もう一つの懸念 ― 2017年02月27日 05:21
もう一つの懸念
調べていて、やっぱ固体燃料ロケットはスゲーやと感心した。
(スペースシャトル固体燃料補助ロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%88%E3%83%AB%E5%9B%BA%E4%BD%93%E7%87%83%E6%96%99%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88
本家イプシロンだな。
「SRBは固体燃料ロケットとしては史上最大」
「サターンVの第一段(F-1エンジン5機)の40%の推力」
「使用済みの機体はパラシュートで海に着水したあと回収され、点検し燃料を再充填して再使用される。」
膨大な記述と、チャレンジャー事故については、後述する。
このロケットは、4段の燃料ユニットをつなぎ合わせている。
ウィキでは良く分からないんだが、画像の資料によれば以下の構成になっている。
・ノーズキャップ
・・パイロットアンドドラッグシュート
・フラスタム
・・メインパラシュート(3つ)
・フォワードスカート
・・リカバリービーコン
・・アンテナ
・・カメラポッド
・・アビオニクス
・フォワードセグメント(燃料ユニット)
・フォワードミッドセグメント(燃料ユニット)
・アフトミッドセグメント(燃料ユニット)
・アフトセグメントウィズノズル(燃料ユニット)
・・アビオニクス
・・アタッチリング
・・アフトアタッチストラット(3つ)
・・ケース補強リング(3つ)
・・キックリング
・・ジンバルアクチュエイター(2つ)
・・ノズルエクステンション
・アフトスカート
・・アフトセパレーションモーターモジュール。
・・スラストベクトルコントロールシステム(2つ)
・・ブースターホールドダウンポスト
ワケワカだが、いろいろ仕掛けが付いている。
これって、回収されて何度も再使用されている。
垂直着陸じゃなくって、海の中に、パラシュートでドボンだけど。
半世紀も前に、再使用ロケットは稼働していた。
この燃料ユニットを4つから5つに増やして、SLSの両側に付けて飛ばそうとしている(EM-1)。
1段目ロケットとしては、アレス1ーXとして、2009年10月28日に打ち上げられている。
(アレスI)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%B9I
「コンステレーション計画で使用される予定だった2段式の有人使い捨て型ロケットである。」
使い捨てと書いてあるが、正確には、1段目のエンジンは回収されている。
「SRBの先端部を上段の液体燃料ロケットと接続するための新しい前方アダプターと置き換える」
「このアダプターには、1段目を分離し回収することを補助するための、固体燃料分離モーターが装備される。」
すでに、アレス1は、バラクオバマによってドブに捨てられ、二度と上がることはない。
EM-1では、この1段目を、4段から5段に延長して、再び燃料タンクの両脇に括り付け、改造した燃料タンクの底にシャトルのメインエンジン4つ(シャトルでは3つ)をくっ付けて、(今のところ)デブリ対策を持たないICPSを乗っけて、(今のところ)生命維持装置など、人間を生かしておくための仕掛けを持たないオリオン宇宙船を飛ばそうとしている。
さらに、あろうことか、統合されたロケット全体の試射もなしに、いきなり人間を乗せて、地球周回軌道ではなく、救援手段の届かない月の向こうを回って帰って来るというのだ。
まあ、それが、どれだけ無謀かという話は、今後、徐々に解明されていくだろう。
浮沈子は、まだ、ICPSがデブリ対策のない、素っ裸のロケットであり、月周回を伴う長期間のミッションには耐えられそうもないという話しか認識していない。
もちろん、オリオン宇宙船の有人化プロセスが未了であることは当然だ。
スケジュールとしては、2021年が予定されていたわけで、2019年という新たなスケジュールがこなせるかどうかということもある。
まあ、その辺は、既知のリスクだな。
今回注目したのは、結局4段のままで打ち上げテストは行ったものの、再びこの、ものすごい固体燃料ロケットをブースターとして使おうとしていることだ。
ウィキには、ちょっと気になる記述が含まれている。
「しかしアレスIの支持者達は、現在のスペースシャトル作業チームを引き続き雇用し、より大型のアレスVの重要な要素(5セグメントSRBやJ-2Xエンジンのような)を開発するためには、アレスIのような機体が不可欠だと主張した。」
うーん、余りロジカルじゃないような気がするんだがな。
結局、アレス1は没になり、SLSが開発されている。
(Space Launch System (SLS) Overview)
https://www.nasa.gov/exploration/systems/sls/overview.html
ブロック1では、引き続きSRBが使われることになっている(5セグメント)。
結果的にも、アレス1は、不可欠じゃなかったわけだ。
浮沈子は、SLS計画自体が、目標を見失っているような気がする。
アポロの後、スペースシャトルで宇宙への扉を開こうとした。
それは、有人宇宙探査が地球低軌道に留まるという、妥当な選択だった。
月の開発は、コスト的にも引き合わないしな。
コロンビア号の事故を挟んで、足掛け14年の歳月をかけて建造されたISSは、実現可能な人類の宇宙における到達点だろう。
その先は、奈落の底、漆黒の闇。
足を踏み入れたが最後、戻ってくることが出来るという保証はない。
SLSの打ち上げは、年1回。
有人と無人を交互に打ち上げる。
暫くは、月を回ったり、地球ー月系のL2に行ったりする。
以下は、日本語のウィキにあった参考予定を元にした。
・SLS-1/EM-1:2017年12月(2018年11月に変更:見直し検討中):ブロックI:月周辺を航行する、無人のオリオン/MPCVの打ち上げを実施(見直し検討中)
・SLS-2/EM-2:2019年8月(2021年8月に変更)ブロックI(ブロック1Bに変更):4名の乗員を乗せたオリオンMPCVを月周回軌道へ打ち上げる。
・SLS-3:2022年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):(EMFM:エウロパへの飛行)
・SLS-4:2023年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更)
・SLS-5 2024年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):SLS貨物機の最初の打ち上げ。これはRS-25Eエンジンを使用して初飛行する(それ以前は、RS-25Dの在庫)。
・SLS-6:2025年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):有人探査計画。
・SLS-7:2026年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):貨物機打ち上げ。(ARCM:小惑星リダイレクトクルーミッションに変更?)
・SLS-8:2027年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):有人機打ち上げ。
・SLS-9:2028年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):貨物機打ち上げ。
・SLS-10:2029年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):有人機打ち上げ。
・SLS-11:2030年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):新規形態の貨物機を打ち上げる。
・SLS-12:2031年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):有人機打ち上げ。
・SLS-13 2032年8月(時期未定):ブロックII
まあ、今後も変更の嵐だろうな。
つまり、アポロ計画が、月へ行くという明確な目標に特化し、そのための手段としてサターン5型ロケットを開発したのと対照的に、SLSは、ロケットの開発が先行し、目標を見失っているのだ。
月へ行ったり、小惑星へ行ったり、エウロパ行ったりする(小惑星とエウロパは、無人)。
ちなみに、小惑星へ行くのは、無人宇宙船で、引っ張ってきた小惑星(の一部?)を、月の裏側のL2に置いて、有人宇宙船が行って調べるという筋書き。
最有力候補とされる(341843)2008 EV 5は、小惑星といっても、近日点が地球より太陽に近いアテン群であり、そこへ行って、小石(直径4m位)拾ってくるだけ。
当初は、小惑星を丸ごと引っ張って来るという衝撃的な内容だったが、手頃なやつを見つけるのも大変なので、小石を拾うことにしたらしい。
最終的には火星に行くためと言っているが、それは与太話の域を出ない。
越えるべき課題はあまりに多く、実現可能性は未知だ。
つまり、おとぎ話に過ぎない。
地球低軌道は民間に任せて、その先ならどこでもいいからロケットだけ作っていけばいいじゃん、というノリなわけだな。
こういう杜撰でいい加減な動機のもとで、まともなロケットが出来るとは思われない。
しかも、半世紀前に開発されたスペースシャトルの遺産を、ほぼそのまま使おうとしている。
真っ新の新規開発は、オリオン宇宙船と、有人用を初めから想定しているEUSだけ。
さらに言えば、このEUSに4基使われるRL-10エンジンは、1963年初飛行の枯れたエンジン。
改良が繰り返され、性能も上がっているとはいえ、いってみれば使い古された技術だ(そうなのかあ?)。
つまり、様々な既存の技術を使って、新規開発のリスクとコストを最小化して、所期の結果を得たいということなわけだ。
そのこと自体は悪いことばかりではない。
既存の技術を持つメーカーを引き留めておけるしな。
ボーイング、ロッキードマーチン、サイオコール(ATK)、エトセエトセ。
うーん、NASAとロケットメーカーは、軍産複合体のようなもんだからな。
つーか、NASA自体が、軍隊から兵器だけ抜いたヘンタイ組織だ。
飛び道具はいっぱい持ってるけどな(アハハ・・・)。
まあ、どうでもいいんですが。
SLSと、それを取り巻く状況の中で、SRBの立ち位置と、情況を見ると、必ずしも安心して見ているわけにはいかない。
アレス1では、再利用される予定だったけど、SLSでは使い捨てになっている。
(スペース・ローンチ・システム:ブースター)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0#.E3.83.96.E3.83.BC.E3.82.B9.E3.82.BF.E3.83.BC
