしかない。

何か出れば、系外惑星の方にも、おこぼれがあるだろう(逆に、削られたりして!)。

エウロパ探査は、その意味では手近でいいかもしれないな。

ネタが尽きないように、せっせと探査機を飛ばし続けなければならない。

もう一つのアプローチとして、さっさと生命の発生機序を解明してしまうというのもある。

何億年もかけて、化学進化をシミュレートするのが無理なら、コンピューターの中で進化を加速させて、生命誕生の仕組みを解明するということも考えていい。

そのプロセスを明らかにできれば、そこには、地球外生命誕生の可能性が開ける。

つーか、ハビタブルゾーンの精密な定義が可能になる。

現在のように、もし水があるとしたら、液体状態を保っていられる程度の、ザルな定義では、どうしようもないだろう?。

それも明らかにできない段階で、ハビタブルゾーンなどとは烏滸がましい。

誕生しなければ、棲息可能域とか言っても始まらない。

主星を含めて、惑星環境を時間的にも精密に解明することも必要になる。

現在、この主星に対してこの惑星だったら、こういう環境変化を辿ってきたはずだという、明確な因果関係を示す必要がある。

でないと、せっかく発生した生命が、途中で絶滅しているかも知れないしな。

同じ星系なら、隕石とかに乗って、惑星間での移動くらいは可能かもしれないから、星系全体のライフサイクルを解明する必要もある。

そうやって、真の意味でのハビタブルゾーンの定義を磨いていかなければならない。

しかし、それは、諸刃の剣になりかねない。

詰まるところ、そういったキビシー条件を満足するのが、結局地球しかなかったという、最悪の結論に至ったりしたら、目も当てられないだろう(業界の敵!?)。

まあいい。

浮沈子は、人類が地球外生命の問題に決着をつけることはできないと考えている。

文明の時間的な限界、人類としての存続は、限られた時間の中の一瞬にも近い間だけだと思っている。

地球外生命を確認することも出来ず、また、逆に、その不在を証明することも出来ない。

そんな状態のままで、この文明は滅びる。

しかしなあ、最近は、多元宇宙論とかあるしなあ。

(多元宇宙論)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E5%85%83%E5%AE%87%E5%AE%99%E8%AB%96

「複数の宇宙の存在を仮定した理論物理学による論説である。物理的に観測不可能な様々な事象を数学や物理学を元に理論を構築し、既知の観測や観察とともに予想された物理理論の一つである。」

物理的に観測不可能な領域にいる地球外生命とかの話になったら、太刀打ちできないからな。

究極の与太話だな・・・。

そう考えると、ある真理に到達する。

そう、地球外生命というのは、結局、我々の頭の中に存在するということのようだ。

神様と同じで、信じる者の心に宿る。

神が永遠の存在であるのと同じで、地球外生命も永遠といえよう。

まあ、今日は、比較的穏当な結論に到達したので、この辺りにしよう。

しかし、いるいる詐欺とは、うまいことを言うもんだな・・・。

いやーな予感2017年02月26日 05:01

いやーな予感
いやーな予感


1番:石橋を叩いて渡る。

2番:石橋を叩いて壊す。

3番:石橋を叩くだけ。

ああ、浮沈子は、たぶん3番だな。

慎重というのではなく、単なる臆病だ。

2番は、ジョークとして、よく出る(そおかあ?)。

まあいい。

トランプ政権が、NASAのSLSミッションに手を突っ込んで、2019年に有人月周回飛行を実現させようとしている。

(トランプ政権、19年にも有人で月往復 前倒し検討指示)
http://www.asahi.com/articles/ASK2T2526K2TUHBI004.html

「021年以降に計画していた月軌道への有人打ち上げの前倒しを検討するよう、指示したことがわかった。」

「早ければ19年にも、宇宙飛行士2人を乗せて月を往復する可能性があるという。」

この件には、前にも少し触れた。

(前倒し繋がり)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/02/16/8363704

「当初、無人で月を周回させようとしていたミッションをリスケして、初めから有人で飛ばすことを検討しているんだそうだ。」

ちょっと調べたんだが、いろいろある問題の中で、打ち上げロケット(SLS)の2段目に使うICPS(Interim Cryogenic Propulsion Stage)というのがネックということが分かった(そうなのかあ?)。

(SLS upper stage caught in political tug-of-war)
http://spacenews.com/sls-upper-stage-caught-in-political-tug-of-war/

