宇宙開発の行方 ― 2018年01月03日 22:36
宇宙開発の行方
昨年暮れに2017年の打ち上げと、2018年の打ち上げ予定を整理して、その傾向と対策(?)を試みてきた。
ネット上の資料を調べるにあたっては、過去の宇宙開発の歴史を垣間見ることもあった。
ソ連と米国が競争を続けていた1950年代から1970年代にかけて、宇宙開発は大いに盛んになり、人類が他の天体からサンプルを持ち帰ったり、自らが他の天体に足跡を記すなどの快挙が続いた。
また、太陽系の惑星の探査も進み、当時はまだ惑星だった冥王星を除く全ての惑星に探査機が送られた。
宇宙開発は、このままの勢いで進み、ほどなくして、人類の火星への到達や月への恒久的な基地建設が行われるに違いないと信じられていた。
しかし、その後、宇宙開発の姿は急変する。
地球周回軌道上の宇宙ステーションや、静止軌道上の通信・放送衛星、低軌道の地球観測衛星(軍事衛星含む)が主流となり、多くの人類が宇宙空間に足跡を残すことにはなったが、人類の地平を先に進めるという観点からは、停滞もしくは後退した。
撤退を転進と呼ぶが如し・・・。
まあいい。
無人惑星探査についても、限られた(行きやすい?)惑星だけに集中されて、せいぜい土星止まり。
天王星(土星の2倍以上遠い)、海王星(土星の3倍以上遠い)については、ボイジャー以外に行った探査機はない。
人類が住めそうもないことが明らかになった金星などは、パタッと行かなくなってしまう(最後の着陸は1985年)。
水星も、何十年もほったらかしだった。
そう、宇宙開発というのは、そもそも人類がそこに恒久的な足場を築いて、さらに際限なく遠くに進出していくという姿を意味していたわけで、その意味では、月からの撤退というのは、事実上の敗退又は縮退ということになる。
この間、何百人もの人類が、宇宙空間に赴き、地球を外から眺めてきたにもかかわらず、人類はお互いに争うことを止めない。
それどころか、新たに小惑星の資源を獲得しようとさえしている。
分捕り合戦が、宇宙空間にまで際限なく拡張していく様相だ。
米国は、火星到達の旗を降ろしてはいないが、その期限を目標から削除したことで、事実上諦めた形になっている。
再び、月を目指すことにしたらしいが、なーに、共和党政権がこければ、また変わるに決まっている。
ロシアは、既に自力で地球低軌道を超えていくことは出来ない。
中国が、息切れせずに月面に到着できればめっけもんだ。
欧州は、もとより有人宇宙開発を積極的に進めていく体制にはない。
我が国と同じだな。
インドがどうなるかは分からないが、中国を超えていく可能性は否定できないだろう。
いずれにしても、月が限界かもな。
惑星探査は、従来は、有人探査の先触れとして行われてきたが、既にその役割は終えつつあり、純粋に科学的関心からの探査に切り替わっている。
それも、地球外生命の存在を前提にした探査から、そろそろ、そういう冗談(!)抜きで、真面目にやろうという感じになってきた(そうなのかあ?)。
遥か彼方の、おそらくは人類が決して到達できない他の恒星系は別にしても、この太陽系で生命の存在は、間違いなく地球だけだと浮沈子は信じてるからな。
そうやすやすと、生命が誕生するくらいなら、何十億年も経っているわけだから、もう少し蔓延っていてもいいはずだ。
地球生命は、他の天体に進出しつつあるが、これだけドハデにやっていても、せいぜい隣の惑星に行けるかどうか・・・。
そうなのだ、きっと、これが限界なのかもしれないとすら思うようになってきた。
人類の地平が、月軌道を超えることはないかも知れない。
(人類の地平2)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/06/30/6881870
「あれから、43年が経ったが、人類の地平2は、当時のままである。」
この記事を書いたのは、4年半くらい前だからな。
既に47年以上が経っている。
浮沈子は、それは決して残念なことだとは思っていないし、月から撤退したことも誤りだとは考えていない。
昨年、火星に行く話を先送りしたことだって、悪い話ではない。
宇宙について、広く深く、知れば知るほど、人類がこの地球上で、大気の底にへばりついて生きていかざるを得ないという宿命を知ることになるのだ。
自らの分身である探査機を送り込んで調べることは、しばらく(何百年か)は続くんだろうが、それだって、ある程度以上のことが明らかになれば、それ以上調べることはしなくなるに違いない。
宇宙開発は、地球近傍の宇宙空間に限られ、無人で行われ、空間を利用した通信や観測、あるいは、そこで生産された成果物(エネルギー含む)が地球にもたらされるだけになる。
それのどこが悪い?。
たまには、恒星間探査機を送り出すとか、昔、ビンの中に手紙を入れて海に流したようなことをするかもしれないけど・・・。
昨年の打ち上げを整理していて、地球周回軌道以外の打ち上げが皆無だったのに気付いた時はショックだったな。
今年の打ち上げ予定のリストを作ろうと思ったのは、そのせいもあった。
月軌道以遠に行くのが何機かあって、正直ほっとしている。
・パーカーソーラープローブ:太陽
・ベピコロンボ:水星
・ファルコンヘビー有人月旅行:月(!)
