印象その22017年08月12日 23:29

印象その2


2003年型の素のボクスターで、深夜の道を走る。

環八から第三京浜(保土ヶ谷折り返し)、玉川通りを環七まで走って戻って来る。

ささやくような、つぶやくような、かすかな唸りをあげてまわる水平対向6気筒のNAエンジンは、このクルマのためには二度と作られることはないのだと思うと、もう、それだけで手放したくなくなる。

いけない、いけない・・・。

この個体なら、きっと大切に乗ってくださる次のオーナーがいるに違いない。

安物のカバーを掛けて、野晒しにするのではなく、屋根付きのガレージに収まって、幸せな時を過ごすことがあるかもしれない。

ガレージハウスに収まって、たまの休暇に訪れるオーナーのお供をして、ワインディングで踊るように走ることが出来るかもしれない。

そういう第二の人生を送らせてやるためにも、このクルマに感情移入しないように努めてきた。

しかし、今夜のドライブは格別だな。

夏の夜の、静かな走り・・・。

もちろん、オープン!。

このクルマの正装である。

第三京浜では、サイドウインドウを上げたが、下道では全開。

エンジンとタイヤとボディの軋み(やや出てます)に耳を澄ませ、巻き込む風とともに走る時間を味わい尽くす。

ダンロップのタイヤは、絶対失敗だったな。

好みにもよるし、コスパは悪くないが、音といい、ドタバタ感といい、このクルマの走りには少々そりが合わない。

マッチングの問題で、タイや固有の話ではないかもしれない。

このタイヤを履きつぶす前に手放そうと決めている。

次の車検の前に、さよならする。

しかし、惜しいな。

この時間を、二度と取り戻すことは出来ない。

ポルシェは、もう、6気筒水冷エンジンをボクスターのために作ることはないのだ。

(軽量化と高性能化を実現した新たなポルシェ「911」用エンジンを、シンガー社とウィリアムズが共同開発)
http://jp.autoblog.com/2017/08/12/singer-01-williams-02-porsche-911-engine-lightweight-services/

「1990年型ポルシェ 911のリアに搭載する4.0リッター空冷式水平対向6気筒エンジンを"再創造"した。」

「このエンジンは最高回転数9,000rpmを超え、最高出力500hpを発揮するとのこと。カーボンファイバー、マグネシウム、チタン、そしてインコネル製のパーツをエンジン内の広範囲に使用」

このエンジンを、ボクスターに積んで欲しいもんだな。

前後を逆にして、多少弄れば、積めないことはないだろう。

21世紀の技術で、空冷ボクスターが走れば、買いたいエンスーは世界中にいるに違いない・・・。

しかし、それは、叶わぬ夢でしかない。

「入念に献身的に開発されたこのアイコン的な空冷式エンジンは、911を愛してやまない現在と未来のオーナーたちにとって非常に有意義なものになるでしょう」

ボクスター/ケイマンは、911のように偶像化されることはない。

それは、現世利益を追求したモデルであり、下克上を許されることのない、永遠の格下である。

まあいい。

浮沈子が初めて乗ったポルシェだ。

そのブレーキに感動し、ブレーキを踏むために加速したクルマだ(アホか?)。

オープンカー(和製英語)は、ロードスター(NBの1600)に乗っていたから初めてではなかったが、電動で開け閉めするのが面白くて、意味もなく動かしたクルマだ(やっぱ、アホか?)。

余り遠出はしていないけど、近所の箱根にはよく行った。

この夏が、最後の夏になるだろう。

夏の夜を、屋根を開け放って走ることは、もうない。

6年余りの年月を、大きなトラブルもなく走り切った。

感謝だな・・・。

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