「これらのブースターは回収されるものではなく、飛行軌道に沿って大西洋に沈むものとされている」
いろいろ資料を見ていると、スペースシャトルの遺産を活用するという既定方針の下で、全てが進んでいる。
どーしても、新しくしなければならないところでも、なるべく関連メーカーの既製品を活用する方向になっている。
在庫整理も含めて、既存のメーカーを干上がらせるわけにはいかない。
これって、やっぱ金がないってことなんだろうか?。
ないんだろうな。
もう、無理して有人探査やらなくても、誰からも文句言われないしな。
マイペースで、年に1回飛ばしていればいい。
大統領選挙に合わせて、それらしい花火を上げられればそれでいいのだ。
ウィキの英語版では、5段のSRBは、少なくとも2020年代を通して使用される見込みとなっている。
「・・・it was reported that SLS is expected to fly with the five-segment SRB until at least the late 2020s,・・・」
チャレンジャー号の事故(1986年)以降、SRB自体は致命的な事故なく、推移してきたが、5段となり、回収機構がなくなって以降、再び外部燃料タンクに取り付けられてテストされたわけではない(単体テストのみ)。
こいつを付けたブロック1を、いきなり有人で月まで飛ばそうとしている。
心配にならない方がおかしいだろう。
浮沈子は、我が国のH2A6号機の、固体燃料ロケット切り離し失敗を思い出している。
(H-IIAロケット6号機:失敗の原因)
https://ja.wikipedia.org/wiki/H-IIA%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%886%E5%8F%B7%E6%A9%9F#.E5.A4.B1.E6.95.97.E3.81.AE.E5.8E.9F.E5.9B.A0
「SRB-Aのノズルが燃焼ガスにより何らかの原因で侵食されて穴が開き、高温ガスが周囲に漏れて爆発ボルトの導爆線を溶断させ、ロケットの分離ができなかったものと推定される。」
「SRB-Aのノズルの穴あきは開発中にも発生したため、ノズルの厚さを増やすなどの対策をとっていたが、予想を超えた侵食現象が発生したものと思われる。」
「原因究明のため、各種再試験のほかH-IIロケット8号機の時と同様、海洋科学技術センター (JAMSTEC) の協力で深海探査が可能な水中ロボットによる探索を行ったがブースターの部品は発見できなかった。」
失敗の原因究明は、推定(水底?)に留まったが、回収されていれば、確実に判明したと思われる。
まあ、その後は安定して切り離されているようだしな。
SRB(SLS)が、回収を断念した背景は分からないが、何かトラブルがあった場合の原因究明が難しくなることは確かだ。
従来、再使用されていたものが、理由も明らかにされずに使い捨てになるのは解せない。
コアステージのメインエンジンは、しょうがないかもしれないけどな。
今度は、羽根生えてないしな。
まあいい。
アレス1ーXの時も、下の方(アフトセグメント)がベコンと凹んでたしな(3つあるパラシュートが2つしか開かなかった)。
しかも、あの時は4段だった。
調べれば調べるほど、気になる話が出てくる。
当事者は、もちろん、そんなことは分かっている。
受け入れ可能なリスクと判断しているんだろう。
宇宙開発は、まだまだ博打(冒険?)なのだ。
兵器を持たない軍隊であるNASAは、人的損耗は想定の範囲内だ。
20年目の事故は、起こらない方が不思議だろう。
2003年の事故から既に14年目。
カウントダウンは、始まっているのかもしれない・・・。
調べていて、やっぱ固体燃料ロケットはスゲーやと感心した。
(スペースシャトル固体燃料補助ロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%88%E3%83%AB%E5%9B%BA%E4%BD%93%E7%87%83%E6%96%99%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88
本家イプシロンだな。
「SRBは固体燃料ロケットとしては史上最大」
「サターンVの第一段(F-1エンジン5機)の40%の推力」
「使用済みの機体はパラシュートで海に着水したあと回収され、点検し燃料を再充填して再使用される。」
膨大な記述と、チャレンジャー事故については、後述する。
このロケットは、4段の燃料ユニットをつなぎ合わせている。
ウィキでは良く分からないんだが、画像の資料によれば以下の構成になっている。
・ノーズキャップ
・・パイロットアンドドラッグシュート
・フラスタム
・・メインパラシュート(3つ)
・フォワードスカート
・・リカバリービーコン
・・アンテナ
・・カメラポッド
・・アビオニクス
・フォワードセグメント(燃料ユニット)
・フォワードミッドセグメント(燃料ユニット)
・アフトミッドセグメント(燃料ユニット)
・アフトセグメントウィズノズル(燃料ユニット)
・・アビオニクス
・・アタッチリング
・・アフトアタッチストラット(3つ)
・・ケース補強リング(3つ)
・・キックリング
・・ジンバルアクチュエイター(2つ)
・・ノズルエクステンション
・アフトスカート
・・アフトセパレーションモーターモジュール。
・・スラストベクトルコントロールシステム(2つ)
・・ブースターホールドダウンポスト
ワケワカだが、いろいろ仕掛けが付いている。
これって、回収されて何度も再使用されている。
垂直着陸じゃなくって、海の中に、パラシュートでドボンだけど。
半世紀も前に、再使用ロケットは稼働していた。
この燃料ユニットを4つから5つに増やして、SLSの両側に付けて飛ばそうとしている(EM-1)。
1段目ロケットとしては、アレス1ーXとして、2009年10月28日に打ち上げられている。
(アレスI)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%82%B9I
「コンステレーション計画で使用される予定だった2段式の有人使い捨て型ロケットである。」
使い捨てと書いてあるが、正確には、1段目のエンジンは回収されている。
「SRBの先端部を上段の液体燃料ロケットと接続するための新しい前方アダプターと置き換える」
「このアダプターには、1段目を分離し回収することを補助するための、固体燃料分離モーターが装備される。」
すでに、アレス1は、バラクオバマによってドブに捨てられ、二度と上がることはない。
EM-1では、この1段目を、4段から5段に延長して、再び燃料タンクの両脇に括り付け、改造した燃料タンクの底にシャトルのメインエンジン4つ(シャトルでは3つ)をくっ付けて、(今のところ)デブリ対策を持たないICPSを乗っけて、(今のところ)生命維持装置など、人間を生かしておくための仕掛けを持たないオリオン宇宙船を飛ばそうとしている。
さらに、あろうことか、統合されたロケット全体の試射もなしに、いきなり人間を乗せて、地球周回軌道ではなく、救援手段の届かない月の向こうを回って帰って来るというのだ。
まあ、それが、どれだけ無謀かという話は、今後、徐々に解明されていくだろう。
浮沈子は、まだ、ICPSがデブリ対策のない、素っ裸のロケットであり、月周回を伴う長期間のミッションには耐えられそうもないという話しか認識していない。
もちろん、オリオン宇宙船の有人化プロセスが未了であることは当然だ。
スケジュールとしては、2021年が予定されていたわけで、2019年という新たなスケジュールがこなせるかどうかということもある。
まあ、その辺は、既知のリスクだな。
今回注目したのは、結局4段のままで打ち上げテストは行ったものの、再びこの、ものすごい固体燃料ロケットをブースターとして使おうとしていることだ。
ウィキには、ちょっと気になる記述が含まれている。
「しかしアレスIの支持者達は、現在のスペースシャトル作業チームを引き続き雇用し、より大型のアレスVの重要な要素(5セグメントSRBやJ-2Xエンジンのような)を開発するためには、アレスIのような機体が不可欠だと主張した。」
うーん、余りロジカルじゃないような気がするんだがな。
結局、アレス1は没になり、SLSが開発されている。
(Space Launch System (SLS) Overview)
https://www.nasa.gov/exploration/systems/sls/overview.html
ブロック1では、引き続きSRBが使われることになっている(5セグメント)。
結果的にも、アレス1は、不可欠じゃなかったわけだ。
浮沈子は、SLS計画自体が、目標を見失っているような気がする。
アポロの後、スペースシャトルで宇宙への扉を開こうとした。
それは、有人宇宙探査が地球低軌道に留まるという、妥当な選択だった。
月の開発は、コスト的にも引き合わないしな。
コロンビア号の事故を挟んで、足掛け14年の歳月をかけて建造されたISSは、実現可能な人類の宇宙における到達点だろう。
その先は、奈落の底、漆黒の闇。
足を踏み入れたが最後、戻ってくることが出来るという保証はない。
SLSの打ち上げは、年1回。
有人と無人を交互に打ち上げる。
暫くは、月を回ったり、地球ー月系のL2に行ったりする。
以下は、日本語のウィキにあった参考予定を元にした。
・SLS-1/EM-1:2017年12月(2018年11月に変更:見直し検討中):ブロックI:月周辺を航行する、無人のオリオン/MPCVの打ち上げを実施(見直し検討中)
・SLS-2/EM-2:2019年8月(2021年8月に変更)ブロックI(ブロック1Bに変更):4名の乗員を乗せたオリオンMPCVを月周回軌道へ打ち上げる。
・SLS-3:2022年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):(EMFM:エウロパへの飛行)
・SLS-4:2023年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更)
・SLS-5 2024年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):SLS貨物機の最初の打ち上げ。これはRS-25Eエンジンを使用して初飛行する(それ以前は、RS-25Dの在庫)。
・SLS-6:2025年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):有人探査計画。
・SLS-7:2026年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):貨物機打ち上げ。(ARCM:小惑星リダイレクトクルーミッションに変更?)