・嫦娥4号・5号(19年?):月
・チャンドラヤーン2:月
・グーグルプライズ:月
・TESS:月共鳴軌道
・ファルコンヘビーテストフライト:火星(!)
・インサイト:火星
順不同(太陽から近い順?)だが、TESSは単なる高軌道かもな。
まあいい。
人類は、まだ、地球の周りの宇宙空間(惑星とか含む)がどうなっているのかに、少なくとも知的好奇心は持っているわけだ。
そういう生命体を宿した地球という惑星が、少なくとも太陽系の中では唯一の天体であることは、今では誰も疑わなくなった(そうかあ?)。
金星に美女がいたり、火星にイカタコ星人がいたりするSF映画を作っても、大赤字になるのがオチだ。
もちろん、月にウサギや魔女はいない。
太陽系の他の天体に、細菌のカケラもいないことが分かったら、ライフのような映画も作られることはなくなるだろう。
(ライフ (2017年の映画))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95_(2017%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB)
「国際宇宙ステーション(ISS)のクルーは火星探査機の回収に成功した。探査機が持ち帰ったサンプルを分析した結果、地球外生命体の存在を示すものであることが判明した。」
まあな、墨吐いて文字描く宇宙人なら、その荒唐無稽さで許容されるかも知れないし、恒星間宇宙空間にビンを流そうというプロジェクトくらいやるかもしれないけどな。
(メッセージ (映画):原題:「Arrival」)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%82%B8_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
「任務は宇宙船の中にいる2体の地球外生命体(「ヘプタポッド」)の飛来の目的を探ることだった。試行錯誤の末、墨を吹き付けたようにして描かれるヘプタポッドの文字言語の解読がはじまる。」
「並行して、ルイーズは病で死ぬ娘とその母としての自分が登場する光景のフラッシュバックに悩まされる。過去の記憶のように感じられるが、彼女は娘を持ったことがない。」
時間という、一方向にしか進行しないと考えられている次元が、円環的に再帰するというネタだが、映画を初めて観るだけでは、そこを理解するのは難しい(なんか、インセプションと似てる感じもするな)。
浮沈子的に思ったのは、過去と未来を行き来することが簡単にできるなら、連れ合いを爆殺された(?)宇宙人が、彼女(彼?)を取り戻すことは簡単だろう(そうなのかあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
ストーリーは、複雑で、ひょっとしたらSF映画ですらない。
「彼らは3000年後に人類から助けられるため、贈り物をするのだという。」
「誰も知らないはずの妻の死ぬ間際のメッセージを伝えられたシャン上将は説得に応じ、戦争は食い止められる。」
「撤退する宿営地の脇でイアンがルイーズに結婚を申し込む。その後生まれる娘が早逝する運命を避けられないと知りながらルイーズはプロポーズを受け入れる。」
宇宙的規模、地球的規模、個人的規模と、3重の入れ子構造になった、円環状の時間と運命の物語。
未来を知りながら、避けられない運命を受け入れる主人公に、観客は共感する(たぶん)。
浮沈子もまた、人類がいつかは宇宙から撤退するに違いないと信じていながら、今年も、打ち上げロケットのニュースに一喜一憂するのだ・・・。
昨年暮れに2017年の打ち上げと、2018年の打ち上げ予定を整理して、その傾向と対策(?)を試みてきた。
ネット上の資料を調べるにあたっては、過去の宇宙開発の歴史を垣間見ることもあった。
ソ連と米国が競争を続けていた1950年代から1970年代にかけて、宇宙開発は大いに盛んになり、人類が他の天体からサンプルを持ち帰ったり、自らが他の天体に足跡を記すなどの快挙が続いた。
また、太陽系の惑星の探査も進み、当時はまだ惑星だった冥王星を除く全ての惑星に探査機が送られた。
宇宙開発は、このままの勢いで進み、ほどなくして、人類の火星への到達や月への恒久的な基地建設が行われるに違いないと信じられていた。
しかし、その後、宇宙開発の姿は急変する。
