ファルコンヘビーは必要か?2018年02月01日 00:44

ファルコンヘビーは必要か?
ファルコンヘビーは必要か?


ニューヨークタイムスの記事を、日本語で読めるようになっていた(ちょっと古いですが)。

(史上最大級「巨大ロケット」がついに宇宙へ
スペースXが開発、その名もファルコンヘビー)
http://toyokeizai.net/articles/-/206577

この中では、ファルコンヘビーのような巨大ロケットの需要に懐疑的だ。

「ファルコンヘビーほど大型のロケットにそれほどビジネスの機会があるのか、疑問視する声もある。」

「電子工学や技術の発展で、衛星の小型化が進んでおり、関連のスタートアップの間でもより小型のロケットが主流となっている」

数年後には、現在、年間100機ほどの小型衛星の需要が450機程度になるという予想もある。

もちろん、そのほとんどは相乗り打ち上げで十分なわけで、わざわざ小型ロケットを仕立てて打ち上げる必要はない。

年間数十機も上がればそれで用は足りる。

仮に、小型ロケットの需要が年間100機だとして、1機の打ち上げに10億円の売り上げを見込んだとして、総売り上げは年間1000億円にしかならない。

大型ロケットが、1機当たり100億円の売り上げだから、10機分にしかならない。

これ、全世界だからな。

話にならない。

衛星の小型化は当然だが、どーしても、そのタイミングで特定の軌道に放り込まなければならないというのは、有事の際の軍事衛星くらいだろう。

ペガサスとかは、そういう衛星を打ち上げるためのツールとして、用もないのに(?)ずーっと維持されてきている。

インターネット衛星というのが構想されていて、早ければ今年にも打ち上げられると言われている(うーん、ちょっと楽観的過ぎるような気も)。

(孫正義が10億ドル出資した衛星インターネット計画「ワンウェブ」、あれからどうなった?)
https://hbol.jp/145041

「ワンウェブは、700機以上もの人工衛星を地球のまわりに打ち上げ、全世界にブロードバンドを提供しようという、壮大な構想を掲げている企業である。」

GPS衛星が24機、イリジウムが66機とか考えると、確かに多い気がするが、これはあくまで初期計画だ。

(【時期未定】まだある新型ロケット-衛星インターネットに宇宙旅行も)
https://news.mynavi.jp/article/aerospace2018-4/

「当初同社は、約700機の衛星を打ち上げるとしていたが、昨年2月にはさらに約2000機を追加し、合計で3000機近い衛星を配備する構想を打ち出している。」

これで驚いてはいけない。

(1万機の衛星でインターネットをあまねく世界に! - スペースXが目論む次の一手)
https://news.mynavi.jp/article/20170513-satellite_internet/

「打ち上げる衛星の数は1万機を超える予定」

この他にも、ボーイングが同様の計画を持っているとされ、低軌道衛星の数は、あっという間に万の単位に膨れ上がる。

さて、まず、1万機の衛星を打ち上げようとして、毎年何機の衛星を上げればいいか。

衛星寿命は、せいぜい10年くらいだから、少なくとも10年以内に上げなければならない。

実際は、5年くらいで展開する必要があるだろうから、毎年2000機を上げることになる。

展開し終われば、ちょっと一息だが、予備機を含めて代替衛星を年間1000機ずつ上げ続けることになる。

たぶん、1トン未満の衛星だろうが、一度に100機打ち上げるわけにはいかない。

多くても、20機とか30機とか、そんなもんだろう。

ワンウエッブは、アリアンと契約して、30回くらいで初期の衛星群を上げるようだ。

予備機を入れると、900機だから、1回当たり30機を上げることになる。

アリアンで上げていたら、1万機の衛星を上げることは不可能だ。

アリアンは、年間多くても7機くらいしか飛ばない。

頑張って10機飛ばして、全部インターネット衛星を上げることにしたって、300機しか上がらないのだ。

10年経っても3000機で、毎年300機が壊れていくから、いつまで経ってもコンステレーションは3000機止まりだ。

世界最大の商業衛星打ち上げ会社が、フル稼働しても追いつかない。

ファルコンヘビーを投入すれば、少なくとも機数については先が見えてくる。

低軌道に60トンだから、まあ、話半分で30トン程度のペイロードを積んで、1段目の再使用もして、余裕でアリアンの3倍以上こなせる。

衛星を一度に100機くらい積んで、年間20回飛ばせば、5年でコンステレーションは完成する。

まあ、異なる軌道面に展開しなければならないから、そう簡単ではないだろうが、ファルコン9を動員して、なんとかしのぐことは出来るだろう。

その後は、年に10回飛ばせば、衛星の交替は実現する。

コンステレーションは維持できるわけだ。

ワンウェッブが3000機で、スペースXが1万機というのは、決してテキトーに見栄張って決めたわけではないだろう。

ネックになるのが、打ち上げ能力の確保だということはハッキリしている。

まだ、影も形もないニューグレンとの契約にしたって、藁にも縋りたいほどロケットが欲しいからに相違ない。

年間数千機の衛星を打ち上げる時代が目の前に来ている。

確かに衛星は小型化し、高性能になり、需要は増えるかもしれない。

しかし、インターネット衛星一つ取っても、とても小型ロケットなんかで対応できる需要じゃない。

10年先の話じゃない。

今年から始まる話なのだ。

その一方で、静止軌道衛星は、益々巨大化して、遠らからず10トンを超える衛星が出てくるに違いない。

ファルコン9でも、アリアン5ですら打ち上げられない。

ファルコンヘビーの出番だ。

ニューグレンだっていい。

H3なんて、逆立ちしても出番はない。

(H3ロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/H3%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88

「ロングコースト静止移行軌道:6,500 kg 以上
(H3-24S/L)」

ファルコン9が去年の6月に上げたインテルサット35eは、6.7トン以上だから、上がるかどうかはビミョーだ。

衛星側に頑張ってもらって、静止軌道まで辿り着いてもらわなければならない。

競争力以前の話だ。

それ以上の重量級衛星には、手も足も出ない。

ファルコンヘビーは、ニューヨークタイムスの記事にあるような、道楽で作ったロケットではない。

必要にして不可欠なツールとして、絶妙のタイミングで世に出るわけだ。

イーロンマスクのヨタ話を取っ払ったスペースXは、実に入念な戦略を持った堅実な打ち上げ会社だ。

必要な機材は、自前で用意して、ビジネスアプリケーションを構築する。

えーと、例によって、その儲けが火星移民に投資されるところに問題があるんだがな・・・。

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