・SLS-8:2027年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):有人機打ち上げ。
・SLS-9:2028年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):貨物機打ち上げ。
・SLS-10:2029年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):有人機打ち上げ。
・SLS-11:2030年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):新規形態の貨物機を打ち上げる。
・SLS-12:2031年8月(時期未定):ブロックIA(ブロック1Bに変更):有人機打ち上げ。
・SLS-13 2032年8月(時期未定):ブロックII
まあ、今後も変更の嵐だろうな。
つまり、アポロ計画が、月へ行くという明確な目標に特化し、そのための手段としてサターン5型ロケットを開発したのと対照的に、SLSは、ロケットの開発が先行し、目標を見失っているのだ。
月へ行ったり、小惑星へ行ったり、エウロパ行ったりする(小惑星とエウロパは、無人)。
ちなみに、小惑星へ行くのは、無人宇宙船で、引っ張ってきた小惑星(の一部?)を、月の裏側のL2に置いて、有人宇宙船が行って調べるという筋書き。
最有力候補とされる(341843)2008 EV 5は、小惑星といっても、近日点が地球より太陽に近いアテン群であり、そこへ行って、小石(直径4m位)拾ってくるだけ。
当初は、小惑星を丸ごと引っ張って来るという衝撃的な内容だったが、手頃なやつを見つけるのも大変なので、小石を拾うことにしたらしい。
最終的には火星に行くためと言っているが、それは与太話の域を出ない。
越えるべき課題はあまりに多く、実現可能性は未知だ。
つまり、おとぎ話に過ぎない。
地球低軌道は民間に任せて、その先ならどこでもいいからロケットだけ作っていけばいいじゃん、というノリなわけだな。
こういう杜撰でいい加減な動機のもとで、まともなロケットが出来るとは思われない。
しかも、半世紀前に開発されたスペースシャトルの遺産を、ほぼそのまま使おうとしている。
真っ新の新規開発は、オリオン宇宙船と、有人用を初めから想定しているEUSだけ。
さらに言えば、このEUSに4基使われるRL-10エンジンは、1963年初飛行の枯れたエンジン。
改良が繰り返され、性能も上がっているとはいえ、いってみれば使い古された技術だ(そうなのかあ?)。
つまり、様々な既存の技術を使って、新規開発のリスクとコストを最小化して、所期の結果を得たいということなわけだ。
そのこと自体は悪いことばかりではない。
既存の技術を持つメーカーを引き留めておけるしな。
ボーイング、ロッキードマーチン、サイオコール(ATK)、エトセエトセ。
うーん、NASAとロケットメーカーは、軍産複合体のようなもんだからな。
つーか、NASA自体が、軍隊から兵器だけ抜いたヘンタイ組織だ。
飛び道具はいっぱい持ってるけどな(アハハ・・・)。
まあ、どうでもいいんですが。
SLSと、それを取り巻く状況の中で、SRBの立ち位置と、情況を見ると、必ずしも安心して見ているわけにはいかない。
アレス1では、再利用される予定だったけど、SLSでは使い捨てになっている。
(スペース・ローンチ・システム:ブースター)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0#.E3.83.96.E3.83.BC.E3.82.B9.E3.82.BF.E3.83.BC
「これらのブースターは回収されるものではなく、飛行軌道に沿って大西洋に沈むものとされている」
いろいろ資料を見ていると、スペースシャトルの遺産を活用するという既定方針の下で、全てが進んでいる。
どーしても、新しくしなければならないところでも、なるべく関連メーカーの既製品を活用する方向になっている。
在庫整理も含めて、既存のメーカーを干上がらせるわけにはいかない。
これって、やっぱ金がないってことなんだろうか?。
ないんだろうな。
もう、無理して有人探査やらなくても、誰からも文句言われないしな。
マイペースで、年に1回飛ばしていればいい。
大統領選挙に合わせて、それらしい花火を上げられればそれでいいのだ。
ウィキの英語版では、5段のSRBは、少なくとも2020年代を通して使用される見込みとなっている。
「・・・it was reported that SLS is expected to fly with the five-segment SRB until at least the late 2020s,・・・」
チャレンジャー号の事故(1986年)以降、SRB自体は致命的な事故なく、推移してきたが、5段となり、回収機構がなくなって以降、再び外部燃料タンクに取り付けられてテストされたわけではない(単体テストのみ)。
こいつを付けたブロック1を、いきなり有人で月まで飛ばそうとしている。
心配にならない方がおかしいだろう。
浮沈子は、我が国のH2A6号機の、固体燃料ロケット切り離し失敗を思い出している。
(H-IIAロケット6号機:失敗の原因)
https://ja.wikipedia.org/wiki/H-IIA%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%886%E5%8F%B7%E6%A9%9F#.E5.A4.B1.E6.95.97.E3.81.AE.E5.8E.9F.E5.9B.A0
「SRB-Aのノズルが燃焼ガスにより何らかの原因で侵食されて穴が開き、高温ガスが周囲に漏れて爆発ボルトの導爆線を溶断させ、ロケットの分離ができなかったものと推定される。」
「SRB-Aのノズルの穴あきは開発中にも発生したため、ノズルの厚さを増やすなどの対策をとっていたが、予想を超えた侵食現象が発生したものと思われる。」
「原因究明のため、各種再試験のほかH-IIロケット8号機の時と同様、海洋科学技術センター (JAMSTEC) の協力で深海探査が可能な水中ロボットによる探索を行ったがブースターの部品は発見できなかった。」
失敗の原因究明は、推定(水底?)に留まったが、回収されていれば、確実に判明したと思われる。
まあ、その後は安定して切り離されているようだしな。
SRB(SLS)が、回収を断念した背景は分からないが、何かトラブルがあった場合の原因究明が難しくなることは確かだ。
従来、再使用されていたものが、理由も明らかにされずに使い捨てになるのは解せない。
コアステージのメインエンジンは、しょうがないかもしれないけどな。
今度は、羽根生えてないしな。
まあいい。
アレス1ーXの時も、下の方(アフトセグメント)がベコンと凹んでたしな(3つあるパラシュートが2つしか開かなかった)。
しかも、あの時は4段だった。
調べれば調べるほど、気になる話が出てくる。
当事者は、もちろん、そんなことは分かっている。
受け入れ可能なリスクと判断しているんだろう。
宇宙開発は、まだまだ博打(冒険?)なのだ。
兵器を持たない軍隊であるNASAは、人的損耗は想定の範囲内だ。
20年目の事故は、起こらない方が不思議だろう。
2003年の事故から既に14年目。
カウントダウンは、始まっているのかもしれない・・・。
本命の懸念 ― 2017年02月27日 10:15
本命の懸念
情報が少ないので、良く分からない。
SLSの初打ち上げに、宇宙飛行士乗せて月の向こう側まで飛ばそうという、むちゃくちゃな話を追いかけている。
その中で、やはり人命を乗せている宇宙船の部分が問題だろう。
何しろ、最新の予定では、2021年ということになっているらしいからな。
それを、2019年に早めようというのだ。
ロッキードマーチンは、F-35をトランプに値切られて、ヒイヒイ言ってるわけだから、少しでも稼げた方がいい。
無理を聞いてやるから、こっちは少し金よこせよ!。
ディール(取引)というやつだな。
魚心あれば水心。
(Orion (spacecraft))
https://en.wikipedia.org/wiki/Orion_(spacecraft)
さすがに、日本語版よりは詳しい。
オリオン宇宙船は、3つの部分から成り立っている。
・乗組員モジュール(CM):再利用可能
・・乗組員の生息地
・・消耗品や研究器具の保管場所
・・ドッキングポート
・・アブレータシステム
・・デジタル制御システム(グラスコックピット)
・・自動ドッキングシステム(アンドロジナス)
・・快適なトイレ(?)
・・船内呼吸ガスシステム(?)
・・アポロよりはマシなコンピューター(?)
・・たまに開かないパラシュート(?)
