ロケット自爆 ― 2017年03月17日 09:10
ロケット自爆
縁起でもない話だが、空からロケットが降って来るよりはマシだ。
我が国では、ロケットの自爆はたぶん今でも手動で行われている。
だから、まあ、厳密にいえば、自爆じゃない。
人間が、キルスイッチを押しているわけだ。
まあ、ミサイルとかで撃ち落とすわけじゃないから、自爆には違いない。
ロケット先進国の米国でも、つい最近まで、それは同じだった。
(アンタレスで驚くのはNASAのロケット自爆の意思決定が意外とローテクなこと)
http://www.gizmodo.jp/2014/11/nasa_73.html
「見張り要員は打ち上げ台のクルーの詰め所とはすこし離れた野外でポツネンと立って見張ってるんです、肉眼で。」
「木枠にガイドワイヤーを張った観測用フレームを通して打ち上げを見守る。」
「ワイヤーの外にロケットがはみ出すと、それは軌道を逸脱している証拠なので、安全担当官2人に中断指示の警告を送り、避難するのだ。」
21世紀とは思えない、レトロな対応だな。
まあ、これはさすがに、地表近くでレーダーとかが使えない範囲の話だ。
ちっと高く上がってからは、レーダーとか使って観測しているんだろう。
しかしながら、今度は逆に、地平線の向こうに消えてしまって、レーダーが届かなくなったり、見えてる時でも、人間の判断が遅れたりした時には役に立たない。
(ファルコン9ロケットの打ち上げ失敗、指令破壊信号は出されるも時すでに遅し)
http://sorae.jp/030201/5573.html
「信号が出されたのは問題が起きてから70秒後であったことから、すでに機体は自ら空中分解しており、指令破壊信号は意味をなさなかったという。なぜ70秒も経ってから信号が送られることになったのかについては不明である。」
まあな、この時は、ロケットが文字通り自爆したので、破壊指令が遅れたって、何の問題もなかったけどな(木っ端微塵!)。
たぶん、あれだな、見ていた担当官は、あんだけバラバラになれば、別に今更破壊指令出さなくたっていいと、当初は判断したんだろうな。
でもな、結局、後からなんか言われた時のエクスキューズとして、一応ボタンだけは押しておこうと思いなおしたんだろうな。
けどな、爆発してから押したら、アホと思われるかも知れないしな。
押さなくてもアホ、押してもアホ、同じアホなら押さなきゃソンソン!。
決断に要した時間が70秒・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
21世紀だからな、いつまでも、こうしうレトロな対応を続けるわけにはいかないということで、米国では、AFSSという自律破壊システムが開発された。
(AUTOMATED FLIGHT SAFETY IMPROVING SPACE ACCESS)
http://www.spaceflightinsider.com/space-centers/ccafs/automated-flight-safety-improving-space-access/
「the Autonomous Flight Safety System or AFSS, puts the control in the hands of a computer on board the rocket.」
既に、2月19日のファルコン9の打ち上げから使用されている。
簡単に言えば、位置情報をGPSとかから取得して、許容範囲を逸脱しそうな時に自爆スイッチを入れるという、シンプルな仕掛けだ。
(AUTONOMOUS FLIGHT SAFETY
SYSTEM)
https://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/20100036666.pdf
ちょっと古い資料だが、末尾に面白いことが書いてあった。
「Need to finish:
• Ivv
• Software standards
• Orbital launch
• Miniaturized hardware if possible
• Better requirements—AFSS is a new paradigm and it needs to "emulate a Range Safety officer's mind". The current requirements do not exist for this.
• NASA will finish its development in 2-3 years with adequate funding and support.」
IVVというのは、たぶんこれだろう。
(About IV&V)
https://www.nasa.gov/centers/ivv/about/index.html
「Independent Verification and Validation (IV&V) 」
組み込み系ソフトウェアの品質管理みたいなやつだ。
"emulate a Range Safety officer's mind"というのが問題だな。
安全管理上の最後の砦に、情けは無用だ。
何億ドルの衛星が積まれていようが、躊躇なく爆破してもらいたい。
これが導入されると、年間48機の打ち上げが出来るようになるらしいが、そんなもんじゃ足りないだろう。
今週は、たまたま3機が1週間ほどの間に密集したが、この状態がふつーになるくらいでないと、これからの宇宙港としては役に立たないだろう。
毎週1機くらいが爆破されるくらいにならないとな(そうなのかあ?)。
無人機なら、まあ、金で解決できるんだろうが、有人機の場合は人間では躊躇があるだろうな。
キルスイッチを軍人が握ってきたということは、そういう理由があるのかもしれない。
ロケットが丸ごと落下して大災害になるか、宇宙飛行士が犠牲になって、未然に防ぐかということになる。
究極の選択だな。
もちろん、非常脱出用システムとかが作動するんだろうが、それだって完璧とは限らない(AFSSは、完全に独立して作動するようです)。
