慎重な判断2017年03月29日 07:15

慎重な判断
慎重な判断


(Pre-flight static fire test performed on flight-proven Falcon 9)
http://www.spaceflightinsider.com/organizations/space-exploration-technologies/pre-flight-static-fire-test-performed-on-flight-proven-falcon-9/

日本時間で31日の朝7時に変更になった、ファルコン9によるSES-10の打ち上げ。

回収した1段目を使った初の再使用ロケットの打ち上げになる。

スペースシャトルだって、オービターとか固体燃料ブースターとかは再使用していたわけで、別に大騒ぎする程の事はないし、当初の目論見に反して、2段目の再使用は今後とも行われない見込みなので、いささか冷めた目になってしまう。

それでも、従来使い捨てになっていた1段目を回収し、再使用に漕ぎつけたというのは快挙だ。

成功すれば、宇宙開発の歴史に新たなページが加わることになる。

注目すべきは、この打ち上げにおいても、洋上回収が試みられる点だな。

衛星重量5.3トンということで、回収にチャレンジする。

再使用ロケットを回収して、再度、使用するかどうかは別だ。

繰り返し使用による傷み具合を確認する意味でも、必要な措置だろう。

このブログでも何度か触れているが、イーロンマスクのぶっ飛びツイッターとは裏腹に、スペースXという会社自体は、極めて保守的でマトモな手法を採っている。

堅実で、一歩一歩進めている。

ライバル社が、1点突破を図っても慌てない。

その表れの一つが、記事中にあるこの記述。

「The maiden flight of the Falcon Heavy will only occur once nearby Space Launch Complex 40 is repaired.」

ド派手に爆発して、39Aをぶっ壊す可能性もあるからな。

そうしたら商売あがったりだ。

燃料(液酸)注入時に爆発炎上してぶっ壊した40を直してからでないと、ヘビーの試験発射は行わない。

そうか、ヘビーの発射の遅れは、それが原因だったのか。

挑戦的な打ち上げの背後に見える慎重な判断。

ということは、あれかあ、試験発射の際は、なんか期待してもいいってことなのかあ?。

まあいい。

39Aの改修は、どうみても中途半端で必要最小限に見える。

スペースシャトルの発射施設とか、残したまんまだしな。

ファルコンヘビー使って、爆破解体するつもりなんだろうか?。

まさか・・・。

聖職の碑2017年03月29日 19:06

聖職の碑


(顧問「絶対安全と判断」=8人死亡で謝罪-栃木スキー場雪崩)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032901047&g=soc

雪山に入って雪崩にあったということだが、学校行事によって8人の死者を出したことから大きく報道されている。

スキー場で雪崩というのは意外だったが、既に営業期間を終えていたことと、ゲレンデからは外れていたことなどが重なり、ただの雪山での冬期登山になっていたようだ。

しかも、半日足らずで30cmを超える新雪が積もり、表層雪崩の危険が予想される中で、ラッセル訓練を実施していたという。

「絶対安全だと判断した」

その根拠や判断された方の経験値は分からない。

絶対に雪崩は起きないと考えていたことは確かだ。

その危険が想定されるときの装備がなかった。

そもそも、その認識があれば、登山は行わなかったに違いない。

ちょっと痛ましい事故になってしまったので、余りヨタ記事に取り上げるのは気が進まなかったんだが、ダイビングのリスク管理とも絡む話で、一応整理しておきたかった。

ビーコンという装置についても、参考になる。

漂流した際に身に着けていれば、発進場所を特定して救助してくれるという優れものだそうだ。

元々の計画を変更して、絶対安全と思われる訓練に切り替えたという。

その設定にミスがあったということなんだが、今後、どういう総括がなされるかは分からない。

浮沈子は、登山とか雪山には完全な素人なので、何が問題だったかも良く分かっていない。

思い出したのは、若いころに観た聖職の碑という映画のことだ。

(聖職の碑)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032901047&g=soc

「中央アルプスの木曽駒ヶ岳における山岳遭難事故(木曽駒ヶ岳大量遭難事故)を題材とした新田次郎の山岳小説および、それを原作とした鶴田浩二主演の映画」

「(これから登山に行くのに、恐ろしい遭難シーンがあるため)子供たちが怖がるので見せないで欲しい」

今風だな。

2時間半を超える大作だが、興行的には失敗作だったらしい。

まあ、遭難して幼い子供が死んじまう映画だからな。

娯楽として楽しむという類ではない。

この中でも、綿密な計画を練り、周到な準備をして臨んだにもかかわらず、想定外の事象が発生し、事故は起こった。

危険を伴う訓練という点では、共通のものがあるが、同列に考えていいかどうかは良く分からない。

起こってしまったことを元に戻すことは出来ない。

再び、このようなことが起こらないようにするしかない。

それは、高校生の冬期登山を禁止することなんだろうか?。

それとも、他の方策を見出す努力をすることなんだろうか?。

(半径5メートルくぼ地に9人=顔たたき「眠るな」-8人死亡雪崩事故・救助隊証言)
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017032900182&g=soc


「若者の死に顔を見るのは忍びない。」

「ここまで悲惨な現場はなかった」

やりきれない思いだな。