エウロパクリッパー2018年05月31日 09:13

エウロパクリッパー
エウロパクリッパー


エウロパに生命がいるかどうか。

まあ、どっちでもいいんだが、地球外生命探査では、今、一番ホットな話題かも知れない。

土星のエンケラドゥスは、ちっと遠いからな。

近場でケリが付けられれば、手っ取り早いということはある。

それでなくても、木星圏というのは、様々な意味で探査上の魅力があるようだ。

もう、火星とかは、賞味期限切れなわけだ。

今時、火星探査とか言っても、もう、誰も驚かない。

ふーん、がんばってね・・・。

(木星探査)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%98%9F%E6%8E%A2%E6%9F%BB

「現在のところ全てのミッションはアメリカ航空宇宙局によって実行されてきた」

木星フライバイしたユリシーズは、打ち上げはNASAだが、探査機はESAが作っているけどな。

まあいい。

インドや欧州の探査機が到達している火星とは異なり、木星圏は米国の独壇場だ。

宇宙人に会いたいトランプが、エウロパの探査を指示したかどうかは知らないが、米国が木星を目指すというのは政策上も正しい選択だろう。

宇宙開発における米国の優位性確保ということだからな。

その意味では、エウロパに生命がいようがいまいが、どうでもいいのだ。

いそうもなければ、次は土星のエンケラドゥス・・・。

土星まで、来られるもんなら来てみれば?。

(土星探査)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E6%98%9F%E6%8E%A2%E6%9F%BB

「2016年現在は土星周回軌道上にカッシーニが存在し、探査を続けている。」

こっちも古いな。

カッシーニは、昨年、土星に落とされて処分された。

木星以遠に到達した探査機のリストがあったので、参考までに記しておく。

(Exploration of Saturn)
https://en.wikipedia.org/wiki/Exploration_of_Saturn

「Summary of missions to the outer Solar System:
Spacecraft:Jupiter:Saturn:Uranus:Neptune:Pluto:
・Pioneer 10:1973 flyby(2006年運用終了)
・Pioneer 11:1974 flyby:1979 flyby(1995年運用終了)
・Voyager 1:1979 flyby:1980 flyby(運用中)
・Voyager 2:1979 flyby:1981 flyby:1986 flyby:1989 flyby(運用中)
・Galileo:1995–2003 orbiter(木星に落とされて処分)
・Ulysses:1992, 2004 gravity assist(2009年運用終了)
・Cassini–Huygens:2000 gravity assist:2004–2017 orbiter(土星に落とされて処分)
・New Horizons:2007 gravity assist:ー:ー:ー:2015 flyby(太陽系外縁天体に向けて飛行中)
・Juno:2016– orbiter(周回中)」

既に、土星周辺に探査機はいないし、今後も具体的な計画はない。

(タイタン・サターン・システム・ミッション)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

「2009年、木星とその衛星の探査ミッションであるEJSMが、タイタン・サターン・システム・ミッションよりも優先すると決定された」

事実上のお蔵入りだな。

今でも観測を続けているのは、木星についてはジュノーだけ(2021年木星に落として処分予定)。

ジュノーが処分されると、木星圏にも探査機がいなくなるという話になる。

まあ、それでもいいんですが。

現在計画が進められているのは、エウロパクリッパーという探査機で、木星圏でエウロパへのフライバイを繰り返しながら、詳細な観測を行うらしい(軌道としては木星周回軌道で、エウロパに接近を繰り返す感じか)。

(Europa Clipper)
https://en.wikipedia.org/wiki/Europa_Clipper

「However, due to the strong impact of radiation from Jupiter's magnetosphere in Europan orbit, it was decided that it would be safer to inject a spacecraft into an elliptical orbit around Jupiter and make 45 close flybys of the moon instead.」(しかし、エウロパ軌道での木星磁気圏からの放射線の強い影響のために、木星の周りの楕円軌道に宇宙船を投入して、45回の近接飛行を行うが安全であると判断されました。:自動翻訳のまま(少し手直し))