必要なのは、非情のライセンスだ。
このAFSSが誤動作すると、かなりヤバい。
どういうアルゴリズムになっているかはよく分からないが、ハード的には、ポジション情報系の多重化と、破壊信号出力系の二重化で対応しているようだ(PDF資料8ページ)。
浮沈子は、よく知らないんだが、軍事用のミサイルとかにも付いてるんだろうか?。
迎撃するはずが、何かの間違いでオウンゴールしたらシャレにならんからな・・・。
(Only on Falcon 9: Automated system can terminate SpaceX rocket launches:追加)
http://www.floridatoday.com/story/tech/science/space/2017/03/11/spacex-autonomous-flight-safety-system-afss-kennedy-space-center-florida-falcon9-rocket-air-force-military/98539952/
翻訳して読むには、コピペするしかないが、色々参考になる記述がある。
ファルコンヘビーの運用には、このシステムが欠かせないこと、前回の打ち上げでは、人間が対応していなかったこと、スペースシャトルの乗員が、自分の子供の写真をキルスイッチの担当者に見せて回っていたこと・・・。
ISSタクシーについては、NASAは検討中としている。
問題は、月周回軌道の時は、ファルコンヘビーだということだな。
必然的に、AFSSになる。
NASAは、知らんぷりだろう。
オウンリスクでやってくれ・・・。
縁起でもない話だが、空からロケットが降って来るよりはマシだ。
我が国では、ロケットの自爆はたぶん今でも手動で行われている。
だから、まあ、厳密にいえば、自爆じゃない。
人間が、キルスイッチを押しているわけだ。
まあ、ミサイルとかで撃ち落とすわけじゃないから、自爆には違いない。
ロケット先進国の米国でも、つい最近まで、それは同じだった。
(アンタレスで驚くのはNASAのロケット自爆の意思決定が意外とローテクなこと)
http://www.gizmodo.jp/2014/11/nasa_73.html
「見張り要員は打ち上げ台のクルーの詰め所とはすこし離れた野外でポツネンと立って見張ってるんです、肉眼で。」
「木枠にガイドワイヤーを張った観測用フレームを通して打ち上げを見守る。」
「ワイヤーの外にロケットがはみ出すと、それは軌道を逸脱している証拠なので、安全担当官2人に中断指示の警告を送り、避難するのだ。」
21世紀とは思えない、レトロな対応だな。
まあ、これはさすがに、地表近くでレーダーとかが使えない範囲の話だ。
ちっと高く上がってからは、レーダーとか使って観測しているんだろう。
しかしながら、今度は逆に、地平線の向こうに消えてしまって、レーダーが届かなくなったり、見えてる時でも、人間の判断が遅れたりした時には役に立たない。
(ファルコン9ロケットの打ち上げ失敗、指令破壊信号は出されるも時すでに遅し)
http://sorae.jp/030201/5573.html
「信号が出されたのは問題が起きてから70秒後であったことから、すでに機体は自ら空中分解しており、指令破壊信号は意味をなさなかったという。なぜ70秒も経ってから信号が送られることになったのかについては不明である。」
まあな、この時は、ロケットが文字通り自爆したので、破壊指令が遅れたって、何の問題もなかったけどな(木っ端微塵!)。
たぶん、あれだな、見ていた担当官は、あんだけバラバラになれば、別に今更破壊指令出さなくたっていいと、当初は判断したんだろうな。
でもな、結局、後からなんか言われた時のエクスキューズとして、一応ボタンだけは押しておこうと思いなおしたんだろうな。
けどな、爆発してから押したら、アホと思われるかも知れないしな。
押さなくてもアホ、押してもアホ、同じアホなら押さなきゃソンソン!。
決断に要した時間が70秒・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
21世紀だからな、いつまでも、こうしうレトロな対応を続けるわけにはいかないということで、米国では、AFSSという自律破壊システムが開発された。
(AUTOMATED FLIGHT SAFETY IMPROVING SPACE ACCESS)
http://www.spaceflightinsider.com/space-centers/ccafs/automated-flight-safety-improving-space-access/
「the Autonomous Flight Safety System or AFSS, puts the control in the hands of a computer on board the rocket.」
既に、2月19日のファルコン9の打ち上げから使用されている。
簡単に言えば、位置情報をGPSとかから取得して、許容範囲を逸脱しそうな時に自爆スイッチを入れるという、シンプルな仕掛けだ。
(AUTONOMOUS FLIGHT SAFETY
SYSTEM)
https://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/20100036666.pdf
ちょっと古い資料だが、末尾に面白いことが書いてあった。
「Need to finish:
• Ivv
• Software standards
• Orbital launch
• Miniaturized hardware if possible
• Better requirements—AFSS is a new paradigm and it needs to "emulate a Range Safety officer's mind". The current requirements do not exist for this.
