ソロとテックの関係 ― 2018年07月16日 08:59
ソロとテックの関係
予備タンクを持ったり、バックアップのアイテムを持ったりするソロダイビングのコンフィギュレーションは、パッと見ではテクニカルダイビングっぽく見えたりもする。
安全性を重視し、高いリスクに対応するテクニカルダイビングは、冗長性とミニマリズムの高い次元でのバランスが身上だ。
考え方としては、ソロダイビングも、その延長線上にあると言えるかもしれない(未確認→ソロの器材やノウハウはテックからもたらされたものが多いけど、ソロの先にテックを位置付けているわけではなく、イントロテックがその役割を果たしているとのこと:追加)。
じゃあ、ソロダイビングの延長線上にテクニカルダイビングがあるかといえば、浮沈子はそういうことではないと考えている。
すこしややっこしいな。
テクニカルダイビングというのは、コンフィギュレーション指向ではなく、ダイビング環境指向だということがある。
カッコ優先じゃない。
減圧を伴う仮想閉鎖空間、物理的直上浮上が出来ない洞窟や沈船の中といった、ハイリスクな環境に潜るというのが目的で、バックアップの器材や大量のガスを持ち込んだり、チームダイビングで人間系の冗長性を高めたりするのは、そのための手段だからな。
ソロは、環境的にはむしろバディ潜水より穏やかになる。
少なくとも、SDIではそういうふうに制限している。
ソロである事自体がハイリスクになるため、環境リスクは減らしておきたいわけだ。
そのうえで、避けられるリスクへの対応として、バックアップ器材や、予備ガスを持ち込んで対応するという手法だ(たぶん)。
器材構成だけみると似た部分もあるかも知れないが、考え方としては異なる。
大体、人間系の冗長性を否定している点で、既にテクニカルダイビングと決別している。
しかし、そうとばかりは言えないかもしれないところがややっこしいところだ。
人間系の冗長性以外の点では、両者はよく似ている。
ソロダイバーは、当然自己完結することが要求されるが、テクニカルダイバーだって自己完結していなければならない。
自己完結しているダイバー同士がバックアップし合うから、安全性が高まるということになるわけで、自己完結はテクニカルダイビングの大前提だ。
しかし、人間系の冗長性を外した時点で、テクニカルダイビングの要件を満たさないので、ソロはテックにはなり得ない。
別の方向から確認する。
じゃあ、ソロは、いわば袋小路で、発展性がなく、実際問題として受け入れ側の理解が得られなければ実現可能性もなく、何の役にも立たないスキルになっちまうかといえば、そうではない。
例えば、ブン流れの超高速ドリフトダイビングで、ちょっとコースを外したら流速が変わってバラバラになるようなところでは、そもそもバディダイビングが成立しなかったりする。
そんなところが、レクリエーショナルレベルのダイビングポイントになること自体が問題だが、まあ、それはそれとして、そこでの安全性の確保としては、ソロダイビングの設えとスキルは唯一の選択になる。
また、トレーニングのことだけ考えれば、ダブルタンクの調達が難しいところで、一人でこっそりテクニカルダイビングの練習したいときには、ソロは有効だろう(自分で書いてて根暗になりそうですが)。
バルブドリルとかも出来ないしな。
そして、もちろん、ソロの仕様でバディダイビングを行えば、最強のレクリエーショナルダイビングが実現する。
レクリエーショナルな環境で自己完結したダイバーが、人間系の冗長性も備えるわけだから、これ以上の安全性はない。
それって、もちろんソロじゃないんだがな。
ダイビングとしては、テクニカルに繋がるものではないという点がポイントだが、プロセスとして捉えれば、ソロは様々な発展性を秘めているのかもしれない。
ただし、広まるかどうかは別の話だ。
高コスト、加わる制約、受け入れ側の無理解などなど。
ネガな要素は満載だ。
規制当局(保安庁)の方針もあるしな。
単独潜水は、目の敵にされている。
単独潜水での事故が絶えないことが理由なんだろうが、その安全性を高めるソロダイビングを否定するというのは、論理的にも矛盾している話だと気付かないんだろうか?。
少し、別の話をする。
