CIAの見立て2018年01月24日 08:03

CIAの見立て


(北の核攻撃能力獲得まで「数カ月しかない」 米CIA長官が強い危機感)
http://www.sankei.com/world/news/180123/wor1801230046-n1.html

「過去のインタビューでも、北朝鮮が米本土に到達する核搭載ミサイルの運用能力を確立するまでの時間は少ないと説明していたことを問われ、ポンペオ氏は「(残された時間を)延ばすため米国は懸命に取り組んでいる」と強調した。」

うーん、物は言いようだな。

(北朝鮮は「米攻撃可能な核所有寸前」と想定を CIA長官が警告:2017/10/20)
http://www.afpbb.com/articles/-/3147414

「ポンペオ長官は北朝鮮の核ミサイル能力について「米国の政策の視点から言って、彼らは目的を達成する寸前にあると想定してわが国が行動しなくてはならない水準に近づいている」と警鐘を鳴らした。」

数か月前から、同じような発言を繰り返している。

この人は、政治家であって、情報分析の専門家ではない。

(マイク・ポンペオ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%82%AA

「政治的スタンス:
・中絶:強硬に反対
・拷問:拷問者ではなく、愛国者だ
・銃器:銃規制に反対
・医療保険:オバマ・ケアに強く反対」

絵に描いたような共和党員・・・。

「北朝鮮が米本土を核攻撃する能力を獲得するまでに「数カ月しかない」と述べ、強い危機感を示した。」

このタイミングでの発言には、もちろん、政治的な意図がある。

米国は、外交的、経済的、軍事的圧力を強めれば、北朝鮮の核開発を止められると見込んでいる。

少なくとも、その努力を継続している。

一方で、それが実らないときのために、軍事的選択肢を準備しているとされる。

実らないというのは、まあ、いろいろなレベルがあるんだろう。

極端な話は、米国の首都が核攻撃されて壊滅するという事態が起こるみたいなことだ。

軍事オプションを行使するタイミングは実にビミョーで、グアム周辺への弾道ミサイルの着弾だって、その引き金を引くことになるかもしれない。

米国は、その辺りをぼやかしている。

情報戦は既に始まっているし、レッドラインを不明確にしておくことは戦略的にも重要だ。

南北対話が実現し、冬季オリンピックを契機に一気に雪解けに向かいそうな状況の中で、北朝鮮の核兵器保有を容認したうえで抑制するという選択を回避しようとしているのかもしれない。

ちょっと興味深い記事があった。

(焦点:北朝鮮危機の時間切れ迫る、対話模索する米代表の孤立無援)
https://jp.reuters.com/article/northkorea-missiles-diplomacy-idJPKBN1D70GD

「ポンペオ長官はトランプ大統領に対し、米国の軍事的な圧力によって、正恩氏は非核化に向けた要求に従わざるを得なくなるという分析結果を提示していると北朝鮮関連の協議に詳しい複数の当局者は語る。」

「CIAはこの件についてコメントしなかった。」

一概に否定はしないというスタンスだな。

北朝鮮の政治的選択は、時間との競争になってきている。

ワシントンを即時核攻撃できるミサイルを保有し、交渉の席に着いた北朝鮮と渡り合う事態は避けたい。

それまでに、最大限の軍事的圧力(非軍事的圧力も含めて)をかけ続けて、屈服させなければ、最後のカードを切るしかなくなるのだ。

雪解けなんてもってのほか。

美女団長をもてはやすなど、言語道断!。

(【北朝鮮の視察団】美女団長の正体)
https://www.excite.co.jp/News/society_clm/20180123/TokyoSports_893185.html

「玄氏は1990年代~2000年代に音楽グループ「普天堡(ポチョンボ)電子楽団」などの歌手として活躍。北朝鮮では独唱のCDも複数発売され、高い知名度を誇る。」

軍人でもあり、大佐でもあるけどな。

まあ、どうでもいいんですが。

とにかく、そういう雪解けムードに米国までが流されてはたまらんわけだ。

あくまで強面。

米韓の演習は一時見合わせとなったが、この間も、核兵器や弾道ミサイルの開発は続いている。

時計の針は容赦なく進み、米国に残された時間は、刻一刻と少なくなっていく。

もちろん、開発を遅らせる努力は継続するが、米国の開戦準備が整い、北朝鮮の開発が止まらない状況になれば、なぜ先制攻撃しないのかという圧力も高まる。

北朝鮮は、軍事的圧力に屈するという見解を表明し続けていたCIAの面子は丸潰れだ。

ポンぺオ長官の首もすっ飛ぶ。

浮沈子が見るところ、ポンぺオ長官は非開戦派であり、だからこそ、この時期、任官されているのかもしれない。

ドンパチが始まれば、お役目ご苦労様ということになる。

もっとも、その頃になれば、新たなポジションを見つけているに違いない。

CIAは、大規模軍事に至らない段階で活躍する。

情報収集、情報撹乱、謀略、せいぜい小規模戦闘まで。

そっから先は、軍人さんの出番だ。

CIAの見解は、常にその範疇に留まる。

はなから、こりゃあ、派手にドンパチやるしかないでしょ?、とは言わないのだ。

ああでもない、こうでもないと言い訳(情勢分析?)し、こうすればドンパチせずに済みますよ、と提言するわけだ。

一方で、核付き北朝鮮との交渉を回避しなければならないという、難しい制約も課されている。

(北朝鮮の核開発、米は「最終段階」も想定 CIA長官)
https://www.cnn.co.jp/usa/35109101.html

「北朝鮮についてはマクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)も、「北朝鮮が核兵器で米国を脅かす事態をトランプ大統領は容認しない」「容認して抑止すればよいという向きもあるが、それこそ容認できない見解だ」と述べている。」

軍事解決を先延ばしにし、ずるずると核開発を進展させ、不可避的に核付き北朝鮮との交渉に入らざるを得ない状況になれば、政権は倒壊し、ポンぺオの野望(ってなんなんだあ?)も崩れ去る。

前任のブレナンがいうとおり、エスカレートにつながる筋書きは幾つもある。

それを避ける筋書きを描くのが、CIAの仕事だろう。

タイトロープには違いないが、それを渡り続けるしかないのだ・・・。

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