• NASA will finish its development in 2-3 years with adequate funding and support.」
IVVというのは、たぶんこれだろう。
(About IV&V)
https://www.nasa.gov/centers/ivv/about/index.html
「Independent Verification and Validation (IV&V) 」
組み込み系ソフトウェアの品質管理みたいなやつだ。
"emulate a Range Safety officer's mind"というのが問題だな。
安全管理上の最後の砦に、情けは無用だ。
何億ドルの衛星が積まれていようが、躊躇なく爆破してもらいたい。
これが導入されると、年間48機の打ち上げが出来るようになるらしいが、そんなもんじゃ足りないだろう。
今週は、たまたま3機が1週間ほどの間に密集したが、この状態がふつーになるくらいでないと、これからの宇宙港としては役に立たないだろう。
毎週1機くらいが爆破されるくらいにならないとな(そうなのかあ?)。
無人機なら、まあ、金で解決できるんだろうが、有人機の場合は人間では躊躇があるだろうな。
キルスイッチを軍人が握ってきたということは、そういう理由があるのかもしれない。
ロケットが丸ごと落下して大災害になるか、宇宙飛行士が犠牲になって、未然に防ぐかということになる。
究極の選択だな。
もちろん、非常脱出用システムとかが作動するんだろうが、それだって完璧とは限らない(AFSSは、完全に独立して作動するようです)。
必要なのは、非情のライセンスだ。
このAFSSが誤動作すると、かなりヤバい。
どういうアルゴリズムになっているかはよく分からないが、ハード的には、ポジション情報系の多重化と、破壊信号出力系の二重化で対応しているようだ(PDF資料8ページ)。
浮沈子は、よく知らないんだが、軍事用のミサイルとかにも付いてるんだろうか?。
迎撃するはずが、何かの間違いでオウンゴールしたらシャレにならんからな・・・。
(Only on Falcon 9: Automated system can terminate SpaceX rocket launches:追加)
http://www.floridatoday.com/story/tech/science/space/2017/03/11/spacex-autonomous-flight-safety-system-afss-kennedy-space-center-florida-falcon9-rocket-air-force-military/98539952/
翻訳して読むには、コピペするしかないが、色々参考になる記述がある。
ファルコンヘビーの運用には、このシステムが欠かせないこと、前回の打ち上げでは、人間が対応していなかったこと、スペースシャトルの乗員が、自分の子供の写真をキルスイッチの担当者に見せて回っていたこと・・・。
ISSタクシーについては、NASAは検討中としている。
問題は、月周回軌道の時は、ファルコンヘビーだということだな。
必然的に、AFSSになる。
NASAは、知らんぷりだろう。
オウンリスクでやってくれ・・・。
重い衛星 ― 2017年03月17日 16:44
重い衛星
ファルコン9で来月打ち上げ予定になっている、インテルサット35eというのがある。
(Intelsat 35e)
https://en.wikipedia.org/wiki/Intelsat_35e
「Bus:Boeing 702MP」
「Launch mass:6 t (6.6 tons)」
「Rocket Falcon 9 Full Thrust」
「Orbital parameters:
Reference system:Geocentric
Regime:Geosynchronous
Longitude:34.5°W (Intended)」
5.5トンのエコースター23が、1段目の再使用も出来ずに、ヒーヒーいって、やっとこさ打ち上げたのに、2割増しに近い重量級のインテルサットを、静止軌道に打ち上げようというわけだ。
できんのかあ?。
しかも、ネットで見る限りは、今回のエコースター23の打ち上げが、足の付かないファルコン9の見納めだとあちこちに書いてある。
浮沈子も、それを信じていたんだがな。
答えは投入軌道にあるのかもしれない。
GTOではなく、地球周回軌道とだけ書いてある。
(地球周回軌道)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E5%91%A8%E5%9B%9E%E8%BB%8C%E9%81%93
「地球周回軌道または地心軌道(geocentric orbit)とは、月や人工衛星のように地球の周囲を周回する軌道である。」
軌道高度や軌道傾斜角は問わない。
具体的に、どんな軌道に投入されるのかは分からない。
少なくとも、1段目の回収を試みるなら、打ち上げ高度はGTOよりも低くなる(たぶん)。
そこから、衛星自身の推進力を使って、えっちらおっちらと高度を稼いでいくんだろう。
ボーイングの衛星バスには、702SPという、イオンエンジン付きのがある。
ファルコン9の打ち上げで、2機同時に上がっている。
(呉作越舟)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/03/03/7583519
「この「オール電化衛星」の話は、このブログでも書いたことがある。」
(全電気衛星)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/03/27/7255333
ちょっと出力が足りないので、インテルサットとかには向かないんだろう。
ウィキにも、小型衛星用とある。
静止軌道衛星のような、中型から大型の衛星に使用するには、何かボトルネックがあるのかもしれない。
「電気推進技術は化学推進よりも設計が複雑であり、最大の欠点は静止軌道に到達するまでに半年間も必要となることであると、その欠点を指摘している。しかし、この欠点は打ち上げコストの低減で十分相殺されるとしている。」
そんなには、待てない事情があるのかもな。
いずれにしても、インテルサット35eは、コンベンショナルな推進剤を使ったふつーの衛星だ。
低い軌道から、時間を掛けて静止軌道に上がっていくんだろう。
打ち上げは、4月中とだけある(一部では、第2四半期)。
4月は、国家偵察局のスパイ衛星(16日?)、ISSへの物資補給(CRS-11:9日:予定)もあるからな。