地球周回軌道上の宇宙ステーションや、静止軌道上の通信・放送衛星、低軌道の地球観測衛星(軍事衛星含む)が主流となり、多くの人類が宇宙空間に足跡を残すことにはなったが、人類の地平を先に進めるという観点からは、停滞もしくは後退した。
撤退を転進と呼ぶが如し・・・。
まあいい。
無人惑星探査についても、限られた(行きやすい?)惑星だけに集中されて、せいぜい土星止まり。
天王星(土星の2倍以上遠い)、海王星(土星の3倍以上遠い)については、ボイジャー以外に行った探査機はない。
人類が住めそうもないことが明らかになった金星などは、パタッと行かなくなってしまう(最後の着陸は1985年)。
水星も、何十年もほったらかしだった。
そう、宇宙開発というのは、そもそも人類がそこに恒久的な足場を築いて、さらに際限なく遠くに進出していくという姿を意味していたわけで、その意味では、月からの撤退というのは、事実上の敗退又は縮退ということになる。
この間、何百人もの人類が、宇宙空間に赴き、地球を外から眺めてきたにもかかわらず、人類はお互いに争うことを止めない。
それどころか、新たに小惑星の資源を獲得しようとさえしている。
分捕り合戦が、宇宙空間にまで際限なく拡張していく様相だ。
米国は、火星到達の旗を降ろしてはいないが、その期限を目標から削除したことで、事実上諦めた形になっている。
再び、月を目指すことにしたらしいが、なーに、共和党政権がこければ、また変わるに決まっている。
ロシアは、既に自力で地球低軌道を超えていくことは出来ない。
中国が、息切れせずに月面に到着できればめっけもんだ。
欧州は、もとより有人宇宙開発を積極的に進めていく体制にはない。
我が国と同じだな。
インドがどうなるかは分からないが、中国を超えていく可能性は否定できないだろう。
いずれにしても、月が限界かもな。
惑星探査は、従来は、有人探査の先触れとして行われてきたが、既にその役割は終えつつあり、純粋に科学的関心からの探査に切り替わっている。
それも、地球外生命の存在を前提にした探査から、そろそろ、そういう冗談(!)抜きで、真面目にやろうという感じになってきた(そうなのかあ?)。
遥か彼方の、おそらくは人類が決して到達できない他の恒星系は別にしても、この太陽系で生命の存在は、間違いなく地球だけだと浮沈子は信じてるからな。
そうやすやすと、生命が誕生するくらいなら、何十億年も経っているわけだから、もう少し蔓延っていてもいいはずだ。
地球生命は、他の天体に進出しつつあるが、これだけドハデにやっていても、せいぜい隣の惑星に行けるかどうか・・・。
そうなのだ、きっと、これが限界なのかもしれないとすら思うようになってきた。
人類の地平が、月軌道を超えることはないかも知れない。
(人類の地平2)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/06/30/6881870
「あれから、43年が経ったが、人類の地平2は、当時のままである。」
この記事を書いたのは、4年半くらい前だからな。
既に47年以上が経っている。
浮沈子は、それは決して残念なことだとは思っていないし、月から撤退したことも誤りだとは考えていない。
昨年、火星に行く話を先送りしたことだって、悪い話ではない。
宇宙について、広く深く、知れば知るほど、人類がこの地球上で、大気の底にへばりついて生きていかざるを得ないという宿命を知ることになるのだ。
自らの分身である探査機を送り込んで調べることは、しばらく(何百年か)は続くんだろうが、それだって、ある程度以上のことが明らかになれば、それ以上調べることはしなくなるに違いない。
宇宙開発は、地球近傍の宇宙空間に限られ、無人で行われ、空間を利用した通信や観測、あるいは、そこで生産された成果物(エネルギー含む)が地球にもたらされるだけになる。
それのどこが悪い?。
たまには、恒星間探査機を送り出すとか、昔、ビンの中に手紙を入れて海に流したようなことをするかもしれないけど・・・。
昨年の打ち上げを整理していて、地球周回軌道以外の打ち上げが皆無だったのに気付いた時はショックだったな。
今年の打ち上げ予定のリストを作ろうと思ったのは、そのせいもあった。
月軌道以遠に行くのが何機かあって、正直ほっとしている。
・パーカーソーラープローブ:太陽
・ベピコロンボ:水星
・ファルコンヘビー有人月旅行:月(!)