・Orionサービスモジュール(ESM:European Service Module):使い捨て
・・太陽電池アレイ(4枚羽型)
・・主エンジン(1基)
・・補助スラスター(8基)
・・機動スラスター(12基)
・・燃料タンク
・・・Mixed Oxides of Nitrogen(MON:2個:各2000リットル)
・・・モノメチルヒドラジン(MMH:2個:各2000リットル)
・・水タンク(4つ:合計240リットル)
・・酸素タンク(3つ:合計90kg)
・・窒素タンク(1つ:30kg)
古いデザインの項には、水酸化リチウムカートリッジによる二酸化炭素スクラバーの話が明記されてるんだがな。
ATVベースのモジュールの仕様には、影も形もない。
いい加減なもんだな。
・Launch Abort System(LAS):使わなくても使い捨て
・・主推進力モーター:固体ロケット発射停止モータ(AM)
・・姿勢制御モーター(ACM)
・・投棄モーター:ジェッティソンモーター(JM):これがミソだな。
・・フェアリング
スペースクラフトアダプターを含めるかどうかは別の話だ。
これらのシステムのうち、テストされているのは、緊急脱出システム位だ。
サービスモジュールは、構造テスト用モジュールが搬入されただけ。
推進系のテストは、これから始まる。
(Orion Spacecraft Progress Continues With Installation of Module to Test Propulsion Systems)
https://www.nasa.gov/image-feature/orion-spacecraft-progress-continues-with-installation-of-module-to-test-propulsion
エンジンの台数は、ここから。
(NASA Prepares for Orion European Service Module Propulsion Qualification Testing)
https://www.nasa.gov/centers/wstf/news/2016/orion_propulision_qualification_testing.html
つまり、実機なんて、影も形もないのだ。
もちろん、クルーモジュールはドンガラ。
(Orion Crew Module Underway Recovery Testing)
https://www.nasa.gov/image-feature/orion-crew-module-underway-recovery-testing
曳航してるくらいだからな、中身はからっぽだろう。
おっと、緊急脱出システムも、まだテスト継続中らしいぞ。
(Orion Launch Abort System Motor Gets Fired-up About the Journey to Mars)
https://www.nasa.gov/feature/langley/orion-launch-abort-system-motor-gets-fired-up-about-the-journey-to-mars
これら全てが、完全に終了して、打ち上げ準備が整わない限り、月周回は有り得ない。
「NASA and its partners are expected to perform the last flight test of the launch abort system in 2019 before they begin sending crew to deep space aboard Orion.」
あれえ?、2019年に最終テストってあるなあ。
「The jettison motor will be used during Orion's first integrated mission with SLS, known as Exploration Mission-1 (EM-1) in late 2018.」
つーことは、あれかあ、EM-1に乗せるのは、最終テスト前のやつってことになるわけかあ?。
おいおい・・・。
まあ、この辺も含めてだな、しっかりチェックしてもらいたいもんだな。
しかし、この最終テストって、スゴイな・・・。
「During the final test, an uncrewed Orion capsule will launch from a modified Peacekeeper missile and demonstrate a successful abort under the highest aerodynamic loads it could experience during a mission.」
ピースキーパーといえば、泣く子も黙るICBMだしな。
(ピースキーパー (ミサイル))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
「アメリカ空軍がかつて運用していた、大陸間弾道ミサイルである。」
「2005年9月15日に退役・廃棄が完了している。」
いったい、どこに隠してあったんだか。
「退役したミサイルは、オービタル・サイエンシズ社が取得し、使い捨て型ロケットのミノタウロスIVとして人工衛星打ち上げ用に転用されている。」
なんだ、そういうことか。
NASAの記事も、そう書けばいいのに(ピースキーパーの方が、通りがいいんだろう)。
いずれにしても、2019年に最終テストだから、こっちは前倒しに間に合うかもな(たぶん)。
他がどうなるか分からんしな。
せめて、ここだけはちゃんとしとかないとな。
これがどういう動作をするかというのは、ユーチューブでいくつか上がっている。
実写もあるんだが、よくできたCG動画があるので見てみた。
(Orion Pad Abort 1 Launch Abort System Flight Test:動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=qG7bZkH8Wp4
なかなか芸が細かい。
こいつを使う時は、10億ドルがパーになる時だからな。
心して見なくてはならんだろうな・・・。
(月往復の有人ロケット、トランプ大統領意向で前倒しも NASAが協議中:追加)
http://sorae.jp/10/2017_02_27_nasa.html
「2人の宇宙飛行士を搭乗させた場合のリスク、あるいはベネフィットを試算しています。」
当初は、4人だった。
犠牲は少ない方がいいということか・・・。
情報が少ないので、良く分からない。
SLSの初打ち上げに、宇宙飛行士乗せて月の向こう側まで飛ばそうという、むちゃくちゃな話を追いかけている。
その中で、やはり人命を乗せている宇宙船の部分が問題だろう。
何しろ、最新の予定では、2021年ということになっているらしいからな。
それを、2019年に早めようというのだ。
ロッキードマーチンは、F-35をトランプに値切られて、ヒイヒイ言ってるわけだから、少しでも稼げた方がいい。
無理を聞いてやるから、こっちは少し金よこせよ!。
ディール(取引)というやつだな。
魚心あれば水心。
(Orion (spacecraft))
https://en.wikipedia.org/wiki/Orion_(spacecraft)
さすがに、日本語版よりは詳しい。
オリオン宇宙船は、3つの部分から成り立っている。
・乗組員モジュール(CM):再利用可能
・・乗組員の生息地
・・消耗品や研究器具の保管場所
・・ドッキングポート
・・アブレータシステム
・・デジタル制御システム(グラスコックピット)
・・自動ドッキングシステム(アンドロジナス)
・・快適なトイレ(?)
・・船内呼吸ガスシステム(?)
・・アポロよりはマシなコンピューター(?)
・・たまに開かないパラシュート(?)
・Orionサービスモジュール(ESM:European Service Module):使い捨て
・・太陽電池アレイ(4枚羽型)
・・主エンジン(1基)
・・補助スラスター(8基)
・・機動スラスター(12基)
・・燃料タンク
・・・Mixed Oxides of Nitrogen(MON:2個:各2000リットル)
・・・モノメチルヒドラジン(MMH:2個:各2000リットル)
・・水タンク(4つ:合計240リットル)
・・酸素タンク(3つ:合計90kg)
・・窒素タンク(1つ:30kg)
古いデザインの項には、水酸化リチウムカートリッジによる二酸化炭素スクラバーの話が明記されてるんだがな。
ATVベースのモジュールの仕様には、影も形もない。
いい加減なもんだな。
・Launch Abort System(LAS):使わなくても使い捨て
・・主推進力モーター:固体ロケット発射停止モータ(AM)
・・姿勢制御モーター(ACM)
・・投棄モーター:ジェッティソンモーター(JM):これがミソだな。
・・フェアリング
スペースクラフトアダプターを含めるかどうかは別の話だ。
これらのシステムのうち、テストされているのは、緊急脱出システム位だ。
サービスモジュールは、構造テスト用モジュールが搬入されただけ。
推進系のテストは、これから始まる。
(Orion Spacecraft Progress Continues With Installation of Module to Test Propulsion Systems)
https://www.nasa.gov/image-feature/orion-spacecraft-progress-continues-with-installation-of-module-to-test-propulsion
エンジンの台数は、ここから。
(NASA Prepares for Orion European Service Module Propulsion Qualification Testing)
https://www.nasa.gov/centers/wstf/news/2016/orion_propulision_qualification_testing.html
