ファルコン9の軌跡2017年12月13日 02:20

ファルコン9の軌跡
ファルコン9の軌跡


今夜遅くに打ち上げ予定だった、ISS補給機は、地上施設の点検が長引いたため、明日の夜半に延期になった。

(Now targeting Dec. 13 for launch of CRS-13 from SLC-40 to allow for additional time for pre-launch ground systems checks.)
https://twitter.com/SpaceX/status/940413416531025923

(Launch of SpaceX Falcon 9 with CRS-13 Dragon slips 24 hours)
http://www.spaceflightinsider.com/organizations/space-exploration-technologies/launch-spacex-falcon-9-crs-13-dragon-slips-24-hours/

スペースXは、去年の9月1日に、打ち上げ前のスタティックファイアテストの際、爆発を起こし、衛星もろとも打ち上げ施設までもぶっ壊した。

4か月後の今年の正月2日に公表された原因は、2段目のロケットに、キンキンに冷やし過ぎたヘリウムを一気に注入したことにより、周りの液体酸素が固化して(たぶん)、ヘリウムタンクを歪め、タンクの周りを取り囲んでいた炭素繊維が発火したことによるという。

(解き明かされた"難解で複雑な"原因、1月8日に打ち上げ再開へ)
https://news.mynavi.jp/article/falcon9_anomaly-4/

「解き明かされた「難解で複雑な原因」参照」

記事の引用は割愛する。

何度読んでも、良く分かんないんだがな。

結果的に、その後の打ち上げは全て成功し、予定された1段目の回収にも全て成功している。

(List of Falcon 9 and Falcon Heavy launches:2017)
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_Falcon_9_and_Falcon_Heavy_launches#2017

○:新品の1段目
●:再使用の1段目

「Flight №:Date and time (UTC):Version:Booster:Launch site:Payload:Payload mass:Orbit Customer:Mission outcome:Landing outcome:

○29 January 14, 2017, 17:54 F9 FT
B1029.1 VAFB SLC-4E Iridium NEXT 1–10 9,600 kg(21,200 lb) LEO Iridium Communications Success Success(drone ship)

○30 February 19, 2017, 14:39 F9 FT B1031.1 KSC LC-39A SpaceX CRS-10 2,490 kg(5,490 lb) LEO NASA (CRS) Success Success(ground pad)

○31 March 16, 2017, 06:00 F9 FT B1030 KSC LC-39A EchoStar 23 5,600 kg(12,300 lb) GTO EchoStar Success No attempt

●32 March 30, 2017, 22:27 F9 FT B1021.2 KSC LC-39A SES-10 5,300 kg(11,700 lb) GTO SES Success Success(drone ship)

○33 May 1, 2017, 11:15 F9 FT B1032.1 KSC LC-39A NROL-76 Classified LEO NRO Success Success(ground pad)

○34 May 15, 2017, 23:21 F9 FT B1034 KSC LC-39A Inmarsat-5 F4 6,070 kg(13,380 lb) GTO Inmarsat Success No attempt

○35 June 3, 2017, 21:07 F9 FT B1035.1 KSC LC-39A SpaceX CRS-11 2,708 kg(5,970 lb) LEO NASA (CRS) Success Success(ground pad)

●36 June 23, 2017, 19:10 F9 FT B1029.2 KSC LC-39A BulgariaSat-1 3,669 kg(8,089 lb) GTO Bulsatcom Success Success(drone ship)

○37 June 25, 2017, 20:25 F9 FT B1036.1 VAFB SLC-4E Iridium NEXT 11–20 9,600 kg(21,200 lb) LEO Iridium Communications Success Success(drone ship)

○38 July 5, 2017 23:38 F9 FT B1037 KSC LC-39A Intelsat 35e 6,761 kg(14,905 lb) GTO Intelsat Success No attempt

○39 August 14, 2017, 16:31 F9 FT/B4 B1039.1 KSC LC-39A SpaceX CRS-12 3,310 kg(7,300 lb) LEO NASA (CRS) Success Success(ground pad)

○40 August 24, 2017, 18:51 F9 FT B1038.1 VAFB SLC-4E FORMOSAT-5 475 kg(1,047 lb) SSO NSPO Success Success
(drone ship)