TDIは、テクニカルダイビングのソロを認めていない。
定義矛盾になるからな。
テックは、チームで行うことが必須だからな。
しかし、探検ダイビングについては、その存在を否定しない。
充分なトレーニングを重ねたテクニカルダイバーが行う、その先の潜水の世界があることは認めている。
100mを超える大深度潜水(チームであっても)とか、単独で行うテクニカルダイビング環境(洞窟・沈船)の潜水とか。
究極のオウンリスクで、他者を巻き込んでしまう危険が大きく、単独でしか行えないレベルということになる。
状況は異なるけど、軍隊が行う機雷除去作業も単独潜水で行うらしい。
人的損耗を最小化するという点では、共通かもな。
ちょっと切ない話だ。
レクリエーショナルレベルのソロダイビングとは、次元が異なるし、繋がる部分はない。
ないはずなんだが、こんな話もある。
伊豆大島の野田浜に、バディズベルというのがある。
(バディズベル)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2016/01/12/7989229
「シビアアクシデントの際(ダウンカレントなど)、二人が協力し合うより、それぞれが個別に助かろうとする方がいい場合もあるのではないか。」
バディズベルの詳細は、記事を読んでいただきたいが、このケースの場合は微妙な気がする。
具体的な状況が分からないので、たらればの話は慎みたいが、人的損耗とバディシステムの維持との究極の選択だったかもしれない。
まあいい。
この話を持ち出す度に、浮沈子は涙腺が壊れる・・・。
バディシステムをぶっ壊して、敢えてソロになる。
ダイビングでは、そういう事態はいくらでも想定されるだろう。
そんな時、ソロの装備で潜っていれば、生還の確率は高い。
スキルアップとしても、推奨されていい。
そして、その設えとスキルでバディを組めば最強だし、テクニカルダイビングを始める時にも戸惑うことは少ない(そうかあ?)。
ソロダイビングについて、いろいろ書いてきたが、今夜から出発して講習を受けてくる。
何かあれば、また書くかもしれない。
予備タンクを持ったり、バックアップのアイテムを持ったりするソロダイビングのコンフィギュレーションは、パッと見ではテクニカルダイビングっぽく見えたりもする。
安全性を重視し、高いリスクに対応するテクニカルダイビングは、冗長性とミニマリズムの高い次元でのバランスが身上だ。
考え方としては、ソロダイビングも、その延長線上にあると言えるかもしれない(未確認→ソロの器材やノウハウはテックからもたらされたものが多いけど、ソロの先にテックを位置付けているわけではなく、イントロテックがその役割を果たしているとのこと:追加)。
じゃあ、ソロダイビングの延長線上にテクニカルダイビングがあるかといえば、浮沈子はそういうことではないと考えている。
すこしややっこしいな。
テクニカルダイビングというのは、コンフィギュレーション指向ではなく、ダイビング環境指向だということがある。
カッコ優先じゃない。
減圧を伴う仮想閉鎖空間、物理的直上浮上が出来ない洞窟や沈船の中といった、ハイリスクな環境に潜るというのが目的で、バックアップの器材や大量のガスを持ち込んだり、チームダイビングで人間系の冗長性を高めたりするのは、そのための手段だからな。
ソロは、環境的にはむしろバディ潜水より穏やかになる。
少なくとも、SDIではそういうふうに制限している。
ソロである事自体がハイリスクになるため、環境リスクは減らしておきたいわけだ。
そのうえで、避けられるリスクへの対応として、バックアップ器材や、予備ガスを持ち込んで対応するという手法だ(たぶん)。
器材構成だけみると似た部分もあるかも知れないが、考え方としては異なる。
大体、人間系の冗長性を否定している点で、既にテクニカルダイビングと決別している。
しかし、そうとばかりは言えないかもしれないところがややっこしいところだ。
人間系の冗長性以外の点では、両者はよく似ている。
ソロダイバーは、当然自己完結することが要求されるが、テクニカルダイバーだって自己完結していなければならない。
自己完結しているダイバー同士がバックアップし合うから、安全性が高まるということになるわけで、自己完結はテクニカルダイビングの大前提だ。