つまり、実機なんて、影も形もないのだ。
もちろん、クルーモジュールはドンガラ。
(Orion Crew Module Underway Recovery Testing)
https://www.nasa.gov/image-feature/orion-crew-module-underway-recovery-testing
曳航してるくらいだからな、中身はからっぽだろう。
おっと、緊急脱出システムも、まだテスト継続中らしいぞ。
(Orion Launch Abort System Motor Gets Fired-up About the Journey to Mars)
https://www.nasa.gov/feature/langley/orion-launch-abort-system-motor-gets-fired-up-about-the-journey-to-mars
これら全てが、完全に終了して、打ち上げ準備が整わない限り、月周回は有り得ない。
「NASA and its partners are expected to perform the last flight test of the launch abort system in 2019 before they begin sending crew to deep space aboard Orion.」
あれえ?、2019年に最終テストってあるなあ。
「The jettison motor will be used during Orion's first integrated mission with SLS, known as Exploration Mission-1 (EM-1) in late 2018.」
つーことは、あれかあ、EM-1に乗せるのは、最終テスト前のやつってことになるわけかあ?。
おいおい・・・。
まあ、この辺も含めてだな、しっかりチェックしてもらいたいもんだな。
しかし、この最終テストって、スゴイな・・・。
「During the final test, an uncrewed Orion capsule will launch from a modified Peacekeeper missile and demonstrate a successful abort under the highest aerodynamic loads it could experience during a mission.」
ピースキーパーといえば、泣く子も黙るICBMだしな。
(ピースキーパー (ミサイル))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC_(%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB)
「アメリカ空軍がかつて運用していた、大陸間弾道ミサイルである。」
「2005年9月15日に退役・廃棄が完了している。」
いったい、どこに隠してあったんだか。
「退役したミサイルは、オービタル・サイエンシズ社が取得し、使い捨て型ロケットのミノタウロスIVとして人工衛星打ち上げ用に転用されている。」
なんだ、そういうことか。
NASAの記事も、そう書けばいいのに(ピースキーパーの方が、通りがいいんだろう)。
いずれにしても、2019年に最終テストだから、こっちは前倒しに間に合うかもな(たぶん)。
他がどうなるか分からんしな。
せめて、ここだけはちゃんとしとかないとな。
これがどういう動作をするかというのは、ユーチューブでいくつか上がっている。
実写もあるんだが、よくできたCG動画があるので見てみた。
(Orion Pad Abort 1 Launch Abort System Flight Test:動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=qG7bZkH8Wp4
なかなか芸が細かい。
こいつを使う時は、10億ドルがパーになる時だからな。
心して見なくてはならんだろうな・・・。
(月往復の有人ロケット、トランプ大統領意向で前倒しも NASAが協議中:追加)
http://sorae.jp/10/2017_02_27_nasa.html
「2人の宇宙飛行士を搭乗させた場合のリスク、あるいはベネフィットを試算しています。」
当初は、4人だった。
犠牲は少ない方がいいということか・・・。
当然の結論 ― 2017年02月27日 23:50
当然の結論
NASAは、トランプ政権の要望に応えるだろうか。
表向き、技術的な検討をすると言っている。
すこし、拗ねてみて、本音は乗り気じゃないような態度も取っている。
しかし、浮沈子は、NASAはこの話に絶対乗ると見ている。
トランプ政権は、たぶん金なら出すだろう。
ボーイングが作る大統領専用機を値引きさせ、ロッキードマーチンが作るF-35を値引きさせて、原資をひねり出してからのオファーだからな。
SLSに関わる企業に、インセンティブを与えてから、取引に入っている。
上手いものだ。
サイオコールには何か旨味があるんだろうか?。
先日、核兵器を増産するという話があったばかり。
(米大統領の核能力増強発言に専門家が異議、米国の優位続くと主張)
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-nuclear-idJPKBN1660GE
「トランプ米大統領が米国は核戦力の増強が必要との考えを示した」
記事の本筋とは違うんだが、そういう考えがあるということは確かだ。
サイオコールの固体燃料は、ICBMも打ち上げられるしな。
こっちは、お咎めなしの純増かも知れない。
軍事費も増強する(6兆円だって!)と言っているから、通常兵器の中のミサイル類も売れるだろう。
そうやって、ロケット企業の方を押さえておいて、NASAに対して、さあどうすると持ち掛けている。
技術的な検討が、仮に白紙でなされたとしても、それを評価する幹部の姿勢は初めから決まっている。
NASAに選択の余地などないのだ。
戦争と同じだ。
最高司令官が、突撃せよと命じている。
弾薬がないならくれてやると言っている。
兵士も割けるだけ投入するだろう。
勲章なら、いくらでもあるぞ!。
浮沈子は、NASAという組織を、兵器を持たない軍隊だと見ている。
下士官あたりが、そりゃあ、いい戦術じゃありませんとか、リスクが高くて利益が少ないとか言っても、そんなことがまかり通るわけはない。
お前が出来ないというなら、別のヤツにやらせるから代われ、と言われるだけ。
そりゃあ、2020年までに火星に行けとか言われたなら、べらぼーめっ!、ということになるんだろうが、自由帰還軌道で月の周りを回ってくるくらい、出来ない話ではなかろう?。
別に、生きて還ってこいとは言っていないしな(そうなのかあ?)。
人的損耗は、想定の範囲内。
勲章なら、いくらでもある!。
宇宙飛行士が行く気がないなら、サル乗せて宇宙服着せておけばバレないだろう(そうなのかあ?)。
最近は、CGの動画が巧妙になってるしな。
NASAで検討しているのは、2019年までに全部CGでアニメ作れるかどうかだったりして!。
まあ、どうでもいいんですが。
ボーイング、ロッキードマーチン、サイオコールは、トランプ政権に尻尾振ってれば食いっぱぐれることはない。
NASAがどんな条件を付けても、ノーとは言わない。
もし、実施不可能な要求を突き付けたら、そのリスクはNASAに飲ませるだろう。
詰め腹を切るのは、政権側でもメーカーでもない。
そういう構図になっている。
2019年というタイムリミットは、NASAが付けたんだろう。
少し、厳しい期限だ。
2020年なら妥当なところだろうが、それは落としどころとして、初めは出さない。
ごねにごねて、ようやくその時期になる。
わざとらしいが、後で突っ込まれないように、仕掛けをしとかなくっちゃな。
事故が起これば、また、なんとか調査委員会が調べたふりをするんだろう。
米国の、米国による、米国のための選択・・・。
冗談のつもりで書き始めたんだが、書いているうちに、ホントにそうなのかもしれないと思えてくる。
これが、何の根回しもなく、本当に真っ新の状態で公表されたとしたら、逆に心配になるしな。
NASAが、本当に真面目に検討して突っぱねたとしたら、一体何だったのかということになる。
まあ、入国禁止令のこともあるしな。
有り得ない話ではない。
しかし、今度の話は、トランプのツイッターじゃなくて、政権内部から出てきている。
少し、慎重になっているのかもしれない。
政権側のリスクも当然ある。
失敗すれば、痛手になる。
だから、NASAに検討させる。
少なくとも、そういう形をとる。
出来るというから、やらせたという形だ。
リスク評価については、あまりあてには出来ない。
それは、過去の実績が明確に示している。
この組織において、安全は金と時間で買うものだ(確かに・・・)。
宇宙開発というのは、そういうものだ。
石橋を叩いて壊すくらいなら、テキトーに叩いたふりして渡る方を選ぶ。
安全にこだわって、ミッションを行えないのなら、NASAは不要だ。
もちろん、その時点で持てる力を尽くして、最善の努力はする。
そこに疑いはない。
そうでなければ、命は預けられない。
人間だから、チョンボや思い違い、その他のミスは避けられない。
それを潰すための組織を作ったり、徹底したテストは行う。
それでも、どこかで決断して、賭けに出なければ、宇宙空間には行けないのだ。
博打だな。
どこで線を引くかというのは、時代によって変わる。
今は、アポロの時代じゃない。
アポロ8号は、サターン5型ロケットを使った、最初の有人飛行だった。
そして、いきなり月周回飛行をやってのけた。
当初予定されていた地球周回のフライトを飛ばして、60年代に人類を月へ送るという政治目標を達成するために、賭けに出たのだ。
彼らは、博打に勝ったわけだ。
そういうプレッシャーも、NASAには掛かっている。
英雄になるのか、チキン(弱虫の意)と呼ばれ続けることになるのか。
もっとも、サターン5型は、3回の無人飛行を行っている(4、5、6号)。