○41 September 7, 2017,14:00 F9 FT/B4 B1040.1 KSC LC-39A Boeing X-37B OTV-5 4,990 kg(11,000 lb) + unknown payload LEO U.S. Air Force Success Success(ground pad)

○42 October 9, 2017, 12:37 F9 FT/B4 B1041.1 VAFB SLC-4E Iridium NEXT 21–30 9,600 kg(21,200 lb) LEO Iridium Communications Success Success(drone ship)

●43 October 11, 2017, 22:53 F9 FT B1031.2 KSC LC-39A SES-11 / EchoStar 105 5,200 kg(11,500 lb) GTO SES EchoStar Success Success(drone ship)

○44 October 30, 2017, 19:34 F9 FT/B4 B1042.1 KSC LC-39A Koreasat 5A 3,500 kg(7,700 lb) GTO KT Corporation Success Success(drone ship)」

以下、年内予定。

「●45 December 13, 2017, 16:24 F9 FT B1035.2 CCAFS SLC-40 SpaceX CRS-13 LEO NASA (CRS) ? ?(ground pad)

●46 December 23, 2017, 01:32 F9 FT B1036.2 VAFB SLC-4E Iridium NEXT 31–40 LEO Iridium Communications ? No attempt」

原因は正しく究明され、対策も妥当だったんだろう。

40番発射台は、改修され、効率よく使用できるように改善もされた。

(Muratore: Safety and efficiency went hand-in-hand in rebuild of SLC-40)
http://www.spaceflightinsider.com/organizations/space-exploration-technologies/muratore-safety-efficiency-went-hand-in-hand-rebuild-slc-40/

今回の打ち上げは、1年3か月ぶりの、満を持しての打ち上げということになる。

年内予定を含めて、18機の打ち上げということになる。

今年のハイライトは、何といっても再使用ロケットによる打ち上げが行われたことだろう。

もう、ずいぶん昔から行っているような気がするが、まだ3回しかやっていない。

年内残り2回は、両方とも再使用ということになる。

NASAは、新品に拘っていたが、結局再使用ロケットを受け入れたわけだ。

もう一つの話題は、いわゆるブロック4(上記のリストでは、「F9 FT/B4」と表記)がリリースされ(39号機から)、推力の増強とグリッドフィンの材質・形状変更等、若干の改善が施されたということ。

最終バージョンであるブロック5は、来春からの登場予定だが、それまでの繋ぎだ。

31、34、38号機では、1段目の回収は行われなかったが、それぞれ5,600kg、6,070kg、6,761kgという重量級の衛星を、静止トランスファー軌道(GTO)に打ち上げている。

重量だけ見れば、イリジウムネクスト(29、37、42、46(たぶん)号機)が9,600kgで最大だが、これは地球低軌道(LEO)への打ち上げになる(衛星10機分)。

静止軌道でも、32、36、43、44号機では、それぞれ5,300kg、3,669kg、5,200kg、3,500kgのペイロードを上げながら、全てドローン船で1段目を回収している。

ちなみに、年内予定含めた18機のうち、GTOへは7機、LEOへは10機、その他(太陽同期軌道:まあ、低軌道だな)1機となっている。

特筆すべきペイロードとしては、33号機のスパイ衛星、41号機のX-37Bが挙げられるだろう。

本来なら、ZUMAも政府系のペイロードとして年内打ち上げの予定だったが、来年早々に回されている。

打ち上げ場所は、39Aからが12回、バンデンバーグからが年内予定を含めて5回、今回の40番からが1回ということになる。

意外に、再使用の顧客が少ない。

SESは、元から積極的なんだが、それ以外ではブルガリアサットだけだからな。

NASAは、ISSの補給機の打ち上げで、いやいや呑んだだけだからな。

次回のイリジウムネクストが、再使用を使ってくれることになって良かった。

打ち上げスケジュール重視ということなんだろう。

3回の打ち上げが、全て成功しているので、納得したのかもしれない。

ファルコン9は、2010年から打ち上げが始まった。

・2010:2機
・2011:0機
・2012:2機
・2013:3機
・2014:6機
・2015:7機(うち、1機失敗)
・2016:8機(別に、打ち上げ前に1機喪失)
・2017:18機