30日に、インマルサットも予定されてる(確定)。
ひょっとしたら、5月に押し出される可能性があるな。
月に4回というのは、まだ多過ぎるかもしれない。
3月27日には、SES-10もあるしな(初の再使用ロケット)。
4月が目白押しな割に、5月はフィックスしているのはない。
なんとなく、SES-11が上がるかもという程度だ。
6月も少ない。
イリジウムネクストの11号から20号(バンデンバーグ)くらいか。
第2四半期までは、そんなもんだな。
第3四半期になると、また忙しくなる。
5月、6月に具体な予定を入れないのは、押しているスケジュールを片付けるのと、ファルコンヘビーの開発に専念しているからか。
これも、もう一つの正念場だ。
打ち上げビジネスの自由度を、格段に広げ、静止軌道の重量級衛星を上げるのに、アリアン5に対して、アドバンテージを持つことになる。
もちろん、デルタ4ヘビーも、丸呑みに出来る。
おまけに、1段目を3機とも回収して再使用できれば、コスパは最高だしな。
今年の、もう一つのメインイベントになるわけだ。
来年は、もちろん、有人飛行、うまくすれば月周回飛行というオマケまで付く。
まあ、本当に来年飛ぶと考えている人は少ないだろうけどな。
衛星打ち上げビジネスを軌道に乗せて、再使用ロケットでコストダウンを図るのが当面の課題だ。
ISSへのタクシーは、請負だからな。
余り、ぼろ儲けは期待できない。
コスト削減が効いてくるのは、競争がある市場だ。
アットーテキな低コストを武器に、市場席巻を果たせるかどうかだな。
そこに、のこのこ出てくるブルーオリジンが、勝負できるかどうか。
打ち上げロケットを1から作るということになる。
再使用を見越しているが、同じようにうまくいくとは限らない。
枯れた技術を大胆に組み合わせて、斬新な展開を見せるスペースXか、エンジン製造技術を活用して、一発逆転を出してくるブルーオリジンか、バルカンの開発に成功して、既得権益を守れるかどうかに追いつめられたULAか。
衛星打ち上げに限っても、熾烈な競争が展開されている。
開発費を償却し終わる前に、形だけ新しくして、新たな開発費を投入するどこかの国家プロジェクトとは異なる。
老舗のロシアやアリアンも、新規開発中だしな。
度肝を抜く低価格の中国やインドもある。
ロケット先進国から、3歩下がって影踏まず(!)という、我が国のロケット開発が、どこまで追いすがることが出来るのか。
地上インフラから、衛星インフラへのパラダイムシフトが始まろうとしている。
低価格で宇宙にアクセスできるようになれば、その構図は一気に進むかもしれない。
気が付けば、再使用ロケットばかりになり、多数の低軌道衛星を運用するのが当たり前になって、静止衛星市場も頭打ちになっているかもな。
打ち上げた衛星をメンテナンスする衛星が、繁盛しているかも知れない。
寿命は益々長くなり、打ち上げ時の重量は、さらに重くなっているかも知れない。
10トンくらいを静止軌道に上げられないと、相手にされないかもな。
低軌道衛星は、コンステレーションを組むわけだから、一度に10機くらい上げるのは当然だしな。
こっちも、ロケットの打ち上げ能力は大きくなる。
あとは、官需と隙間産業が残るだけだ・・・。
そこには、ロケット新興国が、低価格で参入してくる。
インド、中国、ニュージーランド(?)。
空の彼方を見上げれば、月探査や火星探査が目白押し。
にぎやかになる一方の宇宙開発だが、そこにどうコミットしていくかは、さらに困難さを増していくようにも思える。
イプシロンロケットの電脳化を調べていたんだが、米国は、既にそのゴールを超えて走り出している。
パソコン2台で管制する時代は、既に過去のものになりつつある。
ロケット自体がロボットになり、電脳化とAIによる管制が当たり前になるかもしれない。
人間は、発射3日前にスイッチ押すだけ。
打ち上げが中止になったとしても、人間はその理由さえ分からない。
AIの指示通りに、再起動の準備をするだけ。
交換を指示された部品を取り換え、燃料を入れなおして、もう一回スイッチを押す。
あれっ?、ウンともスンともいわないぞお?。
エラーを吐いて止まってしまう。
うーん、AIが故障したようなんだがな。
誰も直すことは出来ない。
仕方ない、次期ロケットは、レトロ仕様で再開発しよう・・・。
ファルコン9で来月打ち上げ予定になっている、インテルサット35eというのがある。
(Intelsat 35e)
https://en.wikipedia.org/wiki/Intelsat_35e
「Bus:Boeing 702MP」
「Launch mass:6 t (6.6 tons)」
「Rocket Falcon 9 Full Thrust」
「Orbital parameters:
Reference system:Geocentric
Regime:Geosynchronous
Longitude:34.5°W (Intended)」
5.5トンのエコースター23が、1段目の再使用も出来ずに、ヒーヒーいって、やっとこさ打ち上げたのに、2割増しに近い重量級のインテルサットを、静止軌道に打ち上げようというわけだ。
できんのかあ?。
しかも、ネットで見る限りは、今回のエコースター23の打ち上げが、足の付かないファルコン9の見納めだとあちこちに書いてある。
浮沈子も、それを信じていたんだがな。
答えは投入軌道にあるのかもしれない。
GTOではなく、地球周回軌道とだけ書いてある。
(地球周回軌道)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E5%91%A8%E5%9B%9E%E8%BB%8C%E9%81%93
「地球周回軌道または地心軌道(geocentric orbit)とは、月や人工衛星のように地球の周囲を周回する軌道である。」
軌道高度や軌道傾斜角は問わない。
具体的に、どんな軌道に投入されるのかは分からない。
少なくとも、1段目の回収を試みるなら、打ち上げ高度はGTOよりも低くなる(たぶん)。
そこから、衛星自身の推進力を使って、えっちらおっちらと高度を稼いでいくんだろう。
ボーイングの衛星バスには、702SPという、イオンエンジン付きのがある。
ファルコン9の打ち上げで、2機同時に上がっている。
(呉作越舟)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/03/03/7583519
「この「オール電化衛星」の話は、このブログでも書いたことがある。」
(全電気衛星)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/03/27/7255333