それでも、月周回軌道にいきなり人間乗せて飛ばしたというのは、大博打だ。
7号では、司令船は本番用で、有人飛行だったがロケットは違ったし、地球を回っただけだしな。
開発の遅れから月着陸船を積んでいなかった8号の後、9号はフルセットで地球周回、10号は月着陸以外の全てをリハーサルするために再び月周回軌道に行った。
まあいい。
アポロ8号は、やはりチャレンジだったと言えよう。
それでも、コンプリートされたサターン5型の無人飛行は、3回の打ち上げを経験していた。
くっ付けて、初めての打ち上げを有人でやることは、さすがに躊躇われる。
今回、最も問題になるのはそこだ。
個々の構成要素については、既に殆どのユニットがスペースシャトルからの流用ということで、実戦証明済みということになっている。
それでも、新規開発部分はあるし、それらを統合試験したことはない。
如何にシミュレーション技術が進んでいるとはいえ、実際組んで、打ち上げてみなければ分からないことはあるのだ。
搭乗する人間側だって、乗って飛ばしてみなければ、問題点の洗い出しは出来ないに違いない。
確かに、月へは何度も行ったかもしれないが、それは、半世紀近く前の、全く別のロケットや宇宙船での話だ。
スペースシャトルは、地球低軌道以外に飛んだことはなく、SLSの構成要素の何一つとして、月周回に使われたことはない。
40年以上の歳月を経ているということは、その間に技術的世代交代が少なくとも2回行われたということになる。
有人での深宇宙探査という観点からは、技術の伝承はとっくに途絶えている。
下士官的観点からは、どこをどうとっても、マズい選択としか見えない。
しかし、アポロ8号で20世紀に出来たことが、なぜ21世紀の現在になって出来ないのかという、分かりやすい問いかけに、分かりやすく答えることは難しい。
神ならぬ人が作りしものは、全て壊れる運命にあるとか、そういう話しかできないのだ。
テクニカルダイビングなら、とっくに結論は出ている。
ミッションは、なるべくシンプルにして、複雑なら複数回に分割するというのは、運用上の鉄則だ。
初めて組んだSLSを、いきなり月軌道まで打ち上げるという話ですら、既に原則を逸脱している。
しかも、上段は、1度だけ使われるICPSで行われ、検証飛行の意味からも、完全ではない。
EM-2では、上段はEUSで行われるが、それは初めて使われるロケットで、有人では元より、無人でもテストされてはいない。
それで、いきなり月軌道へ有人探査を行うということになっている。
そもそもが、無理な計画なのだ。
だから、この際、政権側からの見直しの話の検討の中で、毒食わば皿までという発想になったとしてもおかしくはない。
チャレンジを通り越して、無謀な計画になる。
それを、技術でカバーできるというのか。
機械の中でのシミュレーションを、そこまで信じられるのか。
浮沈子は臆病者で、石橋を叩いているだけで渡ることが出来ないでいる。
ああ、テクニカルダイビングの話だ。
だから、ガッツがないと言われればそれまでだし、チキンと言われれば、そのとおりと答えるしかない。
下士官的視点から見れば、最高司令官の命令は、無理難題で、理に適っているとはとても言えない。
ミッションにおけるデメリットは果てしなく大きく、メリットはないに等しい。
自分の所ではなく、もっと上の方で、誰かが止めてくれるのを待つしかない。
問題が、自分のところまで降りてこないのを、祈るばかりだ。
しかし、所掌する範囲の中では、言うべきことは言おう。
それがどーしたと、言われるのがオチだとしてもだ。
それを指摘して、懸念を表明したという記録が残ればいい。
自分の直接責任を回避できさえすればいいのだ。
決めるのは、自分ではない。
指摘した懸念が、現実になるとは限らない。
なって欲しくない。
そう祈るしかない。
ああ、成功でも失敗でもいいから、早く打ち上げてもらいたいな・・・。
自動車のリコールの文面を見ると、火を噴く恐れがあるとか、エンジンがぶっ飛ぶ恐れがあるとか、身の毛がよだつような文言が踊る。
NASAの検討の際に、そういう形で報告が作成されるのかどうかは知らないが、それを無視した際に、刑事責任を問われるような書き方はしないに違いない。
その特定の懸念を、なるべく狭い範囲に限定して、波及的な現象については、確率的記述に留まるのかもしれない。
それを、どう評価するかは、また別の話だ。
下士官たちは、せっせとレポートを書いているんだろう。
ああ、自分の所が決定的なネックになって、上司に呼び出されてネチネチ聞かれるんじゃないか、ホントにヤバイ話なのか、それとも、お前がチキンなだけなのか、問い詰められるんじゃないかとびくびくしながら・・・。
上へ行けば行くほど、イケイケドンドンになっている組織だからな。
あーあ、こういう時こそ、AIが決めて欲しいな。
全責任を取って、全てを管理し、妥当な結論を出して大統領にノーと言って欲しい・・・。
いやいや、世の中に上手い話とまともに動くAIは落ちてないからな。
もとより、初めから完全に飛行するSLSも落ちてない(落ちたら、マズイでしょ!)。
それでなくても、無理に無理を重ねているSLS計画だからな。
ゆがみっぱなし、遅れっぱなしの開発を、最近は、なんとか軌道に乗せつつある。
それでも、来年末のEM-1が実現できるかどうかは分からない。
ここで、大幅なスケジュール変更をすること自体が、リスクの増大につながる。
膨大な手順の見直し、それに伴うドキュメントの作成、評価、修正、また評価。
繰り返される手続きの中に埋もれる、筋の通った考え方、遠くにかすむ全体を通底する設計思想・・・。
残るのは、表層的には、一見不合理で非効率に見える部分だけ。
じゃあ、変えちまおうということになる(あーあ・・・)。
何かを1つ変えることが無限の連鎖を生み、追い切れない影響の中にリスクを潜在させる。
それが、あちこちで無数に発生すれば、その及ぶ範囲を特定することは不可能だ。
そのカオスの中で、システム全体の整合性を担保するのは、実際のテストと運用実績の積み重ね、その中での検査と改良の積み重ねしかない。
シミュレーションの中で解決されるのは、その、ごく一部に過ぎない。
浮沈子の考え方は古いのかもしれない。
しかし、そんなにシミュレーションが確かならば、実機なんか作らずに、コンピューターの中で、探査すればいいのだ。
何度ぶっ飛んでも、人的損耗はないしな。
さて、例によって漂流し始めた話をまとめよう。
(チャレンジャー号爆発事故発射準備段階の状況および発射の遅延)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E5%8F%B7%E7%88%86%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85#.E7.99.BA.E5.B0.84.E6.BA.96.E5.82.99.E6.AE.B5.E9.9A.8E.E3.81.AE.E7.8A.B6.E6.B3.81.E3.81.8A.E3.82.88.E3.81.B3.E7.99.BA.E5.B0.84.E3.81.AE.E9.81.85.E5.BB.B6
1986年冬の朝、この事故は、NASAの創立から28年後に起こった。
アポロ1号の火災事故から19年後。
「予報によれば、1月28日の朝は異常に寒く、発射台周辺の気温は打ち上げを実施可能な下限値である−1℃の近くまで下がるとされた。この異常寒波に対し、SRBの製造とメンテナンスを受け持つサイオコール社の技術者は強い懸念を抱いた。」
「27日の夜、サイオコール社の技術者と幹部は、ケネディ宇宙センターとマーシャル宇宙飛行センターにいるNASAの幹部と遠隔会議を開き、気象条件に関する討議を行った。」
「何人かの技術者、中でも特に、以前にも同様の懸念を表明したロジャー・ボージョレーは、SRBの接合部を密封するゴム製Oリングの弾力性が異常低温によって受ける影響について不安を表明した。」
「サイオコール社の技術者は、もしリングの温度が12℃以下になった場合、気密性を正常に保つだけの柔軟性を有するかを判断するのに十分なデータを持っていないと論じた。」
「サイオコール社の主張に対するNASAの反論は、主リングが故障しても副リングが十分に密閉性を保ってくれるというものだった。」
リングそのものの適合性が懸念されるときに、冗長性は意味をなさない。
判断の綻びは、糸を抜くように広がっていく。
次の記述は、極めて重要だ。
「致命度1である部品はバックアップに頼ることは禁止されている。この場合のバックアップとは不測の事態に備えて余裕を確保するためのもので、主機を代替するためのものではない。そんなことをすればバックアップがなくなってしまう」
浮沈子には、このことの意味が、痛いほどわかる。
事故の対策として、Oリングは3重化されたが、それは気休めに過ぎない(確か、接合部の構造も変更されています)。
ちなみに、CCRの呼吸回路の気密を保つOリングは、部分的には2重になっているが、ほとんどは1重だ(あれって、致命度1じゃないんだ:そうなのかあ?)。
次の記述も記憶すべきだろう。
「サイオコール社の技術者たちは、夜間の低温によりSRBの温度は危険値である4℃をまず間違いなく下回るはずだと指摘した。」
「しかしながら、サイオコール社の幹部は彼らの主張を取り合わず、予定通り打ち上げを進めるよう勧告した。世間ではNASAは常にフェイルセーフに取り組んでいるイメージがあったのに反して、サイオコール社の幹部は、打ち上げが安全「である」と証明するのではなく状況が安全「ではない」ことを示せというNASA幹部の要求に影響されていた。」
身の毛もよだつ話だな。
浮沈子の記憶が確かならば、現在でもOリングの耐用温度の下限は摂氏4度のはずだ。
もちろん、SLSのSRBでも、このOリングは使われている。
せっかくなので、もう一つの懸念があったことも引用しておく。
「低温により発射台の整備塔にはおびただしい量の氷が貼りつき、50cmを超える氷柱がついた。」
「カリフォルニア州ダウニーにあるロ社本部から発射台を監視していたロ社の技術者たちは氷の量を見て戦慄した。」
「彼らは打ち上げの際にSRBの排気ガスの噴流が引き起こす吸引力によって氷が振り落とされ、シャトルの耐熱タイルを直撃するのではないかと恐れた。」