しかし、人間系の冗長性を外した時点で、テクニカルダイビングの要件を満たさないので、ソロはテックにはなり得ない。
別の方向から確認する。
じゃあ、ソロは、いわば袋小路で、発展性がなく、実際問題として受け入れ側の理解が得られなければ実現可能性もなく、何の役にも立たないスキルになっちまうかといえば、そうではない。
例えば、ブン流れの超高速ドリフトダイビングで、ちょっとコースを外したら流速が変わってバラバラになるようなところでは、そもそもバディダイビングが成立しなかったりする。
そんなところが、レクリエーショナルレベルのダイビングポイントになること自体が問題だが、まあ、それはそれとして、そこでの安全性の確保としては、ソロダイビングの設えとスキルは唯一の選択になる。
また、トレーニングのことだけ考えれば、ダブルタンクの調達が難しいところで、一人でこっそりテクニカルダイビングの練習したいときには、ソロは有効だろう(自分で書いてて根暗になりそうですが)。
バルブドリルとかも出来ないしな。
そして、もちろん、ソロの仕様でバディダイビングを行えば、最強のレクリエーショナルダイビングが実現する。
レクリエーショナルな環境で自己完結したダイバーが、人間系の冗長性も備えるわけだから、これ以上の安全性はない。
それって、もちろんソロじゃないんだがな。
ダイビングとしては、テクニカルに繋がるものではないという点がポイントだが、プロセスとして捉えれば、ソロは様々な発展性を秘めているのかもしれない。
ただし、広まるかどうかは別の話だ。
高コスト、加わる制約、受け入れ側の無理解などなど。
ネガな要素は満載だ。
規制当局(保安庁)の方針もあるしな。
単独潜水は、目の敵にされている。
単独潜水での事故が絶えないことが理由なんだろうが、その安全性を高めるソロダイビングを否定するというのは、論理的にも矛盾している話だと気付かないんだろうか?。
少し、別の話をする。
TDIは、テクニカルダイビングのソロを認めていない。
定義矛盾になるからな。
テックは、チームで行うことが必須だからな。
しかし、探検ダイビングについては、その存在を否定しない。
充分なトレーニングを重ねたテクニカルダイバーが行う、その先の潜水の世界があることは認めている。
100mを超える大深度潜水(チームであっても)とか、単独で行うテクニカルダイビング環境(洞窟・沈船)の潜水とか。
究極のオウンリスクで、他者を巻き込んでしまう危険が大きく、単独でしか行えないレベルということになる。
状況は異なるけど、軍隊が行う機雷除去作業も単独潜水で行うらしい。
人的損耗を最小化するという点では、共通かもな。
ちょっと切ない話だ。
レクリエーショナルレベルのソロダイビングとは、次元が異なるし、繋がる部分はない。
ないはずなんだが、こんな話もある。
伊豆大島の野田浜に、バディズベルというのがある。
(バディズベル)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2016/01/12/7989229
「シビアアクシデントの際(ダウンカレントなど)、二人が協力し合うより、それぞれが個別に助かろうとする方がいい場合もあるのではないか。」
バディズベルの詳細は、記事を読んでいただきたいが、このケースの場合は微妙な気がする。
具体的な状況が分からないので、たらればの話は慎みたいが、人的損耗とバディシステムの維持との究極の選択だったかもしれない。
まあいい。
この話を持ち出す度に、浮沈子は涙腺が壊れる・・・。
バディシステムをぶっ壊して、敢えてソロになる。
ダイビングでは、そういう事態はいくらでも想定されるだろう。
そんな時、ソロの装備で潜っていれば、生還の確率は高い。
スキルアップとしても、推奨されていい。
そして、その設えとスキルでバディを組めば最強だし、テクニカルダイビングを始める時にも戸惑うことは少ない(そうかあ?)。
ソロダイビングについて、いろいろ書いてきたが、今夜から出発して講習を受けてくる。
何かあれば、また書くかもしれない。
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