ちょっと出力が足りないので、インテルサットとかには向かないんだろう。
ウィキにも、小型衛星用とある。
静止軌道衛星のような、中型から大型の衛星に使用するには、何かボトルネックがあるのかもしれない。
「電気推進技術は化学推進よりも設計が複雑であり、最大の欠点は静止軌道に到達するまでに半年間も必要となることであると、その欠点を指摘している。しかし、この欠点は打ち上げコストの低減で十分相殺されるとしている。」
そんなには、待てない事情があるのかもな。
いずれにしても、インテルサット35eは、コンベンショナルな推進剤を使ったふつーの衛星だ。
低い軌道から、時間を掛けて静止軌道に上がっていくんだろう。
打ち上げは、4月中とだけある(一部では、第2四半期)。
4月は、国家偵察局のスパイ衛星(16日?)、ISSへの物資補給(CRS-11:9日:予定)もあるからな。
30日に、インマルサットも予定されてる(確定)。
ひょっとしたら、5月に押し出される可能性があるな。
月に4回というのは、まだ多過ぎるかもしれない。
3月27日には、SES-10もあるしな(初の再使用ロケット)。
4月が目白押しな割に、5月はフィックスしているのはない。
なんとなく、SES-11が上がるかもという程度だ。
6月も少ない。
イリジウムネクストの11号から20号(バンデンバーグ)くらいか。
第2四半期までは、そんなもんだな。
第3四半期になると、また忙しくなる。
5月、6月に具体な予定を入れないのは、押しているスケジュールを片付けるのと、ファルコンヘビーの開発に専念しているからか。
これも、もう一つの正念場だ。
打ち上げビジネスの自由度を、格段に広げ、静止軌道の重量級衛星を上げるのに、アリアン5に対して、アドバンテージを持つことになる。
もちろん、デルタ4ヘビーも、丸呑みに出来る。
おまけに、1段目を3機とも回収して再使用できれば、コスパは最高だしな。
今年の、もう一つのメインイベントになるわけだ。
来年は、もちろん、有人飛行、うまくすれば月周回飛行というオマケまで付く。
まあ、本当に来年飛ぶと考えている人は少ないだろうけどな。
衛星打ち上げビジネスを軌道に乗せて、再使用ロケットでコストダウンを図るのが当面の課題だ。
ISSへのタクシーは、請負だからな。
余り、ぼろ儲けは期待できない。
コスト削減が効いてくるのは、競争がある市場だ。
アットーテキな低コストを武器に、市場席巻を果たせるかどうかだな。
そこに、のこのこ出てくるブルーオリジンが、勝負できるかどうか。
打ち上げロケットを1から作るということになる。
再使用を見越しているが、同じようにうまくいくとは限らない。
枯れた技術を大胆に組み合わせて、斬新な展開を見せるスペースXか、エンジン製造技術を活用して、一発逆転を出してくるブルーオリジンか、バルカンの開発に成功して、既得権益を守れるかどうかに追いつめられたULAか。
衛星打ち上げに限っても、熾烈な競争が展開されている。
開発費を償却し終わる前に、形だけ新しくして、新たな開発費を投入するどこかの国家プロジェクトとは異なる。
老舗のロシアやアリアンも、新規開発中だしな。
度肝を抜く低価格の中国やインドもある。
ロケット先進国から、3歩下がって影踏まず(!)という、我が国のロケット開発が、どこまで追いすがることが出来るのか。
地上インフラから、衛星インフラへのパラダイムシフトが始まろうとしている。
低価格で宇宙にアクセスできるようになれば、その構図は一気に進むかもしれない。
気が付けば、再使用ロケットばかりになり、多数の低軌道衛星を運用するのが当たり前になって、静止衛星市場も頭打ちになっているかもな。
打ち上げた衛星をメンテナンスする衛星が、繁盛しているかも知れない。
寿命は益々長くなり、打ち上げ時の重量は、さらに重くなっているかも知れない。
10トンくらいを静止軌道に上げられないと、相手にされないかもな。
低軌道衛星は、コンステレーションを組むわけだから、一度に10機くらい上げるのは当然だしな。
こっちも、ロケットの打ち上げ能力は大きくなる。
あとは、官需と隙間産業が残るだけだ・・・。
そこには、ロケット新興国が、低価格で参入してくる。
インド、中国、ニュージーランド(?)。
空の彼方を見上げれば、月探査や火星探査が目白押し。
にぎやかになる一方の宇宙開発だが、そこにどうコミットしていくかは、さらに困難さを増していくようにも思える。
イプシロンロケットの電脳化を調べていたんだが、米国は、既にそのゴールを超えて走り出している。
パソコン2台で管制する時代は、既に過去のものになりつつある。
ロケット自体がロボットになり、電脳化とAIによる管制が当たり前になるかもしれない。
人間は、発射3日前にスイッチ押すだけ。
打ち上げが中止になったとしても、人間はその理由さえ分からない。
AIの指示通りに、再起動の準備をするだけ。
交換を指示された部品を取り換え、燃料を入れなおして、もう一回スイッチを押す。
あれっ?、ウンともスンともいわないぞお?。
エラーを吐いて止まってしまう。
うーん、AIが故障したようなんだがな。
誰も直すことは出来ない。
仕方ない、次期ロケットは、レトロ仕様で再開発しよう・・・。
火星の生命を探せ ― 2017年03月17日 21:13
火星の生命を探せ
(SHERLOC could solve the mystery of life on Mars)
http://www.spaceflightinsider.com/organizations/nasa/sherloc-solve-mystery-life-mars/
記事の内容は、大したことはない。
ラマン分光法で岩石の表面に付いている有機物を分析しようという話だ。
こういう話を聞くと、むらむらと反抗心が湧いてきて、悔しかったらゴキブリの1匹でも見つけてみろと言いたくなる。
しかし、火星において生命の探索を続けることは重要だ。
一つには、人々の関心を火星に引き付けておくということがある。
人類が次に目指す地に、少なくともかつては生命がいたことを証明できれば、我々が赴くことの意義は大きい。
月のように、過去に一度も生命を宿したことがないということになると、単なる荒野に行くだけの話になる。
月ではなぜダメなのか、火星ならいいのかという、つまらん話になる。
月面での継続的な活動も放棄して、人類は半世紀以上、地球の周りに留まっている。
浮沈子は、未来永劫このままでいいと思っているが、そうでない方々にとって、地球外惑星への進出というのは、必然なのだ。
運命と言っていい。
理屈じゃない。
