詩と散文2017年11月25日 23:46

詩と散文


83タルガに乗って、夜のしじまを突いて走る。

疎開先の03ボクスターと入れ替える。

2か月近く放置していたけど、かろうじてバッテリーは生きていて、エンジンが嫌々掛かった。

あぶねー・・・。

ボッシュのディープサイクルバッテリーの有難みを噛み締める。

ポルシェは、2台ともそれにしてある。

一応、ジャンプコードは持ち歩いているから、上がっていれば始動させることは可能だが、ディープサイクルでないと、その後の充電ができない(確認済み!)。

まあ、こまめに回してやるのが一番いい。

今日は、所有する3台を一気乗りした感じだが、ビジネス文書の500Eの後に83タルガを乗ると、ポエムチック(ポエティック?)な気分に浸れる。

間違いない、これは詩だ・・・。

実用にはならないが、心を豊かにする走りだ。

リッター7kmを切るしょうもない燃費や、癖のあるハンドリング(パワステなんてものは付いてないしな)、重いクラッチに、もそもそしたシフトレバー、エアコンはないし、エンジン載せ替えてあるゲテモノだ。

しかし、そのカレラの3.2リッターエンジンは滑らかに回り、気分を高揚させる。

チープな足回りは、簡単に破たんするので追い込んだりしてはいけない。

浮沈子の技量では、コントロールできないからな。

ドアンダーのまま、転がすしかない。

それでも、軽やかな回転に身を委ねていると、心が洗われるような気がする。

機械の神様に愛でられたエンジンだ。

二度と作られることがない空冷水平対向6気筒エンジンの、とろける様な乗り味を楽しむ。

歌うようなその響きを聞きながら、このクルマだけは手放せないとつくづく思う。

このクルマから降りる時は、自動車から降りる時だ。

終(つい)のクルマだな。

疎開先の駐車場で、03ボクスターのエンジンを温め、乗り替えて走り出す。

もちろん、オープン!。

何かと我慢を強いられる83タルガと異なり、オートマ、パワステは当たり前、エアコンもビンビンに効くし、シートヒーターまで付いていて、至れり尽くせり。

エンジンはもちろん水冷水平対向6気筒。

最近のエンジンのように、なんちゃってターボで加給とかしていない、地球の大気圧に依存する自然吸気エンジンだからな。

Sじゃないノーマルのボクスターだ(SじゃないけどMでもないぞ!:子供は分かんなくていいです!)。

228馬力のエンジンは、必要にして十分なパワーだ。

しかしなあ、滑らかなだけで、パンチが利いていないことも確かだ。

シュンシュン回るだけで、怒涛のパワーはそこにはない。

回せば回しただけのパワーを出すが、それでおしまいだ。

情緒に欠ける。

パッションがない。

盛り上がらないのだ・・・。

散文と形容する由縁だな。

理詰めで、納得はするが、心を癒す力はない。

もちろん、フルオープンにして走らせるだけでも、気持ちはなごみ、心に効く走りを味わえることは確かだが、癒しまではいかないな。

カタルシスがないのだ。

MRだからかもしれない。

ハンドリングは素直で、運転が上手くなったと錯覚する。

単に、クルマに乗せられているだけなんだがな。

限界が低い分、安心して乗っていられる。

いいクルマだ。

何処にも欠点はない。

つまらないとは言わないけど、飽きが来ることは確かだ。

いろいろ弄れば、それなりに楽しいかもしれないが、そういう趣味はない。

吊るしのクルマで十分だ。

このクルマは、乗って走ることを目的化してはいけないんだろう。

道具として、使い倒さなければならない。

デートカーとしては、最高かもな。

一応、ポルシェだしな。

オープンだし・・・。

エアコン効くし・・・。

次のオーナーがどういう乗り方をするかは分からないが、それなりに楽しめる素材だ。

散文か・・・。

誤解のないように書いておくが、悪いクルマではない。

浮沈子的には、欠点らしい欠点は見いだせない。

しいて言えば、それが欠点ということになる。

優等生的にちんまりと纏まって、破たんがない。

83タルガとは対極にありながら、ポルシェの衣を纏っている・・・。

アクセルを踏んだ時の力の掛かり方、ハンドルを切った時の反応、ブレーキを蹴とばした時の利き具合は、間違いなくポルシェの文法に則っている。

スポーツカーを作り続け、スポーツカーの基準を示し続けているメーカーの、それは意地のようなもんだろう。

パワートレインが何であれ、ハンドルのアシストがどうであれ、ドライバーの血管にアドレナリンをぶち込む術を心得ている。

今夜の走りは、そういう走りではない。

穏やかに、初冬の夜風をやり過ごしながら、エンジンやタイヤの音に耳を傾け、静かに語り合う時間を過ごしただけだ。

詩と散文。

ビジネス文書とは異次元の世界。

浮沈子とポルシェが綾なす、幽玄の世界・・・。

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