そもそも、NASA的には、Exploration Upper Stage(EUS)という、ちゃんとした(!)2段目を作って飛ばしたいわけだな。

しかし、有人月周回飛行(Exploration Mission 2:EM-2)の期日を守るためには、ICPSを使うしかない。

先々を考えれば、EUSを開発したいが、当面はICPSで行こうとしていたわけだ。

問題は、ICPSは、長期間の宇宙滞在を前提としていないため、デブリや微少隕石の防御という対策が施されていない点にある。

おっと、またしても、デブリ対策ということだな。

議会は、NASAに対して、本丸のEUS(こっちは、デブリ対策済み)を早く作れと言っているわけだ。

こういう背景を飲み込んで、トランプ政権の我儘をどうこなすかということになる。

ということで、まずは、この記事を読む。

(NASA to study launching astronauts on first SLS mission)
http://spacenews.com/nasa-to-study-launching-astronauts-on-first-sls-mission/

「議会はNASAにEUSの作業を加速し、EM-2の準備が整うように資金を追加配分した。NASAは1月、EUSが暫定設計審査に合格し、2021年のEM-2ミッションの打ち上げ軌道を維持すると発表した。」(自動翻訳のまま)

しかし、これ以上、期間を短縮するわけにはいかないだろう。

(NASA study to examine crewed SLS/Orion mission in 2019)
http://spacenews.com/nasa-study-to-examine-crewed-slsorion-mission-in-2019/

「“We kind of ruled out trying to accelerate EM-2 and focused our attention on the potential to adding crew to EM-1,” said Bill Hill, deputy associate administrator for exploration systems development.」

「That, he said, was because of modifications to ground systems needed to accommodate the larger Exploration Upper Stage (EUS) that will be used on SLS missions starting with EM-2.」

地上システムの改造が追い付かないために、EUSを使用するEM-2計画の前倒しが出来ず、したがって、(ICPSを使用する)EM-1(Exploration Mission 1)のポテンシャルを上げて有人飛行を行おうということだ。

これは、ある意味では、従来のNASAの方針に戻ることになる。

それが、EM-2から、EM-1になっただけだ。

「That mission can be flown with the less powerful Interim Cryogenic Propulsion Stage (ICPS) upper stage that will be used on EM-1, rather than the EUS planned for EM-2 and later missions.」

だが、ICPSには、先にも触れたように、デブリ対策がない。

1年前に凍結された検討が、再び始まる。

しかも、時期はEM-2からEM-1に早まることになる(多少は遅れるでしょうが)。

「“If we can fly the EM-2 profile mission on EM-1,” said Hill, “that opens up EM-2 to do more.”」

探査システム開発担当の副所長のビル・ヒルが語ったそうだが、それがNASAの本音なんだろう。

蟒蛇のように、金とチャンスをいくらでも飲み込む、NASAという巨大システムの本性見たりだな。

まあ、どうでもいいんですが。

さて、この検討が終わって、それからリスク評価が行われる。

その結果がどう出るかは分からないが、浮沈子は、いやーな予感がしている。

NASAは、独立したリスクマネージメントのための組織を持っている。

(ABOUT ASAP)
https://oiir.hq.nasa.gov/asap/

「航空宇宙安全諮問委員会(ASAP)は、1968年に設立されて以来、NASAの安全性能を評価し、その性能を改善する方法について機関に助言してきました。」

この組織が有効に機能しなかったことは、チャレンジャー号、コロンビア号の事故で証明されている。

(チャレンジャー号爆発事故:NASAの対応)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E5%8F%B7%E7%88%86%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85#NASA.E3.81.AE.E5.AF.BE.E5.BF.9C

「1967年に起きたアポロ1号火災事故の際はNASAの内部調査で済まされた」

「NASAはまた「安全性、信頼性及び品質保証室」を新たに設置した。」

にもかかわらず、コロンビア号の事故は起こった。

「チャレンジャー号の事故の後、NASAでは幾つか顕著な改革がなされたが、多くの評論家はNASAの管理構造と組織文化における変化は深いものでも長続きするものでもないと評した。」

「コロンビア号事故調査委員会 (en:Columbia Accident Investigation Board, CAIB) はNASAはチャレンジャー号の教訓からほとんど何も学ばなかったと断定した。」