・嫦娥4号・5号(19年?):月
・チャンドラヤーン2:月
・グーグルプライズ:月
・TESS:月共鳴軌道
・ファルコンヘビーテストフライト:火星(!)
・インサイト:火星
順不同(太陽から近い順?)だが、TESSは単なる高軌道かもな。
まあいい。
人類は、まだ、地球の周りの宇宙空間(惑星とか含む)がどうなっているのかに、少なくとも知的好奇心は持っているわけだ。
そういう生命体を宿した地球という惑星が、少なくとも太陽系の中では唯一の天体であることは、今では誰も疑わなくなった(そうかあ?)。
金星に美女がいたり、火星にイカタコ星人がいたりするSF映画を作っても、大赤字になるのがオチだ。
もちろん、月にウサギや魔女はいない。
太陽系の他の天体に、細菌のカケラもいないことが分かったら、ライフのような映画も作られることはなくなるだろう。
(ライフ (2017年の映画))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95_(2017%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB)
「国際宇宙ステーション(ISS)のクルーは火星探査機の回収に成功した。探査機が持ち帰ったサンプルを分析した結果、地球外生命体の存在を示すものであることが判明した。」
まあな、墨吐いて文字描く宇宙人なら、その荒唐無稽さで許容されるかも知れないし、恒星間宇宙空間にビンを流そうというプロジェクトくらいやるかもしれないけどな。
(メッセージ (映画):原題:「Arrival」)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%82%B8_(%E6%98%A0%E7%94%BB)
「任務は宇宙船の中にいる2体の地球外生命体(「ヘプタポッド」)の飛来の目的を探ることだった。試行錯誤の末、墨を吹き付けたようにして描かれるヘプタポッドの文字言語の解読がはじまる。」
「並行して、ルイーズは病で死ぬ娘とその母としての自分が登場する光景のフラッシュバックに悩まされる。過去の記憶のように感じられるが、彼女は娘を持ったことがない。」
時間という、一方向にしか進行しないと考えられている次元が、円環的に再帰するというネタだが、映画を初めて観るだけでは、そこを理解するのは難しい(なんか、インセプションと似てる感じもするな)。
浮沈子的に思ったのは、過去と未来を行き来することが簡単にできるなら、連れ合いを爆殺された(?)宇宙人が、彼女(彼?)を取り戻すことは簡単だろう(そうなのかあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
ストーリーは、複雑で、ひょっとしたらSF映画ですらない。
「彼らは3000年後に人類から助けられるため、贈り物をするのだという。」
「誰も知らないはずの妻の死ぬ間際のメッセージを伝えられたシャン上将は説得に応じ、戦争は食い止められる。」
「撤退する宿営地の脇でイアンがルイーズに結婚を申し込む。その後生まれる娘が早逝する運命を避けられないと知りながらルイーズはプロポーズを受け入れる。」
宇宙的規模、地球的規模、個人的規模と、3重の入れ子構造になった、円環状の時間と運命の物語。
未来を知りながら、避けられない運命を受け入れる主人公に、観客は共感する(たぶん)。
浮沈子もまた、人類がいつかは宇宙から撤退するに違いないと信じていながら、今年も、打ち上げロケットのニュースに一喜一憂するのだ・・・。
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