ヴァルター機関の系譜2018年06月14日 00:33

ヴァルター機関の系譜
ヴァルター機関の系譜


ブラッドハウンドSSCの記事を書いていて、先代のスラストSSCとの最大の違いであるロケットエンジンについて、少し調べた。

つーか、よく分らないのだ。

(ブラッドハウンドSSC)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89SSC

「末端水酸基ポリブタジエンと高濃度過酸化水素を燃料・酸化剤とし、その燃焼ガスを推進剤とするNammo製ハイブリッドロケットエンジンを使用する。その他に、高濃度過酸化水素を供給するポンプを駆動するジャガーのV型8気筒内燃レシプロ機関も搭載している。」

これは、いわゆる固体燃料に、酸化剤をぶっかけて燃やすというふつーのハイブリッドエンジンみたいな感じなんだが、英語版にはこんな記述がある。

(Bloodhound SSC:Propulsion)
https://en.wikipedia.org/wiki/Bloodhound_SSC#Propulsion

「In addition Daniel Jubb designed, manufactured and test fired a full diameter 18" monopropellant HTP thruster for the subsonic ground tests for Bloodhound SSC. 」(Bloodhound SSCの亜音速地上試験のために直径18インチのモノプロペラントHTPスラスタを設計、製造、試験しました.:自動翻訳のまま:以下同じ)

「In order to accelerate the car to 800mph, the monopropellant rocket will produce around 40kN (8992 lbf) of thrust and the EJ200 jet engine will make 90kN (20,232 lbf) in reheat. For the 1,000mph runs, the Nammo hybrid rockets will provide a thrust of 123.75kN (27,820 lbf), generating about 212kN (47,659 lbf) in total」(自動車を800mphに加速するために、モノプロペラントロケットは約40kN(8992lbf)の推力を生成し、EJ200ジェットエンジンは90kN(20,232lbf)の再加熱を行います。 1,000mph走行の場合、Nammoハイブリッドロケットは123.75kN(27,820 lbf)の推力を提供し、合計で212kN(47,659 lbf)を生成する)

モノプロペラントスラスターは、一液式のロケットだからな。

ハイブリッドじゃない。

リンクをたどると、解説記事があった。

(MONOPROPELLANT ROCKET TESTING UNDERWAY)
http://www.bloodhoundssc.com/news/monopropellant-rocket-testing-underway

「The early runs of BLOODHOUND SSC will use a monopropellant chamber rather than the hybrid rocket.」(BLOODHOUND SSCの初期運転は、ハイブリッドロケットではなく、モノプロペラントチャンバを使用します。)

ははあ、来年予定されている時速500マイルのテストでは、このロケットエンジンを使うのかもしれない。

(BLOODHOUND 500 – SOUTH AFRICA 2019)
http://www.bloodhoundssc.com/BLOODHOUND500

「In the second quarter of 2019, BLOODHOUND SSC will run for the first time on its specially created race track at Hakskeen Pan, South Africa. The team will be targeting 500mph – a key milestone on the journey to setting a new World Land Speed Record.」(2019年の第2四半期には、BLOODHOUND SSCが南アフリカのHakskeen Panで特別に制作されたレーストラックではじめて走行する予定です。チームは新しい世界陸上記録を設定する旅の重要なマイルストーンである500mphを目標とする予定です。)

引っ張るなあ・・・。

まあいい。

堅実なプロジェクトの推進は、成功の秘訣だからな。

速度記録にチャレンジする時には、本命のハイブリッドエンジンに換装するんだろう。

過酸化水素を使ったエンジンは、古くからある。

(ヴァルター機関)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E6%A9%9F%E9%96%A2

「1933年から第二次世界大戦末期にかけてドイツでヘルムート・ヴァルターにより主として軍事用に開発された、高濃度の過酸化水素が分解する時に発生する水蒸気や酸素を利用する熱機関の総称である。」

