CCRは特殊器材か2017年09月26日 20:25

CCRは特殊器材か
CCRは特殊器材か


後半のTDIのダイビングでは、数だけ見ればガイドを含めても14人中5人だけがオープンサーキットだから、特殊器材とは言えない。

特殊なのは、OCの方で、CCRがふつーの器材になる。

まあ、もちろん、そういう話にはならない。

全世界で数千万人のオープンサーキットダイバーが潜っていて、CCRが10万台売れていたとしても、極僅かに過ぎない(そんなにゃあ売れてないだろうしな)。

累計で見たって、100万台は売れてない。

少数派であることは間違いない。

最近は、100万円前後で買えるようになったとはいえ、高額であることに変わりはないし、イニシャルコストだけでなく、使いこなすまでのトレーニングや、ランニングコスト、使用できるゲレンデの事を考えると、なかなか普及しないのも当然かも。

使い方はややっこしいし、何よりふつーに呼吸していても簡単に死ねる。

ガスを循環させるという構造が内包する潜在的、かつ根源的な欠陥だ。

酸素の供給が途絶えた場合、ハイポキシアになるまでの呼吸回数は、僅か数回である(!)。

どのくらいの頻度でPO2を確認するかとか、モニターが生きているかを見るかと聞かれることがあるが、死にたくなければ1分に1回確認するのがよろしい(メーカーは、2分以内と言ってるけどな)。

3時間潜っているなら、180回確認する。

そういう器材ということになる。

特殊器材だろう・・・。

特に、コンピューターに全てを依存しているeCCRは、自動的に酸素分圧を調整してくれるが、故障した時は自動的に死ぬ。

絞首刑台に乗って、床板が開かないように、いつも気にしていなければならない。

器材が正常に機能しているかどうかは、ダイバーに確認義務がある。

メーカーには、製造物責任があるんだろうが、訴訟でどうなっているのかは知らない。

それを承知で使う器材だ。

世の中には星の数ほどCCRがあるけど、CCR工業会みたいな団体があって、そこが特許や企業間の競争を超えて、ハードやソフトに対して相互に情報を交換し合って、製品の品質を高めているなどという麗しい話は聞いたことがない。

いくつもの屍を乗り越えて、確立されていくのを期待するしかないのだ。

自分が、その人柱にならないようにと祈りながら。

CCRの講習では、器材の故障への対応が、9割以上を占めると言っていい。

壊れることを想定して、それでも安全に潜れるようにならなければ、使うこと自体がリスクになる。

どんな故障であっても、必ず対応できるようにならなければならない。

予備の呼吸源は、必要不可欠であって、それを省略することは出来ない。

BCやドライスーツと共用する場合は、計画しているダイビングに対して、十分なガス量があるかどうかを確認しなければならない。

へたくそな浮沈子の場合、酸素よりもディリュエントの消費量の方が概ね多い。

今回の小笠原でも、移充填や船上のコンプレッサーで補っている。

1日3回のダイビングは、余程、慎重にプロファイルを考えて潜らないと、持たないだろう。

特に、小笠原ではな・・・。

まあいい。

CCRは、やはり特殊器材だ。

OCに対して特殊ということもあるけど、全く異なる呼吸器だという認識を持つ必要がある。

呼吸するガスを作る工場を水中に持ち込んでいるわけだから、工場の管理は重要だ。

エアディリュエントなら、空気と酸素が燃料になる。

二酸化炭素除去剤も重要だな。

酸素センサーは、生ものと同じだ。

鮮度の管理(製造や、開封からの時間)が、メーカー指定の期限内になっているかどうか。

バッテリーの特性も把握しておく必要がある。

機種によって、バラバラなのも困るが、最近のはリチウムイオン電池で充電式になっているようだ。

工場の中で、ガスを動かす動力は、人間の肺呼吸に頼っている。

吸ったり吐いたりしなければ、呼吸回路のガスを循環させることは出来ない。

呼吸回路に穴が開けば、ガスが漏れるだけではなく、回路内に水が入って来る。

一定程度の漏れならば、何とか対応することも出来るが、ドバドバ入ってくれば、二酸化炭素吸収材と反応して、嬉しくない結果になる。

その二酸化炭素吸収材にも使用期限があって、一定期間以上在庫していたものを使うことは出来ない。

プレブリージングは、この二酸化炭素吸収材の機能を、人体実験して確認するためのものだ。

二酸化炭素が除去できないで、ハイパーカプニアになれば、最悪、意識を失い昏倒する。

ったく、物騒な特殊器材だ。

そんなややっこしい器材を使わなくたって、OCでサクッと潜って水中を楽しみ、場合によってはCCRよりはるかに高額なカメラとハウジング、カニの鋏のような照明を点けて、すぐさまテレビ放映できるような4K画像を取ることだってできる。

じゃあ、なんで桟橋にゴロゴロとCCRが勢ぞろいするのか。

それは、この器材に未来の潜水器としての可能性があるからに他ならない。

もちろん、PO2を一定に保つとか、湿った暖かいガスが吸えるとか、深度によるガス(酸素)の消費量が変わらないとか、もっともらしい理由はいくらでもある。

大深度潜水を高頻度で行えば、高いヘリウムも節約できるしな。

しかし、そういった現世利益の話は置いておいても、水中で貴重な呼吸ガスを循環させ、消費された酸素を補い、発生した二酸化炭素を除去するという構造自体が、実に理に適った仕掛けなわけだ。