なぜ、火星に行くかと言えば、それがそこにあるからだということになる。
しかし、今すぐ行くことは困難だ(月なら来年行けるかも!)。
あと、少なく見積もっても10年は無理だな。
その10年間を、何とかして繋いでいかなければならない。
液体の水があったら、そこで生命が誕生するという麗しきストーリーを勝手に描いて、かつて大量に水があったという証拠を集めているが、月のクレーターの中にだって水(氷)があることは確認されている。
(月の水)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%88%E3%81%AE%E6%B0%B4
「2009年10月9日、アトラス Vロケットの上段であるセントールが11時31分にカベウスに衝突し、そのすぐ後にエルクロスが噴煙の中を進みながら、その中の水蒸気の検出を試みた」
「後の観測で、水の割合は質量あたり"5.6 ± 2.9%と測定された」
しかしなあ、月面に生物がうようよしているという話は、聞いたことないしな。
人びとが月に関心を失ったのは、そこがロマンに溢れた世界ではなくなったからに違いない。
荒涼たる死の世界だ。
大気もなく、液体の水もなく、ゴキブリの一匹もいない世界。
そんなところで、暮らしたいと誰が思うだろうか。
実は、火星も似たり寄ったりだと思うんだが、少なくとも僅かの大気があり、かつて液体の水が存在し、月よりは多少重力が大きく、見栄えもいい(そうかあ?)。
ここに生命の存在か、悪くしても、かつて生命がいた痕跡を示すことが出来れば、月とは異なる天体としての魅力を得ることが出来ようというものだ。
浮沈子は、望み薄だと思っているけどな。
生命が、そんなに簡単に誕生するなら苦労はない。
以前、火星の隕石に生命の痕跡が発見されたというニュースが飛び交ったことがある。
(アラン・ヒルズ84001)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%92%E3%83%AB%E3%82%BA84001
「内部からはバクテリアのような生命体の微細な化石らしきものが確認され、地球外生命の痕跡ではないかと物議をかもしたが、現在に至るも結論は出ていない。」
浮沈子は思うんだが、火星起源の隕石が地球に降って来るなら、地球起源の隕石が、火星に降ってもおかしくないのではないか(未確認)。
地球だって、火山活動や巨大な天体の落下を経験してるんだからな。
近いところでは、チクシュルーブクレーターが出来たころの破片が飛んで行ったとしても不思議はない。
(チクシュルーブ・クレーター)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC
「メキシコのユカタン半島にある約6550万年前の小惑星衝突跡。」
「顕生代(5億4200万年以降)に形成されたことが確認されるものとしては最大級である。」
ちょっと新し過ぎる気がするなら、フレデフォートドームを形成した隕石でもいい。
(フレデフォート・ドーム)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%87%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%A0
「現存する世界最古の隕石跡」
「今から約20億2300万年前(古原生代)に直径10から12kmの小惑星が速度約20km/sで衝突」
火星が、その頃、どんな状況だったかは知らないが、よく探せばその頃の地球の生物がくっ付いた隕石を見つけることが出来るかもしれない。
運悪く、生でたどり着くことが出来なかったとしても、生物由来の何らかの痕跡を残していたかもしれないじゃないの。
それを見つけて、火星生命発見とかいってもいいしな。
地球生命だけが、パンスペルミア説で誕生しなくてもいいわけだしな。
(パンスペルミア説)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%A2%E8%AA%AC
「生命は宇宙に広く多く存在し、地球の生命の起源は地球ではなく他の天体で発生した微生物の芽胞が地球に到達したもの、とする説」
その地球から辿り着いた生命が、生のまま生き残ってたりしたら、浪漫は限りなく広がる。
なんたって、人類より先に火星移住を果たしたわけだしな。
ロケットとか飛ばして苦労して行かなくても、隕石に乗ってひとっ飛びだ。
隕石については、その衝突が生体分子の生成に寄与したという論文もある。
(隕石の海洋衝突による初期地球の有機物生成)
https://www.wakusei.jp/book/pp/2009/2009-4/226.pdf
途中は全部飛ばして、まとめだけ読んだ。
「現在のところ,隕石の海洋衝突,海底熱水,地球外飛来過程のうちどれも,タンパク質や核酸,生体膜の材料となる有機物をそろえることはできていない」
ホッとしたな。
この中に出てくる、後期重爆撃期というのはこれ。
(後期重爆撃期)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E6%9C%9F%E9%87%8D%E7%88%86%E6%92%83%E6%9C%9F
「天文学・地球惑星科学において41億年前から38億年前の期間を指す言葉である。」
「後期重爆撃期の主な証拠は月の石の年代測定から得られたもので、天体衝突に由来する月面の溶融岩石の大部分がこの短い期間に作られたと示されている。」
いささか反論もあるようだが、生命はそれ以前に誕生していたという説もあり、隕石衝突を地球生命の起源(のきっかけ)とするというのは、やや無理筋のような気もする。
まあいい。
いずれにしても、火星の生命というのが、生きていようが死んでいようが、我々の関心を引き付けていることは確かだ。
いや、科学者たちは、とっくに関心を失っているのかもしれない。
火星に生命なんているわけ(あるいは、いたわけ)ないじゃないの・・・。
浮沈子は、ホントはみんなそう思っていて、でも、それを言っちゃうと、いろいろ不都合なことが起こるので、みんな言わないようにしているんじゃないかと思ってるんだがな。
つまり、火星の生命を探せプロジェクトというのは、仕組まれた虚構であって、人々の関心を火星に向けさせておくための巧妙な仕掛けに過ぎないのではないかということだ。
不都合な真実というわけだな。
50年後のある日、国家機密が解除され、NASAの大量の文書の中から、一つのレポートが発見されるわけだ。
<以下、例によって、妄想が激しく展開されます。>
そこには、火星の生命についてだけではなく、地球の生命の誕生についても、驚くべき内容が記されている。