これが、一筋縄ではいかない。

「低温式ヴァルター機関は、この高濃度過酸化水素と触媒とを反応させ、分解時に発生する酸素と水蒸気の混合ガスを作動流体として利用するものである。」

「高温式ヴァルター機関は、発生した酸素と燃料(軽油、メタノール、水和ヒドラジンなど)とを混合して燃焼させ、発生する高温高圧ガスを作動流体として利用するものである。低温式よりも経済的で出力の制御も可能であるため、比較的長時間の使用に適している。また、燃焼ガスの温度は必要に応じて水を加えることにより調整する。」

ブラッドハウンドSSCは、まずは低温式ヴァルター機関で500マイルを狙うわけだ。

んでもって、ブタジエンゴムの燃料を燃やす高温式ヴァルター機関(そうなるのかあ?)で、1000マイルにチャレンジということになる。

過酸化水素の話は、本命のロケット開発の中にも出てくる。

(ブラック・アロー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%83%BC

「イギリスの人工衛星打上げロケットである。王立航空工廠でブラック・ナイトを元に開発された。酸化剤として過酸化水素、燃料としてケロシンという珍しい組み合わせの推進剤を使用しており、燃焼ガスが無色となることが特徴的なロケットである。」

この話は、以前にも書いたな。

(英国の選択)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/01/25/8333154

この中に出てくるブラックアロー、007の秘密兵器にまでヴァルター機関は登場する。

「1965年公開の映画『007 サンダーボール作戦』で秘密兵器として登場」(ヴァルター機関より)

ブラックアローに絡んで、ちょっと気になったことがある。

ちょうど打ち上げの頃に公開された「謎の円盤UFO」の中に、「惑星Xクローズ・アップ作戦(原題:CLOSE UP)」というのがある。

英国の衛星を、NASAに頼んで打ち上げてもらうという話だ。

何とも皮肉な話なんだが、ストレイカー司令官(エドビショップ)が、フリーマン大佐(ジョージシーウェル)との会話でひねりを利かせている(そうかあ?)。

フリーマン:衛星の打ち上げはどうかな?。
ストレイカー:どうかな?、専門のNASAがやるんだから、失敗は考えられんよ(ニヤリ)。

ブラックアローの打ち上げを控えた時期に、こういうシナリオを書くというのは、如何にも英国風だ。

まあ、どうでもいいんですが。

ブラッドハウンドSSCのハイブリッドエンジンは、ノルウェーの防衛企業が開発しているらしい。

(Nammo)
https://en.wikipedia.org/wiki/Nammo

「External links:
Nammo Bloodhound hybrid rocket motor, first test firing, 9 December 2014.」

(BLOODHOUND's new 1,000mph Hybrid Rocket - Tested:動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=22_4ZGGnb_g

「BLOODHOUND's rocket partner, Nammo, sucessfully fired the new hydrid rocket. This firing lasted for a predefined 16 seconds, producing a maximum thrust of 30 kN (or 3 tonnes). The temperature in the rocket reached 2,500°C and 1,400°C in the plume.

The rocket started instantly after ignition and the firing was terminated in a controlled manner by closing the main oxidiser valve.

BLOODHOUND will use one rocket for high speed testing 2015 and a cluster of three rockets to reach 1,000mph in 2016.」(BLOODHOUNDのロケットパートナーであるNammoは、新しいハイドロッドロケットを成功裡に発射した。 この発射は、30kN(または3トン)の最大推力を生成する、予め定められた16秒間持続した。 ロケットの温度は、プルーム内で2,500℃と1,400℃に達した。

ロケットは着火直後に始まり、主酸化装置バルブを閉じることによって点火は制御された方法で終了した。

BLOODHOUNDは、2015年の高速試験にロケットを使用し、2016年には3つのロケットを使用して1,000mphに達する予定です。)

英国は、ヴァルター機関と縁が深い様だ。

この話、機会があればまた書く。

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