その結果、水中に排気する時の轟音は消え、穏やかな水中世界に没入することが出来る(モニターチェックは、ちゃんとしましょう!)。

簡単で、安価で、手軽で、安全性も高いOCだが、深度が深くなれば、ガスの消費は増え、それだけ多くのタンクを持ち込まなければならない(深度と滞底時間によっては逆になることもあるそうですが)。

CCRのメリットを、とことん追求するなら、大深度潜水や、長時間の潜水ということになる。

そういうダイビングのために開発されてきた経緯もある。

テクニカルダイビング(つまり、レクリエーショナルダイビングの限界を超えるダイビング)の世界で、遺憾なくその性能を発揮する。

そのための代償として、高価な器材、長いトレーニング、多少高いランニングコスト、受け入れるべきリスクを払う必要があれば、それなりの価値はある。

ただし、レクリエーショナルダイビングの限界の中で、その代償は高過ぎるという意見もある。

それには、一理あることは確かだ。

誰もが認める絶対的な優位性はない。

この器材に未来があると信じている、一部のダイバーが、執拗に使い続けているだけに過ぎない。

買ってしまって、トレーニングが終わり、神棚に飾って埃を被ってしまっている器材もあるに違いない。

あるいは、押し入れの肥やしとか・・・。

工場だからな。

メンテナンスは重要だ。

メーカーは、そこのところは心得ていて、古い器材でも修理対応することが多い。

しかし、工業製品である以上、限界はある。

新しい機種が出れば、買い替えていくのが正しいんだろう。

イニシャルコストの中には、減価償却費の積み立ても含まれる。

レンタル器材として運用できればいいんだがな。

難しいのかな。

衛生管理の問題とかいうなら、病院の人工呼吸器だって同じなんだがな。

あっちは問題なくて、CCRだけそこがネックで出来ないというのもおかしな話だ。

まあ、特殊器材だからな。

それだけの需要がなければ、呼吸回路の消毒だって、リーズナブルな価格と品質が維持できないということはあるだろう。

吊るしの状態ではなく、いろいろ改造して、使いやすくするというのもCCRの面白いところではあるんだがな。

しかし、レクリエーショナルレベルなら、そこそこ使えればそれでいいわけだからな。

Cカード見せて、ホイホイ借りて使えたらいいな。

日替わりで、異なる機種を試したりしてな。

小笠原では、エボリューション4台、SF2のバックマウント2台、サイドマウント1台、ディフェンダー1台、ポセイドンセブン1台が運用された。

浮沈子の予備機であるインスピレーションを入れれば、一時、10台のCCRが存在したことになる。

やれやれ・・・。

次回のイベントでは、100台くらいのCCRが集まるといいな。

TDIのイベントに、一応PADIの端くれの浮沈子が参加したわけだが、浮沈子だって、TDIのナイトロックスのCカードは持ってるからな。

無関係ではない。

インスピならIANTDだしな。

いっそ、各指導団体合同で、CCRフェスティバルを開催してもいいんだろうけどな。

ポセイドンの勢力が少ないのは残念だな。

TDIでは、リブリーザーは、CCRでもSCRでも、テクニカルレベルの扱いになっているそうだ。

まあ、特殊器材だからな。

そういう考え方の方が合理的という見方もできる。

その代わり、レクリエーショナルレベルのSDIとTDIが、シームレスに繋がっていて、スキルアップとしてのテクニカルダイビングへの導入が、初めから想定されているわけだ。

そこが、後付けのPADIと異なる。

元々が、テクニカル団体だったわけだからな。

SDIで終わられてしまっては、収益が限られてしまうからな。

しかし、探検レベルの高度なテクニカルと、レジャーとしてのテクニカルとを区別するという話になっているようだ。

詳しくは知らないが、探検テック>>レジャーテック>レクリエーショナルという感じか。

そして、100mオーバーとか、バージンラインを張りに行くケーブダイビングとか、いつ崩れてもおかしくないレックにペネトレーションするのは、探検として区別する。

それは、ごく少数の選ばれた精鋭だけの、まあ、チョーヘンタイな世界なわけだ。

テクニカルダイビングのスキルや器材が、レクリエーショナルの世界に影響を与えることは、今までもあった。

その是非は別にしても、サイドマウントがそうだし、リブリーザーもそうだ。

トリムとかPADIが言い出したのも、そういう流れの中にある(まあ、サンゴ礁の保護という名目ですけど)。

他団体のことは良く知らないけど、TDIの講習も受けてみたくなった。

来年の3月には、メキシコのカバーンに行こうという話も出ている。

カバーンて、明るいけど天井あるんでしょ?。

うーん、ちょっと考えさせてほしいな。

CCRでなら、チャレンジしてみたい気がする。

その時は、インスピだな。

サイドマウント化して、バッチリトレーニングして臨もう。

今日は、宅急便で届いた荷物を部屋の中にぶちまけた。

片付けない限りは、寝ることも出来ない。

特殊器材だからな(あんま、関係ないんじゃね?)。

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