ISSダイエット2018年09月24日 16:45

ISSダイエット
ISSダイエット


HTV7号機が打ち上げられた話(を無視していること?)は、既に書いた。

(しかとしている宇宙ネタ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/09/23/8964259

(宇宙ステーション補給機 「こうのとり」7 号機(HTV7) 【ミッションプレスキット】)
http://www.jaxa.jp/projects/rockets/htv/pdf/htv7_press_kit.pdf

搭載貨物の中には、再突入カプセルのほかにも、ISS米国側の交換用バッテリーがある。

ISSでは、従来もニッケル水素バッテリーの交換は行っていて、前回のHTV6から、ユアサ製セルを搭載したリチウムイオンバッテリーへの換装が始まっている。

合計4回の交換で、米国側のバッテリーは全て交換される。

ISSが、最終的にいつまで運用されるかについては定かでないが、バッテリー寿命は10年とされているので、2024年までは余裕で持つだろう。

前回の資料はこちら。

(宇宙ステーション補給機 「こうのとり」6 号機(HTV6) 【ミッションプレスキット】)
http://issstream.tksc.jaxa.jp/iss2/press/htv6_presskit_a.pdf

内容的には、前回の交換と同じく、12個のバッテリーのうち、9個を撤去(HTVに積み込み、大気圏再突入時に焼却処分される)、残り3個は移設して残置する(電気的には切り離される)。

新たに6個のバッテリーと6個のアダプタープレートが設置される。

アダプタープレートというのは、資料によればバッテリー数を減らしたことに伴い、空いたスロットに設置し、電気・通信的な結合を行うユニットのことらしい(詳細不明)。

「※各リチウムイオンバッテリの重量は約430ポンド(195kg)、アダプタプレートの重量は65ポンド(29kg)なので、ニッケル水素電池ORU365ポンド(165.5kg)2台分の重量(330kg)と比べると約106kgの軽量化となります。」

総重量で見ると、ニッケル水素電池は3個置いていくわけだから、単純計算にはならない。

総重量:
・交換前:
165.5kg×12個
=1986kg

・交換後:
(195kg+29kg)×6個+165.5kg×3個
=1344kg+496.5kg
=1840.5kg

差し引きして、145.5kgしか軽くなっていない。

もちろん、従来の電池(6年半)に比べて寿命が長い(10年)などのメリットはあり、電池交換の手間が減るという点では、それなりの効果がある。

しかしなあ、半分の個数で済むと宣伝しておきながら、その実、従来12個積んでいた電池1個分にも満たない軽量化に留まる点は要注意だ。

本当なら、旧電池は12個全部廃棄したいんだろうけど、HTVの非与圧区画に搭載する暴露パレットの容量的に、致し方ないんだろう。

HTVの積載能力の限界を超えているということになり、廃棄が完全に行えず、置き去りにせざるを得ない状況なわけだ。

今後、何かの折に、廃棄のスペースに余裕が出来れば、ひょっとしたら12個の旧型バッテリー(3個×4回分)を、少しずつでも廃棄することが出来るかもしれない。

そうなれば、今回のバッテリー交換に伴う減量は、1986kgー1344kg=642kgということになり、それなりの重量になる。

4回分なら、2568kgに達するところだ(廃棄されない場合は582kg)。

420トンに及ぶISS全体と比べれば、微々たるもんだがな。

総重量が減れば、軌道を押し上げる際の燃料も、ちっとは少なくて済むなど、メリットが生まれることになる。

まあ、どうでもいいんですが。

今後は、HTV8において、S6トラスのバッテリー交換になるはずだ(P6トラスのバッテリーは、2009年と2010年に半分ずつ交換済み)。

HTV9によって、そのP6トラスのバッテリー交換も終われば、一連の作業が終了する。

そうして、たぶん、それがISSの最後のバッテリー交換になるはずだ(米国側のみ)。

ロシア側の蓄電池については知らない。

ザーリャかズヴェズダに積んでいるのかもしれない(未確認)。

ユアサの電池に置き換えられるのは、あくまでも米国側の蓄電池システムに限られる。

ISSは、いってみれば米ロ2つの宇宙ステーションが合体しているようなもんだ。

ISSの構成については、以前にも記事にしている。

(ISSの構成)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/02/24/8373504

だいぶ前だから、この時から変わった部分があるかも知れない。

が、まあ、概ねこんなもんだろう。

2025年以降の運用については、民営化することが決まっているらしい。

宇宙ホテルとか、広告塔とかになるんだろう(望遠鏡ないと見えませんが)。

きぼうから超小型衛星を放出する事業については、民営化することが決まっている。

電池交換とか、そういう形而下の話とは別に、ちゃらい話がいっぱい出てくるんだろう。

まあいい。

宇宙が多くの人に開放されるのは世の流れだ。

浮沈子が行くことはないだろうが(狭いとこや暗いとこは嫌いだからな)、これからの若い人は、大いに行くべきだ。

そして、この地上の世界が、如何に貴重な環境であるかを、身に染みて感じて来てもらいたいもんだな・・・。

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