こうしてみると、去年までは、決して無理していないことが分かる。

失敗もあったが、徐々に機数を伸ばしてきている。

昨年は、10機以上打ち上げるつもりだったろうから、今年が突出して多く見えたとしても、それは昨年が少なかったということなわけだ。

この間、40番射場の改修と、ファルコンヘビーの開発、ブロック4や5の開発、おまけにBFRの構想まで練っていたわけだ(ラプターエンジン含む)。

テキサスには、新たな射場の建設も進んでいる。

また、2015年には、陸上への1段目の回収を成功させ、翌年には、海上に浮かべたドローン船への回収にも成功している。

今年に入ってからは、前述のとおり、予定していたミッションでは、全ての回収を成功させている。

もう、1段目の回収の失敗によるド派手なシーンを期待することは難しくなった。

楽しみにしていたんだがな。

まあいい。

今後は、開発中のヘビーやブロック5のデビューに期待するしかないかも。

常識をぶち破る開発速度と、飽くなきチャレンジ精神に脱帽だが、来年からは、いよいよ有人ロケットのテストが始まる。

今までのように、貨物とか衛星ではないからな。

人間の命がかかって来る。

冗談が通じない世界だ。

民間ロケットで人間を宇宙に送り出すというのは、考えてみればヤバイ話なのだ。

競合のボーイングのように、実績あるメーカーじゃないしな。

ドラゴン2は、結局、パワードランディングをあきらめざるを得なかった。

耐熱シールドと、着陸脚の両立が難しかったからだという。

浮沈子なら、ピンポイントで降りてこられる性能を生かして、着陸地点に置いた着陸脚(!)の上に、ピッタシランディングさせるんだがな。

そこまでの精度はないのかもしれない。

まあ、どうでもいいんですが。

今年のロケット打ち上げも、あとわずかとなった。

振り返れば、怒涛の1年だったな。

ブロック5が上がれば、衛星の打ち上げについてはウハウハの商売ができるだろう。

ヘビーが爆発しなければ、大型衛星や、超大型衛星(デルタ4ヘビーが上げてるやつ)の需要も取り込むことが可能だ。

月軌道に重量物を打ち上げることも夢ではない。

火星探査は、2020年に先送りになったが、それだって十分対応できるだろう。

そうやって稼いだ金で、イーロンマスクの道楽をやるわけだな。

BFRは、もちろん、様々な用途に使えるだろう。

ファルコンシリーズが確立すれば、当分の間は安泰だ。

衛星打ち上げ需要は、向こう5年間くらいは見込めるしな。

コスパはブッチギリだしな。

さらには、インターネット衛星という、頻繁に打ち上げられるロケットがなければ、成立しえないシステムも見えている。

毎週のように打ち上げが行えない限り、衛星コンステレーションは維持できない。

まさに、スペースXの、スペースXによる、スペースXのための事業だ。

ブルーオリジンが、どこまで食い下がることが出来るかが見ものだが、厳しい戦いになるだろう。

ニューグレンなるロケットが、現実に上がるかどうかも分からない。

(ニューグレン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%B3

「ロケットの設計は2012年から開始されており、2020年までの初打ち上げが目標とされている。」

そう上手くいくかどうか。

しかし、忘れてはならない。

浮沈子は、民間ロケットの黎明期、ファルコン1が失敗を繰り返していたころを覚えている。

(ファルコン1)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%B31

「ファルコン1以前の民間主導で開発されるロケットは余剰となったICBM等からの転用型が多く、固体燃料ロケットエンジンに比べて比推力が高いが開発と運用の難易度が高い液体燃料ロケットエンジンを本体と共に民間主導で新規開発する例はファルコン1が世界初である。」