「なかんづく、NASAは安全管理のための真に独立した部門を設立していなかった。」

そう、「安全性、信頼性及び品質保証室」は、お飾りに過ぎなかった。

ASAPの続きには、こうある。

「コロンビアシャトルの事故の後、議会は、ASAPがNASA管理者と議会に年次報告書を提出することを要求した。」

本質は、何も変わっていないのだ。

(コロンビア号空中分解事故:コロンビア号事故調査委員会)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%93%E3%82%A2%E5%8F%B7%E7%A9%BA%E4%B8%AD%E5%88%86%E8%A7%A3%E4%BA%8B%E6%95%85#.E3.82.B3.E3.83.AD.E3.83.B3.E3.83.93.E3.82.A2.E5.8F.B7.E4.BA.8B.E6.95.85.E8.AA.BF.E6.9F.BB.E5.A7.94.E5.93.A1.E4.BC.9A

「報告書は、そもそも問題の根底にあるNASAの精神風土についても深く追及し、その意志決定過程や危険に対する認識の甘さなどを厳しく非難した。NASAは組織とプロセスとに重大な欠陥があり、誰が責任者かに関わらず、安全面における妥協を招いていた。」

「CAIBは、NASAが過去何度かの飛行において、計画を完了させるために安全基準を逸脱するような行為をしていたことを発見した。」

莫大な国家予算を投じる宇宙開発は、しばしば政治の道具として使われる。

それ自体は、やむを得ないことだし、軍事技術の延長として成長してきたことを考えれば、仕方ないと諦めるしかない。

有人宇宙開発は、現在でも冒険の域を出ない。

奇跡の生還を果たしたアポロ13号がしばしば引き合いに出されるのは、それが如何に稀有なことだったかということの裏返しに過ぎない。

もちろん、NASAだけがそういう体質を内包しているわけではない。

ソ連時代からのロシアの宇宙開発なんて、目を覆うばかりだ。

都合の悪いことは発表されないしな。

今でも同じかどうかは知らない。

余計ひどいかもしれない。

浮沈子が懸念するのは、せっかく議会が関与して、安全性が高いEUSの開発を後押ししたのに、現政権がそれをひっくりかえしてICPSの改良で推し進めようとしている点だ。

航空宇宙安全諮問委員会(ASAP)が機能しなかったことは、歴史が証明している。

NASAの幹部から見れば、計画の足を引っ張る煙たい存在に違いない。

予算を余分に掛けろとか、計画を延期しろとか、安全管理のための人員を増やせとか、ネガティブな話しかしないだろうしな。

先日、機長の危機管理を読んで、定期運航する旅客機の場合は、一刻も早くAI化する方がいいと感じた。

宇宙ロケットの場合はどうなんだろうか?。

一番いいのは、人間が宇宙なんかに行かないで、ロボットに全てお任せするということだな。

もし、それが困難だということなら、せめて安全管理に注力することだ。

国家的英雄のバッジは、安価な対策かも知れないが、現代においては、それでは済むまい?。

技術的な課題は、人が搭乗する予定の宇宙船オリオンにもあるだろう。

十分な軌道試験も行わずに、いきなり本番投入になるかもしれない。

デルタ4で上げて、何度かテストを繰り返すべきだろうな。

その辺りは、これからの検討になるだろう。

いやあ、やっぱ、いやーな予感は消えないな・・・。

(Getting to Know You, Rocket Edition: Interim Cryogenic Propulsion Stage:追加)
https://www.nasa.gov/sls/interim_cryogenic_propulsion_stage_141030.html

繰り返される事故2017年02月26日 07:51

繰り返される事故
繰り返される事故


NASAの死亡事故を調べていて、あることに気づく。

・1958年7月:NASAの設立(追加)
↓(9年後)
・1967年2月:アポロ1号
↓(19年後)
・1086年1月:チャレンジャー号
↓(17年後)
・2003年1月:コロンビア号
↓(18年後?)
・2021年1月?:EM-2?