このほかに、JUICEというのもある。

(JUICE (探査機))
https://ja.wikipedia.org/wiki/JUICE_(%E6%8E%A2%E6%9F%BB%E6%A9%9F)

「欧州宇宙機関(ESA)が計画する木星探査計画で、特にガニメデ、カリスト、エウロパを対象とするものである」

この米欧の探査機は、先ほど出てきたEJSM(エウロパ・ジュピター・システム・ミッション)の主要ミッションだ。

(EJSM)
https://ja.wikipedia.org/wiki/EJSM

「EJSM計画の特徴は、2機ないしは3、4機のオービター、ランダーが提案されていることである。」

「ベースラインとなるEJSMの概念はJEO(エウロパ周回機:Jupiter Europa Orbiter))とJGO(ガニメデ周回機:Jupiter Ganymede Orbiter)から構成され、2020年(現在では2022年以降)の打上げを予定し、それぞれエウロパとガニメデの周回軌道に投入されるまでに複雑に入り組んだ木星圏探査を行う。」

米国と欧州の探査機が送り込まれるわけだが、到着時期は米国が早い。

2022年に打ち上げられるというのは同じだが、到着は米国が3年後(SLS使用の場合)、欧州はなんと8年後だ。

エウロパクリッパーの運用予定期間は3年程度だから、運用が終わった後にJUICEが到着することになる。

で、例によって、エウロパに生命がいるかどうかというのがエウロパクリッパーの探査目的なわけだ。

(木星の衛星「エウロパ」に間欠泉が存在する新証拠-ミシガン大などが発見)
https://news.mynavi.jp/article/20180525-635989/

「エウロパ・クリッパーには、間欠泉の中にある凍った水や塵の粒子を捕えて分析できる装置が積まれており、海の研究が大きく進むと期待されている。NASAによると、今回の研究成果を受けて、間欠泉がある場所の上空を通過できるよう、新しい軌道の検討を進めているという。」

「さらに同じく2020年代には、欧州と日本が共同開発する探査機「ジュース」(JUICE)の打ち上げも予定されている。ジュースは木星の衛星のひとつ「ガニメデ」を探査することを目的としているが、ガニメデ到達までにエウロパの近くを通過することもあり、海の探査や生命発見への貢献が期待されている。」

記事の中では、エウロパへのランダーの検討が進んでいるとあるが、生物汚染への懸念から実現する可能性は低いだろうな(そうかあ?)。

(Europa Lander (NASA))
https://en.wikipedia.org/wiki/Europa_Lander_(NASA)

「The President's 2018 and 2019 federal budget proposals do not fund the Europa Lander, but it did assign some funds for concept studies.」(大統領の2018年と2019年の連邦予算案は、Europa Landerに資金を提供していないが、コンセプトスタディのための資金を割り当てた。)

当初はエウロパクリッパーと一体での打ち上げを検討したが、未知の天体の詳細な調査を行ってから、着陸地点を決めて降ろすということらしい。

ランダーは、2024年の打ち上げということになっているから、飛んでいる最中に着陸地点を決めて、指示してやることになる。

エウロパクリッパーが2022年打ち上げ(まあ、あくまで予定ですが)ということになれば、既にスケジュールはタイトになってきている。

打ち上げについては、SLSの使用が候補として上がっている(打ち上げ機の選定は、来年の予定)。

「Rocket:Undetermined. Options: Atlas V, SLS, Falcon Heavy, and EELV」

実は先日、SLS関連の記事を書いていて、図の中にエウロパクリッパーの記述があったので調べたわけだ。

JUICEは、当然アリアンで打ち上げということになる。

「輸送ロケット:アリアン5」

まあいい。

浮沈子が条件反射で噛みつきたがる地球外生命探査。

エウロパクリッパーは、その最右翼のミッションだな。

今じゃ火星に生命がいるなんて誰も信じていないし、NASAの探査だって、かつていたかもしれない生命の痕跡を探すことに絞られている(そうなのかあ?)。

次なる地球外生命の存在を求めて、業界(!)は木星を目指すということになるんだろう。

やれやれだな・・・。