どんな内容かは、浮沈子も知らない。
極秘だからな。
内容は、50年後にならないと分からない。
ただ、問題は、その内容をNASAがどうやって知り得たかということだ。
人類の英知を超えた、生命の誕生に関する極秘の事実・・・。
当然、地球外知的生命からのサジェスチョンによるものと考えざるを得ない。
今、NASAが関心を持っているのは、火星の特定の地域だ。
(ゲール (クレーター))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%AB_(%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC)
「ゲールクレーターはNASAの火星探査計画マーズ・サイエンス・ラボラトリー (MSL) の着陸地点として選定された」
もちろん、こんなところで生命の痕跡を探そうなどと考えているわけはない。
探しているのは、もっと違うものだ。
そう、1:4:9の辺の比を持つ、例のやつだ。
そして、宇宙の歴史が書き換えられることになるのだ・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
火星の生命を探求することは、地球の生命の成り立ちを明らかにすることに繋がるかもしれない。
生命の起源が海洋底の熱水鉱床にあるなら、火星にそんなもんがあったとは思えないしな。
そうでなければ、火星に生命が誕生するための、全く異なるプロセスを考え出さなければならなくなる。
堆積岩がゆるゆると積もっていく過程で、都合のいい変化が起こるというのも説得力に欠けるような気がする。
しかも、その期間は火星の場合、地球よりも遥かに短かった。
いくら掘ってみたって、生命の痕跡なんて出てくるわけはない。
キュリオシティが探しているのは、そんなもんじゃない。
四角いヤツに違いないのだ。
なんで、それが月じゃなくって火星にあるのかってえ?。
NASAの機密文書だからな。
浮沈子にも分からん・・・。
(第3回 火星探査車の着陸地点を選ぶということ:追加)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/16/103100015/110800004/?P=1
「火星で今も季節ごとに水が流れている場所は避けるんです。生命がいるかもしれないから」
「あと、地下何メートル以内に氷があるかもしれない場所もダメ」
これを読むと、火星を地球の生物で汚染しないという建前で、わざわざ生物がいそうな場所を避けているようだな・・・。
(SHERLOC could solve the mystery of life on Mars)
http://www.spaceflightinsider.com/organizations/nasa/sherloc-solve-mystery-life-mars/
記事の内容は、大したことはない。
ラマン分光法で岩石の表面に付いている有機物を分析しようという話だ。
こういう話を聞くと、むらむらと反抗心が湧いてきて、悔しかったらゴキブリの1匹でも見つけてみろと言いたくなる。
しかし、火星において生命の探索を続けることは重要だ。
一つには、人々の関心を火星に引き付けておくということがある。
人類が次に目指す地に、少なくともかつては生命がいたことを証明できれば、我々が赴くことの意義は大きい。
月のように、過去に一度も生命を宿したことがないということになると、単なる荒野に行くだけの話になる。
月ではなぜダメなのか、火星ならいいのかという、つまらん話になる。
月面での継続的な活動も放棄して、人類は半世紀以上、地球の周りに留まっている。
浮沈子は、未来永劫このままでいいと思っているが、そうでない方々にとって、地球外惑星への進出というのは、必然なのだ。
運命と言っていい。
理屈じゃない。
なぜ、火星に行くかと言えば、それがそこにあるからだということになる。
しかし、今すぐ行くことは困難だ(月なら来年行けるかも!)。
あと、少なく見積もっても10年は無理だな。
その10年間を、何とかして繋いでいかなければならない。
液体の水があったら、そこで生命が誕生するという麗しきストーリーを勝手に描いて、かつて大量に水があったという証拠を集めているが、月のクレーターの中にだって水(氷)があることは確認されている。
(月の水)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%88%E3%81%AE%E6%B0%B4
「2009年10月9日、アトラス Vロケットの上段であるセントールが11時31分にカベウスに衝突し、そのすぐ後にエルクロスが噴煙の中を進みながら、その中の水蒸気の検出を試みた」
「後の観測で、水の割合は質量あたり"5.6 ± 2.9%と測定された」
しかしなあ、月面に生物がうようよしているという話は、聞いたことないしな。
人びとが月に関心を失ったのは、そこがロマンに溢れた世界ではなくなったからに違いない。
荒涼たる死の世界だ。
大気もなく、液体の水もなく、ゴキブリの一匹もいない世界。
そんなところで、暮らしたいと誰が思うだろうか。
実は、火星も似たり寄ったりだと思うんだが、少なくとも僅かの大気があり、かつて液体の水が存在し、月よりは多少重力が大きく、見栄えもいい(そうかあ?)。
ここに生命の存在か、悪くしても、かつて生命がいた痕跡を示すことが出来れば、月とは異なる天体としての魅力を得ることが出来ようというものだ。
浮沈子は、望み薄だと思っているけどな。
生命が、そんなに簡単に誕生するなら苦労はない。
以前、火星の隕石に生命の痕跡が発見されたというニュースが飛び交ったことがある。
(アラン・ヒルズ84001)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%92%E3%83%AB%E3%82%BA84001
「内部からはバクテリアのような生命体の微細な化石らしきものが確認され、地球外生命の痕跡ではないかと物議をかもしたが、現在に至るも結論は出ていない。」
浮沈子は思うんだが、火星起源の隕石が地球に降って来るなら、地球起源の隕石が、火星に降ってもおかしくないのではないか(未確認)。
地球だって、火山活動や巨大な天体の落下を経験してるんだからな。
近いところでは、チクシュルーブクレーターが出来たころの破片が飛んで行ったとしても不思議はない。
(チクシュルーブ・クレーター)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC
「メキシコのユカタン半島にある約6550万年前の小惑星衝突跡。」
「顕生代(5億4200万年以降)に形成されたことが確認されるものとしては最大級である。」
ちょっと新し過ぎる気がするなら、フレデフォートドームを形成した隕石でもいい。
(フレデフォート・ドーム)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%87%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%A0
「現存する世界最古の隕石跡」
「今から約20億2300万年前(古原生代)に直径10から12kmの小惑星が速度約20km/sで衝突」
火星が、その頃、どんな状況だったかは知らないが、よく探せばその頃の地球の生物がくっ付いた隕石を見つけることが出来るかもしれない。
運悪く、生でたどり着くことが出来なかったとしても、生物由来の何らかの痕跡を残していたかもしれないじゃないの。
それを見つけて、火星生命発見とかいってもいいしな。
地球生命だけが、パンスペルミア説で誕生しなくてもいいわけだしな。
(パンスペルミア説)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%82%A2%E8%AA%AC
「生命は宇宙に広く多く存在し、地球の生命の起源は地球ではなく他の天体で発生した微生物の芽胞が地球に到達したもの、とする説」
その地球から辿り着いた生命が、生のまま生き残ってたりしたら、浪漫は限りなく広がる。
なんたって、人類より先に火星移住を果たしたわけだしな。
ロケットとか飛ばして苦労して行かなくても、隕石に乗ってひとっ飛びだ。
隕石については、その衝突が生体分子の生成に寄与したという論文もある。
(隕石の海洋衝突による初期地球の有機物生成)
https://www.wakusei.jp/book/pp/2009/2009-4/226.pdf
途中は全部飛ばして、まとめだけ読んだ。
「現在のところ,隕石の海洋衝突,海底熱水,地球外飛来過程のうちどれも,タンパク質や核酸,生体膜の材料となる有機物をそろえることはできていない」
ホッとしたな。
この中に出てくる、後期重爆撃期というのはこれ。
(後期重爆撃期)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E6%9C%9F%E9%87%8D%E7%88%86%E6%92%83%E6%9C%9F
「天文学・地球惑星科学において41億年前から38億年前の期間を指す言葉である。」
「後期重爆撃期の主な証拠は月の石の年代測定から得られたもので、天体衝突に由来する月面の溶融岩石の大部分がこの短い期間に作られたと示されている。」
いささか反論もあるようだが、生命はそれ以前に誕生していたという説もあり、隕石衝突を地球生命の起源(のきっかけ)とするというのは、やや無理筋のような気もする。
まあいい。
いずれにしても、火星の生命というのが、生きていようが死んでいようが、我々の関心を引き付けていることは確かだ。
いや、科学者たちは、とっくに関心を失っているのかもしれない。
火星に生命なんているわけ(あるいは、いたわけ)ないじゃないの・・・。
浮沈子は、ホントはみんなそう思っていて、でも、それを言っちゃうと、いろいろ不都合なことが起こるので、みんな言わないようにしているんじゃないかと思ってるんだがな。
つまり、火星の生命を探せプロジェクトというのは、仕組まれた虚構であって、人々の関心を火星に向けさせておくための巧妙な仕掛けに過ぎないのではないかということだ。
不都合な真実というわけだな。
50年後のある日、国家機密が解除され、NASAの大量の文書の中から、一つのレポートが発見されるわけだ。
<以下、例によって、妄想が激しく展開されます。>
そこには、火星の生命についてだけではなく、地球の生命の誕生についても、驚くべき内容が記されている。
どんな内容かは、浮沈子も知らない。
極秘だからな。
内容は、50年後にならないと分からない。
ただ、問題は、その内容をNASAがどうやって知り得たかということだ。
人類の英知を超えた、生命の誕生に関する極秘の事実・・・。
当然、地球外知的生命からのサジェスチョンによるものと考えざるを得ない。
今、NASAが関心を持っているのは、火星の特定の地域だ。
(ゲール (クレーター))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%AB_(%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC)
「ゲールクレーターはNASAの火星探査計画マーズ・サイエンス・ラボラトリー (MSL) の着陸地点として選定された」
もちろん、こんなところで生命の痕跡を探そうなどと考えているわけはない。
探しているのは、もっと違うものだ。
そう、1:4:9の辺の比を持つ、例のやつだ。
そして、宇宙の歴史が書き換えられることになるのだ・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
火星の生命を探求することは、地球の生命の成り立ちを明らかにすることに繋がるかもしれない。
生命の起源が海洋底の熱水鉱床にあるなら、火星にそんなもんがあったとは思えないしな。
そうでなければ、火星に生命が誕生するための、全く異なるプロセスを考え出さなければならなくなる。
堆積岩がゆるゆると積もっていく過程で、都合のいい変化が起こるというのも説得力に欠けるような気がする。
しかも、その期間は火星の場合、地球よりも遥かに短かった。
いくら掘ってみたって、生命の痕跡なんて出てくるわけはない。
キュリオシティが探しているのは、そんなもんじゃない。
四角いヤツに違いないのだ。
なんで、それが月じゃなくって火星にあるのかってえ?。
NASAの機密文書だからな。
浮沈子にも分からん・・・。
(第3回 火星探査車の着陸地点を選ぶということ:追加)
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/16/103100015/110800004/?P=1
「火星で今も季節ごとに水が流れている場所は避けるんです。生命がいるかもしれないから」
「あと、地下何メートル以内に氷があるかもしれない場所もダメ」
これを読むと、火星を地球の生物で汚染しないという建前で、わざわざ生物がいそうな場所を避けているようだな・・・。
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