「ロ社の宇宙輸送部門責任者であるロッコ・ペトローン(Rocco Petrone)と彼の同僚たちは、この状況を打ち上げに対する障害と見なし、ケープ基地にいた同社の幹部たちにロ社としては打ち上げを支持できないと伝えた。」
「ヒューストン基地の計画責任者アーノルド・アルドリッチ(Arnold Aldrich)は打ち上げを決行することにした。アルドリッチは氷対策班に今一度検査させるため打ち上げを一時間遅らせた。この検査では氷は溶け始めている様子だったので、午前11時38分、チャレンジャー号はついに打ち上げを許可された」
17年後に、この懸念は、表面的には違った形でコロンビア号の事故につながる。
浮沈子がここで言いたいのは、下士官レベルでミッションを止めることは出来ないということだ。
シャトルの打ち上げという、一大イベントの前では、現場レベルの懸念など、歯牙に掛けられることはない。
ましてや、今回のように、政治的なインセンティブが露骨に働いているときに、そんなおとぎ話のような麗しい物語を聞くことが出来るなどと期待してはいけない。
SLSのEM-1における有人飛行は許可されるだろう。
「打ち上げが安全「である」と証明するのではなく状況が安全「ではない」ことを示せ」
NASAのSLS関係者には、たぶん、それに似た指示が出ているに違いない。
ネガティブな話を、積極的に出すことが躊躇いなくできるなら、誰も苦労はしない。
人間は誰でも、本質的には肯定的に評価されたいのだ。
自分が所管している範囲が、ミッション遂行のボトルネックになり、ノーと言わなければならない状況など、考えたくもない。
それは、自分自身を否定することに繋がりかねない。
真の勇気がある者は、躊躇うことなくノーと言うだろう。
だが、その勇気が正しい判断に繋がるとは限らないのだ。
浮沈子は、当然の結論として、EM-1の有人飛行が実現されると考えているが、今回ばかりは、この予想が外れて、赤っ恥をかくことを願っている。
チャレンジャー事故の調査委員会の一員でもあった、ノーベル賞物理学者リチャード・ファインマンの言葉を噛み締めよう。
「技術が成功するためには、体面よりも現実が優先されなければならない、何故なら自然は騙しおおせないからだ」
NASAは、トランプ政権の要望に応えるだろうか。
表向き、技術的な検討をすると言っている。
すこし、拗ねてみて、本音は乗り気じゃないような態度も取っている。
しかし、浮沈子は、NASAはこの話に絶対乗ると見ている。
トランプ政権は、たぶん金なら出すだろう。
ボーイングが作る大統領専用機を値引きさせ、ロッキードマーチンが作るF-35を値引きさせて、原資をひねり出してからのオファーだからな。
SLSに関わる企業に、インセンティブを与えてから、取引に入っている。
上手いものだ。
サイオコールには何か旨味があるんだろうか?。
先日、核兵器を増産するという話があったばかり。
(米大統領の核能力増強発言に専門家が異議、米国の優位続くと主張)
http://jp.reuters.com/article/usa-trump-nuclear-idJPKBN1660GE
「トランプ米大統領が米国は核戦力の増強が必要との考えを示した」
記事の本筋とは違うんだが、そういう考えがあるということは確かだ。
サイオコールの固体燃料は、ICBMも打ち上げられるしな。
こっちは、お咎めなしの純増かも知れない。
軍事費も増強する(6兆円だって!)と言っているから、通常兵器の中のミサイル類も売れるだろう。
そうやって、ロケット企業の方を押さえておいて、NASAに対して、さあどうすると持ち掛けている。
技術的な検討が、仮に白紙でなされたとしても、それを評価する幹部の姿勢は初めから決まっている。
NASAに選択の余地などないのだ。
戦争と同じだ。
最高司令官が、突撃せよと命じている。
弾薬がないならくれてやると言っている。
兵士も割けるだけ投入するだろう。
勲章なら、いくらでもあるぞ!。
浮沈子は、NASAという組織を、兵器を持たない軍隊だと見ている。
下士官あたりが、そりゃあ、いい戦術じゃありませんとか、リスクが高くて利益が少ないとか言っても、そんなことがまかり通るわけはない。
お前が出来ないというなら、別のヤツにやらせるから代われ、と言われるだけ。
そりゃあ、2020年までに火星に行けとか言われたなら、べらぼーめっ!、ということになるんだろうが、自由帰還軌道で月の周りを回ってくるくらい、出来ない話ではなかろう?。
別に、生きて還ってこいとは言っていないしな(そうなのかあ?)。
人的損耗は、想定の範囲内。
勲章なら、いくらでもある!。
宇宙飛行士が行く気がないなら、サル乗せて宇宙服着せておけばバレないだろう(そうなのかあ?)。
最近は、CGの動画が巧妙になってるしな。
NASAで検討しているのは、2019年までに全部CGでアニメ作れるかどうかだったりして!。
まあ、どうでもいいんですが。
ボーイング、ロッキードマーチン、サイオコールは、トランプ政権に尻尾振ってれば食いっぱぐれることはない。
NASAがどんな条件を付けても、ノーとは言わない。
もし、実施不可能な要求を突き付けたら、そのリスクはNASAに飲ませるだろう。
詰め腹を切るのは、政権側でもメーカーでもない。
そういう構図になっている。
2019年というタイムリミットは、NASAが付けたんだろう。
少し、厳しい期限だ。
2020年なら妥当なところだろうが、それは落としどころとして、初めは出さない。
ごねにごねて、ようやくその時期になる。
わざとらしいが、後で突っ込まれないように、仕掛けをしとかなくっちゃな。
事故が起これば、また、なんとか調査委員会が調べたふりをするんだろう。
米国の、米国による、米国のための選択・・・。
冗談のつもりで書き始めたんだが、書いているうちに、ホントにそうなのかもしれないと思えてくる。
これが、何の根回しもなく、本当に真っ新の状態で公表されたとしたら、逆に心配になるしな。
NASAが、本当に真面目に検討して突っぱねたとしたら、一体何だったのかということになる。
まあ、入国禁止令のこともあるしな。
有り得ない話ではない。
しかし、今度の話は、トランプのツイッターじゃなくて、政権内部から出てきている。
少し、慎重になっているのかもしれない。
政権側のリスクも当然ある。
失敗すれば、痛手になる。
だから、NASAに検討させる。
少なくとも、そういう形をとる。
出来るというから、やらせたという形だ。
リスク評価については、あまりあてには出来ない。
それは、過去の実績が明確に示している。
この組織において、安全は金と時間で買うものだ(確かに・・・)。
宇宙開発というのは、そういうものだ。
石橋を叩いて壊すくらいなら、テキトーに叩いたふりして渡る方を選ぶ。
安全にこだわって、ミッションを行えないのなら、NASAは不要だ。
もちろん、その時点で持てる力を尽くして、最善の努力はする。
そこに疑いはない。
そうでなければ、命は預けられない。
人間だから、チョンボや思い違い、その他のミスは避けられない。
それを潰すための組織を作ったり、徹底したテストは行う。
それでも、どこかで決断して、賭けに出なければ、宇宙空間には行けないのだ。
博打だな。
どこで線を引くかというのは、時代によって変わる。
今は、アポロの時代じゃない。
アポロ8号は、サターン5型ロケットを使った、最初の有人飛行だった。
そして、いきなり月周回飛行をやってのけた。
当初予定されていた地球周回のフライトを飛ばして、60年代に人類を月へ送るという政治目標を達成するために、賭けに出たのだ。
彼らは、博打に勝ったわけだ。
そういうプレッシャーも、NASAには掛かっている。
英雄になるのか、チキン(弱虫の意)と呼ばれ続けることになるのか。
もっとも、サターン5型は、3回の無人飛行を行っている(4、5、6号)。
それでも、月周回軌道にいきなり人間乗せて飛ばしたというのは、大博打だ。
7号では、司令船は本番用で、有人飛行だったがロケットは違ったし、地球を回っただけだしな。
開発の遅れから月着陸船を積んでいなかった8号の後、9号はフルセットで地球周回、10号は月着陸以外の全てをリハーサルするために再び月周回軌道に行った。
まあいい。
アポロ8号は、やはりチャレンジだったと言えよう。
それでも、コンプリートされたサターン5型の無人飛行は、3回の打ち上げを経験していた。
くっ付けて、初めての打ち上げを有人でやることは、さすがに躊躇われる。
今回、最も問題になるのはそこだ。
個々の構成要素については、既に殆どのユニットがスペースシャトルからの流用ということで、実戦証明済みということになっている。
それでも、新規開発部分はあるし、それらを統合試験したことはない。
如何にシミュレーション技術が進んでいるとはいえ、実際組んで、打ち上げてみなければ分からないことはあるのだ。
搭乗する人間側だって、乗って飛ばしてみなければ、問題点の洗い出しは出来ないに違いない。
確かに、月へは何度も行ったかもしれないが、それは、半世紀近く前の、全く別のロケットや宇宙船での話だ。
スペースシャトルは、地球低軌道以外に飛んだことはなく、SLSの構成要素の何一つとして、月周回に使われたことはない。
40年以上の歳月を経ているということは、その間に技術的世代交代が少なくとも2回行われたということになる。
有人での深宇宙探査という観点からは、技術の伝承はとっくに途絶えている。
下士官的観点からは、どこをどうとっても、マズい選択としか見えない。
しかし、アポロ8号で20世紀に出来たことが、なぜ21世紀の現在になって出来ないのかという、分かりやすい問いかけに、分かりやすく答えることは難しい。
神ならぬ人が作りしものは、全て壊れる運命にあるとか、そういう話しかできないのだ。
テクニカルダイビングなら、とっくに結論は出ている。
ミッションは、なるべくシンプルにして、複雑なら複数回に分割するというのは、運用上の鉄則だ。
初めて組んだSLSを、いきなり月軌道まで打ち上げるという話ですら、既に原則を逸脱している。
しかも、上段は、1度だけ使われるICPSで行われ、検証飛行の意味からも、完全ではない。
