External Situation Report 12017年05月18日 08:23

External Situation Report 1
External Situation Report 1


コンゴ民主共和国(DRC)において、8度目のエボラの感染が報告された件については、既にこのブログでも触れた。

(エボラ再び?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/05/13/8557690

ワクチンがないこと、確立された治療法がないこと、感染から発病までの潜伏期間があること、発病してからの進行が速いことなどから、最も警戒される感染症の一つとなっている。

死亡率は、25パーセントから90パーセント(平均約50パーセント)と、極めて高い。

ちなみに、ふつーのインフルエンザの死亡率は、0.05パーセントといわれているから、ざっと1000倍の死亡率だ。

現在のところ、ヒト同士では、接触感染が主たる感染経路とされている。

(エボラ出血熱について (ファクトシート))
http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2016/01191142.html

「要点
●Ebola virus disease(エボラ出血熱)は、人間では重症化し、しばしば死に至る病気です。
●ウイルスは野生動物から人に感染し、生活環境下では人から人へも感染伝播します。
●エボラ出血熱の死亡率は平均して50%前後です。過去の流行では、致死率は25%から90%の間で変動しています。
●エボラ出血熱の最初の流行は、アフリカの中部の熱帯雨林に近い僻村で発生しました。しかし、西アフリカでの最近の流行は僻村だけでなく主要都市でも発生しています。
●地域社会の関わりが流行を制御するための鍵となります。感染流行の適切な制御は、地域介入において、症例の管理、調査研究と接触者の追跡、対応能力をもった検査体制、安全な埋葬、社会資源の動員といった一連の組立てを当てはめることにかかっています。
●補液による早期の支持療法、対症療法は生存率を向上させます。まだ、ウイルスを中和し改善させるための承認された治療法はありません。しかし、ある種の血液療法、免疫療法、薬物療法が開発途上にあります。
●現在、承認されたエボラのワクチンはありません。しかし、2種類の有望なワクチン候補が評価の段階にあります。」

(WHO Regional Director for Africa, Dr Matshidiso Moeti arrives in Kinshasa to discuss response to Ebola outbreak)
http://www.afro.who.int/en/media-centre/pressreleases/item/9609-dr-moeti-in-kinshasa-to-discuss-reponse-to-ebola-outbreak.html

この記事から、以下の資料を見つけた。

(External Situation Report 1)
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/255419/1/EbolaDRC-1552017-eng.pdf?ua=1

「Current risk assessment
(中略)
WHO advises against the application of any travel or trade restrictions on the Democratic Republic of Congo based on the current information available on this Ebola outbreak.」(WHOは、このエボラ大流行で利用可能な最新の情報に基づいて、コンゴ民主共和国に対する旅行または貿易制限の適用を控えている。:自動翻訳のまま)

改行が入ってしまうと、それでなくてもユニークな自動翻訳が、ますますワケワカになるので、手動で改行を解除しなければならない。

つまり、WHOは、旅行制限とか貿易制限を掛けてはいないということになる。

一週間前の我が国の対応は、これとは一線を画している。

(エボラ出血熱で死亡を確認 コンゴ民主共和国)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170513/k10010980121000.html

「患者が確認された地域は日本からの旅行者が一般に行き来する場所ではなく、現時点では範囲も限定されている。エボラ出血熱は主に患者の体液に直接触れることで感染するので、一般の旅行者が感染して日本にウイルスが持ち込まれるリスクは非常に低いが、万一に備えて現地への渡航はできるだけ避けてほしい」

NHKは、このように報じているが、外務省のページは、エボラに対しては中立的だ。

(コンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の発生)
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2017C103.html

「感染者が発生している地域には近づかないようにし、感染者又は感染の疑いがある人との接触は避けてください。」

つーか、あれだな、DRG自体が、危険地域として従来から指定されているところが多いということだ。

「外務省は、従来から、バ=ズエレ州を含む同国の一部地域に対して、退避勧告を発出しています。」

「バ=ズエレ州の中央アフリカ国境地帯を含む東部地域及び中南部に位置するカサイ3州には退避勧告が発出されており、どのような目的であれ渡航を止め、これらの地域へ滞在している方は、安全な国・地域へ退避してください。また、同国北西部の中央アフリカ国境地帯には渡航中止勧告が発出されており、どのような目的であれ渡航を止めるよう注意喚起しています。」

「エボラ出血熱に感染しないよう、以上を参考に、感染者が発生している地域に近付かないようにし、感染者又は感染の疑いがある人との接触は避け、野生動物の肉(bush meatやジビエと称されるもの)を食さないなど、エボラ出血熱の感染予防を心がけてください。」

今のところ、アフリカ中央部に渡航する予定はない。

今回は、発症が4月22日以前(感染自体はさらに一週間から10日ほど前:たぶん)で、既に1か月が経過している。

監視対象が125人と少ないので、比較的監視もしやすい。

ちょっと気になるのは、最初の患者を運んだバイクの運ちゃんと、手伝いをした人が、短い期間で死亡している点だ。

残酷な話だが、短い期間で亡くなる方が、感染が広がるリスクは少ない。

だらだらと、ウイルスをまき散らす時間が長いほど、周囲に感染させるわけだからな。

だから通常は、致死的な病気が広範囲に広がることは論理的にはない。

すぐ、動けなくなって、死んじゃうから。

2014年からの西アフリカでの大流行は、その死体を媒介として、埋葬習慣の特殊性が流行を加速したという、例外中の例外だな。

今回は、そういう特殊性はないだろう。

大都市からは、十分隔離されている。

しかし、安心するのは早過ぎるかもしれない。

事態の終息までは、目を離せない気がする。

(DRC: Response to The Ebola Virus Disease Outbreak in Bas-Uele:追加)
http://www.afro.who.int/en/media-centre/pressreleases/item/9631-drc-response-to-the-ebola-virus-disease-outbreak-in-bas-uele.html