いやいや、そんなことはない(たぶん)。

しかし、ほぼ20年毎に大規模な事故が起こっているというのは、ちょっとビビる話だ。

これって、単なる偶然なのか、それとも、何か理由があるんだろうか。

(20年毎の韓国旅客船事故,繰り返される過積載)
http://fukunan-blog.cocolog-nifty.com/fukunanblog/2014/04/20-53e7.html

「・南営(ナムヨン)号沈没事故(1970年12月15日),発生場所:対馬の西100km付近の海上,6人救助(日本の漁船による),死者326人
・西海(ソヘ)フェリー沈没事故(1993年10月10日),発生場所:韓国全羅北道扶安郡蝟島沖の黄海,死者行方不明者292人」

「過積載が一因の旅客船沈没事故が,ほぼ20年おきに発生している。だが,周期性があるように見えるのは単なる偶然」

「韓国の旅客船業界では過積載があたりまえ,ケンチャナヨ状態なのではなかろうか。」

はて、ケンチャナヨとは?。

(ケンチャナヨ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%8A%E3%83%A8

「最近では、「直ちに問題は無い」の表現が「ケンチャナヨ」と韓訳されている。」

ははあ、そういえば、NASAでも、基準違反がまかり通っていたと書いてあったなあ。

事故が起きて、せっかくルールを改定したり、それを徹底させるための組織を作っても、やがて風化し、元の木阿弥となり、カオスと化し、再び事故の温床になる。

好事魔多し。

事故につながる原因は、そこいらじゅうにあって、確率的に必ず事故は起こる。

記事にもある、ハインリッヒの法則だ。

(ハインリッヒの法則)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%92%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87

「労働災害における経験則の一つである。1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというもの。」

人間が関与する限り、その特性に応じて事故が起こる。

だから、機械的な事故を如何に極小化しても、その構造は変わらない。

機械が所管する部分が肥大するだけで、その機械を管理する人間側がミスを犯すからだ。

人間側の管理が高度化しても、その範疇での事故の構造は変わらない。

しかも、一人の人間が所管する範囲は膨大になっていくので、いったん事故が発生した場合の被害は拡大する一方だ。

人間の関与を徹底的に排除するか、人間自体を改造するか。

時間の与える影響も考慮する必要があるな。

組織の中では、一次的な経験が維持される時間というものがある。

その人間が職場を去ってしまったら、一次的経験値は失われる。

教育やルールの徹底などでは、決して維持することができない、決定的な何かが失われる。

肝を冷やし、膝がガクガク震え、目の前が真っ暗になるような経験をしなければ、二度と起こすまいという鉄の決意は生まれないのだ。

「20年毎 事故」で検索したら、以下の記事が引っかかった。

(技術者倫理とリスクマネジメント -事故はどうして防げなかったのか?-:この書籍内での20年毎 事故の検索結果)
https://books.google.co.jp/books?id=M1p3fGsAU8AC&pg=PA132&lpg=PA132&dq=%EF%BC%92%EF%BC%90%E5%B9%B4%E6%AF%8E+%E4%BA%8B%E6%95%85&source=bl&ots=CrCV_zocfo&sig=id0AGORN31dYxG0nW8gHRXXzQRc&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjE0fGmlqzSAhVIVbwKHTAaA-IQ6AEILTAD#v=onepage&q=%EF%BC%92%EF%BC%90%E5%B9%B4%E6%AF%8E%20%E4%BA%8B%E6%95%85&f=false

「(3)教訓
設計当時の事情や背景を知らないものにとって、旧設備には不合理に思えることがあるが、そこには先人の知恵があると思って、その理由を考えることが必要である。」

「技術は過去の失敗の上に今日がある。先人が創り上げてきたものを見直す時には、謙虚に取り組むことが必要である。」

「伊勢神宮の式年遷宮は、20年毎に内宮、外宮の社殿を交互に建造し、本宮を交換する行事である。」

「かかる費用は数百億円という膨大なものになるが、それでも1300年間続けられてきた。」

「その理由の一つに建築技術の伝承があるといわれる。」

「人間の世代交代を20年周期と考えて、次の代に技術を受け継ぐことが出来るという判断である。」

まあ、いろいろ突っ込みは可能だが、心情的には、極めて腑に落ちる話だ。

(神宮式年遷宮:意義)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E5%AE%AE%E5%BC%8F%E5%B9%B4%E9%81%B7%E5%AE%AE#.E6.84.8F.E7.BE.A9

「当時の国力・技術をもってすれば、神宮も現在にも残る建物にすることは可能であったと思われる。それをあえて、定期的に膨大な国費を投じることとなる式年遷宮を行う途を選んだ理由は、神宮にも記録がないため不明である。」

