チタン製2017年06月26日 11:54

チタン製
チタン製


土星の衛星にもこの名があるが(ふつーはタイタン)、とにかく、軽くて丈夫な金属だ。

このチタンをハエ叩き(グリッドフィン)に使ったファルコン9が上がった。

(2 launches, 2 landings, 2 days: Falcon 9 sends Iridium-2 satellites into space)
http://www.spaceflightinsider.com/organizations/space-exploration-technologies/2-launches-2-landings-2-days-falcon-9-sends-iridium-2-satellites-space/

「The Falcon 9 used for the Iridium-2 mission sported upgraded titanium grid fins, replacing the aluminum design that frequently caught fire during reentry.」(イリジウム2のミッションに使用されたファルコン9は、再突入中に頻繁に火災を起こしたアルミニウム設計を取り替えることで、改良されたチタングリッドフィンを磨いた。:自動翻訳のまま)

こういう細かいアップグレードが施されているということは、テクニカルな管理が行き届いている証拠だ。

それとも、生中継の画像の見栄えだけの問題なんだろうか?(どうやら、再使用の際にメンテナンスしなくてもいいらしいです)。

まあいい。

映像は多少ジタバタしているが、イリジウムの10個の衛星は無事に放出されたようだ。

(Iridium-2 Launch Webcast:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=7tIwZg8F9b8

「SpaceX’s Falcon 9 rocket will deliver 10 satellites to low-Earth orbit for Iridium, a global leader in mobile voice and data satellite communications. 」

映像を見ていると、23分(T+3分)辺りで短いブーストバック噴射をしているような気もする。

解説のおじさんも、そういってたしな。

ふーん、バンデンバーグからドローン船に降ろす時は、ブーストバックするんだ・・・。

(Iridium-1 Hosted Webcast:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=tTmbSur4fcs

前回も、24分過ぎ(T+4分25秒辺り)で、ブーストバック噴射してるのが確認できる。

この時は、ハエ叩き(グリッドフィン)が赤熱している様子はない。

今回と同じ打ち上げだが、細かく見ると打ち上げ後のスケジュールが異なることが分かる。

「Iridium-1 NEXT Mission:
LAUNCH AND SATELLITE DEPLOYMENT
Hour/Min/Sec Events
00:01:09 Max Q (moment of peak mechanical stress on the rocket)
00:02:24 1st stage engine shutdown/main engine cutoff (MECO)
00:02:27 1st and 2nd stages separate
00:02:35 2nd stage engine starts
00:03:15 Fairing deployment
00:07:49 1st stage landing
00:09:09 2nd stage engine cutoff (SECO-1)
00:52:31 2nd stage engine restarts
00:52:34 2nd stage engine cutoff (SECO-2)
00:59:16 Iridium NEXT satellites begin deployment
01:14:16 Iridium NEXT satellites end deployment」(プレスキットより)

「Iridium-2 NEXT Mission:
LAUNCH, LANDING AND SATELLITE DEPLOYMENT
Hour/Min/Sec Events
00:01:09 Max Q (moment of peak mechanical stress on the rocket)
00:02:24 1st stage main engine cutoff (MECO)
00:02:28 1st and 2nd stages separate
00:02:35 2nd stage engine starts
00:03:16 Fairing deployment
00:05:48 1st stage entry burn begins
00:07:45 1st stage landing
00:09:04 2nd stage engine cutoff (SECO-1)
00:52:06 2nd stage engine restarts
00:52:09 2nd stage engine cutoff (SECO-2)
00:57:10 Iridium NEXT satellites begin deployment
01:12:00 Iridium NEXT satellites end deployment」(プレスキットより)

テレメトリーでは、衛星放出開始時の速度・高度は以下のようになっている。

項目:1回目:2回目
速度(km/h):27119:27110
高度(km):623:625

軌道が違うのか、誤差のうちなのかは分からない。

実際の運用高度(780km)よりは、やや低い高度で投入している。

衛星自身の推力で、所定の高度まで上がっていくんだろう。

チタン製に変更したグリッドフィンは、今回も赤熱した様子はなかった。

低軌道打ち上げには、過ぎた材質かもしれない。

が、まあ、妥当な投資だろうな。

この部品を付けたまま回収されるわけだからな。

使い捨てではない。

浮沈子の前歯の人工歯根はチタン製だ。

もちろん、使い捨てではない。

どころか、骨壺に入れられて、地球が蒸発してなくなる日まで存在し続けるだろう(そうかあ?)。

まあ、どうでもいいんですが。

重量級とはいえ、低軌道衛星の投入や1段目の回収は、危なげなく行われている。

どうやら着陸は、ハードランディングだったらしい。

(Rocket is extra toasty and hit the deck hard (used almost all of the emergency crush core), but otherwise good)
https://twitter.com/elonmusk/status/878334920141135872?ref_src=twsrc%5Etfw&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.theverge.com%2F2017%2F6%2F25%2F15870934%2Fspacex-second-launch-weekend-rocket-landing-success-falcon-9-landing

見た感じは、悪くなかったんだがな。

今後の改善に期待だ。

※(訂正:このハードランディングは、前回の着陸のコメントだった。)

(米スペースX、2日間で2機の「ファルコン9」ロケットの打ち上げに成功:追加:ハードランディングがブルガリアサット1の打ち上げだったことが書かれている)
http://news.mynavi.jp/articles/2017/06/27/falcon9_bulgariasat1/

「ロケットはトーストのように焼かれ、着地時の衝撃も大きなものとなりました。クラッシュ・コアもほとんどすべて使い尽くしまいました。ただ、それ以外は良好です」(ブルガリアサット1)

「ロケットは着地の直前、突如として、横方向へ強く打たれたようになりました。おそらく強い突風のせいか、もしくはロケットに何か問題が起きたのかもしれません。テレメトリーを分析したいと思います」(ブルガリアサット1)

イリジウムは、今後の打ち上げで再使用ロケットの使用を検討するだろう。

彼らにとって重要なのは、スケジュールだからな。

新品のロケットより、再使用ロケットの方が早く手に入るなら、そちらを選ぶだろう。

スペースXにとっても、その方がコスト削減に繋がり、収益を増大させるはずだ。

ウインウインとかいう、訳の分からない言葉が流行っているようだが、そういうことになる。

どのくらい再使用ロケットを使うことになるかは分からない。

しかし、今後は、新品よりも再使用で上げる方が多くなっていくはずだからな。

フライトプローブンというブランドが定着するかどうかは、今後の展開次第だが、スケジュール重視という需要を満たす要素としても注目だ。