「ファルコン1の打ち上げは5回行われ、そのうち2回が成功した。」

ブルーオリジンのBE-4エンジンの開発は、順調とは言えないようだが、開発とはそういうものだ。

10年後、ファルコン9が、これ程の成功を収めるとは、誰も予想していなかったに違いない。

そう、イーロンマスク以外は。

使い捨てで、年に1機打ち上げるのが精いっぱいのSLSには、経済的な限界がある。

政治の波にも翻弄される。

民間需要を取り込んで、市場の中で成長する方が健全なような気がする。

有人ともなれば、安全が全てに優先するが、それは航空機などでも同じだ。

明日には、40番発射台から1年4か月ぶりにファルコン9が上がる(前回は、2016年8月14日)。

頼むから、せっかく直した発射台で、ふっ飛んだりしないでもらいたいもんだな・・・(ホントに、そう願っているのかあ?)。

窓と延期2017年12月13日 15:15

窓と延期
窓と延期


昨夜は頭痛や腹痛(食い過ぎ?)が出て、今朝も寝不足気味の体調不良の中、自転車は最寄りの駅前に停めて、電車で大井町のフィットネスへ。

毎週水曜日は、水泳教室の日だからな。

浮沈子以外は、全員女性の初級教室。

今月は平泳ぎだからな。

浮沈子の得意科目。

そうは言っても、半世紀前にスイミング教室で習ったきりだからな。

泳法も異なれば、泳いでいる本人も、半世紀前とは異なる体型だ。

空気の800倍の水の抵抗を感じる・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

本日のお題は、手の掻き方。

足はバタ足で、平泳ぎの手だけを練習する。

顔が上げられない!。

息を吸い込むタイミングで、水を吸い込んでしまう。

うーん、こんなはずじゃあなかったんだがな。

やはり、自己流ではダメだということか。

掻いた後の手は、斜め下に突っ込めと教わる。

どんどん潜ってしまって、顔を上げようとしても、水面まで出ない!。

頭も身体もパニックになって、プールの途中で立ち上がってしまう。

確かに、実際に平泳ぎで泳いでいる時には、斜め下方に手を入れて、ストリームラインを作りやすくする動作が有効なのは分かるんだが、足をバタ足でそれをやるというのは難しい。

ふつーに泳ぐより難易度は高い。

斜め下に手を入れるということは、頭も上半身も、下方に突っ込んでしまう。

潜水状態になるわけで、そこから顔を上げて呼吸するというのはタイミングが悪ければ不可能だ。

そう、浮沈子は沈んだ体勢のまま顔だけ上げて呼吸しようとしていたわけだからな。

そりゃあ、無理というもんだ・・・。

まあいい。

平泳ぎの手の掻きと息継ぎについては、1週空けて、次回、年内最後の水泳教室で、足とのコンビネーションとして再度行う。

たぶん、来月も平泳ぎかな。

そうだといいな。

で、帰りにニュースをチェックしたら、とんでもない話が飛び込んできた。

(「とんでもない」 翁長知事が現場視察 普天間第二小学校への窓枠落下事故で)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-630220.html

「米海兵隊普天間飛行場所属の大型ヘリコプターCH53Eの窓枠が落下」

今度は窓枠かよ!?。

他の記事の写真などを見ると、枠の中にはガラス(?)もはまっている。

重量もそれなりにあるようだ。

「窓枠の形が(グラウンドの土の上に)くっきりと残っていた」

米軍(海兵隊)は、今回はさすがに落下した事実を認めた。

IBISのキャップのように、離陸前に取り外して保管しておくもんじゃないしな。

窓枠は、ヘリと一緒に飛ぶもんだからな。

それが落ちたとなれば、知事が言うように「飛んでもない」話だからな・・・。

「窓枠は重さ7・7キロで枠部分は金属製で透明な部分はアクリル製という。」

直撃食らえば、大けがだけでは済まないかもしれない。

浮沈子が棲息している東京都大田区の一角は、羽田空港の航空路の直下に当たっており、旅客機の部品とかが、何時落ちてきてもおかしくない。

ニュースを見ていると、空港周辺では、色々なものが空から降ってくるようだ。

他人事じゃないしな。

そんな記事を読んだ後に、ファルコン9の打ち上げはどうなったかチェックしたら、金曜日に延期になったという。

どうも、2段目に問題を抱えているようで、その点検と清掃の時間を取りたいらしい。

(Launch of SpaceX CRS-13 mission slips to Friday)
http://www.spaceflightinsider.com/organizations/space-exploration-technologies/launch-spacex-crs-13-mission-slips/

「The reason for this latest slip was to allow the launch team to conduct full inspections and cleanings after detecting particles in the second stage・・・」

打ち上げ施設の問題の後は、ロケット本体で引っかかったわけだ。

大丈夫、クリスマスには、まだ間がある。

じっくり点検して、万全の態勢で飛ばしてもらいたい。

なんか、おっこどしたりしたら、「飛んでもない」話になるからな・・・。