「式年遷宮が20年ごとに行われる理由についても、同じく確たる記録はないため不明である。」

技術の伝承というのは、後からつけた理屈のようだな。

しかし、浮沈子は、その前に書かれていたことを読んで、ハッとした。

「式年遷宮を行うのは、萱葺屋根の掘立柱建物で正殿等が造られているためである。塗装していない白木を地面に突き刺した掘立柱は、風雨に晒されると礎石の上にある柱と比べて老朽化し易く、耐用年数が短い。そのため、一定期間後に従前の殿舎と寸分違わぬ弥生建築の殿舎が築かれる。」

これって、生物が子孫を残すやり方を真似したのではないか。

自らが敢えて朽ちることによって、模倣子を遺す。

宮大工という外部環境を取り込んで、形態を維持する。

「遷宮においては、1万本以上のヒノキ材が用いられる。その用材を伐りだす山は、御杣山(みそまやま)と呼ばれる。」

さらには、用材の確保のために、膨大な敷地を求める。

「2013年(平成25年)の遷宮では、ヒノキ不足から遷宮史上初めて、青森産のあすなろが用いられた。」

ああ、既に遺伝子的にも汚染されつつあるわけだな。

まあ、どうでもいいんですが。

もちろん、20年毎に大事故が起こるというのは、ただの偶然に過ぎないのかもしれない。

その表層的な原因は、必ずしも同じではないし、記録として書き留められた情報は、様々な規格や仕様として残されていく。

ある技術領域においては、革新的な技術が登場して、従来の技術の伝承を断ち切ることもある。

そのイノベーションのサイクルも、考慮に入れなければならないだろう。

NASAの事例でたびたび指摘されるように、組織の体質ということもある。

軍隊から分離し、しかし、緊密な関係を維持し、政治的な影響を受けやすい立場は、創設以来、全く変わっていない。

技術的には進歩があるんだろうが、それを運用するのはあくまでも人間だ。

定期的な運用ではない宇宙開発などの場合は、その特徴が顕著に現れる。

それに、SLSは、中身を見れば、1970年代に開発されたスペースシャトルそのものだ。

半世紀前の技術を引きずっている。

オービターのエンジンを4つにして、外部燃料タンクの真下に付けただけ。

固体燃料ブースターは、長さを増やしただけ(将来は、液体燃料にするらしいですが)。

浮沈子が問題視しているICPSは、使い捨てデルタロケットの上段を改造している。

(Delta Cryogenic Second Stage:ICPS)
https://en.wikipedia.org/wiki/Delta_Cryogenic_Second_Stage#ICPS

「The Interim Cryogenic Propulsion Stage (ICPS), a modified DCSS, will be used as a second stage on the debut flight of NASA's Space Launch System, Exploration Mission 1 (EM-1), scheduled for December 2017.」

枯れた技術を使うことは、必ずしも悪いことではない。

ダメ出しは行われているし、構造的な問題点については、改造の際に徹底的に対策されるだろう。

それでも、インテグレーションして運用してみなければ、分からないことはある。

電柱ロケットの失敗が、いい例かもしれない。

どんなロケットの打ち上げ履歴を見ても、初期の失敗は避けられないことが分かる。

要素技術を如何に磨いても、それだけでは済まない部分は残る。

そして、やっと落ち着いたころには、そう、新規開発の波がやってきて、今までの経験値がチャラになるのだ。

そうして、新たな課題が次々と発見され、モグラ叩きで潰しにかかるというサイクルが繰り返される。

事故には、そういったハード側のイノベーションも絡む。

NASAは、政治とうまく付き合ってきた。

それを牽引力として、利用もしてきた。

良し悪しの問題ではなく、その成立からして、政治なしには考えられない存在だ。

技術的な基盤を民間企業に置いているが、ミッションを統合して推進する力は持っている。

金は、税金から出ているわけだしな。

そのコントロールを離れてしまっては、生き残ることさえできない。

だから、多少無理があっても、計画を実行するという点においては、軍隊に近い。

そのための、十分なバックアップが必要だ。

財政的にも、政治的にも、技術的にも、人的にも。

トランプ政権が、どーしても花火が見たいというなら、打ち上げてもいい。

それが、米国の選択だし。

誰も、20年目の悲劇を見たいとは思わないだろう。

人類が(まあ、米国人だけですが)、本当に宇宙進出に相応しい存在かが問われる。

パンツを履いたサルに過ぎないのか、太陽系の真の航海者になるのか。

ケンチャナヨ精神(英語で、何て言うんだあ?)がまかり通っては、パンツも履けないかもな・・・。