EM-2では、上段はEUSで行われるが、それは初めて使われるロケットで、有人では元より、無人でもテストされてはいない。
それで、いきなり月軌道へ有人探査を行うということになっている。
そもそもが、無理な計画なのだ。
だから、この際、政権側からの見直しの話の検討の中で、毒食わば皿までという発想になったとしてもおかしくはない。
チャレンジを通り越して、無謀な計画になる。
それを、技術でカバーできるというのか。
機械の中でのシミュレーションを、そこまで信じられるのか。
浮沈子は臆病者で、石橋を叩いているだけで渡ることが出来ないでいる。
ああ、テクニカルダイビングの話だ。
だから、ガッツがないと言われればそれまでだし、チキンと言われれば、そのとおりと答えるしかない。
下士官的視点から見れば、最高司令官の命令は、無理難題で、理に適っているとはとても言えない。
ミッションにおけるデメリットは果てしなく大きく、メリットはないに等しい。
自分の所ではなく、もっと上の方で、誰かが止めてくれるのを待つしかない。
問題が、自分のところまで降りてこないのを、祈るばかりだ。
しかし、所掌する範囲の中では、言うべきことは言おう。
それがどーしたと、言われるのがオチだとしてもだ。
それを指摘して、懸念を表明したという記録が残ればいい。
自分の直接責任を回避できさえすればいいのだ。
決めるのは、自分ではない。
指摘した懸念が、現実になるとは限らない。
なって欲しくない。
そう祈るしかない。
ああ、成功でも失敗でもいいから、早く打ち上げてもらいたいな・・・。
自動車のリコールの文面を見ると、火を噴く恐れがあるとか、エンジンがぶっ飛ぶ恐れがあるとか、身の毛がよだつような文言が踊る。
NASAの検討の際に、そういう形で報告が作成されるのかどうかは知らないが、それを無視した際に、刑事責任を問われるような書き方はしないに違いない。
その特定の懸念を、なるべく狭い範囲に限定して、波及的な現象については、確率的記述に留まるのかもしれない。
それを、どう評価するかは、また別の話だ。
下士官たちは、せっせとレポートを書いているんだろう。
ああ、自分の所が決定的なネックになって、上司に呼び出されてネチネチ聞かれるんじゃないか、ホントにヤバイ話なのか、それとも、お前がチキンなだけなのか、問い詰められるんじゃないかとびくびくしながら・・・。
上へ行けば行くほど、イケイケドンドンになっている組織だからな。
あーあ、こういう時こそ、AIが決めて欲しいな。
全責任を取って、全てを管理し、妥当な結論を出して大統領にノーと言って欲しい・・・。
いやいや、世の中に上手い話とまともに動くAIは落ちてないからな。
もとより、初めから完全に飛行するSLSも落ちてない(落ちたら、マズイでしょ!)。
それでなくても、無理に無理を重ねているSLS計画だからな。
ゆがみっぱなし、遅れっぱなしの開発を、最近は、なんとか軌道に乗せつつある。
それでも、来年末のEM-1が実現できるかどうかは分からない。
ここで、大幅なスケジュール変更をすること自体が、リスクの増大につながる。
膨大な手順の見直し、それに伴うドキュメントの作成、評価、修正、また評価。
繰り返される手続きの中に埋もれる、筋の通った考え方、遠くにかすむ全体を通底する設計思想・・・。
残るのは、表層的には、一見不合理で非効率に見える部分だけ。
じゃあ、変えちまおうということになる(あーあ・・・)。
何かを1つ変えることが無限の連鎖を生み、追い切れない影響の中にリスクを潜在させる。
それが、あちこちで無数に発生すれば、その及ぶ範囲を特定することは不可能だ。
そのカオスの中で、システム全体の整合性を担保するのは、実際のテストと運用実績の積み重ね、その中での検査と改良の積み重ねしかない。
シミュレーションの中で解決されるのは、その、ごく一部に過ぎない。
浮沈子の考え方は古いのかもしれない。
しかし、そんなにシミュレーションが確かならば、実機なんか作らずに、コンピューターの中で、探査すればいいのだ。
何度ぶっ飛んでも、人的損耗はないしな。
さて、例によって漂流し始めた話をまとめよう。
(チャレンジャー号爆発事故発射準備段階の状況および発射の遅延)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E5%8F%B7%E7%88%86%E7%99%BA%E4%BA%8B%E6%95%85#.E7.99.BA.E5.B0.84.E6.BA.96.E5.82.99.E6.AE.B5.E9.9A.8E.E3.81.AE.E7.8A.B6.E6.B3.81.E3.81.8A.E3.82.88.E3.81.B3.E7.99.BA.E5.B0.84.E3.81.AE.E9.81.85.E5.BB.B6
1986年冬の朝、この事故は、NASAの創立から28年後に起こった。
アポロ1号の火災事故から19年後。
「予報によれば、1月28日の朝は異常に寒く、発射台周辺の気温は打ち上げを実施可能な下限値である−1℃の近くまで下がるとされた。この異常寒波に対し、SRBの製造とメンテナンスを受け持つサイオコール社の技術者は強い懸念を抱いた。」
「27日の夜、サイオコール社の技術者と幹部は、ケネディ宇宙センターとマーシャル宇宙飛行センターにいるNASAの幹部と遠隔会議を開き、気象条件に関する討議を行った。」
「何人かの技術者、中でも特に、以前にも同様の懸念を表明したロジャー・ボージョレーは、SRBの接合部を密封するゴム製Oリングの弾力性が異常低温によって受ける影響について不安を表明した。」
「サイオコール社の技術者は、もしリングの温度が12℃以下になった場合、気密性を正常に保つだけの柔軟性を有するかを判断するのに十分なデータを持っていないと論じた。」
「サイオコール社の主張に対するNASAの反論は、主リングが故障しても副リングが十分に密閉性を保ってくれるというものだった。」
リングそのものの適合性が懸念されるときに、冗長性は意味をなさない。
判断の綻びは、糸を抜くように広がっていく。
次の記述は、極めて重要だ。
「致命度1である部品はバックアップに頼ることは禁止されている。この場合のバックアップとは不測の事態に備えて余裕を確保するためのもので、主機を代替するためのものではない。そんなことをすればバックアップがなくなってしまう」
浮沈子には、このことの意味が、痛いほどわかる。
事故の対策として、Oリングは3重化されたが、それは気休めに過ぎない(確か、接合部の構造も変更されています)。
ちなみに、CCRの呼吸回路の気密を保つOリングは、部分的には2重になっているが、ほとんどは1重だ(あれって、致命度1じゃないんだ:そうなのかあ?)。
次の記述も記憶すべきだろう。
「サイオコール社の技術者たちは、夜間の低温によりSRBの温度は危険値である4℃をまず間違いなく下回るはずだと指摘した。」
「しかしながら、サイオコール社の幹部は彼らの主張を取り合わず、予定通り打ち上げを進めるよう勧告した。世間ではNASAは常にフェイルセーフに取り組んでいるイメージがあったのに反して、サイオコール社の幹部は、打ち上げが安全「である」と証明するのではなく状況が安全「ではない」ことを示せというNASA幹部の要求に影響されていた。」
身の毛もよだつ話だな。
浮沈子の記憶が確かならば、現在でもOリングの耐用温度の下限は摂氏4度のはずだ。
もちろん、SLSのSRBでも、このOリングは使われている。
せっかくなので、もう一つの懸念があったことも引用しておく。
「低温により発射台の整備塔にはおびただしい量の氷が貼りつき、50cmを超える氷柱がついた。」
「カリフォルニア州ダウニーにあるロ社本部から発射台を監視していたロ社の技術者たちは氷の量を見て戦慄した。」
「彼らは打ち上げの際にSRBの排気ガスの噴流が引き起こす吸引力によって氷が振り落とされ、シャトルの耐熱タイルを直撃するのではないかと恐れた。」
「ロ社の宇宙輸送部門責任者であるロッコ・ペトローン(Rocco Petrone)と彼の同僚たちは、この状況を打ち上げに対する障害と見なし、ケープ基地にいた同社の幹部たちにロ社としては打ち上げを支持できないと伝えた。」
「ヒューストン基地の計画責任者アーノルド・アルドリッチ(Arnold Aldrich)は打ち上げを決行することにした。アルドリッチは氷対策班に今一度検査させるため打ち上げを一時間遅らせた。この検査では氷は溶け始めている様子だったので、午前11時38分、チャレンジャー号はついに打ち上げを許可された」
17年後に、この懸念は、表面的には違った形でコロンビア号の事故につながる。
浮沈子がここで言いたいのは、下士官レベルでミッションを止めることは出来ないということだ。
シャトルの打ち上げという、一大イベントの前では、現場レベルの懸念など、歯牙に掛けられることはない。
ましてや、今回のように、政治的なインセンティブが露骨に働いているときに、そんなおとぎ話のような麗しい物語を聞くことが出来るなどと期待してはいけない。
SLSのEM-1における有人飛行は許可されるだろう。
「打ち上げが安全「である」と証明するのではなく状況が安全「ではない」ことを示せ」
NASAのSLS関係者には、たぶん、それに似た指示が出ているに違いない。
ネガティブな話を、積極的に出すことが躊躇いなくできるなら、誰も苦労はしない。
人間は誰でも、本質的には肯定的に評価されたいのだ。
自分が所管している範囲が、ミッション遂行のボトルネックになり、ノーと言わなければならない状況など、考えたくもない。
それは、自分自身を否定することに繋がりかねない。
真の勇気がある者は、躊躇うことなくノーと言うだろう。
だが、その勇気が正しい判断に繋がるとは限らないのだ。
浮沈子は、当然の結論として、EM-1の有人飛行が実現されると考えているが、今回ばかりは、この予想が外れて、赤っ恥をかくことを願っている。
チャレンジャー事故の調査委員会の一員でもあった、ノーベル賞物理学者リチャード・ファインマンの言葉を噛み締めよう。
「技術が成功するためには、体面よりも現実が優先されなければならない、何故なら自然は騙しおおせないからだ」
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